問題
マンション建設業者Aは、建設予定地のB市の担当部署から、近隣住民との話し合いをまとめるよう行政指導を受けた。Aは話し合いに応じる意思がない旨をはっきり伝えたが、B市の担当者はその後も同じ行政指導を続けている。B市には行政指導の手続について定めた条例がない。この事案に関する次の記述のうち、行政手続法の規定に照らし、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
行政手続法3条3項は、地方公共団体の機関がする行政指導について、第2章から第6章までの規定を適用しないとしています。行政指導のルール(32条〜36条の2)は第4章にあるので、B市の行政指導には適用されません。
イが正しい。 処分と違い、行政指導については「根拠が条例・規則にあるものに限る」という限定がついていません。
ア・オ(誤): 33条・35条は第4章の規定なので、B市の行政指導には適用されません。ウ(誤): 「条例・規則に根拠があるものに限る」は処分と届出についての限定です。エ(誤): 46条は努力義務にとどまります。
3条3項の読み方
3条3項は「地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(…条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為」について、次章から第六章までの規定を適用しないとしています。
- 処分・届出: 根拠が条例・規則にあるものだけが除外。法律に根拠のある処分には行手法が適用される。
- 行政指導: 括弧書きの限定がなく、根拠を問わずすべて除外(イ正・ウ誤)。
- 命令等の制定: すべて除外。
誤りの肢
- ア: 33条(申請に関連する行政指導)は第4章の規定で、B市の行政指導には適用されません。
- エ: 46条は、地方公共団体は適用除外とされた手続について、法の趣旨にのっとり必要な措置を講ずるよう「努めなければならない」とする努力義務です。条例がないことで行政指導が行手法違反になるわけではありません。
- オ: 35条(行政指導の方式)も第4章の規定で、適用されません。
【理論的背景】
行政手続法は国の行政手続の一般法として作られました。地方公共団体の行政手続については、地方自治を尊重し、各団体が自ら定めることを基本としています。そのため3条3項は、地方公共団体の機関がする行為のうち一定のものについて、第2章から第6章(申請に対する処分、不利益処分、行政指導、処分等の求め、届出、意見公募手続等)の規定を適用しないこととしました。そのうえで46条が、適用除外とされた手続について、地方公共団体は法の趣旨にのっとり、行政運営の公正の確保と透明性の向上のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない、と定めています。多くの地方公共団体は、この46条を受けて行政手続条例を制定しています。
【実務・条文構造】
3条3項の適用除外は、行為の種類ごとに範囲が違います。
1. 処分: 根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限って除外。法律に根拠のある処分を地方公共団体の機関がするときは、行手法の第2章・第3章が適用される。
2. 行政指導: 括弧書きの限定がない。地方公共団体の機関がする行政指導は、根拠が法律でも条例でも、また根拠規定がなくても、すべて除外される。
3. 届出: 通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限って除外。
4. 命令等を定める行為: すべて除外(第6章の意見公募手続も適用されない)。
肢ウは、処分・届出についての「条例又は規則に置かれているものに限る」という限定を、行政指導にも当てはめた誤りです。条文上、この括弧書きは「処分」と「届出」に付いているだけで、「行政指導」には付いていません。
本問では、B市の担当者がAの拒否の意思表明の後も行政指導を続けています。国の行政機関の行政指導であれば、申請の取下げや内容の変更を求める行政指導について33条が問題となり得ます。しかしB市の機関の行政指導には第4章が適用されないため、33条違反とするアは誤りです。同じ理由で、行政指導の趣旨・内容・責任者の明示を求める35条1項も適用されず、オも誤りです。
肢エは46条の性質を取り違えています。46条の文言は「講ずるよう努めなければならない」で、努力義務です。B市が行政手続条例を定めていないことは、46条の努力義務に沿っていないとは言えても、それによってB市の個々の行政指導が行政手続法違反になるという関係にはありません。
なお、本問は行政手続法の適用の有無だけを問うています。B市の行政指導が別の法理や他の法令に照らして違法となるかどうかは、行手法の適用の問題とは別の問題です。
【試験での位置づけ】
適用除外(3条)は、行政手続法の中でも出題の多い分野です。特に3条3項の「処分は条例・規則に根拠があるものだけ除外」「行政指導は全部除外」の違いは、本問のような事例の中で、33条・34条・35条の違反を問う肢と組み合わせて問われます。事例に「市」「県」の機関が出てきたら、まず3条3項を確認する習慣をつけてください。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 33条は第4章の規定。地方公共団体の機関の行政指導には3条3項により適用されない。
- イ(正): 3条3項は行政指導に根拠の限定を付けずに第2章から第6章を適用除外としている。
- ウ(誤): 「条例又は規則に置かれているものに限る」は処分と届出についての限定。
- エ(誤): 46条は努力義務。条例がないことで行政指導が行手法違反になるわけではない。
- オ(誤): 35条も第4章の規定で、適用されない。
【根拠条文】行政手続法 第3条第3項、第46条、第33条、第35条
【補足】地方公共団体の手続は、各団体の行政手続条例を確認する。行手法の第4章が直接適用されるのは国の行政機関の行政指導である。
- 行政手続法第33条・第35条・第3条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第3条第3項、第46条、第33条、第35条(e-Gov 法令検索 現行 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088 )。本問は自作問題。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

