行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 商法・会社法 問14|設立登記・会社の成立・成立後の出資の不履行の効果

問題

行政書士 | 商法・会社法

株式会社の成立(設立登記)および出資の履行に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

株式会社は、本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(会社法49条)。登記事項証明書の交付日ではありません(エ誤り)。発起人は、引き受けた後遅滞なく出資の履行をしなければならず(34条1項)、成立の時までに払えば足りるわけではありません(ウ誤り)。出資の履行をしていない発起人がいるときは、発起人が期日を定めて、期日の二週間前までに通知し(36条1項・2項)、期日までに履行がなければその発起人は株主となる権利を失います(36条3項、イ正しい)。成立後は錯誤を理由に引受けを取り消せず(51条2項、ア誤り)、不足額支払義務の免除には総株主の同意が必要です(55条、オ誤り)。

選択肢ごとに条文で確かめます。ア(誤り):成立の点(49条)は正しいものの、51条2項は「発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない」と定めます。イ(正しい):36条1項は「発起人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、当該出資の履行をしていない発起人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない」、2項は通知を「期日の二週間前までに」すること、3項は期日までに履行しない発起人が「設立時発行株式の株主となる権利を失う」ことを定めています。通知するのは設立時取締役ではなく発起人です。ウ(誤り):34条1項本文は、発起人は「設立時発行株式の引受け後遅滞なく」出資に係る金銭の全額を払い込み、または金銭以外の財産の全部を給付しなければならないと定めます。エ(誤り):49条により、成立の時点は設立の登記であり、登記事項証明書の交付ではありません。オ(誤り):52条1項の不足額支払義務について、55条は「総株主の同意がなければ、免除することができない」と定めています。株主総会の特別決議では足りません。

【理論的背景】

設立登記による会社の成立という原則は、法人格(権利能力)が生じる時点を客観的に確定するための仕組みです。会社法49条は成立の時点を「設立の登記をすることによって」と定めており、登記事項証明書の交付という後の事実には結び付けていません。出資の履行に関する規律は、設立時の財産的基礎を確保するためのものです。発起人に引受け後遅滞なく出資の履行を求め(34条1項)、履行しない発起人がいる場合には通知を経て権利を失わせる手続(36条)を置くことで、一人の発起人の不履行によって設立手続全体が止まることを防いでいます。また、成立後は錯誤・詐欺・強迫を理由とする引受けの取消しを封じ(51条2項)、成立した会社の株主構成と財産的基礎が後から覆ることを防いでいます。現物出資財産等の価額が定款記載の価額に著しく不足する場合の責任(52条1項)と、その免除に総株主の同意を要求する規定(55条)も、同じく設立時の財産的基礎を守るための規律です。

【条文構造】

会社法49条「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」。34条1項本文は、発起人が「設立時発行株式の引受け後遅滞なく」出資に係る金銭の全額を払い込み、または金銭以外の財産の全部を給付しなければならないと定めます。36条は三段階で構成されます。1項:出資の履行をしていない発起人がある場合、発起人はその発起人に対して期日を定め、その期日までに出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。2項:この通知は期日の二週間前までにしなければならない。3項:通知を受けた発起人が期日までに出資の履行をしないときは、出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失う。51条2項は、発起人は株式会社の成立後は錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができないと定めます。52条1項は、成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役が会社に対し連帯して不足額を支払う義務を負うと定め、同条2項は、検査役の調査を経た場合や、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合に、この義務を負わない場面を定めています(現物出資者・財産の譲渡人である発起人は除かれます)。募集設立の場合、103条1項により52条2項の「次に」は「第一号に」と読み替えられ、注意を怠らなかったことの証明による免責は使えません。55条は、52条1項の義務などは「総株主の同意がなければ、免除することができない」と定めます。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での設立登記・出資の履行の問われ方は、①成立の時点(設立の登記)、②出資の履行の時期(引受け後遅滞なく)、③出資の履行をしない発起人に対する手続(誰が・いつまでに・どうなるか)、④成立後の引受けの取消しの制限、⑤設立時の責任の免除要件(総株主の同意)が典型です。本問イのように「通知するのは発起人」「期日の二週間前まで」という条文の細部、エのような「登記事項証明書の交付」という誤った成立時点が引っかけとして使われます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。前半(49条)は正しいが、51条2項により、発起人は成立後は錯誤、詐欺または強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。
  • イ: 正しい。36条1項(発起人が期日を定めて通知)、2項(期日の二週間前まで)、3項(期日までに履行しなければ株主となる権利を失う)のとおり。設立時取締役が催告する仕組みではない。
  • ウ: 誤り。34条1項本文は「設立時発行株式の引受け後遅滞なく」出資の履行をすることを求めており、成立の時まで先送りできるとはしていない。
  • エ: 誤り。49条により、株式会社は「設立の登記をすることによって成立する」。登記事項証明書の交付日ではない。
  • オ: 誤り。52条1項の不足額支払義務の免除には、55条により総株主の同意が必要であり、株主総会の特別決議では免除できない。

【根拠条文】

会社法 第34条第1項(出資の履行)

会社法 第36条第1項〜第3項(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)

会社法 第49条(株式会社の成立)

会社法 第51条第2項(成立後の引受けの取消しの制限)

会社法 第52条第1項・第2項(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)

会社法 第55条(責任の免除)

会社法 第103条第1項(募集設立における第52条第2項の読替え)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 会社法第34条第1項(出資の履行)、会社法第36条第1項〜第3項(設立時発行株式の株主となる権利の喪失)、会社法第49条(株式会社の成立)、会社法第51条第2項(引受けの取消しの制限)、会社法第52条第1項(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)、会社法第55条(責任の免除) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。