問題
行政手続法が定める不利益処分の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
聴聞の手続に関して重要なのは「聴聞終結後に新事実が出た場合」の扱いです。
アが誤りです。 行政手続法25条は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、行政庁が主宰者に対し聴聞の再開を命ずることができると規定しています。「再開を命ずることはできない」とするアは条文に反します。
イ(正): 行手法13条2項は「公益上、緊急に不利益処分をする必要がある」場合等に聴聞・弁明手続の適用除外を認めています。ウ(正): 手続的瑕疵のある不利益処分は取消しうべき行政行為となるのが原則。
行手法25条(聴聞の再開)と新事実への対応(アが誤りの根拠):
行手法25条は「行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第三項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる」と規定しています。聴聞の終結後であっても、行政庁は必要があると認めるときは主宰者に聴聞の再開を命ずることができるため、「再開を命ずることはできない」とする選択肢アは誤りです。
聴聞・弁明手続の適用除外(行手法13条2項)(イが正しい根拠):
行手法13条2項は、次の場合に聴聞・弁明の機会の付与が不要とされています:
1. 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき(1号)
2. 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分で、その事実が客観的な資料により直接証明されたもの(2号)
3. 技術的な基準の不充足が客観的な認定方法によって確認された場合の、当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分(3号)
4. 金銭の納付を命ずる処分等(4号)、課される義務の内容が著しく軽微なものとして政令で定める処分(5号)
行政指導違反と不利益処分の関係(オの論点):
行手法32条(行政指導の一般原則)・33条(申請に関連する行政指導)違反は、行政指導それ自体の違法の問題です。不利益処分の取消訴訟において行政指導違反が直ちに処分の取消事由になるかは、行政指導と処分が独立した行為として位置づけられる場合、必ずしも承継されるわけではありません。
【理論的背景】
聴聞手続における「再開」の仕組みは、適正手続の保障と行政の実効性の調整点として位置づけられます。一方では、聴聞終結後に新事実が出た場合に全く当事者に意見を述べる機会を与えずに処分することは適正手続に反します。他方、既に聴聞を行った後で全く新たな手続を要求することは行政の効率性を著しく損なう場合があります。行手法25条の「再開」はこのバランスをとる規定です。
憲法31条と行政手続(エの論点): 最高裁(成田新法事件・最大判平成4年7月1日)は、憲法31条の適正手続の保障が行政処分に及ぶかについて、「行政処分の相手方に事前の告知・弁解・防御の機会を与えることが憲法上要求されているかは、処分の内容・性質・機会の付与による弊害防止の必要性等を考慮した合理的な立法裁量に委ねられている」という立場をとっています。行政手続法の事前手続制度はこの憲法解釈を背景に立法されています。
【実務・条文構造】
聴聞終結後の行政庁の制約(解釈論):
「行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情に照らし、聴聞の段階で予定していた不利益処分とは異なる種類の不利益処分(名宛人に一層重大な権利侵害をもたらすもの)を行おうとする場合、聴聞を行い直す必要がある場合がある」という解釈論があります。行手法25条の再開はその一手段です。
緊急の場合の手続省略(行手法13条2項)の実務的重要性: 食品衛生上の緊急措置(腐敗食品の回収命令等)、感染症拡大防止のための緊急処分等、公益上の緊急性が高い場合には、事前手続を省略して処分することが認められます。ただしこれは例外であり、要件(公益上の緊急性)を充足しない省略は手続的違法を構成します。
行政指導と不利益処分の法的関係: 行政指導に従わなかったことを「唯一の理由」として不利益処分をすることは行手法33条(申請に関連する行政指導)・32条(行政指導の一般原則)に反します。ただし行政指導違反が即座に別の行政処分(不利益処分)の取消事由になるかは事案次第です。行政指導の違法性と処分の違法性は別々に評価されることが多く、行政指導違反が処分の違法を直接もたらすためには、両者の間に法的な連結が必要です。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では「聴聞の再開(25条)と新たな聴聞実施の区別」「緊急の場合の手続省略(13条2項)」「憲法31条の適正手続と行政手続の関係」が出題されます。本問アのように「再開を命ずることはできない」とする誤りは、再開制度(25条)を知っているかどうかを試す問題です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 行手法25条は、行政庁は聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができると定めています。「再開を命ずることはできない」は誤り。
- イ(正): 行手法13条2項各号。「公益上緊急」「資格欠如の明白な場合」等が適用除外事由。
- ウ(正): 手続的瑕疵のある処分は原則取消しうべき行政行為(手続的違法の独自性)。処分の実体的適法性とは別に手続違法が取消事由となります。
- エ(正): 成田新法事件(最大判平成4年7月1日)の趣旨。憲法31条が行政手続に及びうるという解釈が行政手続法の制定背景にあります。
- オ(正): 行政指導の違法(行手法32条・33条違反)と不利益処分の違法は別々に評価されます。行政指導違反が直ちに処分の取消事由になるわけではありません。
【根拠条文】行政手続法 第13条第2項(聴聞・弁明手続の適用除外:緊急の場合等)、第25条(聴聞の再開)、第32条(行政指導の一般原則)、第33条(申請に関連する行政指導の規律)
【参照判例】成田新法事件(最大判 平成4年7月1日)- 憲法31条と行政手続の適用関係
【補足】聴聞終結後も、行政庁は必要があれば主宰者に聴聞の再開を命ずることができる(25条)。緊急の場合は手続省略可。憲法31条の適正手続は行政手続にも及びうる。
- 行政手続法第25条・第13条e-Govで原文を読む
- 日本国憲法第31条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第25条(聴聞の再開)、第13条(適用除外・緊急の場合)、第32条・第33条(行政指導の一般原則)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

