第3章 主な医薬品とその作用6主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問6:主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

制酸成分を含む胃腸薬に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 炭酸水素ナトリウム(重曹)は制酸成分であるが、腎機能が正常であればナトリウムの過剰摂取による血圧上昇のリスクはなく、高血圧患者も制限なく使用できる。
  • 水酸化アルミニウムゲルは制酸成分として胃酸を中和し、健康な人でも腸管から大量に吸収されるため、腎機能が正常な人でもアルミニウム脳症を起こしやすい。
  • 水酸化マグネシウムは制酸作用と緩下作用(便を柔らかくする作用)を持ち、便秘傾向の人に特に適しているが、下痢を起こすことはない。
  • 消化酵素製剤(ジアスターゼ・リパーゼ等)は胃酸の分泌を抑制することで消化を助ける。
  • 炭酸水素ナトリウムは胃内で塩酸と反応して炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させるが、このガスが胃を膨満させ、逆に胃部不快感が増すことがある。正答
正答:炭酸水素ナトリウムは胃内で塩酸と反応して炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させるが、このガスが胃を膨満させ、逆に胃部不快感が増すことがある。

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正答はオです。

炭酸水素ナトリウム(重曹)は胃酸(塩酸)と反応して炭酸ガスを発生させます。このガスが胃を膨らませ(胃膨満)、胃部不快感・げっぷを引き起こすことがあります。「制酸作用で楽になるはずが、ガスで不快」という逆説的な副作用が試験頻出のポイントです。

アは誤りで、炭酸水素ナトリウムはナトリウムを多く含むため、高血圧患者や腎機能低下者は注意が必要です。イは誤りで、アルミニウムは健常者では腸管からの吸収がごくわずか(約0.1%)で腎臓から排泄されるため、腎機能が正常な人でアルミニウム脳症が起こることは通常ありません。蓄積・脳症が問題になるのは腎機能が低下している人(透析患者等)です。ウは誤りで、水酸化マグネシウムは下痢を起こすことがあります。エは誤りで、消化酵素は消化を助けますが胃酸分泌を抑制しません。

標準試験対策の基準レベル

主な制酸成分の比較:

| 成分 | 制酸作用 | 副作用の傾向 | 特記事項 |

|---|---|---|---|

| 炭酸水素ナトリウム | 速効性 | 炭酸ガス発生→胃膨満 | ナトリウム負荷→高血圧・腎疾患に注意 |

| 水酸化アルミニウムゲル | 緩徐・持続 | 便秘 | 腎機能低下者でAl蓄積→ アルミニウム脳症・骨症のリスク |

| 水酸化マグネシウム | 中等度 | 下痢・軟便 | 緩下作用あり。腎機能低下者でMg蓄積 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 炭酸水素ナトリウムにはナトリウムが多く含まれており、高血圧患者では血圧上昇リスク、心疾患・腎疾患の人では体液貯留のリスクがあります。「腎機能が正常なら問題ない」という前提も誤りで、もともと高血圧の人はナトリウム制限が必要です。
  • イ(誤): 水酸化アルミニウムゲルは腸管でごく一部(約0.1%)しか吸収されず、腎機能が正常であれば速やかに排泄されるため、健常者でアルミニウム脳症を起こすことは通常ありません。「健康な人でも大量に吸収され、腎機能が正常な人でもアルミニウム脳症を起こしやすい」は誤りです。アルミニウムの蓄積・脳症・骨症・貧血が問題になるのは腎機能が低下している人(特に透析患者)であり、こうした人ではアルミニウム含有制酸薬の使用に注意が必要です(手引きでも腎臓病の人は相談すること)。
  • ウ(誤): 水酸化マグネシウムは制酸作用に加え緩下作用(下剤作用)を持ちます。「下痢を起こすことはない」は誤りで、むしろ下痢・軟便が代表的な副作用です。また腎機能低下者ではマグネシウムが蓄積し、高マグネシウム血症(悪心・筋力低下・血圧低下)を引き起こすことがあります。
  • エ(誤): ジアスターゼ(アミラーゼ)・リパーゼ・プロテアーゼ等の消化酵素は、食物(炭水化物・脂肪・タンパク質)を酵素的に分解して消化を「助ける」成分です。胃酸の分泌を「抑制」する作用はありません。胃酸分泌を抑制するのはH2ブロッカー(シメチジン・ファモチジン等)やプロトンポンプ阻害薬(OTCでは一部が要指導医薬品)です。
  • オ(正): 炭酸水素ナトリウムは胃内の塩酸(HCl)と反応してNaCl・H₂O・CO₂を生成します。発生した炭酸ガスが胃を膨らませ、げっぷ・胃部膨満感・胸焼けを悪化させることがあります。特に胃食道逆流症(GERD)のある人では逆流を助長するリスクもあります。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【制酸成分の化学反応と胃内pHへの影響】

胃酸の主成分は塩酸(HCl)で、空腹時の胃内pHは1〜2程度です。制酸成分は以下の化学反応で胃酸を中和します:

  • 炭酸水素ナトリウム: NaHCO₃ + HCl → NaCl + H₂O + CO₂(即時中和・炭酸ガス発生)
  • 水酸化アルミニウム: Al(OH)₃ + 3HCl → AlCl₃ + 3H₂O(緩徐・ゲル状で胃粘膜被覆)
  • 水酸化マグネシウム: Mg(OH)₂ + 2HCl → MgCl₂ + 2H₂O(中等度・便軟化作用)

炭酸水素ナトリウムは速効性がある一方で、発生したCO₂が胃内圧を上昇させます。幽門部が閉じていると(食後等)ガスが胃に滞留して不快感が増し、噴門が弛んでいると逆流してげっぷ・逆流性食道炎を悪化させます。

また、制酸薬で胃内pHが過度に上昇すると「酸リバウンド」(胃酸分泌の代償的増加)が生じ、一時的な改善の後に症状が悪化することがあります。

【アルミニウム蓄積の臓器毒性と登録販売者の対応】

アルミニウムは健常者では腸管からの吸収が少なく(約0.1%)、吸収されたものは腎臓で速やかに排泄されます。しかし慢性腎不全(CKD)患者ではアルミニウムの排泄が著しく低下し、長期使用で体内蓄積が進みます。

蓄積臓器別の毒性:

1. 脳(アルミニウム脳症・透析脳症): 認知機能低下・失語・ミオクローヌス・けいれん。かつて透析患者で透析液中のアルミニウムによる脳症が多発した(透析脳症という薬害事例)。

2. 骨(アルミニウム骨症): 骨芽細胞機能抑制→骨形成低下→骨折リスク増大。骨痛・脱力が症状。

3. 造血(貧血): 骨髄でのヘム合成阻害→小球性低色素性貧血。

登録販売者の実務対応: 腎機能低下者・透析患者が制酸薬(特にアルミニウム含有)を購入しようとした場合は、必ず医師・薬剤師への相談を勧める。CKD患者でアルミニウムゲルを長期使用すると重篤な合併症が生じるため、この判断は重要なリスク管理です。

【H2ブロッカーとの違い・OTCでの使い分け】

制酸成分(中和型)とH2ブロッカー(分泌抑制型)は作用機序が根本的に異なります:

| 区分 | 代表成分 | 機序 | 効果発現 | 持続時間 |

|---|---|---|---|---|

| 制酸成分 | 炭酸水素Na・水酸化Al | 胃酸を化学的に中和 | 即効(食後30分以内の症状に適) | 短い(30〜60分) |

| H2ブロッカー | シメチジン・ファモチジン | ヒスタミンH2受容体遮断→胃酸分泌抑制 | やや遅い(食前服用で予防的) | 長い(4〜12時間) |

OTCのH2ブロッカーは1日最大量・連続使用日数(通常2週間程度)の制限があり、症状が改善しない・再発する場合は医師への受診を勧める必要があります。シメチジンはCYP2C9・CYP3A4などを強く阻害し、他の薬物との相互作用が多いため使用歴の確認が重要です。

【消化酵素製剤の正しい役割と使用場面】

消化酵素製剤は食物消化を助けるもので、適応は「消化不良・食べすぎ・胃もたれ」です。胃酸分泌亢進による「胸焼け・胃痛」には無効です。主な消化酵素:

  • ジアスターゼ(アミラーゼ): デンプン→マルトースに分解
  • リパーゼ: 脂肪→グリセロール+脂肪酸に分解
  • プロテアーゼ: タンパク質→ペプチド→アミノ酸に分解
  • セルラーゼ: 食物繊維(セルロース)分解(腸内ガス軽減)

これらは胃液pH低下(酸性)で一部失活するため、制酸薬と同時に使用すると効果が減弱する可能性があります。制酸薬使用者に消化酵素製剤を推奨する場合は服用タイミングに注意が必要です。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第5節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【重要修正】選択肢イが元は「正しい内容」で正答が2つ存在する不適切問題だった→イを「健常者でも大量吸収され腎正常者でもアルミニウム脳症を起こしやすい」という誤記述に変更し、正答オ一意に修正(アルミニウムは健常者では吸収約0.1%・腎排泄→蓄積は腎機能低下者のみ、が正しい事実)。beginner/standardのイ解説も整合修正。正答オ(炭酸水素Na+塩酸→CO2発生で胃膨満)は化学的に正確。ア=高血圧/腎は注意必要で誤り、ウ=水酸化Mgは下痢ありで誤り、エ=消化酵素は胃酸分泌抑制せず誤り。透析患者はアルミニウム含有制酸薬「相談すること」で手引き整合。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第5節「胃の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

制酸薬・胃腸薬の成分と副作用頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
7
主な医薬品とその作用(胃腸薬・H2ブロッカー)

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