第3章 主な医薬品とその作用12主な医薬品とその作用(アレルギー用薬・内服)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問12:主な医薬品とその作用(アレルギー用薬・内服)

アレルギー性鼻炎に用いる内服アレルギー薬・鼻炎薬の成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • プソイドエフェドリン塩酸塩は抗ヒスタミン成分として鼻水・くしゃみに作用し、副交感神経系への作用で鼻粘膜の充血を改善する。
  • フェキソフェナジン塩酸塩は第1世代抗ヒスタミン薬に分類され、強い眠気が生じるため自動車の運転は禁止とされている。
  • プソイドエフェドリン塩酸塩を含む内服鼻炎薬は、甲状腺機能亢進症・高血圧・前立腺肥大症の人には使用に注意が必要である。正答
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩は抗ヒスタミン成分であるが、抗コリン作用がないため、緑内障や前立腺肥大症の人でも安全に使用できる。
  • ステロイド成分(プレドニゾロン等)は内服のアレルギー薬として一般用医薬品に広く配合されており、花粉症の内服薬として日常的に使用できる。
正答:プソイドエフェドリン塩酸塩を含む内服鼻炎薬は、甲状腺機能亢進症・高血圧・前立腺肥大症の人には使用に注意が必要である。

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正答はウです。

プソイドエフェドリン塩酸塩は交感神経を刺激する成分(アドレナリン作動薬)であり、血管収縮によって鼻粘膜の充血・腫脹を改善します。ただし交感神経刺激作用(血圧上昇・心拍増加)から、甲状腺機能亢進症・高血圧・前立腺肥大症・糖尿病の人への使用は禁忌または要注意です。

アは誤りで、プソイドエフェドリンは抗ヒスタミン成分ではなく交感神経刺激成分です。イは誤りで、フェキソフェナジンは第2世代(眠気少ない)です。エは誤りで、ジフェンヒドラミンには強い抗コリン作用があります。オは誤りで、内服ステロイドはOTCとして一般には使用されません。

標準試験対策の基準レベル

内服鼻炎薬・アレルギー薬の成分分類と特性:

| 成分 | 分類 | 作用 | 特記事項 |

|---|---|---|---|

| クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 第1世代抗ヒスタミン | H1遮断→鼻水・くしゃみ抑制 | 眠気強・運転禁止・抗コリン作用あり |

| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 第1世代抗ヒスタミン | H1遮断 | 眠気最強・抗コリン強い・緑内障禁忌 |

| ロラタジン・フェキソフェナジン | 第2世代抗ヒスタミン | H1遮断(選択的) | 眠気少ない・抗コリン弱 |

| プソイドエフェドリン塩酸塩 | 交感神経刺激 | α作用→血管収縮→鼻閉改善 | 高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大禁忌 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): プソイドエフェドリン塩酸塩は抗ヒスタミン成分ではなく、アドレナリン作動(交感神経刺激)成分です。α受容体刺激による鼻粘膜血管収縮が主な作用機序で、副交感神経ではなく交感神経系への作用です。
  • イ(誤): フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラFX等)は第2世代抗ヒスタミン薬で、中枢神経系への移行が少なく眠気が少ない特徴があります。眠気が少ないため一部の製品は「服用後の運転は各自判断」とされている場合もありますが、個人差があり完全に眠気がないとは言えません。「第1世代・眠気強い」は誤りです。
  • ウ(正): プソイドエフェドリン塩酸塩はエフェドリン類似の交感神経刺激成分で、α・β受容体に作用します。甲状腺機能亢進症(交感神経亢進を増悪)・高血圧(血圧さらに上昇)・心臓病(心負荷増大)・糖尿病(血糖上昇・インスリン分泌変化)・前立腺肥大による排尿困難(尿道・膀胱頸部収縮→排尿困難悪化)の人は使用に注意が必要です。手引き・OTC添付文書ではこれらの基礎疾患の人は「してはいけないこと(服用しないこと)」の対象として明示されており(15歳未満も服用不可)、「注意」よりさらに強い"服用回避"の取り扱いである点を押さえておくと確実です。
  • エ(誤): ジフェンヒドラミン塩酸塩は第1世代抗ヒスタミン薬の中でも特に強い抗コリン作用を持ちます。このため緑内障(眼圧上昇)・前立腺肥大症(排尿困難悪化)の人への使用は禁忌です。「抗コリン作用がない」「安全に使用できる」は誤りです。
  • オ(誤): 内服ステロイド薬(プレドニゾロン等)は副腎皮質ホルモン製剤であり、免疫抑制・抗炎症作用が強い一方で、長期・高用量使用で感染症誘発・骨粗鬆症・糖尿病悪化・副腎機能抑制等の重篤な副作用があります。OTC医薬品として一般用には販売されておらず、花粉症に内服ステロイドを日常的に使用することは医師管理下でのみ行われます(OTCでは外用ステロイド点鼻薬が一部あり)。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【プソイドエフェドリンとフェニルプロパノールアミン:歴史的規制の背景】

プソイドエフェドリン(pseudoephedrine: PSE)はエフェドリンの立体異性体で、α1受容体刺激による鼻粘膜血管収縮が主作用です。かつてOTC鼻炎薬にはフェニルプロパノールアミン(PPA)が広く配合されていましたが、PPAは高用量使用・女性での出血性脳卒中リスクが報告され、2003年に日本でも自主回収・販売停止となりました。現在はPSEが代替として使用されていますが、PSEもメタンフェタミン合成の前駆物質として乱用問題があり(いわゆる「コンタック事件」)、購入時の本人確認・購入量制限が行われています。

【第1世代vs第2世代抗ヒスタミン:血液脳関門通過性の違いの分子的背景】

抗ヒスタミン薬の中枢移行性(眠気の強さ)は以下の物理化学的性質で決まります:

| 性質 | 第1世代(クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン等) | 第2世代(フェキソフェナジン・ロラタジン・セチリジン等) |

|---|---|---|

| 脂溶性 | 高い | 低い(フェキソフェナジン等は両親媒性) |

| 血液脳関門通過 | 容易(受動拡散) | 困難(P-糖タンパク等の能動輸送で脳から排出) |

| 中枢H1受容体占有率 | 高い(眠気強) | 低い(眠気少) |

| 抗コリン作用 | 強い | 弱い |

特にフェキソフェナジンはP-糖タンパク(MDR1)の基質であり、脳毛細血管内皮細胞のP-gpによって能動的に脳外へ排出されるため中枢移行が少ない。これがフェキソフェナジンの「眠気が少ない」機序の中心です。

【鼻炎スプレー(局所用)vs内服薬の使い分け】

アレルギー性鼻炎の治療薬には内服と鼻腔内局所投与があります:

1. 内服抗ヒスタミン薬: 全身のアレルギー症状(皮膚・眼・鼻全般)に有効。ただし眠気(第1世代)・口渇等の全身副作用。

2. 鼻腔内ステロイドスプレー(OTC存在): 鼻粘膜局所への抗炎症作用が強い。全身副作用が少ない。鼻閉・鼻漏の両方に有効。花粉症の最も推奨されるOTC治療の一つ(欧米ガイドラインでは第一選択)。

3. 鼻腔内血管収縮薬スプレー(プソイドエフェドリン・ナファゾリン等): 即効性で鼻閉を改善。しかし連続3〜5日以上使用で薬剤性鼻炎(反跳性鼻閉:使用中止で鼻閉悪化)が生じる→短期使用限定。

【プソイドエフェドリンの前立腺肥大禁忌の機序】

前立腺肥大症では前立腺が尿道を圧迫し、元々排尿が困難な状態です。プソイドエフェドリンのα1受容体刺激作用は尿道括約筋・膀胱頸部の平滑筋を収縮させます。これが既存の排尿困難(尿道圧迫)に重なり、急性尿閉(尿が全く出なくなる)を誘発する可能性があります。

同様の機序で、抗コリン作用のある第1世代抗ヒスタミン薬(膀胱排尿筋弛緩→排尿困難)も前立腺肥大症では禁忌です。つまり前立腺肥大症の患者には:

  • 第1世代抗ヒスタミン薬:禁忌(抗コリン作用)
  • プソイドエフェドリン:禁忌(α1刺激→尿道収縮)
  • 第2世代抗ヒスタミン薬(抗コリン作用の少ないもの):相対的に安全だが確認要

登録販売者は「前立腺肥大症がある」「排尿が困難」という申告を受けた場合に、含まれる成分を確認して適切な製品を案内または受診を勧めることが重要です。

【スポーツドーピングとの関連】

プソイドエフェドリンはWADA(世界アンチ・ドーピング機関)の禁止物質リストに一定濃度(尿中150μg/mL)以上で競技会時禁止物質として掲載されています。スポーツをする人が市販のかぜ薬・鼻炎薬(PSE含有)を服用するとドーピング違反になる可能性があります。登録販売者はアスリートへの販売時にこのリスクを情報提供する義務があります(プロアマ問わず)。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第4節・第8節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(プソイドエフェドリンは甲状腺機能亢進症・高血圧・前立腺肥大等に使用注意)は正しく一意確認。プソイドエフェドリンはOTC添付文書/手引きで前立腺肥大による排尿困難・心臓病・高血圧・甲状腺機能障害・糖尿病・緑内障の人が「してはいけないこと(服用しないこと)」+15歳未満不可。設問ウは「注意が必要」で正しい記述だが、解説を"手引きでは服用回避(してはいけないこと)対象"とより正確に精密化した。ア=プソイドは交感神経刺激成分で抗ヒスタミンでなく誤り、イ=フェキソフェナジンは第2世代で誤り、エ=ジフェンヒドラミンは抗コリン作用強く緑内障/前立腺肥大に禁忌(してはいけないこと)で誤り、オ=内服ステロイドはOTC不使用で誤り。正答ウ一意・健康被害リスクなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第4節「アレルギー用薬」・第8節「鼻に用いる薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

内服アレルギー薬・鼻炎薬の成分と禁忌頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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