憲法28議員特権・不逮捕特権・免責特権

行政書士 憲法 問28:議員特権・不逮捕特権・免責特権

国会議員の特権(不逮捕特権・免責特権)に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 不逮捕特権(憲法50条)は、議員が会期中に国会内において逮捕されないことを保障するものであり、院外(国会外)での行為を理由とする逮捕は会期中であっても制限なく行うことができる。
  • 不逮捕特権(憲法50条)は絶対的なものではなく、内閣の許諾があれば会期中であっても議員を逮捕することができるが、各議院の許諾によって逮捕することは認められていない。
  • 免責特権(憲法51条)は、議員が議院で行った演説・討論・表決について院外での一切の法的責任(民事・刑事・懲戒処分)を免除するものであり、院外での名誉毀損についても同じく免責される。
  • 免責特権(憲法51条)は、議員が「議院で行った」演説に限って適用され、議員の院外での発言(記者会見・選挙運動中の発言等)には適用されない。正答
  • 不逮捕特権(憲法50条)は、議員本人の権利放棄によって、各議院の許諾がなくても適用除外とすることができる。
正答:免責特権(憲法51条)は、議員が「議院で行った」演説に限って適用され、議員の院外での発言(記者会見・選挙運動中の発言等)には適用されない。

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国会議員には二つの重要な特権があります。①不逮捕特権(50条):会期中は院外において逮捕されません。ただし各議院の許諾がある場合と現行犯の場合は例外です(アが「院外は制限なく逮捕可能」としている点が誤り。イは「内閣の許諾があれば逮捕でき、各議院の許諾では逮捕できない」としている点が誤り。会期中の逮捕の例外は「各議院の許諾」であって内閣の許諾ではありません)。②免責特権(51条):「議院で行った」演説・討論・表決について院外での責任を負わない。院外(記者会見・選挙運動等)での発言には及びません(エが正答)。ウは「院外での名誉毀損にも免責される」としている点が誤りです。オは「議員個人が権利放棄できる」とする点が誤りです(各議院の許諾が必要・個人で放棄不可)。

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不逮捕特権(50条)の内容を整理します。「議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」と規定されています。例外は①各議院の許諾(会期中の逮捕に各議院が同意した場合)と②現行犯の場合(院内・院外を問わず例外)です。アが「院外は制限なく逮捕可能」としている点は誤りであり、院外(国会の外)での逮捕も会期中は原則として不逮捕特権の保護下にあります。イは「内閣の許諾があれば逮捕でき、各議院の許諾では逮捕できない」としていますが、会期中の逮捕を認める許諾権者は「各議院」であって内閣ではありません。許諾権者を取り違えている点でイは誤りです。本問の正答はエです。免責特権(51条)は「議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」と規定しており、適用対象は「議院内での行為」に限定されます。院外での記者会見・選挙運動・SNS投稿等の発言には免責特権が及びません(エが正答の根拠)。ウは「院外での名誉毀損にも及ぶ」としている点が誤りです。オについて、不逮捕特権は各議院の許諾という制度的条件によってのみ解除され、議員個人の権利放棄によって解除することはできません(特権の性質上、個人に放棄権を認めることが議院全体の権能を歪めるため)。

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【理論的背景】

議員特権は、議院(立法府)の自律性と議員の自由な議院活動を保障する制度です。歴史的にはイギリス議会において、国王・行政権による議員逮捕・演説内容への責任追及を防ぐために発展しました。日本国憲法はこれを受け継ぎ、50条(不逮捕特権)と51条(免責特権)を設けています。これらは議員個人の利益のためではなく、議会全体の独立性・機能を守る制度的保障としての性格を持ちます。

【実務・条文構造】

不逮捕特権(50条)の詳細を整理します。保護範囲:会期中の逮捕(院内・院外の区別なし)。例外:①各議院の許諾(50条本文「法律の定める場合を除いては」→国会法33条が許諾手続を規定)、②現行犯(33条但書。憲法33条の「現行犯の場合は、この限りでない」は議員にも当然適用)。会期前に逮捕された議員については、議院の要求があれば会期中に釈放される(50条後段)。アが「院外での逮捕は制限なく可能」としているのは、院内に限定した保護と混同した誤りです。不逮捕特権は院内外を問わず会期中の逮捕を制限します。オについて、不逮捕特権は各議院という集合的機関の許諾によってのみ解除される制度設計であり、議員個人の意思(「私の逮捕を許諾する」という個人的権利放棄)によって解除することは認められていません(議院の機能的独立を守る制度であるため、個人が勝手に放棄できないのが論理的帰結)。免責特権(51条)の範囲:「議院で行った演説、討論又は表決について」という条文上の限定から、院内での発言に限定されることが明確です。最高裁も院外での発言には免責特権が及ばないとしており、記者会見・質問主意書(書面によるものは議院での行為に含まれうる)・SNS投稿等には及びません(エが正答の根拠)。ウが「院外での名誉毀損にも免責される」としているのは、免責の射程(「議院で行った」という条件)を無視した誤りです。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での議員特権の出題ポイントは次の4つです。①不逮捕特権は会期中の逮捕を院内外問わず制限(例外:各議院の許諾・現行犯)。②免責特権は「議院での演説・討論・表決」に限定(院外の発言は免責されない)。③不逮捕特権は各議院の許諾によってのみ解除(議員個人の放棄不可)。④免責特権の効果:院外での「一切の法的責任」(民事・刑事)の免除(ただし院内の懲戒処分は議院の内部問題として別途可能)。「院外での発言は免責されるか」(ウ・エ)と「不逮捕は院内のみか院外も含むか」(ア)が典型的な引っかけです。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 誤り。不逮捕特権(50条)は院内・院外の区別なく会期中の逮捕を制限する。「院外での行為を理由とする逮捕は制限なく可能」という理解は誤り(各議院の許諾または現行犯の例外がある点も含めて誤り)。
  • イ: 誤り。会期中の逮捕を認める許諾権者は「各議院」(国会法33条)であって内閣ではない。「内閣の許諾があれば逮捕でき、各議院の許諾では逮捕できない」とする本肢は許諾権者を取り違えており誤り。なお「不逮捕特権は絶対的なものではない」という書き出し自体は正しい。
  • ウ: 誤り。免責特権は「議院で行った」演説・討論・表決に適用される。院外での名誉毀損発言には及ばない。
  • エ: 正答。51条「議院で行った演説、討論又は表決」という条文上の限定を正確に表現。院外での発言(記者会見・選挙運動等)への不適用も正確。
  • オ: 誤り。不逮捕特権は各議院の許諾(集合的な機関意思)によってのみ解除される制度的保障。議員個人の権利放棄によって解除することは認められない(各議院が許諾するかどうかは議院の問題であり、個人の放棄で処理できる性質ではない)。

【根拠条文】

日本国憲法 第50条(不逮捕特権)、第51条(免責特権)

国会法 第33条(逮捕の許諾・現行犯の例外)

【補足】

不逮捕特権:院内外問わず会期中の逮捕を制限・例外は各議院許諾と現行犯。免責特権:「議院で行った」演説等に限定・院外発言は免責されない。個人放棄不可(各議院の許諾が必要)はセットで覚えること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 日本国憲法 第50条(不逮捕特権)、第51条(免責特権) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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