行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問29|聴聞手続・主宰者・調書・文書閲覧

問題

行政書士 | 行政法

行政手続法が定める聴聞手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

聴聞手続のポイントを整理します。

聴聞の主宰者(行手法19条): 主宰者は行政庁が指名する職員その他政令で定める者ですが、当事者・参加人やその親族・代理人等(19条2項の欠格事由に当たる者)であってはなりません。

アが誤りです。 「処分に最もよく精通した者」が選ばれるとする点と、「処分手続に直接関与していない職員を選ぶことは許されない」という部分は、いずれも19条に規定がありません。19条が定めるのは、主宰者の指名(1項)と欠格事由(2項)だけです。

ウ(正): 聴聞前の書面通知義務は行手法15条のとおり。イ(正): 質問権は行手法20条2項。エ(正): 文書閲覧権と拒否権は行手法18条のとおり。オ(正): 調書・報告書の作成と参酌義務は行手法24条・26条のとおり。

聴聞主宰者の欠格事由(行手法19条2項): 次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができません。

1. 当該聴聞の当事者又は参加人

2. 1の者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族

3. 1の者の代理人又は補佐人

4. 1〜3の者であった者

5. 1の者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人

6. 参加人以外の関係人

これは、処分の公正性・中立性を確保するための規定です。「処分に最もよく精通した者」(アの表現)は、むしろ処分に深く関与しているため主宰者に選びにくい場合があります。

文書閲覧(行手法18条)の詳細(エが正しい根拠):

  • 当事者・参加人は、聴聞の終結まで、行政庁に対し、当該処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができます。
  • 行政庁は、第三者の利益を害するおそれのある場合や「正当な理由」がある場合に閲覧を拒否できます。
  • 閲覧できるのは「処分の原因となる事実を証する資料」であり、全ての行政文書ではありません(情報公開法とは別の制度)。

調書・報告書の意義(オが正しい根拠):

聴聞調書(事実の記録)と報告書(当事者の主張に理由があるかの意見)は、行政庁の処分決定に際して「十分に参酌」されなければなりません(行手法26条)。「参酌」とは「十分に考慮すること」を意味し、調書・報告書を無視した処分は手続的に違法となります。ただし行政庁が調書・報告書の意見に拘束されるわけではありません。

【理論的背景】

聴聞手続は、行政処分において「聞く耳を持つ(hear)」という適正手続の核心的要請を具現化したものです。アメリカの行政手続の影響を受けて設計された制度であり、当事者が反論の機会を持つことで、一方的・恣意的な処分が抑制されます。

聴聞と弁明手続の設計差: 聴聞は準法廷的な口頭審理(期日の設定・主宰者・調書の作成等)を伴い、時間・コストがかかる手続です。一方弁明の機会の付与は書面審理が原則の簡略手続です。この手続の重さの差が、それぞれを適用する処分の重大性(許認可取消し・資格剥奪の重大性)の差に対応しています。

【実務・条文構造】

聴聞の流れ(主要条文との対応):

1. 聴聞の通知(行手法15条): 書面で、予定処分の内容・根拠法令・処分の原因たる事実・期日・場所等を通知。原則として期日の相当期間前に通知。

2. 参加人の許可(行手法17条): 利害関係人に対し、主宰者は参加を求め、又は参加を許可できる(17条1項)。参加人は当事者と同様の権利を持つ。

3. 文書閲覧(行手法18条): 終結まで閲覧可能・行政庁は正当な理由があれば拒否可。

4. 主宰者の指名(行手法19条): 行政庁の職員から指名。欠格事由(当事者・参加人やその親族・代理人等)あり。

5. 聴聞の期日(行手法20条): 当事者は意見陳述・証拠書類提出・処分庁職員への質問が可能。

6. 聴聞の再開・終結(行手法25条・23条): 行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に聴聞の再開を命ずることができる。当事者が正当な理由なく出頭しない場合は終結可能。

7. 調書・報告書(行手法24条): 主宰者は調書(審理の内容)と報告書(当事者の主張に理由があるかの意見)を作成して行政庁に提出。

8. 聴聞の結果の反映(行手法26条): 行政庁は処分を決定するにあたり調書・報告書を「十分に参酌」しなければならない。

報告書の拘束力の有無: 報告書は「意見」を記載するもの(行手法24条3項)であり、行政庁を拘束しません。行政庁は報告書と異なる判断をすることも可能ですが、その場合も参酌した上で判断している必要があります(「十分に参酌」)。

【試験での位置づけ】

聴聞手続は行政書士試験で繰り返し出題されます。特に①主宰者の欠格事由(当事者・参加人やその親族・代理人等は主宰できない)、②文書閲覧(可能・正当理由での拒否可能)、③調書と報告書の作成義務・参酌義務(拘束なし)、④当事者の質問権の4点が頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ウ(正): 行手法15条1項の通知事項の列挙は正確。「書面で」の要件と「聴聞の期日の相当期間前」という時間的要件も重要。
  • イ(正): 行手法20条2項は、当事者又は参加人は「主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる」と定めています。
  • ア(誤): 行手法19条は、主宰者を行政庁が指名する職員その他政令で定める者とし(1項)、当事者・参加人やその親族・代理人等を欠格とする(2項)だけです。「処分に最もよく精通した者」という選定基準も規定になく、「処分手続に直接関与していない職員を選ぶことは許されない」という記述が完全な誤りです。
  • エ(正): 行手法18条の閲覧請求権と行政庁の拒否権(第三者利益保護・正当理由)を正確に説明しています。
  • オ(正): 行手法24条(調書・報告書の作成)と26条(参酌義務)を正確に説明。「十分に参酌しなければならない」は拘束ではなく考慮義務。

【根拠条文】行政手続法 第15条(聴聞の通知)、第18条(文書等の閲覧)、第19条(主宰者・欠格事由)、第20条(聴聞の期日における審理の方式)、第24条(調書・報告書)、第26条(聴聞の結果の反映)

【補足】主宰者に当事者・参加人やその親族・代理人等は選べない(欠格事由)。調書・報告書は参酌義務あり、拘束なし。文書閲覧は聴聞終結まで可能。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第15条(聴聞の通知)、第17条(参加人)、第18条(文書閲覧)、第19条(主宰者)、第20条(聴聞の期日)、第24条(調書)、第26条(聴聞の結果の反映)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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