登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問12:医薬品に共通する特性と基本的な知識(健康被害救済・法的概念)
医薬品に関連する健康被害の救済制度および法的規制に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥により生命・身体・財産に損害が生じた場合に、製造業者等の損害賠償責任を定めたものであるが、医薬品は人体に直接用いるものであるためPL法の「製造物」には含まれず、PL法の対象外である。
- イ医薬品副作用被害救済制度では、適正な使用のもとで発生した副作用による健康被害の場合、すべての医薬品が救済給付の対象となる。
- ウ無承認無許可医薬品とは、薬機法に基づく承認を受けずに医薬品として販売されるものを指し、インターネット上での販売は一切認められない。
- エ医薬品副作用被害救済制度における救済給付の請求は、健康被害を受けた本人またはその遺族が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対して行う。正答
- オ医薬品の製造販売業者が、製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償責任を負うためには、業者側の故意または過失を被害者が立証する必要がある。
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正答はエです。
医薬品副作用被害救済制度では、副作用による健康被害を受けた本人またはその遺族が、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に請求します。PMDAが窓口となって審査・給付を行う仕組みです。
誤りを整理します。アは「医薬品はPL法の製造物に含まれない」が誤りで、医薬品は製造または加工された動産としてPL法の「製造物」に含まれます。イは「すべての医薬品が対象」が誤りで、一部の医薬品(抗がん剤等)は救済対象外です。ウの「インターネット販売は一切認められない」は過度に広い表現で誤りです(正規の医薬品はOTC薬であればネット販売可)。オのPL法は「欠陥」の立証があれば過失の証明は不要(無過失責任)で、これが民法上の不法行為(故意・過失の立証が必要)との違いです。
各選択肢の詳細解説:
- ア(誤): PL法(製造物責任法)において「製造物」は「製造または加工された動産」を指し、医薬品はこれに含まれます(PL法の対象です)。「医薬品はPL法の製造物に含まれず対象外」という選択肢アは誤りです。なお未加工の農産物・水産物は「製造または加工された動産」に当たらないため一般に製造物に含まれません(加工食品は含まれます)。
- イ(誤): 副作用被害救済制度には対象外となる医薬品があります。例えば、①抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)の一部、②免疫抑制剤、③生物由来製品感染等による被害(別制度:生物由来製品感染等被害救済制度が対応)等は救済対象外または別制度が適用されます。
- ウ(誤): 無承認無許可医薬品は薬機法違反ですが、「インターネット上での販売が一切認められない」のは無承認品について正しいです。ただし選択肢の「インターネット上での販売は一切認められない」という表現は、正規承認を受けたOTC薬のネット販売を否定しているようにも読めるため誤りです。
- エ(正): PMDAは医薬品副作用被害救済制度の給付窓口です。請求者(被害者本人または遺族)→PMDA(審査)→給付金支払い、という流れです。
- オ(誤): PL法の特徴は「無過失責任」(製品の「欠陥」を立証すれば足り、製造業者の故意・過失の証明は不要)です。この点が民法上の不法行為責任(故意・過失の証明が必要)との本質的な違いです。
副作用被害救済制度の給付種類:
| 給付種類 | 対象 |
|---|---|
| 医療費・医療手当 | 入院治療を要した場合 |
| 障害年金・障害児養育年金 | 障害が残った場合 |
| 遺族年金・遺族一時金 | 死亡した場合 |
| 葬祭料 | 死亡した場合 |
【製造物責任法(PL法)の法的構造と医薬品への適用】
PL法(1994年制定・1995年7月施行)は、製品の「欠陥」に起因する損害について製造業者等に無過失責任を課した法律です。
PL法の3要件(被害者が立証すべき事項):
1. 製造物に欠陥があること(設計欠陥・製造欠陥・警告欠陥のいずれか)
2. 損害が生じたこと(身体・生命・財産への損害)
3. 欠陥と損害の因果関係(欠陥が原因で損害が発生した)
従来の民法不法行為(709条)との比較:
| 項目 | 民法不法行為(709条) | PL法 |
|---|---|---|
| 立証責任 | 故意または過失(被害者側) | 欠陥(被害者側・より立証しやすい) |
| 製造者側の免責 | − | ①開発危険の抗弁②法令遵守の抗弁等 |
| 適用対象 | 全般 | 製造・加工された動産 |
医薬品とPL法の特殊性:
- 医薬品は「効果がある=副作用もある」ことが前提の製品
- 「開発危険の抗弁」(当時の科学・技術水準では欠陥を知ることができなかった)が認められる可能性がある
- そのため、薬事法(薬機法)の枠組みで承認・製造された医薬品の副作用による被害は、主に「副作用被害救済制度」で対応するよう設計されている
【副作用被害救済制度の仕組みと財源】
制度の財源は主に製造販売業者が拠出する「拠出金」です。製造販売業者がPMDAに毎年拠出金を納め、これが給付の原資となります。被害者は無償で給付を受けられる仕組みであり、製薬業界全体でリスクをシェアする社会保険的な構造です。
制度の対象外となる主なケース(試験頻出):
1. 適正使用以外の使用: 用法・用量を守らなかった場合
2. 対象外医薬品: 抗がん剤(一部)・免疫抑制剤(一部)・被験薬(治験中)
3. 軽微な副作用: 入院治療を必要としない軽症は対象外
4. 給付請求の期限: 健康被害発生から一定期間内(時効)
生物由来製品感染等被害救済制度との違い:
| 項目 | 副作用被害救済制度 | 生物由来製品感染等被害救済制度 |
|---|---|---|
| 対象 | 化学合成品等の副作用 | 血液製剤等の感染症 |
| 根拠 | 薬機法 | 薬機法(別章) |
| 給付窓口 | PMDA | PMDA |
| 設立背景 | 薬害全般への対応 | 薬害エイズ・肝炎事件の教訓 |
【無承認無許可医薬品の法的位置付けと購買者リスク】
無承認無許可医薬品は薬機法68条(誇大広告・無許可販売禁止)および同法14条(製造販売承認)違反です。
問題となるケース:
- インターネットで「痩せる」「〇〇に効く」などと標榜して販売される健康食品(実質的に医薬品成分含有)
- 海外から個人輸入される未承認医薬品(個人輸入自体は一定条件下で可能だが、販売は不可)
- 成分不明のダイエット食品等に医薬品成分(シブトラミン等)が混入した事例
購買者のリスク:
1. 品質が保証されない(不純物・実際の含量不明)
2. 副作用が出ても副作用被害救済制度の対象外
3. 刑事・行政責任(販売者側)だが、購入者も輸入規制違反の可能性
登録販売者として、顧客から「インターネットで買った薬」「海外から取り寄せた薬」について相談を受けた際は、上記リスクを適切に伝え、正規品の使用を勧めることが役割として求められます。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答エ(救済給付の請求は本人・遺族がPMDAに対して行う)で一意。当初の選択肢ア(医薬品は含む/農水産物は含まない)は後半が実質正しく誤肢として弱く二重正答の懸念があったため、アを「医薬品はPL法の製造物に含まれず対象外=明確な誤り」に変更し一意化(解説beginner/standardも整合修正)。PL法=無過失責任、副作用救済の対象外医薬品あり、無承認無許可医薬品の整理は手引き整合。段差性維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第1節「医薬品の本質」・第5節「医薬品の適正使用・安全対策」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。