行政法153行政法(行政不服審査法)

行政書士 行政法 問153:行政法(行政不服審査法)

行政不服審査法上の行政不服審査会への諮問に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 審査庁は、審査請求に対する裁決をするときは、原則として行政不服審査会(国の審査庁の場合)または条例に基づく審査会(地方公共団体の審査庁の場合)に諮問しなければならない。
  • 審査庁が処分庁と同一の行政庁である場合は、行政不服審査会等への諮問は不要とされる。これは処分庁が自ら行う審理に第三者機関の関与を不要とする規定である。正答
  • 行政不服審査会への諮問が不要とされる場合として、審査請求人から行政不服審査会等への諮問を希望しない旨の申出がされている場合が挙げられる。
  • 審査庁が諮問を行った場合、行政不服審査会は審査庁に対して答申を行うが、審査庁は答申の内容に拘束されず、答申と異なる内容の裁決をすることが法律上許容されている。
  • 行政不服審査会は、審査庁から諮問を受けた場合に、諮問に関係する処分等に使用された書類等の提出を求めることができ、審査請求人等に対して意見を聴取することもできる。
正答:審査庁が処分庁と同一の行政庁である場合は、行政不服審査会等への諮問は不要とされる。これは処分庁が自ら行う審理に第三者機関の関与を不要とする規定である。

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イが誤りです。行政不服審査法43条1項が規定する諮問不要(例外)の場合は、「審査庁が処分庁と同一の行政庁である場合」ではなく、別の条件です。具体的には43条1項各号に列挙されており、審査請求人から諮問を希望しない旨の申出があった場合(43条1項4号)、審査請求が不適法で却下すべき場合(同項6号)、処分の全部を取り消す等の全部認容の場合(同項7号)等が諮問不要の例外として定められています。「審査庁が処分庁と同一の行政庁である」こと自体は諮問不要の例外として法定されていません(イ誤り)。ア(原則諮問義務・43条1項本文)は正しい記述です。ウ(審査請求人の申出による諮問不要・43条1項4号)は条文に対応した正しい記述です。エ(答申への拘束力なし)は行審法上の構造として正しいです(答申は勧告的効力のみ)。オ(行政不服審査会の資料提出要求・意見聴取)は74条・75条等に対応した正しい記述です。

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行政不服審査法43条の諮問義務と例外を整理します。

諮問義務の原則(43条1項本文): 審査庁は審査請求に対する裁決をするときは、法定の例外を除き、行政不服審査会(国の機関が審査庁の場合)または条例に基づく審査会(地方公共団体の機関が審査庁の場合・条例で設置が求められる)に諮問しなければならない(ア正しい)。

諮問が不要となる例外(43条1項各号)(主なもの):

  • 4号: 審査請求人から行政不服審査会等への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人が諮問しないことに反対する場合を除く)(ウの根拠・審査請求人の意思尊重)
  • 5号: 審査請求が、行政不服審査会等によって諮問を要しないと認められたものである場合
  • 6号: 審査請求が不適法であり、却下する場合
  • 7号: 処分の全部を取り消し、または事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ・撤廃する場合(審査請求人にとって全部認容となる場合)

イが誤りの根拠: 「審査庁が処分庁と同一の行政庁である」という事情は43条1項各号のいずれにも該当しないため、諮問不要の例外として法定されていません。実際、処分庁が自ら審査庁を務める場合(審査庁=処分庁)でも、原則として諮問義務があります(第三者機関による客観的チェックの趣旨から)。

答申の効力(エの根拠): 43条2項が「諮問をした審査庁は、行政不服審査会等が答申において示した判断と異なる内容の裁決をするときは、異なることとなった理由を裁決書に記載しなければならない」と規定しており、答申が法的拘束力を持たないことを前提としています(エ正しい)。ただし、実務上は答申を尊重した裁決がなされることが多いです。

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【行政不服審査会の設置趣旨と2016年改正】

2016年施行の行政不服審査法改正の柱の一つが「第三者機関による審理の強化」であり、その中核が行政不服審査会(国:総務省設置)と条例に基づく審査会(地方公共団体)の設置義務化です。旧行審法では審査請求の審査が処分庁の上級機関(行政内部)による審理のみで完結していたため、行政の自己統制という性格が強く、独立性が不十分でした。改正後は:①審理員制度(処分に関与しない行政庁内職員が審理主宰)、②行政不服審査会・条例審査会への諮問制度(独立した第三者機関のチェック)、の二層構造により、審査請求手続の公正性・透明性・中立性を高めています。

【諮問義務の例外の詳細分析】

43条1項各号の諮問不要事由のうち主なものを確認します。

6号(不適法却下): 審査請求が不適法であることが明らかで、却下裁決をすべき場合は諮問不要。実体審査(違法・不当の有無の判断)に入らずに手続的に却下する場合には、行政不服審査会の審理を経る実益がないため不要とされています。

4号(審査請求人の申出): 審査請求人から「第三者機関への諮問を経ることを希望しない」旨の申出がある場合(ウの根拠。ただし参加人が諮問しないことに反対する場合を除く)。審査請求人が迅速な処理を優先する等の理由で諮問手続を省略することを自ら求める場合に対応します。

7号(全部認容): 処分の全部を取り消し、または事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ・撤廃する場合。審査請求人にとって全部認容となり、第三者機関のチェックを経る実益が乏しいため諮問不要とされています。なお、5号(行政不服審査会等が諮問不要と認めた場合)等もあります。

イが誤りの詳細(審査庁=処分庁の場合): 行審法上、審査庁が処分庁と同一(自己審査)である場合でも、原則として行政不服審査会等への諮問義務があります。むしろ、処分庁が自ら審査請求を審査する場合は独立性への疑念が生じるため、第三者機関のチェック(行政不服審査会)が特に重要です。よって、「審査庁=処分庁の場合は諮問不要」というイの記述は、諮問制度の趣旨に反する誤りです。

【答申の法的効力と実務(エの詳細)】

行政不服審査会の答申は法的拘束力を持ちません(勧告的効力)。ただし、43条2項により「答申と異なる裁決をする場合は裁決書に理由を記載する義務」が課されており、実質的に「答申を尊重すること」が強く促されています。行政不服審査会の答申の内容(違法・不当の有無・適切な裁決の方向性)は、審査庁にとって重要な判断材料となります。また、答申が公表される場合もあり、透明性確保の観点から社会的プレッシャーとしても機能します。

【行政不服審査会の権限(オの詳細)】

行政不服審査会(74条・75条等)は以下の権限を持ちます:

  • 審査庁・処分庁・審査請求人等への書類・物件の提出要求(75条1項)
  • 関係人・参考人の意見聴取(75条2項)
  • 鑑定・検証(75条3項)
  • 審査庁等への質問・意見(75条4項)

行政不服審査会は独立した第三者機関として、審査庁からの諮問案件について独自の調査・審議を行い答申を出します。委員は学識経験者(弁護士・法学者等)から選任され、3人の委員合議体で審理します。行政不服審査会の答申は、公正・中立な第三者的判断として重要な役割を果たしています。

【根拠条文】

行政不服審査法 第43条(行政不服審査会等への諮問・諮問不要の例外)、第43条第2項(答申と異なる裁決の理由記載義務)、第74条(行政不服審査会の設置・組織)、第75条(審査・調査の権限)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第43条(行政不服審査会等への諮問)、第74条(行政不服審査会の組織等) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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