危険物乙四 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 問95:消火方法(S10・ハロゲン化物消火剤)
ハロゲン化物消火剤に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アハロゲン化物消火剤の主な消火効果は、大量の水分による冷却消火であり、第4類危険物の火災を液体を冷やすことで消火する。
- イハロゲン化物消火剤(ハロン等)は、燃焼の連鎖反応を化学的に阻害する抑制(負触媒)効果によって消火する。正答
- ウハロゲン化物消火剤は電気を通すため、通電中の電気設備の火災には使用できない。
- エハロゲン化物消火剤は消火後に大量の残留物が残るため、精密機器への消火には不向きである。
- オハロゲン化物消火剤(ハロン1301等)は現在も製造・充填が自由に行われており、環境上の問題はない。
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正しいのはイです。ハロゲン化物消火剤は燃焼の連鎖反応を化学的に止める(抑制・負触媒効果)ことで消火します。
- ア(誤): 主な効果は抑制(負触媒)で冷却ではない。
- イ(正): 燃焼の連鎖反応を阻害する抑制(負触媒)効果。正しい。
- ウ(誤): 電気絶縁性が高く電気設備の火災にも使える。
- エ(誤): 残留物は少なく精密機器に適している。
- オ(誤): ハロン類はオゾン層破壊物質として製造・充填が原則禁止。
「ハロゲン化物消火剤=抑制(負触媒)・電気絶縁性高い・残留物少・ハロンはオゾン層破壊問題」を押さえます。
ハロゲン化物消火剤の特性:
- ア(誤): ハロゲン化物消火剤の主な消火効果は抑制(負触媒)効果で、燃焼連鎖反応(フリーラジカル反応)を化学的に阻害して消火します。「大量の水分による冷却消火」ではありません(水成分を含まない)。
- イ(正): ハロゲン化合物(ハロン1211・ハロン1301等のフルオロカーボン系化合物)は、熱分解によって生成したフリーラジカル(Br・・Cl・等)が燃焼連鎖反応のフリーラジカルを捕捉・消滅させる抑制(負触媒)効果で消火します。粉末消火剤の抑制効果と同じ原理です。正しい。
- ウ(誤): ハロゲン化物消火剤は電気を通さない(電気絶縁性が高い)。通電中の電気設備の火災にも安全に使用できます。CO₂消火剤と同様に電気火災に適しています。
- エ(誤): ハロゲン化物消火剤は消火後に残留物がほとんど残らない(ガス状になる)。CO₂消火剤と同様に精密機器・電気設備の消火に向いています。「残留物が多い」は粉末消火剤の特徴であり、ハロゲン化物消火剤の特徴ではない。
- オ(誤): ハロン類(ハロン1211・ハロン1301等)はオゾン層を破壊する物質として、モントリオール議定書(1987年)に基づき先進国では1994年以降の製造・充填が原則禁止されています。既設設備の維持は認められる場合がありますが「製造・充填が自由」は誤り。
【理論的背景】
ハロゲン化物消火剤は、フッ素(F)・塩素(Cl)・臭素(Br)等のハロゲン元素を含む有機化合物(ハロカーボン)で、燃焼の連鎖反応を阻害する抑制(負触媒)効果で消火します。消火効率が高く電気絶縁性があり残留物が少ないという優れた特性を持つ一方、オゾン層破壊という深刻な環境問題があります。
【ハロゲン化物消火剤の抑制(負触媒)効果の化学的機序】
燃焼は連鎖反応(フリーラジカル反応)で維持されます。
1. 熱分解: ハロゲン化物が燃焼熱で分解→ハロゲンラジカル(Br・・Cl・等)が生成
2. 連鎖終端: ハロゲンラジカルが燃焼連鎖反応の活性中間体(H・・OH・・O・等)を捕捉・消滅させる
3. 連鎖反応の停止→燃焼停止(消火)
この連鎖終端効果(chain-breaking mechanism)により、燃焼の四要素のうち「連鎖反応」を断ちます。
【ハロン類の種類と表記法】
ハロン番号(ハロン ABCD): A=炭素数、B=フッ素数、C=塩素数、D=臭素数
- ハロン1211(CF₂ClBr): 携帯型消火器向け
- ハロン1301(CF₃Br): 固定式ガス消火設備向け
【オゾン層破壊とモントリオール議定書】
ハロン類に含まれる臭素(Br)はオゾン層(O₃)を破壊する効果が塩素(Cl)の40〜100倍以上あります。オゾン層破壊→紫外線増加→皮膚がん・生態系への影響という深刻な環境問題から、モントリオール議定書(1987年採択・1989年発効)により、先進国は1994年以降のハロン類の製造が禁止されました。現在は:
- 新規製造・充填: 原則禁止
- 既設消火設備の維持: 認められる場合がある(回収・再利用)
- 代替消火剤の開発・普及: HFC(ハイドロフルオロカーボン系)等
【各消火剤の特性比較(まとめ)】
| 消火剤 | 主な消火効果 | 電気絶縁性 | 残留物 | 環境問題 |
|---|---|---|---|---|
| 水・泡 | 冷却・窒息 | なし(電気を通す) | あり | 少ない |
| CO₂ | 窒息 | あり | なし | CO₂放出 |
| 粉末 | 窒息+抑制 | あり | 大量 | 少ない |
| ハロゲン化物 | 抑制(負触媒) | あり | ほぼなし | オゾン層破壊 |
【試験での位置づけ】
ハロゲン化物消火剤の論点は(1)主な消火効果は抑制(負触媒)(冷却ではない)、(2)電気絶縁性が高い(電気火災に使用可能)、(3)残留物がほぼない(精密機器・電気設備に適)、(4)ハロン類はオゾン層破壊物質(製造・充填は原則禁止)です。引っかけは冷却が主効果とする(ア)、電気を通すとする(ウ)、残留物が多いとする(エ)、環境問題がないとする(オ)です。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 主効果は抑制(負触媒)。冷却が主効果ではない。
- イ(正): 燃焼連鎖反応を化学的に阻害する抑制(負触媒)効果で消火。正しい。
- ウ(誤): 電気絶縁性高い→電気火災に使用可。
- エ(誤): 残留物ほぼなし→精密機器に適している。
- オ(誤): ハロン類はオゾン層破壊物質→モントリオール議定書で製造・充填原則禁止。
【根拠】確立した消火理論・設計書§1-3。
【補足】ハロゲン化物消火剤:抑制(負触媒)消火・電気絶縁性高い・残留物ほぼなし・ハロン類はオゾン層破壊物質(製造・充填原則禁止)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): ハロゲン化物消火剤=抑制(負触媒)が主効果・電気絶縁性高・残留物ほぼなし、ハロン類(1211/1301)はオゾン層破壊物質でモントリオール議定書により製造/充填原則禁止(先進国1994〜)、は確立事実と整合。正答イ一意(ア=冷却主は誤/ウ=電気を通すは誤/エ=残留物多いは誤/オ=製造自由・環境問題なしは誤、いずれも誤でイのみ正)。物性是正なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した消火理論・設計書§1-3。ハロゲン化物消火剤の主な消火効果は**抑制(負触媒効果)**で燃焼の連鎖反応を化学的に阻害する。電気**絶縁性**が高く電気火災に使用可能。消火後の残留物は少ない(精密機器に適)。ハロン類は**オゾン層破壊物質**として製造・充填が原則禁止(モントリオール議定書)→環境問題がある。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。