登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問6|制酸薬・胃腸薬の成分と副作用

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

制酸成分を含む胃腸薬に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

炭酸水素ナトリウム(重曹)は胃酸(塩酸)と反応して炭酸ガスを発生させます。このガスが胃を膨らませ(胃膨満)、胃部不快感・げっぷを引き起こすことがあります。「制酸作用で楽になるはずが、ガスで不快」という逆説的な副作用が試験頻出のポイントです。

アは誤りで、炭酸水素ナトリウムはナトリウムを多く含むため、高血圧患者や腎機能低下者は注意が必要です。イは誤りで、アルミニウムは健常者では腸管からの吸収がごくわずか(約0.1%)で腎臓から排泄されるため、腎機能が正常な人でアルミニウム脳症が起こることは通常ありません。蓄積・脳症が問題になるのは腎機能が低下している人(透析患者等)です。ウは誤りで、水酸化マグネシウムは下痢を起こすことがあります。エは誤りで、消化酵素は消化を助けますが胃酸分泌を抑制しません。

主な制酸成分の比較:

成分制酸作用副作用の傾向特記事項
炭酸水素ナトリウム速効性炭酸ガス発生→胃膨満ナトリウム負荷→高血圧・腎疾患に注意
水酸化アルミニウムゲル緩徐・持続便秘腎機能低下者でAl蓄積→ アルミニウム脳症・骨症のリスク
水酸化マグネシウム中等度下痢・軟便緩下作用あり。腎機能低下者でMg蓄積

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 炭酸水素ナトリウムにはナトリウムが多く含まれており、高血圧患者では血圧上昇リスク、心疾患・腎疾患の人では体液貯留のリスクがあります。「腎機能が正常なら問題ない」という前提も誤りで、もともと高血圧の人はナトリウム制限が必要です。
  • イ(誤): 水酸化アルミニウムゲルは腸管でごく一部(約0.1%)しか吸収されず、腎機能が正常であれば速やかに排泄されるため、健常者でアルミニウム脳症を起こすことは通常ありません。「健康な人でも大量に吸収され、腎機能が正常な人でもアルミニウム脳症を起こしやすい」は誤りです。アルミニウムの蓄積・脳症・骨症・貧血が問題になるのは腎機能が低下している人(特に透析患者)であり、こうした人ではアルミニウム含有制酸薬の使用に注意が必要です(手引きでも腎臓病の人は相談すること)。
  • ウ(誤): 水酸化マグネシウムは制酸作用に加え緩下作用(下剤作用)を持ちます。「下痢を起こすことはない」は誤りで、むしろ下痢・軟便が代表的な副作用です。また腎機能低下者ではマグネシウムが蓄積し、高マグネシウム血症(悪心・筋力低下・血圧低下)を引き起こすことがあります。
  • エ(誤): ジアスターゼ(アミラーゼ)・リパーゼ・プロテアーゼ等の消化酵素は、食物(炭水化物・脂肪・タンパク質)を酵素的に分解して消化を「助ける」成分です。胃酸の分泌を「抑制」する作用はありません。胃酸分泌を抑制するのはH2ブロッカー(シメチジン・ファモチジン等)やプロトンポンプ阻害薬(OTCでは一部が要指導医薬品)です。
  • オ(正): 炭酸水素ナトリウムは胃内の塩酸(HCl)と反応してNaCl・H₂O・CO₂を生成します。発生した炭酸ガスが胃を膨らませ、げっぷ・胃部膨満感・胸焼けを悪化させることがあります。特に胃食道逆流症(GERD)のある人では逆流を助長するリスクもあります。

【制酸成分の化学反応と胃内pHへの影響】

胃酸の主成分は塩酸(HCl)で、空腹時の胃内pHは1〜2程度です。制酸成分は以下の化学反応で胃酸を中和します:

  • 炭酸水素ナトリウム: NaHCO₃ + HCl → NaCl + H₂O + CO₂(即時中和・炭酸ガス発生)
  • 水酸化アルミニウム: Al(OH)₃ + 3HCl → AlCl₃ + 3H₂O(緩徐・ゲル状で胃粘膜被覆)
  • 水酸化マグネシウム: Mg(OH)₂ + 2HCl → MgCl₂ + 2H₂O(中等度・便軟化作用)

炭酸水素ナトリウムは速効性がある一方で、発生したCO₂が胃内圧を上昇させます。幽門部が閉じていると(食後等)ガスが胃に滞留して不快感が増し、噴門が弛んでいると逆流してげっぷ・逆流性食道炎を悪化させます。

また、制酸薬で胃内pHが過度に上昇すると「酸リバウンド」(胃酸分泌の代償的増加)が生じ、一時的な改善の後に症状が悪化することがあります。

【アルミニウム蓄積の臓器毒性と登録販売者の対応】

アルミニウムは健常者では腸管からの吸収が少なく(約0.1%)、吸収されたものは腎臓で速やかに排泄されます。しかし慢性腎不全(CKD)患者ではアルミニウムの排泄が著しく低下し、長期使用で体内蓄積が進みます。

蓄積臓器別の毒性:

1. 脳(アルミニウム脳症・透析脳症): 認知機能低下・失語・ミオクローヌス・けいれん。かつて透析患者で透析液中のアルミニウムによる脳症が多発した(透析脳症という薬害事例)。

2. 骨(アルミニウム骨症): 骨芽細胞機能抑制→骨形成低下→骨折リスク増大。骨痛・脱力が症状。

3. 造血(貧血): 骨髄でのヘム合成阻害→小球性低色素性貧血。

登録販売者の実務対応: 腎機能低下者・透析患者が制酸薬(特にアルミニウム含有)を購入しようとした場合は、必ず医師・薬剤師への相談を勧める。CKD患者でアルミニウムゲルを長期使用すると重篤な合併症が生じるため、この判断は重要なリスク管理です。

【H2ブロッカーとの違い・OTCでの使い分け】

制酸成分(中和型)とH2ブロッカー(分泌抑制型)は作用機序が根本的に異なります:

区分代表成分機序効果発現持続時間
制酸成分炭酸水素Na・水酸化Al胃酸を化学的に中和即効(食後30分以内の症状に適)短い(30〜60分)
H2ブロッカーシメチジン・ファモチジンヒスタミンH2受容体遮断→胃酸分泌抑制やや遅い(食前服用で予防的)長い(4〜12時間)

OTCのH2ブロッカーは1日最大量・連続使用日数(通常2週間程度)の制限があり、症状が改善しない・再発する場合は医師への受診を勧める必要があります。シメチジンはCYP2C9・CYP3A4などを強く阻害し、他の薬物との相互作用が多いため使用歴の確認が重要です。

【消化酵素製剤の正しい役割と使用場面】

消化酵素製剤は食物消化を助けるもので、適応は「消化不良・食べすぎ・胃もたれ」です。胃酸分泌亢進による「胸焼け・胃痛」には無効です。主な消化酵素:

  • ジアスターゼ(アミラーゼ): デンプン→マルトースに分解
  • リパーゼ: 脂肪→グリセロール+脂肪酸に分解
  • プロテアーゼ: タンパク質→ペプチド→アミノ酸に分解
  • セルラーゼ: 食物繊維(セルロース)分解(腸内ガス軽減)

これらは胃液pH低下(酸性)で一部失活するため、制酸薬と同時に使用すると効果が減弱する可能性があります。制酸薬使用者に消化酵素製剤を推奨する場合は服用タイミングに注意が必要です。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1「胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)」

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1「胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅲ-1「胃の薬(制酸薬、健胃薬、消化薬)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。