記述式の基本:採点官は「キーワード」を見る
行政書士試験の記述式は3問60点(1問20点)の配点です。採点基準は公式には非公開ですが、法律用語・条文の要件・法的効果のキーワードが含まれているかどうかで部分点が決まります。
記述式の解答は「完璧な文章を書く」ことより「採点キーワードを確実に入れる」ことが最優先です。
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記述式の基本テンプレート
テンプレート型1:要件列挙型
「〜するためには、(要件1)・(要件2)・(要件3)が必要である。」
使う場面: 何かの請求・主張ができる条件を問われたとき
例:不法行為に基づく損害賠償請求
「AのBに対する不法行為に基づく損害賠償請求は、故意または過失・権利侵害・損害・因果関係の要件を満たすことで認められる。」(58字)
テンプレート型2:結論→根拠型
「〜は〜(権利・法的地位)を有する。なぜなら〜(条文・要件)を満たすからである。」
使う場面: 誰が何ができるか・どういう権利を持つかを問われたとき
例:物権変動の第三者対抗
「CはBに対して所有権を対抗できる。なぜならBが未登記であり、CはAから先に登記を備えた第三者に当たるからである。」(55字)
テンプレート型3:対比型(原則→例外)
「原則として〜であるが、〜の場合は〜となる。」
使う場面: 原則ルールに例外がある論点を問われたとき
例:表見代理
「代理権のない者がした行為は原則として効果を生じないが、相手方に代理権があると信じる正当な理由があれば本人に効果が帰属する(表見代理・民法109〜112条)。」(75字・字数調整が必要)
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民法記述式:頻出テーマ別テンプレート
【民法1】物権変動・登記の対抗(民法177条)
頻出の出題パターン:
「AがBに土地を売り、さらにCにも売った(二重譲渡)。BとCの優劣はどうなるか」
解答キーワード:
- 対抗要件(登記)
- 先に登記を備えた方が優先
- 第三者(背信的悪意者を除く)
テンプレート解答例:
「BとCは対抗関係にあり、先に所有権移転登記を備えた方が不動産の所有権をAに対抗できる(民法177条)。ただしCが背信的悪意者に当たる場合はこの限りではない。」
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【民法2】不法行為の成立要件(民法709条)
頻出の出題パターン:
「Aの過失によりBが負傷した。AのBへの損害賠償責任が生じる要件を述べよ」
解答キーワード(4要件を必ず全部書く):
1. 故意または過失
2. 権利または法律上保護される利益の侵害
3. 損害の発生
4. 行為と損害の間の因果関係
テンプレート解答例:
「Aに故意または過失があること、BのXXという権利侵害があること、損害が発生したこと、行為と損害の因果関係があることが不法行為(民法709条)の要件である。」
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【民法3】契約不適合責任(民法562条〜564条・2020年改正)
頻出の出題パターン:
「BがAから購入した物が契約の内容に適合しなかった。Bが取りうる手段を述べよ」
解答キーワード(4つの手段):
1. 追完請求(修補・代替物引渡・不足分引渡)
2. 代金減額請求
3. 損害賠償請求
4. 契約解除
テンプレート解答例:
「Bは追完請求(修補・代替物引渡等)・代金減額請求・損害賠償請求・解除を行使できる(民法562〜564条)。なお解除・損害賠償は故意過失不要(担保責任)。」
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【民法4】相続・遺留分侵害額請求(民法1046条)
頻出の出題パターン:
「被相続人Aの遺言が遺留分を侵害している場合、相続人Bはどうできるか」
解答キーワード:
- 遺留分侵害額請求(2019年改正で「遺留分減殺請求」から変更)
- 金銭の支払いを請求(金銭債権)
- 1年の消滅時効(遺留分侵害を知った時から)
テンプレート解答例:
「BはAの遺言により遺留分を侵害された場合、受遺者・受贈者に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる(遺留分侵害額請求・民法1046条)。」
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行政法記述式:頻出テーマ別テンプレート
【行政法1】取消訴訟の訴訟要件
頻出の出題パターン:
「Aが処分の取消訴訟を提起するために必要な要件を述べよ」
解答キーワード:
- 処分性(行政庁の処分または裁決であること)
- 原告適格(法律上の利益を有する者)
- 出訴期間(処分を知った日から6ヶ月以内等)
- 被告適格(処分をした行政庁の所属する国または公共団体)
テンプレート解答例:
「Aは処分性を満たす行政処分に対して法律上の利益を有し、処分を知った日から6ヶ月以内に処分庁の所属する行政主体を被告として取消訴訟を提起できる。」
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【行政法2】国家賠償法1条の要件
頻出の出題パターン:
「公務員Bの行為によりAが損害を受けた。国家賠償請求の要件は何か」
解答キーワード(5要件):
1. 国または公共団体の公権力の行使
2. 公務員が行為した
3. 職務行為(職務を行うについて)
4. 故意または過失
5. 損害の発生(因果関係)
テンプレート解答例:
「国または公共団体の公務員が職務を行うについて故意または過失で他人に損害を与えた場合、国または公共団体が賠償責任を負う(国家賠償法1条1項)。」
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記述式本番での時間戦略
| 段階 | 所要時間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 問題の読み込み | 2〜3分 | 何を問われているか確認・設問の「主語・目的語」を把握 |
| キーワード列挙 | 2〜3分 | 思いつくキーワードを余白に書き出す |
| 解答文の作成 | 5〜8分 | テンプレートに当てはめてキーワードを文章化 |
| 字数確認 | 1〜2分 | 解答欄内に収まるか確認・削る・補う |
3問×合計30〜45分程度の時間確保を試験計画に組み込んでください。
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よくある失点パターンと対策
失点パターン1:問いに答えていない
「誰が誰に何ができるか」という設問なのに「〜という制度がある」という一般論で答えてしまう。設問の主語・目的語を必ず解答に含めること。
失点パターン2:用語の混同
「取消し」と「無効」、「解除」と「解約」、「審査請求」と「取消訴訟」を混同すると減点。正確な法律用語を使うよう普段の学習から意識する。
失点パターン3:要件の一部漏れ
不法行為の4要件のうち1つを書き忘れる、契約不適合責任の4手段のうち2つしか書かない等。要件リストを練習段階でしっかり暗記すること。
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練習の進め方
2. 記述式の過去問・問題集で実際に手で書く
3. 解答例とキーワードを照合して「漏れたキーワード」を確認する
4. 同じテーマを翌日・翌週に再度書いて定着を確認する
無料演習モードで択一式の基礎を固め、記述式はそこで積んだ知識をアウトプットする場として活用してください。
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まとめ
記述式の得点は「テンプレートを使いこなし、キーワードを欠かさず入れる」技術で決まります。完璧な文章ではなく、採点官が求める要件・効果・法律用語を確実に記載することを最優先に、今日から手書き練習を始めましょう。