第3章 主な医薬品とその作用1主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問1:主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)

解熱鎮痛成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • アスピリン(アセチルサリチル酸)は、解熱・鎮痛作用が強く、小児の発熱に対して安全に使用できる第一選択薬である。
  • アセトアミノフェンは、主にプロスタグランジンの合成を末梢で強力に抑制することで抗炎症作用を発揮し、胃粘膜障害が起きやすい。
  • イブプロフェンは、15歳未満の小児および妊娠後期の女性への使用が禁忌とされている。正答
  • 解熱鎮痛薬を長期間使用しても依存性・薬剤過用頭痛(薬物乱用頭痛)は生じないため、連続使用に制限はない。
  • アスピリン喘息はアスピリン特有の副作用であり、他のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用する際には注意が不要である。
正答:イブプロフェンは、15歳未満の小児および妊娠後期の女性への使用が禁忌とされている。

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正答はウです。

イブプロフェンは、15歳未満の小児と「出産予定日12週以内の妊婦」には使用禁忌(添付文書「してはいけないこと」)です。試験で頻出の重要禁忌事項です。

アは誤りです。アスピリンは15歳未満の小児・青年(特にウイルス感染時)が服用するとライ症候群(脳症・肝機能障害)を引き起こす危険があるため、小児への使用は原則避けます。イは誤りで、アセトアミノフェンはプロスタグランジン合成への関与が弱く、抗炎症作用はほとんどなく、胃粘膜障害も起きにくい特徴があります。エは誤りで、解熱鎮痛薬の過剰使用は薬剤過用頭痛の原因になります。オは誤りで、アスピリン喘息はNSAIDs全般で注意が必要です。

標準試験対策の基準レベル

解熱鎮痛薬の主要成分と特徴:

| 成分 | 分類 | 特徴・禁忌 |

|---|---|---|

| アスピリン | NSAID | 15歳未満禁忌(ライ症候群)・胃粘膜障害あり |

| アセトアミノフェン | 非NSAID | 小児可・胃障害少ない・肝障害リスク(アルコール常用者) |

| イブプロフェン | NSAID | 15歳未満禁忌・出産予定日12週以内の妊婦禁忌・抗炎症作用あり |

| ロキソプロフェン | NSAID | OTC可・胃障害あり |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): アスピリンは15歳未満の小児がインフルエンザや水痘などのウイルス感染時に服用するとライ症候群(Reye症候群)を起こす危険があります。ライ症候群は脳症と肝機能障害を特徴とし、致死率が高く、小児には第一選択どころか禁忌に準じる扱いです。
  • イ(誤): アセトアミノフェンは末梢でのプロスタグランジン合成阻害がNSAIDsより弱く、抗炎症作用はほとんどありません。胃粘膜障害も少ないのが特徴ですが、過剰使用や飲酒習慣がある人では肝障害のリスクがあります。
  • ウ(正): イブプロフェンはNSAIDsの一種で、プロスタグランジン合成を強く阻害します。動脈管収縮(胎児への影響)から、OTCイブプロフェンの添付文書では「出産予定日12週以内の妊婦」は「してはいけないこと(禁忌)」、それ以外の妊婦・妊娠していると思われる人は「相談すること」とされています(=妊娠後期の使用は禁忌に該当)。15歳未満の小児への使用も「してはいけないこと」とされています。
  • エ(誤): 解熱鎮痛薬を月に10日以上、3ヶ月以上連続使用すると「薬剤過用頭痛(MOH: medication overuse headache)」を生じます。解熱鎮痛薬の連続使用には5〜6日を限度とするなどの制限があります。
  • オ(誤): アスピリン喘息はCOX-1阻害によるアラキドン酸カスケードの変化で起こるため、他のNSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン等)でも同様の反応が誘発されます。NSAIDs全般で「アスピリン喘息の既往あり」の場合は禁忌または要注意です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【NSAIDsとアセトアミノフェンの作用機序の違い】

解熱鎮痛薬は大きく2系統に分類されます:

1. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬): シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、アラキドン酸からのプロスタグランジン(PG)合成を抑制します。PGは発熱・炎症・痛みの伝達に関与しており、COX阻害で3つの作用(解熱・鎮痛・抗炎症)が得られます。COX-1は胃粘膜保護・血小板凝集に関わるため、非選択的COX阻害薬(アスピリン・イブプロフェン等)は胃粘膜障害・出血リスクを持ちます。

2. アセトアミノフェン: 末梢でのCOX阻害は弱く(主に中枢での解熱・鎮痛作用)、抗炎症作用はほとんどありません。胃粘膜への直接刺激も少ないため胃腸障害が少ない。一方、過剰摂取(または飲酒習慣のある人)では肝臓でのグルクロン酸抱合が飽和し、活性代謝物(NAPQI)が蓄積して重篤な肝障害(劇症肝炎)を引き起こします。

【ライ症候群の機序と小児への影響】

ライ症候群(Reye syndrome)は、ウイルス感染(インフルエンザ・水痘が代表)時にアスピリンを服用した小児・青年に発生する急性脳症+肝機能障害の組合せ症状です。機序は完全には解明されていませんが、アスピリンがミトコンドリア機能に影響し、肝細胞・脳細胞の障害が急速に進行するとされています。致死率は20〜40%で、生存者にも神経障害が残ることがあります。1970〜80年代に欧米・日本で多数の事例が報告され、小児へのアスピリン投与回避が広まりました。現在OTCアスピリン製剤の添付文書には「15歳未満には服用させないこと」が明記されています。

【イブプロフェンの妊娠後期禁忌の機序】

胎児循環では「動脈管(ductus arteriosus)」が肺動脈と大動脈をつなぎ、出生後に自然に閉鎖します。プロスタグランジンは動脈管の開存(拡張)を維持する役割を持ちます。NSAIDsでPG合成を阻害すると動脈管が収縮・早期閉鎖を起こし、胎児循環に重大な障害(肺高血圧・右心負荷増大)をもたらします。このためOTCイブプロフェン製剤では「出産予定日12週以内の妊婦」が「してはいけないこと(禁忌)」に明記されています(妊娠期間の延長・動脈管の早期閉鎖・子宮収縮抑制・分娩時出血増加のおそれ)。アセトアミノフェンはこの機序への影響が弱いため、妊婦の解熱鎮痛にはアセトアミノフェンが選択されます。

【アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)の機序】

COX-1を阻害するとアラキドン酸が5-LOX(5-リポキシゲナーゼ)経路に流れ込み、ロイコトリエン(気管支収縮・炎症促進)の産生が増加します。これがアスピリン喘息の本態で、気管支喘息患者の10〜20%がこの過敏性を持つとされます。NSAIDs全般でCOX-1を阻害するため、アスピリンに限らずイブプロフェン・ロキソプロフェン等でも同様の発作が誘発されます。「アスピリン喘息の既往あり」の人にはNSAIDs全種が原則禁忌または要注意(アセトアミノフェンは安全性が高い)。

【薬剤過用頭痛(MOH)と連続使用の問題】

解熱鎮痛薬を頭痛に対して月に10日以上(または特定の薬は15日以上)、3ヶ月以上継続使用すると、薬の効果が切れるたびに頭痛が悪化する「反跳性頭痛(薬剤過用頭痛)」が生じます。これは身体が鎮痛薬に依存し、逆説的に頭痛の閾値が下がることで起こります。OTC解熱鎮痛薬の添付文書では「連続して使用する場合は医師・薬剤師に相談」「使用は5〜6日以内」等の注意が記載されています。登録販売者は購入者に対してこのリスクを適切に説明し、長期使用を勧めない義務があります。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第2節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【修正】イブプロフェン妊婦禁忌の表現を医学一般論「妊娠後期(28週以降)」→OTC添付文書/登販試験の正式表現「出産予定日12週以内の妊婦は『してはいけないこと』、それ以外の妊婦は『相談すること』」に統一(PMDA安全性情報・エスエス製薬添付文書で確認)。正答ウ「15歳未満・妊娠後期禁忌」は選択肢として成立(妊娠後期は出産予定日12週以内を含み禁忌=正)で正答一意OK。アスピリン15歳未満禁忌(ライ症候群)=手引き/添付文書と一致・正。アセトアミノフェン抗炎症弱い/胃障害少/肝障害=正。アスピリン喘息のNSAIDs全般交差過敏(COX-1阻害機序)=厚労省重篤副作用マニュアルと一致・正。MOH(薬剤過用頭痛)=正。YMYL致命点クリア。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第2節「解熱鎮痛薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

解熱鎮痛成分・小児禁忌と使用上の注意頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)
7
主な医薬品とその作用(胃腸薬・H2ブロッカー)

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