測量士補 多角測量 問5:出典: 令和4年度 問5
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19)
次の文は,公共測量におけるトータルステーション(以下「TS」という。)を用いた基準点測量の精度について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
- 1多角網の外周路線に属する新点は,外周路線に属する隣接既知点を結ぶ直線から外側40°以上の地域内に選点し,路線の中きょう角を60°以下にする。正答
- 2多角路線内の未知点数が多いほど,水平位置の精度は低下する。
- 3正反観測を行うことにより,器械の視準軸誤差,水平軸誤差,目盛盤の偏心誤差が軽減される。
- 4既知点と既知点を結合させた点検路線で,閉合差を計算し,観測値の良否を判定する。
- 5TSで測定される斜距離には,反射鏡定数の誤差などの測定距離に比例しない誤差が含まれる。
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本問はトータルステーション(TS)を用いた基準点測量の精度管理に関する正誤問題です。正答は1です。
選択肢1が誤り:多角網の外周路線に属する新点は、「外側40°以上」ではなく「内側(外周路線より内側)に選点する」が正しい規定です。また「路線の中きょう角を60°以下」ではなく、公共測量作業規程の準則では交角(隣接辺のなす角)が30°を超えることなどの規定があります。外側40°以上の地域への選点では多角形の形状が悪化し、閉合差が増大して精度が低下します。
他の選択肢(2・3・4・5)はいずれも基準点測量の正しい記述です。
本問は公共測量作業規程の準則に基づく基準点測量の知識を問います。
選択肢1(誤り):多角網の選点に関する規定です。外周路線の新点は外周路線より内側に配置するのが原則であり、「外側40°以上」という記述は誤りです。公共測量作業規程の準則(基準点測量編)では、多角路線の交角(ふれ角)が小さすぎると方位角の誤差が増大するため、交角はおよそ30°〜150°の範囲が望ましいとされています。
選択肢2(正しい):多角路線(トラバース)の水平位置精度は未知点数が増えるほど、各点での観測誤差が累積して低下します。路線長の増大とともに閉合差の許容値も大きくなります。
選択肢3(正しい):正観測(望遠鏡正位)と反観測(望遠鏡反位・倒位)を組み合わせることで以下の器械誤差が相殺されます。
- 視準軸誤差(コリメーション誤差):正反で反対符号→平均で消去
- 水平軸誤差(ちんちょく誤差):正反で反対符号→平均で消去
- 目盛盤の偏心誤差:正反観測では相殺されない場合があるが、多方向観測で影響軽減
選択肢4(正しい):既知点間を結合させた点検路線の閉合差(座標閉合差・方位角閉合差)で観測値の品質を検証する手法で、公共測量の標準的な品質管理手順です。
選択肢5(正しい):TSの斜距離測定誤差は「加数誤差(距離に比例しない固定誤差:反射鏡定数誤差・電子ディレイ等)」と「乗数誤差(距離に比例する誤差:変調周波数誤差・大気補正誤差等)」の2種類があります。反射鏡定数は加数誤差(比例しない)に分類されます。
本問は多角測量の選点・観測精度・誤差補正の実務的理解を問う重要問題です。
多角網の選点規定と精度設計(作業規程の準則)
公共測量作業規程の準則(第26〜30条相当)では多角路線の精度に影響する要素として以下を規定しています。
- 辺長:1〜4級基準点の標準辺長は50〜500m(精度グレードによる)。辺長が極端に短い・長い路線は避ける。
- 交角:路線のふれ角(交角)が小さい(鋭角)と方位角誤差が伝播しやすい。
- 未知点数:点検路線(既知点結合路線)を設けて閉合差による品質管理を行う。
- 選点位置:外周路線の新点は路線の内側に配置し、多角形全体の形状をなるべく正多角形に近づける。
TSの距離測定誤差の詳細(加数誤差・乗数誤差)
電子距離測定機(EDM)の誤差は以下の2要素で表します。
- 加数誤差(a):距離に無関係な固定誤差。反射鏡定数の誤差・位相測定のゼロ点誤差等。単位mm。
- 乗数誤差(b):距離に比例する誤差。変調周波数の誤差・大気の屈折率(温度・気圧・湿度)誤差等。単位ppm(parts per million)。
総合精度 = ±(a mm + b ppm × D) で表されます(例: ±(2mm + 2ppm))。
基準点測量では大気補正(温度・気圧の実測値から大気屈折率を補正)と器械定数補正(反射鏡定数・器械定数)を実施することで乗数・加数両誤差を補正します。
正反観測の誤差消去原理
正位(Face Left)での水平角読定値 L、反位(Face Right)での読定値 R に対して、正逆の平均 (L + R±180°)/2 を取ることで視準軸誤差・水平軸誤差が消去されます。ただし目盛盤の偏心誤差(盤の中心と望遠鏡の回転軸のずれ)は正反観測では完全に消去されないため、対面読取(0°と180°の対面を読む)が有効です。現代のTSは電子角度盤(インクリメンタルエンコーダ)を使用しており、多数の読取点の平均を自動計算することで偏心誤差を大幅に低減しています。
閉合差の許容値(公共測量作業規程の準則)
1〜4級基準点測量の閉合差許容値は精度グレード・路線長・未知点数で異なります。
- 水平位置閉合差: 各級ごとに路線長・点数の関数で許容値を規定
- 方位角閉合差: n回折れ曲がりに対してσ√nの形で規定
点検路線で閉合差が許容値を超えた場合は再観測となり、原因(器械整置誤差・目標誤差・フォーカシング誤差等)を特定して補正します。
測量士試験への接続
測量士試験では多角測量の座標計算(方位角計算・閉合比・重心法による座標補正)が記述式で出題されます。トラバース計算の行列形式、最小二乗法による座標調整(間接観測法)の習熟が測量士合格の核心です。
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和4年度 測量士補試験 問5(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき段差性のあるAI解説(初心者・標準・上級)を作成しています。