行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問65差止め訴訟・仮の差止め

問題

行政書士 | 行政法

行政事件訴訟法が定める差止め訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

オが正しいです。37条の5第2項は、差止めの訴えの提起があった場合に「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるとき」は申立てにより決定で仮の差止めができると定め、同条3項は「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」はできないとしています。アは、差止めの訴えが処分が「されようとしている場合」の訴訟(3条7項)なので誤り。イは「重大な損害を生ずるおそれ」が必要(37条の4第1項)なので誤り。ウは同項ただし書に反し誤り。エは、原告適格が「法律上の利益を有する者」(同条3項)で相手方に限られないため誤りです。

差止めの訴え(3条7項・37条の4)の要件

1. 対象の場面(3条7項): 「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合」。処分がされた後は取消訴訟などで争う場面です(ア)。

2. 重大な損害(37条の4第1項・2項): 「重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り」提起できます(イ)。判断では損害の回復の困難の程度を考慮し、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案します。

3. 他に適当な方法がないこと(1項ただし書): 「その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない」(ウ)。

4. 原告適格(3項・4項): 「処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者」。判断には9条2項が準用され、相手方以外の者についても法令の趣旨・目的等を考慮して判断します(エ)。

判決(5項): 処分をすべきでないことが根拠法令の規定から明らかであると認められ、又は処分をすることが裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、処分をしてはならない旨を命ずる判決をします。

仮の差止め(37条の5第2項・3項): 本案について理由があるとみえること、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと(オ)。

【差止めの訴えの位置づけ(3条7項)】

3条7項は差止めの訴えを「行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟」と定義しています。処分前の段階で処分そのものを止める事前の救済手段であり、処分がされた後にその効力を争うのは取消訴訟(3条2項)や無効等確認の訴え(3条4項)の役割です。アは定義の「されようとしている場合」と合いません。

【訴訟要件(37条の4第1項〜第4項)】

  • 1項本文: 「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる」。単なる損害では足りず、イは誤りです。
  • 1項ただし書: 「その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない」。重大な損害のおそれがあっても、他に適当な方法があれば提起できないので、ウは誤りです。
  • 2項: 重大な損害か否かの判断では「損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案する」。執行停止の「重大な損害」の判断(25条3項)と同じ書き方です。
  • 3項: 「行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる」。
  • 4項: 法律上の利益の有無の判断に9条2項を準用します。9条2項は「処分又は裁決の相手方以外の者について」法律上の利益の有無を判断する際の考慮事項を定めた規定であり、相手方以外の者が原告となる場面を前提としています。エは誤りです。

【本案の判断と準用規定(37条の4第5項・38条1項)】

訴訟要件を満たしたうえで、「行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるとき」は、裁判所は「行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決」をします。37条の4は5項までの規定です。

差止めの訴えは取消訴訟以外の抗告訴訟なので、38条1項により11条〜13条、16条〜19条、21条〜23条、24条、33条、35条が準用されます。関係行政庁を拘束する旨の33条は準用されますが、取消判決の第三者に対する効力を定める32条は38条1項の準用対象に含まれていません。

【仮の差止め(37条の5)】

  • 2項: 差止めの訴えの提起があった場合において、「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるとき」は、申立てにより、決定をもって仮の差止めをすることができる。
  • 3項: 「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」はすることができない。
  • 4項: 25条5項〜8項、26条〜28条(27条の内閣総理大臣の異議を含む)、33条1項を準用する。

執行停止(25条2項)が「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」と定めているのに対し、仮の差止めは「償うことのできない損害」と書かれている点を区別しておきましょう。本問オは2項・3項の要件をそのまま挙げており、正しい記述です。

【根拠条文】

行政事件訴訟法 第3条第7項、第9条第2項、第25条第2項・第3項、第37条の4第1項〜第5項、第37条の5第2項〜第4項、第38条第1項

【補足】

差止めの訴え=処分が「されようとしている場合」+重大な損害+他に適当な方法がない+法律上の利益(37条の4)。仮の差止め=償うことのできない損害・緊急の必要・本案について理由があるとみえる・公共の福祉に重大な影響なし(37条の5)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 行政事件訴訟法 第3条第7項(差止めの訴えの定義)、第37条の4第1項〜第5項(差止めの訴えの要件・原告適格・判決)、第37条の5第2項・第3項(仮の差止め)、第9条第2項(原告適格の判断) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。