問題
労働基準法における制裁(懲戒)および罰則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正しいのはアです。労基法第91条により、就業規則で減給の制裁を定める場合、①1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、②総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません。両方の制限を同時に守る必要があります。
各誤り: イ→常時10人以上の労働者を使用する使用者は、表彰及び制裁の定めをする場合、その種類及び程度を就業規則に記載しなければなりません(第89条第9号)。ウ→就業規則の作成・変更で必要なのは過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の「意見を聴く」ことで、同意までは求められていません(第90条第1項)。エ→最も重い罰則は強制労働の禁止(第5条)違反に対する「1年以上10年以下の拘禁刑又は20万円以上300万円以下の罰金」(第117条)です。オ→労基法第121条に両罰規定があります。
労働基準法の制裁・罰則規定(第89条〜第91条・第117条〜第121条):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 労基法第91条により、就業規則で減給の制裁を定める場合、①1回の額が平均賃金の1日分の半額、②総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を、それぞれ超えてはなりません。
- イ(誤): 労基法第89条第9号により、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を就業規則に記載して行政官庁に届け出なければなりません。
- ウ(誤): 労基法第90条第1項により、就業規則の作成又は変更については、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴かなければならないとされ、届出にはその意見を記した書面を添付します(同条第2項)。同意は要件ではありません。
- エ(誤): 強制労働の禁止(第5条)違反の罰則は「1年以上10年以下の拘禁刑又は20万円以上300万円以下の罰金」(第117条)で、労基法で最も重い罰則です。「20年以下」「500万円以下」はいずれも誤りです。
- オ(誤): 労基法第121条に両罰規定があり、違反行為者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合、事業主にも各本条の罰金刑が科されます。事業主が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りではありません。
【理論的背景】
労基法は、就業規則の制裁について「何を書くか」(第89条第9号)、「どう作るか」(第90条)、「減給の上限」(第91条)を定めています。労基法違反には刑事罰(拘禁刑・罰金)が定められ(第117条〜第120条)、両罰規定(第121条)により、違反行為をした従業者だけでなく事業主にも罰金刑が科されます。
【実務・条文構造】
就業規則と制裁(労基法第89条・第90条):
- 常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、行政官庁に届け出る(変更時も同様・第89条)
- 表彰及び制裁の定めをする場合は、その種類及び程度に関する事項を記載する(第89条第9号)
- 作成・変更には、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴き、届出にその意見を記した書面を添付する(第90条)
減給制裁の上限(労基法第91条):
- 条件①: 1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
- 条件②: 総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない
計算例(平均賃金は、算定事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除した金額・第12条):
- 月給25万円で、直前3か月の総日数が92日の場合:
- 平均賃金の1日分 ≈ 75万円÷92日≒約8,150円
- 1回の減給上限: 約8,150円×1/2≒約4,075円
- 1賃金支払期の減給総額の上限: 25万円×1/10=25,000円
主な罰則(労基法第117条〜第120条):
| 違反条文 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 第5条(強制労働の禁止) | 暴行・脅迫・監禁等による労働の強制 | 1年以上10年以下の拘禁刑又は20万円以上300万円以下の罰金(第117条) |
| 第6条(中間搾取の排除) | 業として他人の就業に介入して利益を得る | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(第118条) |
| 第32条(労働時間) | 1週40時間・1日8時間の労働時間の規制 | 6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(第119条) |
| 第24条(賃金の支払) | 全額払い等の違反 | 30万円以下の罰金(第120条) |
両罰規定(労基法第121条):
- 違反行為者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合、事業主にも各本条の罰金刑を科する
- 事業主が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りでない
- 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかった場合、違反行為を知りその是正に必要な措置を講じなかった場合、又は違反を教唆した場合は、事業主も行為者として罰する
【試験での位置づけ】
「減給制裁の2つの上限(1回:平均賃金1日分の半額、総額:1賃金支払期の賃金総額の10分の1)」は頻出数値です。「就業規則の作成・変更は意見聴取(同意ではない)」「制裁の定めをする場合は種類及び程度を記載」「両罰規定あり」「最も重い罰則は強制労働の禁止違反」も頻出ポイントです。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 2つの上限は両方とも守る必要があります。1回ごとの上限(1日分の半額)を守っていても、同じ賃金支払期に何回も減給して合計が10分の1を超えることはできません。
- イ: 第89条第9号は「表彰及び制裁の定めをする場合においては」記載する事項です。制裁の定めをするなら、その種類及び程度の記載が必要です。
- ウ: 第90条が求めているのは、過半数労働組合等の意見を聴くことと、届出の際にその意見を記した書面を添付することです。
- エ: 第117条の罰則は、拘禁刑・罰金とも下限が定められている点が他の罰則と異なります。
- オ: 第121条第1項ただし書の「違反の防止に必要な措置をした場合」には事業主は罰せられません。
【根拠法令】労働基準法 第12条(平均賃金)・第89条(就業規則の作成及び届出の義務)・第90条(作成の手続)・第91条(制裁規定の制限)・第117条〜第120条(罰則)・第121条(両罰規定)
【補足】減給制裁の上限は2つ(1回:平均賃金1日分の半額、総額:1賃金支払期の賃金総額の10分の1)の両方を守る必要あり。就業規則の作成・変更は過半数労働組合等の意見聴取(同意は不要)。両罰規定で事業主も処罰対象。
- 労働基準法第91条・第121条・第89条・第90条・第117条・第12条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第89条(就業規則の作成及び届出の義務)・第90条(作成の手続)・第91条(制裁規定の制限)・第117条〜第121条(罰則・両罰規定)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

