行政書士 行政法 問66:行政不服審査法・審査請求の対象と適用除外
行政不服審査法の適用対象・適用除外に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア行政不服審査法上の「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいい、行政手続法上の「処分」と同様の概念である。
- イ国の機関または地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるものは、行政不服審査法の適用対象から除外されている。
- ウ刑事事件に関する法令に基づいて検察官・検察事務官または司法警察職員がする処分は、行政不服審査法の適用対象から除外されている。
- エ行政不服審査法7条1項の適用除外に該当する処分については、当該個別法に特別の不服申立て手続が定められている場合のみ不服申立てができる。正答
- オ外国人の出入国または帰化に関する処分については、行政不服審査法の適用除外が認められており、これらの処分について審査請求をすることができない旨が法律で定められている。
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エが誤りです。行審法7条1項の適用除外に該当する処分については、審査請求(行審法)によることはできませんが、個別法に特別の不服申立て手続が定められていれば当然それにより、定められていない場合でも各処分について争う手段(取消訴訟等の行訴法上の手段・憲法上の裁判を受ける権利に基づく民事訴訟等)が全くないわけではありません。エの「当該個別法に特別の不服申立て手続が定められている場合のみ」という限定は誤りです。アは正しく、行審法の「処分」は行手法と同様の公権力の行使概念を指します。イ・ウ・オは7条1項の具体的な適用除外として概ね正しい記述です。
行審法7条1項の主な適用除外:
- 国会の両院もしくは各院または議会の議決による処分
- 裁判所もしくは裁判官の裁判(裁判に関する行為を含む)
- 国の機関・地方公共団体等がその固有の資格において相手方となる処分(イの根拠)
- 刑事事件に関する法令に基づく検察官・司法警察職員等の処分(ウの根拠)
- 国税または地方税の犯則事件に関する法令に基づいてされる処分(7条1項7号)
- 外国人の出入国または帰化に関する処分(7条1項10号・オの根拠)
エの誤りの詳細: 行審法の適用除外に該当する処分は、行審法による審査請求の対象外ですが、これは「その処分について不服申立てが一切できない」を意味しません。個別法(国税通則法・入管法等)に別の不服申立て手続がある場合はそれによるほか、直接取消訴訟を提起する道も原則として開かれています。「個別法の特別手続がある場合のみ不服申立て可」という限定は誤りです。
【適用除外の類型と根拠】
行審法7条1項の適用除外は、各除外類型に固有の理由があります。
国会・裁判所の行為の除外:三権分立の観点から、立法権(国会)・司法権(裁判所)の行為に対して行政内部の不服申立て手続を適用することは制度趣旨に合わないためです。国会議員の資格争訟・裁判官の弾劾は別途の制度(憲法上の機関)があります。
国・地方公共団体等が固有の資格で相手方となる処分の除外(イ):例えば、地方公共団体が国から補助金交付決定を受ける場面では、地方公共団体が「私人」と同様に審査請求をすることは、行政内部の問題として行審法ではなく地方自治法上の国地方係争処理委員会(自治法250条の7)等の仕組みで処理するのが適切です。
刑事手続関連の除外(ウ):刑事手続は刑事訴訟法で独自に規律されており、検察官・警察官の処分(逮捕状請求・捜索差押え等)を行政不服申立て手続で争うことは制度の整合性を欠きます。刑事手続に不満がある場合は準抗告(刑訴429条)・特別抗告等の刑事手続上の不服申立て手段があります。
【国税不服申立て手続】
国税・地方税の「犯則事件」に関する処分は行審法の適用除外ですが(7条1項7号)、国税に関する処分一般については、国税通則法が独自の不服申立て制度を設けています。現行の国税通則法では「再調査の請求(処分庁への簡易な不服申立て・任意)→国税不服審判所長に対する審査請求→取消訴訟」という流れが基本です(2014年改正前の「異議申立て」は「再調査の請求」に名称変更されています)。これは行審法の特則として個別法が独自の行政不服申立て制度を設ける典型例です。
【外国人出入国処分の扱い(オの詳細)】
外国人の出入国または帰化に関する処分は、行審法7条1項10号により行審法の審査請求の適用除外とされています。出入国管理及び難民認定法(入管法)は、退去強制手続における異議の申出や在留資格に関する処分について独自の不服申立て・審査の手続を定めており、これらが行審法に代わって機能します。外国人は入管法上の手続を経た後、行訴法上の取消訴訟を提起できます(出入国・帰化が行審法の適用除外であることは、これらの処分について不服申立てが一切できないことを意味しない)。
【行審法適用除外と司法救済(エの根拠)】
行審法の適用除外は「行審法による審査請求」を排除するものですが、憲法32条(裁判を受ける権利)の観点から、行訴法上の取消訴訟(裁判所への訴え)は原則として排除されません。個別法が審査請求前置主義(行政不服申立てを経ずに取消訴訟を提起できない)を定めている場合を除き、処分の相手方は直接取消訴訟を提起できます。したがって「個別法の特別手続がある場合のみ」という限定(エの内容)は正確でなく、行審法の適用除外があっても取消訴訟は利用できるケースが多いです。
【根拠条文】
行政不服審査法 第7条第1項(適用除外の各号・具体的内容は条文本文を参照)
【補足】
適用除外≠「全ての不服申立て不可」。行審法が使えないだけで、個別法の特別手続または直接の取消訴訟は利用可能。刑事手続・国会・裁判所の行為・国税(独自手続)が主な適用除外。外国人出入国も適用除外(入管法独自手続あり)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政不服審査法 第7条(適用除外) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。