危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問79:熱量・比熱・熱膨張・熱移動
液体の熱膨張に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア液体は温度が上昇しても体積はほとんど変化しない。
- イ液体の体膨張率は固体の体膨張率と同等であり、膨張量に差はない。
- ウ引火性液体を密閉容器に満杯で保管すると、温度上昇による体積膨張で容器が変形・破損する危険がある。正答
- エ気体の膨張率は液体より小さいため、密閉容器では気体の膨張は問題にならない。
- オ液体を加熱すると体積が減少するため、タンクに空間(空間容積)は不要である。
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正しいのはウです。引火性液体を密閉容器に満杯で保管すると、温度が上昇したとき液体が膨張して容器が変形・破損する危険があります。
- ア(誤): 液体は温度上昇で体積が増加する(熱膨張)。
- イ(誤): 液体の体膨張率は固体より一般に大きい。
- ウ(正): 密閉容器満杯→温度上昇→体積膨張→容器変形・破損。容器に空間容積(余裕)を設けるのはこのため。
- エ(誤): 気体の膨張率は液体より大きい(逆)。
- オ(誤): 液体を加熱すると体積は増加(減少ではない)。タンクに空間容積が必要な理由はまさに膨張を考慮するため。
危険物タンクに空間容積(充填容量の制限)を設けるのは熱膨張への備えです。
液体の熱膨張と危険物保管への影響(確立した物理学):
物質は一般に加熱すると体積が増加(熱膨張)します。液体の体膨張率(体積膨張係数)は固体より大きく、気体の膨張率(理想気体で 1/T)は液体より更に大きくなります。
膨張率の大小(一般則): 気体 >> 液体 > 固体
各選択肢:
- ア(誤): 液体も温度上昇で体積が増加する(熱膨張は起こる)。「ほとんど変化しない」は誤り。
- イ(誤): 液体の体膨張率は固体より一般に大きい。ガソリン・灯油等の有機液体は体膨張率が比較的大きい。
- ウ(正): 密閉容器を満杯にすると膨張余地がなく、内圧が急上昇し容器が変形・破損または破裂する危険がある。危険物規制(危規則)でタンクの充填限度(容量の一定割合以下)が定められているのはこのため。
- エ(誤): 気体の膨張率は液体より大きい。密閉容器の気体部分の圧力増加は液体部分の体積膨張と組み合わさって内圧を上昇させる。
- オ(誤): 液体は加熱で体積増加(膨張)する。空間容積(ガスキャップ)はこの膨張を吸収するための必要な余裕。
引っかけ: 「液体は膨張しない」(ア/オ)と「気体より固体の方が膨張しやすい」(エ逆)が定番の誤り。
【理論的背景:熱膨張の仕組みと大小関係】
熱膨張は「温度上昇による粒子の運動エネルギー増加→粒子間距離の拡大」によって起こります。
- 固体: 結晶格子内で粒子が決まった位置で振動。膨張率は小さい(鉄の体膨張率 約 3.6×10⁻⁵/K)。
- 液体: 粒子が流動可能でより大きく膨張できる(有機液体の体膨張率 約 1×10⁻³/K 程度)。
- 気体: 粒子間距離が大きく、体積変化が最も大きい(理想気体では 1/T=約 3.3×10⁻³/K 程度、300K時)。
一般的な大小関係: 気体 >> 液体 > 固体。
【危険物タンクの空間容積規制の根拠】
危規則では、タンク(固定タンク・移動タンク)の充填量に上限(空間容積の確保)が定められています。これは:
1. 液体の熱膨張を吸収するための余裕を確保する
2. 蒸気(ガス)の溜まり空間を確保し、液体が膨張してもタンクに余裕がある状態を保つ
3. 過充填(overfill)による液体噴出を防止する
特に夏季の高温時に満杯のタンクを放置すると、液体膨張により蒸気圧・内圧が急上昇し、容器が変形したり安全弁が開放されて液体・蒸気が噴出する事例があります。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 液体も熱膨張する。油類はガラス液温度計にも使われており(膨張を視覚化できる)、液体の熱膨張は物理の基礎事実。
- イ(誤): 体膨張率の大小は 気体 >> 液体 > 固体 が一般則。液体は固体より体膨張率が大きい。
- ウ(正): 正しい。危険物タンクの充填制限(空間容積の確保)の根拠。
- エ(誤): 気体の膨張率は液体より大きい。密閉容器内では気体部分の圧力増加も内圧上昇に寄与する(ボイル=シャルルの法則)。
- オ(誤): 液体は加熱で体積増加(膨張)。タンクの空間容積はこの膨張を吸収するために規制で義務付けられている。
【試験での位置づけ】
乙四試験では「液体の熱膨張→タンクの空間容積」は法令科目(保管基準)と物理化学科目をつなぐ重要論点です。熱膨張の方向(体積増加)と膨張率の大小(気体>>液体>固体)を確認するだけで確実に得点できます。「密閉容器を満杯にしてはいけない」理由の物理的根拠として記憶してください。
【根拠】確立した物理学(熱膨張・体膨張率の定義)。
【補足】液体は加熱で体積増加(熱膨張)。密閉容器満杯は危険(膨張余地なし→内圧上昇→変形/破損)。膨張率:気体>>液体>固体。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 液体は加熱で体膨張・密閉満杯は内圧上昇で破損・膨張率は気体>>液体>固体すべて正確。鉄約3.6e-5/K・有機液体約1e-3/K の大小も妥当。正答ウで一意(ア/イ/エ/オは誤りまたは逆)。タンク空間容積の確保は危規則の充填限度規制と整合。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(液体の熱膨張)。液体は温度上昇で体積が増加する(体膨張)。密閉容器を満杯にすると膨張余地がなく、内圧上昇により容器が変形・破損する危険がある。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。