登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問5|鎮咳去痰薬・コデインの依存性と禁忌

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

鎮咳去痰薬に配合されるコデインリン酸塩水和物に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

コデインリン酸塩水和物は12歳未満の小児への使用が禁忌とされています。小児での呼吸抑制リスクが問題になったため、2019年に厚労省の通知でOTC医薬品にも適用されました。

ウは誤りで、コデインはオピオイド系成分であり麻薬性・依存性があります。イは誤りで、コデインは延髄の咳中枢に直接作用する中枢性鎮咳成分です。エは誤りで、コデイン系成分は妊婦への使用に注意が必要です(妊婦は「相談すること」。授乳中の人は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける)。オは誤りで、コデインは鎮咳成分であり去痰成分ではありません。

コデインリン酸塩水和物の主な特性:

特性内容
分類中枢性鎮咳成分(麻薬性)
作用部位延髄の咳中枢を直接抑制
依存性あり(オピオイド受容体作用)
12歳未満禁忌あり(2019年通知・呼吸抑制リスク)
妊婦・授乳妊婦は「相談すること」(分娩時服用で新生児に呼吸抑制の報告)/授乳中は服用しないか授乳を避ける(「してはいけないこと」)

各選択肢の解説:

  • ウ(誤): コデインはオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の一種であり、μオピオイド受容体に作用します。連続使用・大量使用で依存性が生じ、令和8年5月1日施行改正で「指定濫用防止医薬品」(旧称「濫用等のおそれのある医薬品」)の対象成分として、全購入者への確認・販売記録等の対象です。
  • イ(誤): コデインは末梢性ではなく中枢性鎮咳成分です。延髄の咳中枢にあるμ受容体に結合して咳反射の閾値を上昇させます。デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は、非麻薬性の中枢性鎮咳成分です。
  • ア(正): 2019年に小児(特に超高速代謝型遺伝子型の子ども)でコデインがモルヒネへ急速変換され呼吸抑制・死亡例が発生したことを受け、厚労省は12歳未満の小児へのコデイン系成分(コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩)使用を禁忌とする通知を発出しました。OTC医薬品も対象です。
  • エ(誤): コデイン系成分を妊娠後期・分娩前後に使用すると、新生児にオピオイド離脱症候群(哺乳不全・けいれん・呼吸抑制)が生じる可能性があります。手引きでは、妊婦又は妊娠していると思われる人はコデイン含有のかぜ薬・鎮咳去痰薬の使用前に「相談すること」とされています(吸収された成分の一部が胎盤関門を通過して胎児へ移行。分娩時服用により新生児に呼吸抑制が現れたとの報告)。授乳中は、母乳への移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告があるため、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」(「してはいけないこと」)とされています。
  • オ(誤): コデインは鎮咳成分です。去痰成分(痰を薄めて排出する)ではありません。コデインによって咳反射が抑制されると気道の自浄作用(線毛運動による異物除去)も低下するため、湿性咳嗽(痰が絡む咳)では去痰成分との使い分けが重要です。

【コデインの薬理:オピオイド受容体とCYP2D6代謝の重要性】

コデイン(コデインリン酸塩水和物)はプロドラッグとして機能します。コデイン自体はμオピオイド受容体への親和性がモルヒネの約200分の1と低いですが、肝臓のCYP2D6によって10%程度がモルヒネ(活性代謝物)に変換されます。このモルヒネが鎮痛・鎮咳・呼吸抑制を主に担います。

残りの大部分(約80%)はCYP3A4でノルコデインに、UGT2B7でコデイン-6-グルクロニドに代謝され不活性化されます。

CYP2D6遺伝子多型と小児への影響:

ヒトのCYP2D6には100以上の遺伝子多型があり、代謝速度が個体によって大きく異なります:

  • 不活性代謝型(PM: poor metabolizer): CYP2D6機能なし→モルヒネ産生なし→鎮痛効果弱い・依存性低い
  • 通常代謝型(EM): 標準的なモルヒネ産生
  • 超高速代謝型(URM: ultra-rapid metabolizer): CYP2D6過活性→通常用量でも大量のモルヒネを急速産生→呼吸抑制リスク

小児ではCYP2D6の酵素活性が加齢とともに発達し、特に乳幼児では酵素活性が低いとされますが、超高速代謝型の子どもでは逆に成人以上の変換速度を示すことがあります。2012年にFDA(米国食品医薬品局)は扁桃摘出術後の小児にコデインを処方した事例で死亡が報告されたことを受け警告を発し、2019年には日本でも同様の対応が取られました。

【12歳未満禁忌と実務上の影響】

登録販売者の実務での影響:

1. 購入者が「子どもの咳に使えますか」と尋ねた際、12歳未満の子どもへのコデイン含有製品の販売を断り、デキストロメトルファン含有製品や小児用製剤を案内する

2. 保護者が自分用に購入し子どもに与える可能性を考慮した確認

3. 第5章「指定濫用防止医薬品」(旧称「濫用等のおそれのある医薬品」)として、全購入者への確認・単独購入・大量購入への注意(コデイン系は対象成分)

【デキストロメトルファンとの比較】

コデインに代わる主要な中枢性鎮咳成分がデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物です:

項目コデインデキストロメトルファン
麻薬性ありなし
依存性あり比較的低い(ただし乱用事例あり)
12歳未満禁忌あり記載なし(別途確認要)
鎮咳機序μオピオイド受容体NMDA受容体拮抗・シグマ受容体
便秘副作用あり少ない

デキストロメトルファンは麻薬性がなく小児にも使いやすいとされていましたが、近年は高用量での幻覚・解離症状(いわゆる「DXM乱用」)が問題になっており、令和8年5月1日施行の薬機法改正で「指定濫用防止医薬品」の対象成分に追加されました(ジフェンヒドラミンと同時に追加され、対象は6成分から8成分に拡大)。これによりDXM含有製品は、全購入者への年齢・購入状況の確認、18歳未満への大容量・複数個販売の原則禁止、販売記録の対象となります。

【授乳中のコデイン禁忌例(世界的薬害教訓)】

2006年にカナダで、授乳中の母親がコデイン含有鎮痛薬を服用し、乳児が死亡した事例が医学誌で報告されました。乳児の血中から高濃度のモルヒネが検出され、原因は母親が超高速代謝型でコデインが大量のモルヒネに変換→母乳に移行→乳児に致死的量が摂取されたと結論されました。この事例はコデインの授乳中使用リスクを世界に示した転換点です。

登録販売者は授乳中の女性がコデイン含有製品を購入しようとした際に必ずリスクを説明し、「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」とされていることを伝える必要があります。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅱ-1「咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)」

この問題の根拠
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律e-Govで原文を読む
条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅱ-1「咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。