問題
行政手続法が定める聴聞手続の当事者・参加人・代理人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
聴聞手続の登場人物を整理します。
- 当事者: 不利益処分の名宛人(行手法15条)。自動的に当事者として参加。
- 参加人: 利害関係を持つ第三者。主宰者の許可を得て参加できる(行手法17条)。
- 代理人: 当事者が選任できる(行手法16条)。代理人は当事者と同様の権利を持つ。
ウが正しい。 当事者は代理人を選任でき(行手法16条)、代理人は意見陳述等の権限を持ちます。
ア(誤): 当事者は名宛人となるべき者ですが、利害関係を持つ第三者も、主宰者の求め又は許可により「参加人」として聴聞手続に参加できます(行手法17条1項)。「一切関与することができない」は誤りです。
イ(誤): 参加人は主宰者の「許可」(又は主宰者からの参加の求め)が必要です(行手法17条1項)。自由に参加できるわけではありません。
エ(誤): 当事者は聴聞の期日に出頭できない場合でも、あらかじめ陳述書・証拠書類等を提出することができます(行手法21条1項)。
オ(誤): 行政手続法には、当事者の申し立てを「必ず採用」して調書を訂正する義務を定めた規定はありません(24条4項は調書・報告書の閲覧請求を定めるのみ)。
聴聞の当事者・参加人・代理人の権利一覧:
| 権利・行為 | 当事者 | 参加人 | 代理人 |
|---|---|---|---|
| 意見陳述(口頭) | 可 | 可(主宰者の許可内) | 可(当事者と同様) |
| 証拠書類等の提出 | 可 | 可 | 可 |
| 処分庁職員への質問 | 可(主宰者の許可) | 可 | 可 |
| 文書閲覧の請求 | 可(18条) | 可(18条) | — |
| 陳述書の提出 | 可(21条1項) | 可 | — |
参加人の要件(イが誤りの根拠):
行手法17条1項「主宰者は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(略)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる」。参加人になるには主宰者の求め又は許可が必要であり、自由参加ではありません。
陳述書の提出(エが誤りの根拠):
行手法21条1項「当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる」。欠席の場合でも陳述書の提出は認められています。
調書の訂正(オが誤りの根拠):
行手法24条4項は「当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる」と定めるのみで、当事者の申し出により主宰者に調書の訂正を義務づける規定はありません。「必ず採用して訂正しなければならない」とするオは誤りです。
【理論的背景】
聴聞手続における当事者・参加人・代理人の権利保護体系は、「当事者の武器の平等(行政庁と名宛人の間での情報・反論の機会の均衡)」という適正手続の理念を実現するためのものです。特に代理人の選任を認めることで、法律知識に乏しい相手方も弁護士等を通じて実質的に防御を行えます。
参加人制度の意義: 不利益処分は名宛人だけでなく第三者(競業者・隣人・住民等)にも影響を与える場合があります。例えば競業者の業務停止処分がなされると、競業者(名宛人)と同一地域の別業者(第三者)に市場競争上の影響が生じます。参加人制度はこのような第三者の意見・情報を聴聞手続に取り込むことで、より精確な判断材料を行政庁に提供します。
【実務・条文構造】
代理人の資格(行手法16条): 代理人には特別の資格要件が定められておらず、弁護士以外の者(親族・信頼できる知人等)を代理人とすることも可能です。代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができます(16条2項)。代理人の資格は書面で証明しなければなりません(16条3項)。
調書・報告書の関係(行手法24条):
- 調書: 聴聞の期日における審理の内容(事実の記録)を記載。主宰者が作成。
- 報告書: 当事者の主張に「理由があるかどうかについての意見」を記載(主宰者が判断を示す)。主宰者が作成。
- 行政庁は不利益処分の決定にあたり、調書と報告書を「十分に参酌」しなければならない(行手法26条)。
調書・報告書の閲覧(行手法24条4項): 当事者・参加人は調書及び報告書の閲覧を求めることができます。行政手続法には、当事者の申し出により主宰者に調書の訂正を義務づける規定はなく、申し出を必ず採用するわけではありません。
【試験での位置づけ】
行政書士試験では「参加人は主宰者の許可が必要(自由参加ではない)」「代理人の選任可能(当事者と同様の権限)」「欠席時の陳述書提出(21条1項)」「調書・報告書の閲覧請求(24条4項)」が頻出です。参加人と当事者の違い(参加人は第三者・許可が必要)を混同した選択肢は典型的な引っかけです。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 利害関係を持つ第三者は、主宰者の求め又は許可により「参加人」として聴聞手続に参加できます(行手法17条1項)。「当事者として」参加はできませんが「参加人として」参加は可能であり、「一切関与することができない」は誤りです。
- イ(誤): 行手法17条1項で主宰者の「許可」(又は主宰者からの参加の求め)が必要と明記。自由参加ではありません。
- ウ(正): 行手法16条(代理人の選任)・20条(代理人が期日に出頭して意見陳述等ができる)のとおり。
- エ(誤): 行手法21条1項(陳述書・証拠書類等の提出)は当事者の期日出頭に代えることができると明記。
- オ(誤): 行手法24条4項は調書・報告書の閲覧請求を定めるのみで、申し出による調書の訂正を義務づける規定はありません。「必ず採用」は誤りです。
【根拠条文】行政手続法 第16条(代理人)、第17条(参加人・主宰者の許可)、第21条(陳述書等の提出)、第24条第4項(調書・報告書の閲覧)
【補足】参加人=主宰者の許可が必要(第三者)。代理人=当事者と同様の権限。欠席でも陳述書提出可。調書の訂正を義務づける規定はない(24条4項は閲覧のみ)。
- 行政手続法第16条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政手続法 第16条(代理人)、第17条(参加人)、第21条(陳述書等)、第24条(調書)。 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

