危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問94:消火方法(S10・泡消火剤)
泡消火剤に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア通常の泡消火剤(水成膜泡・タンパク質泡等)は、ガソリン・灯油等の非水溶性液体の火災に有効である。
- イメタノール・エタノール等のアルコール類の火災には、通常の泡消火剤では泡が溶けて消えてしまうため、耐アルコール泡(水溶性液体用泡)が必要である。
- ウ耐アルコール泡(水溶性液体用泡消火剤)は水溶性液体だけでなく、ガソリン等の非水溶性液体の火災にも使用できる。
- エ泡消火剤は油面に泡膜を形成して酸素を遮断することで消火するが、電気設備の火災には電気伝導性があるため使用を避ける。
- オアセトン(第一石油類・水溶性)の火災に通常の泡消火剤を使用しても、酸素遮断の効果は通常の非水溶性油と同様に十分発揮される。正答
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誤っているのはオです。アセトン(水溶性)の火災に通常の泡消火剤を使うと、泡が溶けて消えて効果が出ません。水溶性の液体には耐アルコール泡が必要です。
- ア(正): 通常泡は非水溶性(ガソリン・灯油等)に有効。
- イ(正): アルコール類には耐アルコール泡が必要(通常泡は溶けて消える)。
- ウ(正): 耐アルコール泡は非水溶性にも使用できる(両方対応)。
- エ(正): 泡消火剤は電気を通すため電気設備には避ける。
- オ(誤): アセトン(水溶性)に通常泡は不十分(溶けて消泡する)。
「水溶性→耐アルコール泡必要/耐アルコール泡は非水溶性にも使える」を押さえます。
泡消火剤の種類と適応(水溶性・非水溶性の区別):
- ア(正): 通常の泡消火剤(水成膜泡・タンパク質泡・合成界面活性剤泡等)は油面に泡膜を形成し酸素を遮断する窒息消火。非水溶性液体(ガソリン・灯油・軽油・重油等)の火災に有効。泡が油に溶けないため膜が維持される。正しい。
- イ(正): メタノール・エタノール・アセトン等の水溶性液体は、通常の泡(水ベース)を溶かして消泡させてしまい液面を覆えない。そのため耐アルコール泡(水溶性液体用泡消火剤)が必要。耐アルコール泡は水溶性に溶けにくい特殊な泡で液面に維持できる。正しい。
- ウ(正): 耐アルコール泡(水溶性液体用泡)は、水溶性液体だけでなく非水溶性液体(ガソリン・灯油等)の火災にも使用できる。両方対応の汎用性がある(ただしコストは通常泡より高い)。正しい。
- エ(正): 泡消火剤は水分を多量に含み電気を通すため(電気伝導性あり)、通電中の電気設備・電気機器の火災には使用を避ける(感電・電気短絡の危険)。電気火災には電気絶縁性の高いCO₂・粉末・ハロゲン化物消火剤を使用する。正しい。
- オ(誤): アセトン(第一石油類・水溶性)は通常の泡(水ベース)に接触すると泡が溶けて消泡し、液面に維持されない。「通常の非水溶性油と同様に十分発揮される」は誤り。アセトンの消火には耐アルコール泡が必要。
引っかけパターント: アセトン(水溶性)に通常泡が有効とする(オ)。水溶性か非水溶性かで使う泡の種類が変わることを固定。
【理論的背景】
泡消火剤は「泡膜が液面に維持できるかどうか」が効果の鍵です。非水溶性液体では泡が溶けないため液面を維持できますが、水溶性液体では泡(水分を含む)が液体に溶けて消泡し液面を覆えません。この「溶けない泡(耐アルコール泡)」の開発によって水溶性液体の火災消火が可能になりました。
【泡消火剤の種類と適応の全体像】
| 消火剤の種類 | 非水溶性液体 | 水溶性液体 | 主な成分 |
|---|---|---|---|
| タンパク質泡(P) | 有効 | 不適(消泡) | 動物性タンパク質の加水分解物 |
| フッ素タンパク質泡(FP) | 有効 | 不適(消泡) | タンパク質+フッ素系界面活性剤 |
| 水成膜泡(AFFF) | 有効 | 不適(消泡) | フッ素系界面活性剤 |
| 耐アルコール泡(AR-AFFF等) | 有効 | 有効 | フッ素系+高分子ゲル化剤等 |
耐アルコール泡は「水溶性に溶けない高分子膜を形成する」仕組みで液面を維持します。非水溶性にも使えるため、貯蔵施設では耐アルコール泡を常備することが多いです。
【電気火災への泡消火剤の使用禁止の根拠】
泡消火剤は水分を多量に含み、水は電気を導く(導電性がある)ため:
1. 通電中の電気設備(変圧器・電気盤等)に泡を放射すると泡の水分が導電路になる
2. 消防士への感電危険
3. 電気設備の短絡・さらなる被害拡大
電気火災(C火災)には電気絶縁性の高い消火剤(CO₂・粉末・ハロゲン化物)を使います。
【水溶性第一石油類(アセトン等)の消火の重要性】
アセトン(CH₃COCH₃・第一石油類・水溶性・引火点約−18℃)は一般に「大量に使われる水溶性の引火性液体」で火災リスクが高いです。アセトンの消火で通常泡を使うのは、「水をかけているのと同じ」効果しかなく(液面に泡膜が形成されない)、実質的に消火能力を発揮しません。耐アルコール泡の使用が必須です。
【試験での位置づけ】
泡消火剤の論点は(1)通常泡は非水溶性液体に有効(ガソリン・灯油等)、(2)水溶性液体(アルコール類・アセトン等)には耐アルコール泡が必要(通常泡は消泡して効果なし)、(3)耐アルコール泡は非水溶性にも使用可(汎用性がある)、(4)泡は電気火災に不適(電気伝導性あり→感電危険)です。引っかけはアセトン(水溶性)に通常泡が有効とする(本問オ)、耐アルコール泡が非水溶性に使えないとする誤りです。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 通常泡は非水溶性液体に有効(泡が溶けず液面を維持できる)。
- イ(正): アルコール類(水溶性)は通常泡が溶けて消泡→耐アルコール泡が必要。
- ウ(正): 耐アルコール泡は非水溶性にも使用可(汎用性がある)。
- エ(正): 泡消火剤は電気伝導性あり→通電電気設備への使用は避ける(感電危険)。
- オ(誤): アセトン(水溶性)に通常泡→消泡して液面を維持できない→効果不十分。耐アルコール泡が必要。
【根拠】確立した消火理論・設計書§1-3・§2-3(S10)。
【補足】泡消火剤:通常泡は非水溶性に有効。水溶性(アルコール・アセトン等)には耐アルコール泡が必要(通常泡は消泡)。耐アルコール泡は非水溶性にも使用可。泡は電気火災に不適(電気伝導性)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 通常泡=非水溶性に有効/水溶性(アルコール類・アセトン等)には耐アルコール泡が必要/耐アルコール泡は非水溶性にも使用可/泡は電気伝導性ありで通電電気設備に不適、は確立事実と整合。正答オ一意(アセトン=水溶性に通常泡で十分効果=誤。ア・イ・ウ・エは正記述)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した消火理論・設計書§1-3・§2-3(S10)。通常泡は非水溶性油(ガソリン・灯油等)に有効。水溶性液体(アルコール類・アセトン等)には通常泡が溶けて消泡→**耐アルコール泡(水溶性液体用)が必要**。耐アルコール泡は非水溶性にも使用可。泡消火剤は電気伝導性あるため通電電気設備への使用は避ける。アセトンは水溶性→通常泡は消泡して効果不十分(オが誤り)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。