問題
痔(痔核・裂肛)に使用する外用薬および婦人薬に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(誤っているもの)です。
エチニルエストラジオールは人工的に合成された女性ホルモンの一種ですが、妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要があります。「妊婦でも使用できる」という記述は誤りです。
ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。痔の外用薬にはステロイド性抗炎症成分・局所麻酔成分・アドレナリン作動成分等が配合されており、それぞれの成分ごとに注意事項(長期連用を避ける・アレルギー・基礎疾患)があります。婦人薬のサフランは、鎮静、鎮痛のほか、滞っている月経を促す作用を期待して用いられます。
痔の外用薬の主な配合成分:
| 成分カテゴリ | 代表成分 | 作用 | 主な注意 |
|---|---|---|---|
| ステロイド性抗炎症成分 | ヒドロコルチゾン酢酸エステル・プレドニゾロン酢酸エステル | 肛門部の炎症・痒みを和らげる | 坐剤・注入軟膏では含有量によらず長期連用を避ける |
| 局所麻酔成分 | リドカイン・アミノ安息香酸エチル・ジブカイン塩酸塩 | 痛み・痒みを和らげる | 坐剤・注入軟膏でまれにショック(アナフィラキシー) |
| アドレナリン作動成分 | テトラヒドロゾリン塩酸塩・メチルエフェドリン塩酸塩・ナファゾリン塩酸塩 | 血管収縮作用による止血 | メチルエフェドリン塩酸塩配合の坐剤・注入軟膏は心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能障害の人は相談 |
| 収斂保護止血成分 | タンニン酸・酸化亜鉛 | 粘膜表面に不溶性の膜を形成→保護・止血 | ― |
| 殺菌消毒成分 | セチルピリジニウム塩化物・クロルヘキシジン塩酸塩 | 局所の感染を防止 | ― |
婦人薬の主な配合成分:
| 成分 | 期待される作用 | 注意 |
|---|---|---|
| エチニルエストラジオール・エストラジオール(女性ホルモン成分) | エストラジオールを補充 | 妊婦又は妊娠していると思われる女性・母乳を与える女性は使用を避ける。長期連用で血栓症のおそれ |
| サフラン・コウブシ | 鎮静、鎮痛、滞っている月経を促す | ― |
| センキュウ・トウキ・ジオウ | 血行改善、血色不良・冷えの緩和、強壮・鎮静・鎮痛 | ― |
各選択肢の解説:
- ア(正): ステロイド性抗炎症成分は、痔による肛門部の炎症や痒みを和らげる成分です。外用のステロイド性抗炎症成分は末梢組織の免疫機能を低下させる作用も示し、細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染の副作用が現れることがあります。坐剤及び注入軟膏では、その含有量によらず長期連用を避ける必要があります。
- イ(正): リドカインは、知覚神経に作用して刺激の神経伝導を可逆的に遮断する局所麻酔成分で、痔に伴う痛み・痒みを和らげます。リドカインが配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがあります。他の医薬品でアレルギーの既往歴がある人は、一般にアレルギー性の副作用を生じるリスクが高く、使用の適否について慎重な判断がなされるべきとされています。
- ウ(誤・正答): エチニルエストラジオールは、エストラジオールを補充する人工的に合成された女性ホルモンの一種です。妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要があります(使用上の注意では「してはいけないこと」)。「妊婦でも使用できる」は誤りです。
- エ(正): 痔の外用薬には、血管収縮作用による止血効果を期待してアドレナリン作動成分が配合されることがあります。メチルエフェドリン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏は、交感神経系への刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等にも影響を生じることが考えられ、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、使用前に相談がなされるべきとされています。
- オ(正): サフラン(アヤメ科のサフランの柱頭を基原とする生薬)は、コウブシとともに、鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して婦人薬に配合されます。日本薬局方収載のサフランを煎じて服用する製品は、冷え症及び血色不良に用いられます。
【痔の病態と外用痔疾用薬】
痔は、肛門付近の血管がうっ血し、肛門に負担がかかることによって生じる肛門の病気の総称で、主な病態は痔核、裂肛、痔瘻です。
1. 内痔核: 歯状線より上部の直腸粘膜にできた痔核。直腸粘膜には知覚神経が通っていないため自覚症状が少なく、排便時に脱肛、出血等の症状が現れます。
2. 外痔核: 歯状線より下部の肛門の出口側にできた痔核。排便と関係なく、出血や患部の痛みを生じます。
3. 裂肛(切れ痔): 肛門の出口からやや内側の上皮に傷が生じた状態。
4. 痔瘻: 肛門腺窩に糞便の滓が溜まって炎症・化膿を生じた状態。
外用痔疾用薬は、痔核(いぼ痔)又は裂肛(切れ痔)による痛み、痒み、腫れ、出血等の緩和、患部の消毒を目的とする坐剤、軟膏剤(注入軟膏を含む。)又は外用液剤です。坐剤及び注入軟膏では、成分の一部が直腸粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあるため、配合成分によっては注意が必要です。選択肢ア(ステロイド性抗炎症成分の長期連用)、イ(局所麻酔成分のショック)、エ(メチルエフェドリン塩酸塩と基礎疾患)は、いずれもこの「坐剤・注入軟膏は全身に影響しうる」という考え方とつながっています。
【ステロイド性抗炎症成分の注意】
- 外用では末梢組織(患部局所)の炎症を抑える一方、末梢組織の免疫機能を低下させる作用も示し、細菌、真菌、ウイルス等による皮膚感染の副作用が現れることがあります。
- 水痘(水疱瘡)、みずむし、たむし等又は化膿患部については、症状を悪化させるおそれがあり、使用を避ける必要があります。
- 痔疾用の坐剤及び注入軟膏では、その含有量によらず長期連用を避ける必要があります。
【婦人薬の対象と女性ホルモン成分】
婦人薬は、月経及び月経周期に伴って起こる症状を中心として、女性に現れる特有な諸症状の緩和と保健を主たる目的とする医薬品で、血の道症、更年期障害、月経異常及びそれらに随伴する冷え症、月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ等に用いられます。月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするものは月経前症候群と呼ばれます。
女性ホルモン成分(エチニルエストラジオール、エストラジオール)の注意:
- 膣粘膜又は外陰部に適用されるものがあり、適用部位から吸収されて循環血液中に移行します。
- 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要があります(選択肢ウ)。
- 吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが考えられ、母乳を与える女性では使用を避けるべきとされています。
- 長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まるおそれもあるため、継続して使用する場合には医療機関の受診を促すべきとされています。
【婦人薬の生薬成分と併用の注意】
- サフラン、コウブシ: 鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用(選択肢オ)
- センキュウ、トウキ、ジオウ: 血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用
- ダイオウを含有する婦人薬は、妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳婦における使用に留意が必要です(腸の薬の項を参照)。
内服の婦人薬は複数の生薬成分が配合されている場合が多く、他の婦人薬や生薬成分を含む医薬品(鎮静薬、胃腸薬、内用痔疾用薬、滋養強壮保健薬、漢方処方製剤等)と併用すると、同じ生薬成分又は同種の作用を示す生薬成分が重複摂取となり、効き目が強すぎたり副作用が起こりやすくなるおそれがあります。「痔の薬」と「更年期障害の薬」は影響し合わないという誤った認識をされることもあるため、専門家が適宜注意を促すことが重要です。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-1「痔の薬」・Ⅵ「婦人薬」
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅴ-1「痔の薬」・Ⅵ「婦人薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

