労働生理24腎臓・尿

衛生管理者 労働生理 問24:腎臓・尿

腎臓の機能及び尿の生成に関する記述として、**誤っているものを1つ**選べ。

  • 腎臓は腹腔後壁に左右1対あり、ネフロン(腎単位)を約100万個含み、糸球体での濾過と尿細管での再吸収・分泌により尿を生成する。
  • 糸球体でろ過された原尿の量は1日約150〜180Lであり、その大部分は尿細管で再吸収されて最終的に1〜1.5Lの尿が生成される。
  • アルドステロン(副腎皮質ホルモン)は遠位尿細管・集合管でのナトリウム再吸収を促進し、体液量(血圧)の調節に関与する。
  • 腎不全が進行すると、エリスロポエチンの産生低下により貧血が生じるが、腎臓での活性型ビタミンD産生は影響を受けない。正答
  • 尿は腎盂から尿管を経て膀胱に蓄えられ、成人では300〜500mL程度の尿が膀胱に貯留したときに尿意が生じる。
正答:腎不全が進行すると、エリスロポエチンの産生低下により貧血が生じるが、腎臓での活性型ビタミンD産生は影響を受けない。

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腎臓は尿の生成だけでなく複数のホルモンを産生する内分泌臓器でもあります。腎不全が進行すると、エリスロポエチン(赤血球産生を促すホルモン)の産生が低下して腎性貧血が生じます。さらに、腎臓での活性型ビタミンD(1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)の合成も障害されるため、カルシウム吸収が低下し腎性骨症が起こります。選択肢エは「活性型ビタミンD産生は影響を受けない」としており、これが誤りです。原尿量は1日約150〜180L(イ:正しい)、アルドステロンによるNa再吸収(ウ:正しい)はともに基本的な正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

腎臓の内分泌機能について整理します。腎臓が産生する主要な内分泌物質は(1)エリスロポエチン(骨髄での赤血球産生促進)、(2)活性型ビタミンD(腸管でのCa・P吸収促進)、(3)レニン(アンジオテンシン・アルドステロン系を通じた血圧調節)の3種類です。慢性腎不全ではこれら3つすべてが障害されます。エリスロポエチン産生低下→腎性貧血、活性型ビタミンD産生低下→カルシウム吸収低下→腎性骨症(低カルシウム血症・二次性副甲状腺機能亢進症)、レニン系の調節異常→高血圧悪化。選択肢エは「活性型ビタミンD産生は影響を受けない」と述べており明らかに誤りです。他の選択肢を確認します。ア:ネフロン約100万個・糸球体と尿細管の組み合わせで尿を生成(正しい)。イ:原尿150〜180L→最終尿1〜1.5L(正しい、再吸収率99%以上)。ウ:アルドステロンによるNa再吸収促進(正しい)。オ:尿意は300〜500mLで生じる(正しい)。

上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

#### 1. ネフロンの構造と尿生成の3過程

ネフロン(腎単位)は腎臓の機能的最小単位であり、各腎臓に約100万個(左右の腎臓を合わせると約200万個)存在します。ネフロンは糸球体(毛細血管のかたまり)+ボウマン嚢+尿細管(近位・ヘンレのループ・遠位)+集合管で構成されます。尿生成は(1)糸球体での濾過(血圧によるサイズフィルタリング:水・電解質・ブドウ糖・アミノ酸・尿素は通過、タンパク質・血球は通過せず)、(2)尿細管での再吸収(ブドウ糖・アミノ酸はほぼ100%・水・Na・Kなどは調節的に再吸収)、(3)尿細管での分泌(H+・K+・薬物など)の3過程からなります。

#### 2. 原尿量と尿濃縮のメカニズム

糸球体濾過量(GFR)は成人で1日約150〜180Lです(イの正しい記述)。このうち99%以上が尿細管で再吸収され、最終的な尿は1〜1.5L(1日)となります。水の再吸収は近位尿細管(約65〜70%)・ヘンレのループ(約25%)・遠位尿細管・集合管(残り・ADH依存性)の各部位で行われます。抗利尿ホルモン(ADH・バソプレシン)は下垂体後葉から分泌され、集合管の水透過性を高めて水再吸収を促進します。脱水・血漿浸透圧上昇でADH分泌が増加し、水分過剰・飲酒でADH分泌が抑制されます。腎不全ではGFRが低下し、尿中への老廃物排泄が不十分となるため血清クレアチニン・BUN(血中尿素窒素)が上昇します。

#### 3. 腎臓の内分泌機能と腎不全の全身的影響

腎臓は「尿を作るだけの臓器」ではなく、重要な内分泌器官です。エリスロポエチン(EPO):傍尿細管細胞が低酸素に応じて産生し、骨髄の赤芽球に作用して赤血球産生を促進します。腎不全でEPO産生が低下すると腎性貧血が生じ、重症例では輸血やEPO製剤投与が必要になります。活性型ビタミンD:食事・紫外線で生成されたビタミンD3は肝臓で25-ヒドロキシ化を受け、腎臓の近位尿細管細胞で1α-ヒドロキシラーゼにより活性型1,25-(OH)2D3に変換されます。活性型VDは腸管でのCa・P吸収を促進します。腎不全ではこの活性化が障害されるため低カルシウム血症→PTH分泌亢進→腎性骨症という連鎖が生じます。選択肢エはこの活性型VD産生障害を「影響を受けない」と否定しており明らかに誤りです。レニン:糸球体傍細胞が産生し、アンジオテンシノーゲン→アンジオテンシンI→II→アルドステロン分泌を通じて血圧・体液調節の上流制御を担います。

#### 4. 腎機能評価指標と衛生管理者試験での頻出論点

腎機能の臨床評価に用いる主要指標は、GFR(糸球体濾過量)・血清クレアチニン・BUN・尿タンパク・尿比重です。一般健康診断の尿検査(尿タンパク・尿糖)でも腎疾患の早期スクリーニングが可能です。試験では「原尿150〜180L・最終尿1〜1.5L」「アルドステロン→Na再吸収促進→体液量・血圧調節」「ADH→水再吸収促進」「腎臓は尿生成+内分泌(EPO・活性型VD・レニン)の二重機能を持つ」「腎不全→腎性貧血・腎性骨症・高血圧」が頻出です。誤肢として「腎不全で活性型VD産生は保たれる」「原尿は直接尿として排出される」「腎臓は内分泌機能を持たない」などが登場します。衛生管理者の実務では、健診での尿検査異常(タンパク尿・血尿)を要精検として適切に就業管理に反映させることが重要です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した生理学的事実(腎臓の内分泌機能:エリスロポエチン産生・活性型ビタミンD合成・レニン分泌)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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