商法・会社法14設立登記・会社の成立・成立後の出資の不履行の効果

行政書士 商法・会社法 問14:設立登記・会社の成立・成立後の出資の不履行の効果

株式会社の成立(設立登記)および出資の履行に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 株式会社は、その本店の所在地で設立登記をすることによって成立するが、成立前に第三者との取引を行った場合、成立後の会社が当然にその取引を引き受けることはできない。
  • 発起設立において発起人が払込みを完了しなかった場合、設立時取締役はその発起人に対して払込みを催告し、期間内に払込みがなければ当該発起人は株主となる権利を失う。正答
  • 設立時に発行する株式については、発起人は、会社成立前においても、その引受けを撤回し出資義務を免れることができる。
  • 株式会社は、登記事項証明書の交付を受けた日から法人格を取得し、その日以前の行為については会社としての権利能力を有しない。
  • 設立時に出資された財産の価額が定款に記載された最低額を下回る場合でも、発起人全員の同意があれば設立登記を申請することができる。
正答:発起設立において発起人が払込みを完了しなかった場合、設立時取締役はその発起人に対して払込みを催告し、期間内に払込みがなければ当該発起人は株主となる権利を失う。

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株式会社の成立は設立登記によります(会社法49条)。登記事項証明書の交付日ではなく本店所在地での登記申請・登記完了の日が成立時点です(エ誤り)。出資の履行について、発起設立では発起人が設立時発行株式の全部を引受け・払込みを完了する義務を負います。払込み完了前の撤回は認められません(ウ誤り)。払込みを完了しなかった発起人については、設立時取締役が催告し(会社法36条等)、期間内に払込みがなければ株式引受人としての地位を失います(イ正しい:失権手続)。設立後の会社と設立前の発起人行為の関係は設立中の会社(同一性説)で処理され、当然帰属が認められる範囲があります(ア誤り:「当然にできない」は過剰)。

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設立登記と出資の履行について整理します。設立登記による成立(会社法49条):株式会社は「本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」(49条)。成立の時点は登記事項証明書の交付日ではなく登記完了日(登記官が登記を完了した日・申請受理日と関係する)です(エ誤り)。また、設立前の行為のうち設立中の会社の行為として同一性説により当然帰属するものもあり(ア誤り:一律に引受不可ではない)。出資の撤回禁止:発起人は株式の引受人であり、払込み完了前でも引受けの撤回は認められません(会社法58条類推・会社法の設立手続の拘束力)(ウ誤り)。失権手続(会社法36条等):発起設立において発起人が払込みを完了しない場合、設立時取締役は当該発起人に対し期間を定めて払込みを催告し、期間内に払込みがなければ当該発起人は設立時発行株式の引受人としての権利を失います(イ正しい)。定款最低額を下回る場合の填補責任(会社法52条):設立時に出資された財産の価額が定款記載の最低額を下回る場合、発起人全員が連帯してその差額を填補する義務を負います。「全員の同意があれば登記申請可能」という特例はなく(オ誤り)、差額填補義務が強制されます。

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【理論的背景】

設立登記による会社の成立という原則は、法人格(権利能力)の発生時点を客観的に確定するための仕組みです。登記事項証明書の交付日ではなく登記完了日(申請受理・登記官の処理完了)が成立時点であることは、法人格の発生に不確定な手続要素(証明書の交付という事実)を混入させないためです。出資の撤回禁止は、会社設立の安定性・資本充実の原則から要請されます。発起人は設立の主体として払込み義務という強い義務を負うことで、設立手続の確実性が担保されます。失権手続(払込みなき発起人の地位喪失)は、一人の発起人の不払いで設立全体が頓挫することを防ぎつつ、払込み義務の実効性を確保する機能を持ちます。定款最低額との差額填補義務(52条)は、現物出資財産等の価額が定款記載額を下回った場合(過大評価の場合)に、その差額を発起人・設立時取締役等が連帯して填補させることで資本充実を確保するものです。

【条文構造】

会社法49条「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」。この一文が法人格発生の根拠条文です。会社法36条は発起設立において発起人が払込期日(または払込期間末日)までに出資の履行をしない場合の手続を規定し(設立時取締役による催告→期間内不払いで失権)、当該発起人は設立時発行株式の株主となる権利を失います。会社法52条1項は、株式会社成立時の現物出資財産等の価額が定款記載額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役が連帯してその不足額を支払う義務を負うと規定し、差額填補義務を設けています。発起設立では、検査役の調査を経た場合、またはその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合に免責されます(52条2項)。なお募集設立では、注意を怠らなかったことの証明による免責は認められません(103条1項)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での設立登記・出資の履行の問われ方は、①成立時点(設立登記完了)の確認、②払込み撤回禁止、③失権手続(催告→不払い→地位喪失)、④定款最低額差額填補責任の4点が典型です。「登記事項証明書の交付」という誤った成立時点の選択肢(本問エ)は典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。設立前の発起人行為のうち設立中の会社の権限内の行為は、設立登記後に当然に会社に帰属する(同一性説)。「当然に引き受けることはできない」という全面否定は誤り。
  • イ: 正しい。会社法36条等により、設立時取締役が不払いの発起人に催告→期間内不払いで失権。設立手続の安定性確保の機能を持つ。
  • ウ: 誤り。発起人は株式の引受けを行った後、払込み前でも撤回は認められない(会社設立の安定・資本充実の要請。会社法58条等の趣旨)。
  • エ: 誤り。会社法49条により、法人格の発生(成立)は「設立の登記をすることによって」であり、登記事項証明書の交付日ではない。
  • オ: 誤り。定款記載の最低額を下回る場合は発起人全員が差額填補義務を負う(52条)。全員の同意があっても不足のまま登記申請を正当化する特例はない。

【根拠条文】

会社法 第36条(払込みをしない発起人の失権)

会社法 第49条(株式会社の成立)

会社法 第52条第1項・第2項(現物出資財産等の価額が著しく不足する場合の填補責任・発起設立での免責)

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第36条(出資の履行を怠った発起人の失権)、会社法第49条(設立の時期・設立登記による成立)、会社法第52条(現物出資財産等の価額の填補責任) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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