行政書士試験の記述式で得点するための解答テンプレートを分野別に解説します。民法の物権変動・不法行為・相続、行政法の取消訴訟・国家賠償で使える解答構文を具体例付きで紹介。40字程度の解答欄に要点を収める考え方も掲載します。
結論:行政書士試験の記述式は3問60点(1問20点)で、令和7年度の解答欄は40字程度でした。採点基準は公表されていないため、法律用語・条文の要件・法的効果を落とさず書くことが最優先です。要件列挙型・結論→根拠型・対比型の3つのテンプレートに当てはめて練習します。
記述式の基本:要件と結論を落とさない
行政書士試験の記述式は3問60点(1問20点)の配点です。採点基準は公表されていません。本記事では採点方式を断定せず、法律用語・条文の要件・法的効果を落とさず書くことを最優先に考えます。
以下の解答例は構文の説明用で、実際の解答欄(40字程度)より長いものを含みます。使うときは字数を削ってください。採点基準の公表範囲と対策は、行政書士の記述式は部分点がある?採点基準の公表範囲と自己採点の考え方で整理しています。
記述式の基本テンプレート
テンプレート型1:要件列挙型
「〜するためには、(要件1)・(要件2)・(要件3)が必要である。」
使う場面: 何かの請求・主張ができる条件を問われたとき
例:不法行為に基づく損害賠償請求
「AのBに対する不法行為に基づく損害賠償請求は、故意または過失・権利侵害・損害・因果関係の要件を満たすことで認められる。」
テンプレート型2:結論→根拠型
「〜は〜(権利・法的地位)を有する。なぜなら〜(条文・要件)を満たすからである。」
使う場面: 誰が何ができるか・どういう権利を持つかを問われたとき
例:物権変動の第三者対抗
「CはBに対して所有権を対抗できる。なぜならBが未登記であり、CはAから先に登記を備えた第三者に当たるからである。」
テンプレート型3:対比型(原則→例外)
「原則として〜であるが、〜の場合は〜となる。」
使う場面: 原則ルールに例外がある論点を問われたとき
例:表見代理
「代理権のない者がした行為は原則として効果を生じないが、表見代理の要件(たとえば民法110条では、権限外の行為について相手方が代理権があると信ずべき正当な理由があること)を満たせば、本人に効果が帰属する(民法109〜112条)。」
民法記述式:テーマ別テンプレート
【民法1】物権変動・登記の対抗(民法177条)
出題の型の例:
「AがBに土地を売り、さらにCにも売った(二重譲渡)。BとCの優劣はどうなるか」
解答キーワード:
- 対抗要件(登記)
- 先に登記を備えた方が優先
- 第三者(背信的悪意者を除く)
テンプレート解答例:
「BとCは対抗関係にあり、先に所有権移転登記を備えた方が不動産の所有権をAに対抗できる(民法177条)。ただしCが背信的悪意者に当たる場合はこの限りではない。」
物権変動の知識は、物権変動・対抗要件(177条)の問題で確認できます。
【民法2】不法行為の成立要件(民法709条)
出題の型の例:
「Aの過失によりBが負傷した。AのBへの損害賠償責任が生じる要件を述べよ」
解答キーワード(4要件を必ず全部書く):
1. 故意または過失
2. 権利または法律上保護される利益の侵害
3. 損害の発生
4. 行為と損害の間の因果関係
テンプレート解答例:
「Aに故意または過失があること、BのXXという権利侵害があること、損害が発生したこと、行為と損害の因果関係があることが不法行為(民法709条)の要件である。」
不法行為の要件は、一般不法行為の成立要件の問題で確認できます。
【民法3】契約不適合責任(民法562条〜564条・2020年改正)
出題の型の例:
「BがAから購入した物が契約の内容に適合しなかった。Bが取りうる手段を述べよ」
解答キーワード(4つの手段):
1. 追完請求(修補・代替物引渡・不足分引渡)
2. 代金減額請求
3. 損害賠償請求
4. 契約解除
テンプレート解答例:
「Bは追完請求(修補・代替物引渡等)・代金減額請求・損害賠償請求・解除を行使できる(民法562〜564条)。」
【民法4】相続・遺留分侵害額請求(民法1046条)
出題の型の例:
「被相続人Aの遺言が遺留分を侵害している場合、相続人Bはどうできるか」
解答キーワード:
- 遺留分侵害額請求(相続法改正で「遺留分減殺請求」から変更)
- 金銭の支払いを請求(金銭債権)
- 請求権は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年で時効消滅(民法1048条。相続開始から10年でも消滅)
テンプレート解答例:
「BはAの遺言により遺留分を侵害された場合、受遺者・受贈者に対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる(遺留分侵害額請求・民法1046条)。」
行政法記述式:テーマ別テンプレート
【行政法1】取消訴訟の訴訟要件
出題の型の例:
「Aが処分の取消訴訟を提起するために必要な要件を述べよ」
解答キーワード:
- 処分性(行政庁の処分または裁決であること)
- 原告適格(法律上の利益を有する者)
- 出訴期間(処分又は裁決があったことを知った日から6か月以内。正当な理由があるときを除く。行政事件訴訟法14条)
- 被告適格(処分をした行政庁の所属する国または公共団体)
テンプレート解答例:
「Aは処分性を満たす行政処分に対して法律上の利益を有し、処分を知った日から6ヶ月以内に処分庁の所属する行政主体を被告として取消訴訟を提起できる。」
取消訴訟の原告適格は、取消訴訟の原告適格(行訴法9条2項)の問題で確認できます。
【行政法2】国家賠償法1条の要件
出題の型の例:
「公務員Bの行為によりAが損害を受けた。国家賠償請求の要件は何か」
解答キーワード(6要件):
1. 国または公共団体の公権力の行使
2. 公務員が行為した
3. 職務行為(職務を行うについて)
4. 故意または過失
5. 違法
6. 損害の発生(因果関係)
テンプレート解答例:
「国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについて故意または過失によって違法に他人に損害を加えた場合、国または公共団体が賠償責任を負う(国家賠償法1条1項)。」
記述式本番での時間戦略
| 段階 | 所要時間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 問題の読み込み | 2〜3分 | 何を問われているか確認・設問の「主語・目的語」を把握 |
| キーワード列挙 | 2〜3分 | 思いつくキーワードを余白に書き出す |
| 解答文の作成 | 5〜8分 | テンプレートに当てはめてキーワードを文章化 |
| 字数確認 | 1〜2分 | 解答欄内に収まるか確認・削る・補う |
3問×合計30〜45分程度の時間確保を試験計画に組み込んでください。
よくある失点パターンと対策
失点パターン1:問いに答えていない
「誰が誰に何ができるか」という設問なのに「〜という制度がある」という一般論で答えてしまう。設問の主語・目的語を必ず解答に含めること。
失点パターン2:用語の混同
「取消し」と「無効」、「解除」と「解約」、「審査請求」と「取消訴訟」を混同すると減点。正確な法律用語を使うよう普段の学習から意識する。
失点パターン3:要件の一部漏れ
不法行為の4要件のうち1つを書き忘れる、契約不適合責任の4手段のうち2つしか書かない等。要件リストを練習段階でしっかり暗記すること。
練習の進め方
2. 記述式の過去の試験問題・問題集で実際に手で書く
3. 解答例と照合して「漏れた要件・用語」を確認する
4. 同じテーマを翌日・翌週に再度書いて定着を確認する
無料演習モードの論点別問題で基礎を固め、記述式はそこで積んだ知識をアウトプットする場として活用してください。科目別の学習は、行政書士の民法対策と行政書士の行政法対策にまとめています。
まとめ
記述式は「テンプレートを使いこなし、要件を欠かさず入れる」練習で力がつきます。完璧な文章ではなく、問いが求める要件・効果・法律用語を確実に記載することを最優先に、今日から手書き練習を始めましょう。
よくある質問
Q記述式の解答は何字で書けばよいですか?
令和7年度は40字程度で書く形式でした(出典:行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題)。問題文の指示する字数に収めることが前提です。短すぎて要件が抜けないよう、指示の字数を目安に過不足なく書きます。
Q記述式のキーワードとは何ですか?
本記事では、解答に入れるべき法律用語・要件・法的効果のことを指します。例えば不法行為なら「故意または過失」「権利侵害」「損害」「因果関係」の4要件が典型的です。採点基準は公表されていないため、部分点が入るかどうかは分かりません。
Q記述式で「完璧な文章」が書けなくても点数は取れますか?
採点基準は公表されておらず、断定はできません。ただ、時間内に全部を完璧に書こうとせず、問いに答えるうえで重要な要件・結論から先に書く戦略が有効と考えます。
Q記述式は試験本番でどのタイミングで解くべきですか?
択一式を一通り解き終えた後、余った時間で取り組む順序を推奨します。記述式は時間がかかるため、択一式でタイムロスが出ると記述式に十分な時間が取れなくなります。事前に「記述式に何分使うか」の時間配分を決めておくと安心です。
Q記述式の練習は何を使えばよいですか?
市販の記述式問題集・行政書士試験研究センターが公開している過去の試験問題(記述式部分)・予備校の模擬試験などがあります。大切なのは「手で書く」練習を繰り返すことで、頭で知っていても手が動かないケースを防げます。問題を解いたら必ず解答例と照合してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

