基本情報 平成30年度 春期 問65:ストラテジ系に関する問題
企画, 要件定義 システム開発, ソフトウェア実装, ハードウェア実装, 保守か ら成る一連のプロセスにおいて, 要件定義プロセスで実施すべきものはどれか。
- aシステムに関わり合いをもつ利害関係者の種類を識別し, 利害関係者のニーズ 及び要望並びに課せられる制約条件を識別する。正答
- b事業の目的, 目標を達成するために必要なシステム化の方針, 及びシステムを 実現するための実施計画を立案する。
- c目的とするシステムを得るために, システムの機能及び能力を定義し, システ ム 方式設計によってハードウェア, ソフトウェアなどによる実現方式を確立する。
- d利害関係者の要件を満足するソフトウェア製品又はソフトウェアサービスを得 るための, 方式設計と適格性の確認を実施する。 出
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答えは a です。
要件定義=「誰が」「何を」「どんな制約で」必要としているかを洗い出す段階。
- 利害関係者(ユーザ、業務部門、運用部門、経営層など)を識別
- 彼らのニーズ・要望・制約を識別
この段階で見落とすと、後で「これじゃない!」と作り直しになります。
👉 覚え方:要件定義=関係者全員のニーズと制約の棚卸し!
ほかの選択肢:b システム化方針・実施計画立案=企画フェーズ(システム化計画)/c システム方式設計=設計フェーズ/d ソフトウェアの方式設計=設計フェーズ。
なぜこれが正解か
正解は a。要件定義プロセスでは、システムと関わる利害関係者(ステークホルダ)を識別し、彼らのニーズ・要望・制約条件を抽出・分析・整理する。これが要件定義の本質的な出発点。識別された要件は「業務要件」「機能要件」「非機能要件」に分類され、後工程の設計の基礎となる。
各選択肢の解説
- a 利害関係者の識別、ニーズ・要望・制約の識別:要件定義 → 正解。
- b 事業目的達成のためのシステム化方針・実施計画立案:企画プロセス(システム化計画)。
- c システム機能・能力定義、システム方式設計(HW/SW実現方式確立):設計プロセス。
- d 利害関係者要件を満たすソフトウェア製品・サービスの方式設計と適格性確認:ソフトウェア要件定義・方式設計フェーズ。
覚え方・ひっかけ注意
要件と仕様は別物:
- 要件(requirement):利害関係者が「何を求めているか」(WHAT)。
- 仕様(specification):要件を満たすシステムが「どう実現するか」(HOW)。
要件定義の典型成果物:要件定義書、業務フロー図、概念モデル、ユースケース、機能一覧、非機能要件一覧。
要件の分類
機能要件(functional requirements)
- システムが何をするか。業務処理、データ操作、計算、出力。
- ユースケース、機能一覧、入出力定義で表現。
非機能要件(non-functional requirements)
- IPA非機能要求グレードで6大項目:(1)可用性 (2)性能・拡張性 (3)運用・保守性 (4)移行性 (5)セキュリティ (6)システム環境・エコロジー。
- 数値目標(SLA)として定義:稼働率99.9%、応答時間2秒、ピーク同時接続数10000等。
要件抽出手法
- ヒアリング:個別/集団インタビュー。
- ワークショップ:利害関係者参加型の発散・収束。
- 観察:業務現場での実際の作業観察(コンテキスチュアル・インクワイアリ)。
- アンケート:定量データ収集。
- 文書分析:既存マニュアル、業務手順書、システムドキュメント。
- プロトタイピング:早期試作で要件具体化。
- ジョブ・トゥ・ビー・ダン(JTBD):顧客が「片付けたい仕事」を起点に要件抽出。
モデリング技法
- UML:ユースケース図、アクティビティ図、シーケンス図、クラス図、状態遷移図。
- BPMN(Business Process Model and Notation):業務プロセスモデリング。
- ER図:データモデリング。
- DFD(Data Flow Diagram):データ流れ図。
- ユーザストーリーマッピング:アジャイル開発の要件可視化。
利害関係者の分類
- 直接利用者:エンドユーザ、業務担当者。
- 間接利用者:管理者、監督者、経営層。
- 運用・保守関係者:システム運用、ヘルプデスク、開発・保守ベンダ。
- 外部関係者:顧客、取引先、規制当局、株主。
- マネジメント:プロジェクトスポンサ、ステアリングコミッティ。
ステークホルダ分析として影響力×関心度マトリックスで優先度評価。
要件定義の標準・規格
- ISO/IEC/IEEE 29148:要件工学プロセス国際規格。
- BABOK(Business Analysis Body of Knowledge):IIBA、ビジネスアナリシスの体系。
- 共通フレーム2013(SLCP-JCF):日本のSLCPローカライズ。
要件定義の品質特性(IEEE 830/29148)
- 正確性:事実に基づく。
- 明確性:曖昧でない。
- 一貫性:矛盾がない。
- 完全性:抜け漏れない。
- 検証可能性:テスト可能。
- 追跡可能性:源泉が明確、後工程までトレース可能。
試験での位置づけ
FE「ストラテジ/システム開発技術」分野で頻出。応用情報・ITストラテジスト・SA・SM では中核知識。要件定義の品質はプロジェクト成功の70-80%を決めるとされ、CHAOS Reportでも失敗原因のトップに常に挙がる。
アジャイル開発における要件定義
- プロダクトバックログ:要件一覧、優先度順。
- ユーザストーリー:「〜として、〜できる、〜のため」フォーマット。
- エピック→ストーリー→タスク:階層分解。
- 継続的洗練(grooming/refinement):スプリント毎に要件を詳細化。
- MVP(Minimum Viable Product):早期検証可能な最小構成。
選択肢の発展補足
bの企画プロセスは要件定義より上流で、経営戦略との整合を取り、システム化全体の方向性を決める段階。EA(エンタープライズアーキテクチャ)で全社のIT戦略と整合させる。cのシステム方式設計は要件定義の後、要件をどう実現するか(システム/ハードウェア/ソフトウェアの分担、技術選定)を決める。dのソフトウェア方式設計はシステム方式設計の下位で、ソフトウェア内の構造設計(モジュール分割、I/F定義)を決める。
出典:IPA(情報処理推進機構)公式 基本情報技術者試験 平成30年度 春期 問65/ 公的機関配布資料につき出典明記の上引用。解説は合格ナビによる独自AI解説です。