登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問11:主な医薬品とその作用(痔の薬・婦人薬)
痔(痔核・裂肛)に使用する外用薬および婦人薬に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア痔核外用薬に配合されるステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステル等)は炎症・かゆみを抑えるが、長期継続使用は局所の免疫機能を低下させて感染を引き起こすリスクがあるため、使用期間に注意が必要である。
- イリドカインは局所麻酔成分として痔核外用薬に配合され、肛門周囲の痛み・かゆみを一時的に抑えるが、アレルギー歴のある人は使用前に確認が必要である。
- ウ女性の月経前症候群(PMS)や更年期症状への婦人薬には、エストロゲン様作用を有するダイズイソフラボン等の植物性成分が配合されることがあるが、これらは医薬品ではなく食品扱いとなるためOTC婦人薬には含まれない。正答
- エ痔の外用薬(坐薬・軟膏)に配合されるアドレナリン作動成分(テトラヒドロゾリン塩酸塩等)は血管収縮作用により出血・腫脹を抑えるが、高血圧・心疾患・糖尿病の人は注意が必要である。
- オ婦人薬に配合されるサフラン(番紅花)は、血行促進・鎮痛・ホルモン様作用を持つとされる生薬であり、妊婦が大量に服用した場合に子宮収縮を誘発するリスクがある。
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正答はウ(誤っているもの)です。
ダイズイソフラボン等の植物性エストロゲン様成分はOTC婦人薬にも配合されています(食品扱いではなく医薬品の成分として使用可能)。「OTC婦人薬には含まれない」という記述は誤りです。
ア〜イ・エ・オはいずれも正しい記述です。痔の外用薬にはステロイド・局所麻酔・血管収縮成分等が配合されており、それぞれの成分ごとに注意事項(長期使用禁忌・アレルギー・基礎疾患)があります。婦人薬の生薬(サフラン・当帰・川芎等)は妊婦への使用に注意が必要な成分を含む場合があります。
痔の外用薬の主な配合成分:
| 成分カテゴリ | 代表成分 | 作用 | 主な注意 |
|---|---|---|---|
| ステロイド(抗炎症) | ヒドロコルチゾン酢酸エステル | 炎症・かゆみ抑制 | 長期使用禁忌・感染部位不可 |
| 局所麻酔 | リドカイン・アミノ安息香酸エチル | 疼痛・かゆみ軽減 | アレルギー注意 |
| 血管収縮 | テトラヒドロゾリン塩酸塩・エフェドリン塩酸塩 | 止血・腫脹抑制 | 高血圧・心疾患注意 |
| 収れん | タンニン酸・酸化亜鉛 | 粘膜収縮・止血 | 比較的安全 |
| 殺菌消毒 | セチルピリジニウム塩化物 | 二次感染予防 | アレルギー注意 |
婦人薬の主な生薬成分(妊婦注意):
| 生薬 | 主な作用 | 妊婦への注意 |
|---|---|---|
| サフラン(番紅花) | 血行促進・鎮痛・月経促進・子宮収縮様作用 | 子宮収縮→流早産のおそれ。妊婦は相談すること(大量使用を避ける) |
| センキュウ(川芎) | 血行促進・鎮痛 | 妊婦は相談 |
| トウキ(当帰) | 補血・鎮痛 | 妊婦は相談 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 肛門部は皮膚が薄く血管・神経が豊富です。ステロイド外用薬の長期連続使用で局所の免疫・バリア機能が低下し、皮膚真菌症(カンジダ)・細菌感染が生じやすくなります。症状が改善しても漫然と使い続けることは禁忌です。
- イ(正): リドカインはアミド型局所麻酔薬で、Na+チャネル遮断による神経伝達抑制で疼痛・かゆみを緩和します。エステル型麻酔薬(プロカイン・テトラカイン等)よりアレルギーは少ないですが、過去に局所麻酔薬でアレルギー(接触皮膚炎・蕁麻疹等)が起きたことがある人は注意が必要です。
- ウ(誤・正答): OTC婦人薬にはダイズイソフラボン(エストロゲン様作用)・エストラジオール等の植物性または動物性エストロゲン様成分が配合されている製品があります。これらは食品成分としてのダイズイソフラボン(サプリメント)とは異なり、医薬品として承認・配合されているものです。「OTC婦人薬には含まれない」は誤りです。
- エ(正): テトラヒドロゾリン塩酸塩・エフェドリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分はα受容体を刺激して血管を収縮させ、肛門出血・腫脹を抑制します。ただし血管収縮作用は全身にも影響し、高血圧(血圧上昇)・心疾患(心負荷増大)・糖尿病(血糖変動)の人では注意が必要です。
- オ(正): サフラン(Crocus sativus・クロッカスの雌しべ)は血行促進・鎮痛・女性ホルモン様作用を持つとされる生薬です。通常量の婦人薬では問題ありませんが、大量摂取では子宮収縮を促進するリスクがあり、妊婦には使用を避けるべきとされています。
【痔の病態と外用薬成分の選択戦略】
痔は病態によって適切な治療成分が異なります:
1. 内痔核(静脈叢の拡張・脱出): 出血が主症状→血管収縮成分(テトラヒドロゾリン・エフェドリン)・収れん成分(タンニン酸・酸化亜鉛)・止血成分(トロンビン)が有効
2. 外痔核(肛門外側の腫脹・疼痛): 痛み・炎症が主症状→ステロイド(抗炎症)・局所麻酔(疼痛緩和)が有効
3. 裂肛(肛門の亀裂・疼痛): 疼痛・出血→局所麻酔(疼痛緩和)・血管収縮・創傷治癒促進成分(ビタミンE・アラントイン等)
4. 痔瘻(管状の瘻孔): OTC薬での対応は困難→外科的治療が必要。登録販売者が受診を勧める場面。
【ステロイド外用薬(ヒドロコルチゾン酢酸エステル)の特殊性】
肛門周囲(直腸粘膜含む)でのステロイド外用薬の特性:
- 皮膚よりも粘膜(直腸)の方がステロイドの吸収率が高い
- 長期使用で視床下部-下垂体-副腎皮質軸(HPA軸)の抑制が生じる可能性(全身性副作用)
- 局所的には皮膚萎縮・毛細血管拡張・創傷治癒遅延・感染誘発
- 感染を伴う場合(細菌・真菌・ウイルス)は使用禁忌(感染を増悪させる)
登録販売者の判断基準: ステロイド含有痔薬を2週間以上使用しても改善しない、または症状が悪化する場合は医師受診を勧奨。出血量が多い・血液が混じる等の場合は直腸がん・大腸がんとの鑑別が必要なため早急な受診を勧める。
【婦人薬の成分と更年期症状への科学的エビデンス】
OTC婦人薬の主な適応:
- 月経困難症(月経痛・月経不順)
- 更年期症状(のぼせ・冷え・いらいら・不眠)
- 産前産後の神経症状
更年期に対するOTC婦人薬の成分と作用根拠:
| 成分 | 作用 | エビデンスレベル |
|---|---|---|
| ダイズイソフラボン(ゲニステイン等) | エストロゲン受容体への弱い結合→エストロゲン様作用 | 一部の更年期症状改善(ホットフラッシュ)に有効の報告あり |
| センキュウ(川芎) | 活血作用(血行促進)・鎮痛 | 漢方医学的根拠。プロスタグランジン抑制との報告 |
| トウキ(当帰) | 補血・鎮痛・平滑筋弛緩(子宮) | フタリド類による子宮弛緩・鎮痛(動物実験) |
| サフラン | クロシン(色素成分)が抗酸化・鎮痛・神経保護 | 気分改善・抗うつ様作用の報告あり |
妊婦への注意が必要な生薬(婦人薬): サフラン・センキュウ・ダイオウ・ボタンピ(牡丹皮)等は子宮収縮・月経誘発作用が知られており、妊婦が誤用した場合に流早産のリスクがあります。登録販売者は妊娠中・妊娠の可能性のある女性への販売に際してこれらの成分を確認する必要があります。
【月経前症候群(PMS)とOTC薬の役割】
PMSは月経前3〜10日間に現れる身体的・精神的症状(乳房痛・浮腫・腹痛・頭痛・イライラ・抑うつ等)で、排卵後のプロゲステロン優位期に生じます。OTC薬での対処:
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン・イブプロフェン): 月経痛・頭痛への対症療法
- 抗ヒスタミン薬(一部): 浮腫・皮膚症状へ
- 婦人薬(複合製剤): 複数の症状を総合的に改善
重症PMSや月経前不快気分障害(PMDD)はOTC薬では対応困難で、医師(婦人科)受診が必要です。登録販売者は「毎月つらい」「日常生活に支障が出る」等の相談に対して受診勧奨ができる判断力が求められます。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第9節・第16節
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ「ダイズイソフラボン等の植物性エストロゲン様成分はOTC婦人薬に含まれない(食品扱い)」は誤り=医薬品成分としてOTC婦人薬に配合される製品があり一意に誤りで正答ウ確定。ア=痔ステロイド長期使用で感染リスク・期間注意で正、イ=リドカイン局所麻酔・アレルギー注意で正、エ=テトラヒドロゾリン等アドレナリン作動成分は血管収縮で高血圧/心疾患/糖尿病注意で正、オ=サフランは子宮収縮様作用で妊婦大量使用回避で正。サフランの妊婦は手引き「相談すること」(禁忌断定でない)に合わせstandardテーブルを「妊婦は相談(大量使用回避)」へ修正。健康被害リスクなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第9節「痔の薬」・第16節「婦人薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。