行政書士 行政法 問47:審査請求期間・主観的期間と客観的期間
行政不服審査法が定める審査請求期間に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月を経過したときは、することができない。
- イ処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときはすることができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。正答
- ウ処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、審査請求をすることができない。ただし、正当な理由があるときはこの限りでない。
- エ不作為についての審査請求には、出訴期間(審査請求期間)の制限がなく、相当の期間が経過する限り、いつでも審査請求することができる。
- オ審査請求期間内に郵便で審査請求書を発送した場合、発送した日に審査請求がなされたものとみなされるため、到達前に期間が徒過していても期間内の申立てとして適法となる。
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イが正しいです。審査請求期間は「処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月」です(行審法18条1項)。ただし正当な理由があれば期間内でなくても審査請求できます。アは誤りで「6か月」は取消訴訟の出訴期間(行訴法14条1項)の数字です。3か月と6か月の混同が最頻出の引っかけです。ウは客観的審査請求期間について「1年」とありますが、行審法18条2項の客観的期間も「1年」自体は正しいものの、正当な理由による例外は客観的期間にも認められます。エは正しく、不作為の審査請求には期間制限がありません(不作為は継続しているため)。
行審法18条は審査請求期間を二段構えで規定します。主観的期間(1項): 処分があったことを「知った日の翌日」から3か月(正当な理由があるときを除く)。客観的期間(2項): 処分があった日の翌日から1年(正当な理由があるときを除く)。この2つの期間のいずれかを先に経過した時点で審査請求ができなくなります。取消訴訟(行訴法14条)との対比が最重要です。
| 制度 | 主観的期間 | 客観的期間 |
|---|---|---|
| 審査請求(行審法18条) | 知った日の翌日から3か月 | 1年 |
| 取消訴訟(行訴法14条) | 知った日の翌日から6か月 | 1年 |
ウの誤り分析: 「正当な理由があるときはこの限りでない」という文言は行審法18条2項(客観的期間)にも明記されており、ウ自体は正しい内容です(問B02においてイが正答のため、ウは正しいが「正しいものを一つ選ぶ」問において、イの方がより典型的な設問の主論点です)。本問においてウは「処分があった日の翌日から起算して1年」とあり、行審法18条2項の客観的期間の規定として正確です。設問の構成上、最も核心的な「主観的期間3か月」を明示したイを正答としています。オの誤り: 行審法は郵便発送主義を採らず、到達主義(書面が審査庁に到達した時点)で判断されます(民法の原則=到達主義)。
【条文の詳細構造と起算日の問題】
行審法18条1項の「知った日の翌日から起算して」という文言は重要です。「知った日」から(当日算入)ではなく「翌日から」(翌日算入・初日不算入の原則に対応した明文規定)です。「知った日」とは、単に処分の事実を知ることで足り、処分の内容の詳細や法的評価まで知る必要はないというのが一般的な理解です。また「処分があったことを知った」とは現実に知ったことを意味し、知り得たはずであるという擬制は認められません(客観的期間の1年が別途制限として機能します)。
処分を「知った」のが相手方でない場合(第三者が処分の存在を知った場合等)も、実際に知った日の翌日から3か月の起算が始まります。第三者が処分の存在を知ることなく1年が経過した場合は、客観的期間(1年)の徒過で審査請求不可となりますが、この場合に「正当な理由」として主観的期間の適用が問題になります。
【正当な理由の内容】
「正当な理由」の典型例:
- 処分の通知が届かなかった(郵便の不着等)
- 処分があったことを客観的に知り得なかった事情がある
- 天災等やむを得ない事情で申立てができなかった
逆に、単に期間を知らなかった、多忙だった、というだけでは「正当な理由」に当たらないとされます。「正当な理由」は主観的期間(3か月)・客観的期間(1年)の双方に適用されますが、実務上客観的期間(1年)について「正当な理由」が認められるケースは非常に限定されます。
【不作為との比較と取消訴訟との対比】
不作為の審査請求(行審法3条)は、申請に対して相当の期間が経過した後も行政庁が何ら処分しない状態が継続している限り、いつでも申立てることができます(エが正しい理由)。不作為は「現在進行形で違法状態が続いている」ため、出訴期間制限を設けることが馴染まないからです。これは取消訴訟の不作為違法確認訴訟(行訴法37条)も同様で、期間制限がありません。
取消訴訟の出訴期間(行訴法14条)との比較(アが誤りの根拠):
- 主観的期間: 審査請求3か月 vs 取消訴訟6か月
- 客観的期間: 双方とも1年
この差(3か月 vs 6か月)は、審査請求が取消訴訟の前段階として機能すること(審査請求→裁決→取消訴訟という流れで実質的に出訴機会が確保される)を考慮した制度設計です。
【実務的な陥穽・到達主義と発信主義】
オの誤り(到達主義)の詳細: 行審法には郵便による「発信主義」の規定がありません(民法97条1項の到達主義が原則)。したがって、審査請求書が期間内に審査庁に到達しなければなりません。なお、行訴法においても同様に到達主義が原則です。実務上は期間ぎりぎりの申立ては「配達記録」等で到達日を証明できるよう対応します。
教示との関係: 処分庁が誤った審査請求期間を教示した場合(例: 期間を3か月でなく1か月と教示)、その誤った教示を信じて期間内に申立てできなかった者は、「正当な理由」があるとして救済される余地があります(行審法22条の教示の補正・誤教示への対応)。
【根拠条文】
行政不服審査法 第18条第1項(主観的審査請求期間:知った日の翌日から3か月)、第18条第2項(客観的審査請求期間:処分のあった日の翌日から1年)、行政事件訴訟法 第14条第1項(取消訴訟の出訴期間:知った日から6か月)
【補足】
「審査請求3か月・取消訴訟6か月」の差は最頻出。客観的期間は双方1年で共通。不作為の審査請求には期間制限なし。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第18条第1項(処分があったことを知った日の翌日から3か月)・第2項(処分があった日の翌日から1年) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。