問題
労働安全衛生法における「事業場」の単位および適用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはオです。安衛法の「事業者」は「事業を行う者で、労働者を使用するもの」です(安衛法第2条第3号)。清掃作業員を使用しているのは清掃請負業者なので、作業員に対する事業者としての義務(衛生管理者の選任等)は清掃請負業者が負います。ビルの所有者(発注者)が負うという記述は誤りです。
ア(事業場単位の適用)、イ(事業場ごとの労働者数で判断・常時50人以上で選任)、ウ(200人超500人以下は2人以上)、エ(10人以上50人未満は安全衛生推進者又は衛生推進者)はいずれも正しい記述です。
安衛法の「事業場」単位の適用と「事業者」:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 衛生管理者(安衛法第12条)・産業医(第13条)・衛生委員会(第18条)は、いずれも「政令で定める規模の事業場ごとに」と定められており、企業単位ではなく事業場単位で適用されます。
- イ(正): 衛生管理者を選任すべき事業場は「常時五十人以上の労働者を使用する事業場」です(安衛令第4条)。同じ企業でも、事業場ごとにその労働者数で判断します。
- ウ(正): 安衛則第7条第1項第4号の表により、常時200人を超え500人以下の事業場は2人以上です(50人以上200人以下は1人以上)。
- エ(正): 安衛法第12条の2・安衛則第12条の2により、常時10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者(安全管理者の選任が必要な業種)又は衛生推進者(それ以外の業種)を選任しなければなりません。
- オ(誤): 安衛法第2条第3号の「事業者」は「事業を行う者で、労働者を使用するもの」です。清掃作業員を使用する清掃請負業者が事業者として、衛生管理者の選任等の義務を負います。発注者であるビルの所有者が、請負業者の作業員について衛生管理者の選任義務を負うわけではありません。
【理論的背景】
安衛法の義務の名あて人は「事業者」(事業を行う者で、労働者を使用するもの・第2条第3号)です。一方、衛生管理者・産業医の選任や衛生委員会の設置は「政令で定める規模の事業場ごとに」と定められており(第12条・第13条・第18条)、同じ事業者でも事業場ごとの労働者数によって義務の有無が変わります。
【実務・条文構造】
事業場の規模と主な義務:
| 常時使用する労働者数 | 主な義務 |
|---|---|
| 10人以上50人未満 | 安全衛生推進者又は衛生推進者の選任(安衛法第12条の2・安衛則第12条の2) |
| 50人以上 | 衛生管理者の選任(安衛令第4条)・産業医の選任(安衛令第5条)・衛生委員会の設置(安衛令第9条) |
衛生管理者の選任数(安衛則第7条第1項第4号):
- 50人以上200人以下: 1人以上
- 200人を超え500人以下: 2人以上
- 500人を超え1,000人以下: 3人以上
- 1,000人を超え2,000人以下: 4人以上
- 2,000人を超え3,000人以下: 5人以上
- 3,000人を超える場合: 6人以上
複数事業場での適用例:
- 本社(100人)・工場(200人)・営業所A(70人)・営業所B(30人)の場合:
- 本社: 衛生管理者1人以上・産業医の選任・衛生委員会の設置
- 工場: 衛生管理者1人以上・産業医の選任・衛生委員会の設置
- 営業所A: 衛生管理者1人以上・産業医の選任・衛生委員会の設置
- 営業所B: 衛生管理者・産業医の選任義務なし(50人未満。業種に応じ安全衛生推進者又は衛生推進者の選任が必要)
請負作業と事業者:
- 清掃・警備・設備保守等の請負業者が他社の施設内で作業する場合も、作業員を使用しているのは請負業者であり、請負業者が安衛法上の事業者として義務を負う
- このほか元方事業者には、関係請負人及びその作業従事者が安衛法令の規定に違反しないよう必要な指導を行い、違反していると認めるときは是正のため必要な指示を行う義務がある(安衛法第29条)
【試験での位置づけ】
「事業場」は、衛生管理者選任義務の「常時50人以上」を判断する単位として基本的な論点です。「同一企業でも事業場ごとに判断」「選任数の表(200人・500人・1,000人…)」「10人以上50人未満は安全衛生推進者又は衛生推進者」「事業者=労働者を使用する者」が試験ポイントです。本問オの「清掃作業員に対する事業者義務はビル所有者(発注者)が負う」という誤りは、事業者の定義(第2条第3号)で見抜けます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 衛生管理者(第12条)・産業医(第13条)・衛生委員会(第18条)の各条文は、いずれも「事業場ごとに」と定めています。
- イ: 本社で衛生管理者を選任していても、常時50人以上の工場には別に選任義務があります。
- ウ: 選任数は事業場の規模に応じて段階的に増えます(安衛則第7条第1項第4号)。選任は事由発生から14日以内に行い(同項第1号)、所轄労働基準監督署長に報告します(同条第3項)。
- エ: 安全衛生推進者等も、選任すべき事由が発生した日から14日以内に、原則としてその事業場に専属の者を選任します(安衛則第12条の3第1項)。
- オ: 作業員を使用していない発注者は、その作業員との関係では安衛法第2条第3号の「事業者」に当たりません。
【根拠法令】労働安全衛生法 第2条(定義)・第12条(衛生管理者)・第12条の2(安全衛生推進者等)・第13条(産業医)・第18条(衛生委員会)・第29条(元方事業者の講ずべき措置)、労働安全衛生法施行令 第4条・第5条・第9条、労働安全衛生規則 第7条(衛生管理者の選任)・第12条の2・第12条の3(安全衛生推進者等)
【補足】安衛法の選任義務は事業場単位で判断。常時50人以上で衛生管理者・産業医の選任と衛生委員会の設置。10人以上50人未満は安全衛生推進者又は衛生推進者。請負作業員に対する事業者義務は作業員を使用する請負業者が負う(発注者ではない)。
- 労働安全衛生法第2条・第12条・第12条の2・第29条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法施行令第4条・第5条・第9条e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第7条・第12条の2・第12条の3e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第2条(定義)・第12条(衛生管理者)・第12条の2(安全衛生推進者等)、労働安全衛生法施行令 第4条(衛生管理者を選任すべき事業場)、労働安全衛生規則 第7条(衛生管理者の選任)・第12条の2(安全衛生推進者等を選任すべき事業場)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

