行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問153|行政不服審査法・行政不服審査会への諮問義務と例外

問題

行政書士 | 行政法

行政不服審査法上の行政不服審査会への諮問に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

イが誤りです。行政不服審査法43条1項が規定する諮問不要(例外)の場合は、「審査庁が処分庁と同一の行政庁である場合」ではなく、別の条件です。具体的には43条1項各号に列挙されており、審査請求人から諮問を希望しない旨の申出があった場合(43条1項4号)、審査請求が不適法で却下すべき場合(同項6号)、処分の全部を取り消す等の全部認容の場合(同項7号)等が諮問不要の例外として定められています。「審査庁が処分庁と同一の行政庁である」こと自体は諮問不要の例外として法定されていません(イ誤り)。ア(諮問義務・43条1項本文)は正しい記述です。ウ(審査請求人の申出による諮問不要・43条1項4号)は条文に対応した正しい記述です。エは、50条1項4号が答申書と異なる裁決をする場合の理由の記載を定めているので正しい記述です。オ(主張書面・資料の提出要求は74条、口頭意見陳述は75条1項)も正しい記述です。

行政不服審査法43条の諮問義務と例外を整理します。

諮問義務の原則(43条1項本文): 審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、同項各号の場合を除き、審査庁が主任の大臣・宮内庁長官等である場合は行政不服審査会に、地方公共団体の長である場合は81条1項又は2項の機関(執行機関の附属機関)に諮問しなければならない(ア正しい)。

諮問が不要となる例外(43条1項各号)(主なもの):

  • 4号: 審査請求人から行政不服審査会等への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人が諮問しないことに反対する場合を除く)(ウの根拠・審査請求人の意思尊重)
  • 5号: 審査請求が、行政不服審査会等によって諮問を要しないと認められたものである場合
  • 6号: 審査請求が不適法であり、却下する場合
  • 7号: 処分の全部を取り消し、または事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ・撤廃する場合(反対の意見書・口頭意見陳述での反対意見がある場合を除く)
  • 8号: 申請の全部を認容する措置をとる場合(同様に反対意見がある場合を除く)

イが誤りの根拠: 「審査庁が処分庁と同一の行政庁である」という事情は43条1項各号のいずれにも該当しないため、諮問不要の例外として法定されていません。処分庁が自ら審査庁となる場合でも、43条1項本文の審査庁(主任の大臣等・地方公共団体の長)であれば諮問義務があります。

答申の効力(エの根拠): 50条1項4号が、裁決書の理由には「主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む」と規定しており、審査庁が答申と異なる内容の裁決をすることがありうる前提に立っています(エ正しい)。

【行政不服審査会と地方の機関の設置・組織】

行政不服審査会は総務省に置かれます(67条1項)。委員9人で組織され(68条1項)、委員は、審査会の権限に属する事項に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は行政に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て総務大臣が任命します(69条1項)。審査会は、原則として委員のうちから審査会が指名する3人で構成する合議体で調査審議します(72条1項)。

地方公共団体には、執行機関の附属機関として、行審法上の事項を処理する機関を置きます(81条1項)。置くことが不適当又は困難なときは、条例で定めるところにより事件ごとに置くこともできます(81条2項)。43条1項は、審査庁が主任の大臣等であれば行政不服審査会に、地方公共団体の長であればこの81条の機関に諮問すると振り分けています(ア)。

【諮問義務の例外の詳細分析】

43条1項各号の諮問不要事由を確認します。

1号〜3号(審議会等の議を経た場合): 処分や裁決について、法律・政令(条例に基づく処分は条例)に審議会等の議を経る定めがあり、その議を経た場合など。

4号(審査請求人の申出): 審査請求人から行政不服審査会等への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(ウの根拠)。ただし、参加人から諮問しないことについて反対する旨の申出がされている場合は除かれます。

5号(審査会等の判断): 行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められた場合。

6号(不適法却下): 審査請求が不適法であり、却下する場合。

7号・8号(全部認容): 処分の全部の取消し・事実上の行為の全部の撤廃(7号)、申請の全部を認容する措置(8号)をとる場合。いずれも反対する旨の意見書が提出されている場合や口頭意見陳述で反対意見が述べられている場合は除かれます。

イが誤りの詳細(審査庁=処分庁の場合): 上の1号〜8号に「審査庁が処分庁と同一である場合」はありません。43条1項本文は審査庁の種類(主任の大臣等・地方公共団体の長)で諮問先を定めているだけで、その審査庁が処分庁を兼ねるかどうかを問いません。よって「審査庁=処分庁の場合は諮問不要」とするイは誤りです。

【答申と裁決の関係(エの詳細)】

行審法には、審査庁が答申の内容に従わなければならないとする規定はありません。そのうえで50条1項4号は、裁決書の理由に「主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む」と定めています。答申と異なる裁決は可能であり、その場合は理由を示す必要があるという構造です。また、審査会は答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとされています(79条)。

【行政不服審査会の権限(オの詳細)】

  • 審査関係人(審査請求人・参加人・諮問をした審査庁)に主張書面又は資料の提出を求めること、適当と認める者に事実の陳述又は鑑定を求めること、その他必要な調査(74条)
  • 審査関係人の申立てがあった場合に口頭で意見を述べる機会を与えること(その必要がないと認める場合を除く・75条1項)
  • 指名する委員に74条の調査をさせ、又は意見の陳述を聴かせること(77条)
  • 審査関係人は主張書面・資料を提出でき(76条)、提出された主張書面・資料の閲覧等を求めることができる(78条1項)

【根拠条文】

行政不服審査法 第43条(行政不服審査会等への諮問・諮問不要の例外)、第50条第1項第4号(答申と異なる裁決の理由記載義務)、第67条(設置)、第68条(組織)、第69条(委員)、第72条(合議体)、第74条(調査権限)、第75条(意見の陳述)、第79条(答申書の送付等)、第81条(地方公共団体に置かれる機関)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第43条(行政不服審査会等への諮問)、第50条第1項第4号(答申と異なる裁決の理由)、第74条(審査会の調査権限)、第75条(意見の陳述) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。