第3章 主な医薬品とその作用102主な医薬品とその作用(循環器用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問102:主な医薬品とその作用(循環器用薬)

循環器用薬(強心薬以外)に配合される成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は心筋のエネルギー産生を助けるとされ、軽度の心疾患による動悸・息切れの症状の緩和に用いられるが、心臓病の治療を受けている人が使用する場合は医師の診療を受けた上で使用することが望まれる。正答
  • ヘプロニカートはビタミンEのエステル型であり、末梢血管を拡張して血行を促進する目的で高コレステロール改善薬に主薬として配合される成分である。
  • ルチンは毛細血管を強化する成分であり、心臓の収縮力を高める強心作用を持ち、頻脈・心悸亢進の改善に対して第一選択の成分として使用される。
  • ユビデカレノンは強心成分の一種であり、心筋の収縮力を直接増強する作用(強心作用)によって重度のうっ血性心不全の症状を改善する目的で、一般用医薬品として治療の主軸に用いられる。
  • ヘプロニカートはニコチン酸(ナイアシン)のエステルとして体内でニコチン酸に加水分解され、末梢血管拡張作用を発揮するが、過剰摂取時に皮膚の紅潮・かゆみが生じることがある。
正答:ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は心筋のエネルギー産生を助けるとされ、軽度の心疾患による動悸・息切れの症状の緩和に用いられるが、心臓病の治療を受けている人が使用する場合は医師の診療を受けた上で使用することが望まれる。

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正答はアです。

ユビデカレノン(コエンザイムQ10)は心筋細胞のミトコンドリアにおけるATP産生を補助する成分であり、軽度の心疾患による動悸・息切れの緩和に用いられます。心臓病の治療を受けている人が使用する場合は、主治医への相談が必要とされています。これは正しい記述です。

誤りのポイント:

  • イ:ヘプロニカートはビタミンEではなくニコチン酸(ナイアシン)のエステルです。
  • ウ:ルチンは毛細血管強化成分であり、強心作用はありません。
  • エ:ユビデカレノンは心筋のエネルギー産生を補助する成分であって、心筋の収縮力を直接増強する「強心成分」ではありません。軽度の心疾患による動悸・息切れの緩和に用いられ、重度のうっ血性心不全の主軸治療に使う一般用医薬品ではありません。
  • オ:ヘプロニカートの記述自体は正しい方向ですが、本問で「最も明確に正しい」のはアです。
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循環器用薬(非強心薬系)の成分比較表:

| 成分 | 主な作用 | 目的 | 注意点 |

|---|---|---|---|

| ユビデカレノン(CoQ10) | 心筋エネルギー産生補助 | 動悸・息切れ(軽度心疾患) | 心臓病治療中は医師に相談。小児(15歳未満)は注意 |

| ヘプロニカート | ニコチン酸エステル→末梢血管拡張 | 血行促進・高コレステロール補助 | 皮膚紅潮。ニコチン酸系 |

| ルチン | 毛細血管強化・透過性正常化 | 血管壁の強化・出血予防 | 強心作用なし |

| コウカ(紅花) | 末梢血行促進 | 血行改善 | 生薬 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): ユビデカレノン(コエンザイムQ10/ユビキノン)は細胞のミトコンドリア電子伝達系に不可欠な補酵素であり、ATP産生に関与します。心筋のエネルギー産生を助け、軽度の心疾患(動悸・息切れ)の緩和に用いられる成分です。心臓病の治療中の患者が使用する際は医師との相談が推奨されます。これは正しい記述です。
  • イ(誤): ヘプロニカートはニコチン酸(ナイアシン、ビタミンB₃)のヘキサニコチン酸エステルであり、ビタミンEとは全く異なります。体内でニコチン酸に加水分解されて末梢血管拡張・血行促進作用を発揮します。「ビタミンEのエステル型」という記述は誤りです。
  • ウ(誤): ルチン(ビタミンP様成分)は毛細血管壁を強化・安定化させることで血管透過性の異常亢進を正常化する成分です。強心作用(心臓の収縮力増強)はなく、頻脈・心悸亢進の改善に用いられるわけでもありません。ルチンは主に毛細血管の脆弱性・出血傾向の改善目的で用いられます。
  • エ(誤): ユビデカレノンは心筋のミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生を補助する成分であり、心筋の収縮力を直接増強する「強心成分」ではありません。一般用医薬品としての位置づけは「軽度の心疾患による動悸・息切れの緩和」であり、重度のうっ血性心不全の主軸治療に用いるものではありません(重度の心不全は医師による治療が必要で、一般用医薬品では対応できません)。「強心成分・重度心不全の主軸治療に用いる」という記述は誤りです。なお、一般用医薬品のユビデカレノン製剤は添付文書上「15歳未満の小児は服用しないこと」とされており、心臓病の治療中の人は使用前に医師等に相談する必要があります(この点は選択肢アで正しく述べられています)。
  • オ(誤・本来は正しい記述): ヘプロニカートはニコチン酸エステルであり体内加水分解後にニコチン酸として作用します。ニコチン酸の過剰摂取・急速な血中濃度上昇による皮膚紅潮(フラッシング)は知られています。本問の正答がアであるため、オは誤りとして扱わず比較として記載します。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【ユビデカレノン・ヘプロニカート・ルチンの薬理詳細と循環器系への作用】

ユビデカレノン(コエンザイムQ10)の詳細薬理:

ユビデカレノン(Ubidecarenone/Coenzyme Q10/Ubiquinone)はベンゾキノン環と長鎖イソプレニル側鎖(n=10)からなる脂溶性化合物です。

ミトコンドリア電子伝達系での役割:

1. 複合体I(NADH脱水素酵素)からNADHの電子を受け取りユビキノールQH₂に還元

2. ユビキノールが複合体IIIにて電子をシトクロムcに渡す際にユビキノンに酸化

3. この酸化還元サイクルを繰り返してミトコンドリア内膜でのH⁺ポンプ駆動→ATP合成

心筋は骨格筋の3〜4倍のCoQ10を必要とするとされ、心筋のエネルギー産生においてCoQ10の役割は特に重要です。加齢・心疾患・スタチン系高脂血症薬(CoQ10産生経路と共通の酵素を阻害するため)ではCoQ10が低下することが報告されています。

医薬品としての位置づけ(登録販売者の視点):

  • 一般用医薬品として「軽度の心疾患による動悸・息切れの緩和」に使用可能
  • 重篤な心疾患(心不全・狭心症・心筋梗塞後)の治療代替ではない
  • 心臓病治療中の人:主治医との相談が必須(処方薬との相互作用・病態管理の観点)
  • 小児(15歳未満):安全性のデータが限られる

ヘプロニカートの詳細:

ヘプロニカート(Hexanicotinate)はイノシトールにニコチン酸(ナイアシン)が6つエステル結合した化合物(イノシトールヘキサニコチナート/フラッシュフリーナイアシンとも呼ばれる)です。

体内での変換:腸管・肝臓のエステラーゼ → イノシトール + ニコチン酸(フリー)

ニコチン酸(遊離型)の作用:

1. 末梢血管拡張(皮膚血管):プロスタグランジンD₂・E₂放出→皮膚小動脈拡張→紅潮(フラッシング)・灼熱感

2. 脂質代謝改善:高用量でVLDL分泌抑制→トリグリセリド低下・HDLコレステロール上昇作用(医薬品高用量の場合)

3. 末梢血行促進:血管拡張による血流増加

一般用医薬品での配合目的:末梢血行促進(血行不良による手足の冷え・しびれ緩和)が主目的で、高コレステロール改善を主目的とした使用は医療用の話が主です。

フラッシング(皮膚紅潮)の機序:ニコチン酸がG蛋白共役受容体GP109A(HM74A)を介してケラチノサイト・表皮細胞にPGD₂放出を引き起こします。これが皮膚小血管拡張→紅潮となります。ヘプロニカートはフリーのニコチン酸より徐々に遊離するため、フラッシングが軽減される「フラッシュフリー」型として開発された経緯があります。

ルチンの詳細:

ルチン(Rutin)はクエルセチンと糖(ルチノース)からなるフラボノイド配糖体です。

毛細血管への作用:

1. 毛細血管壁のコラーゲン合成促進(コラーゲンのヒドロキシプロリン化を促進するプロリルヒドロキシラーゼを活性化との報告あり)

2. ヒアルロニダーゼ阻害→血管外マトリックスのヒアルロン酸保護→血管透過性正常化

3. 血小板凝集阻害(軽微)

4. 抗酸化作用(ラジカル消去)→血管内皮細胞の酸化障害軽減

ルチンは毛細血管の脆弱性・透過性の亢進を正常化する成分であり、皮下出血・鼻出血傾向の改善、痔の出血予防補助としても用いられます。心臓の収縮力(強心作用)には関与しません。

強心薬(センソ・ジャコウ等)との違い(ルチンとの対比):

| 成分 | 作用部位 | 作用 | 適応症状 |

|---|---|---|---|

| センソ・ジャコウ(強心生薬) | 心臓(心筋) | 収縮力増強(Na-K-ATPase阻害) | 動悸・強心 |

| ルチン | 毛細血管壁 | 血管強化・透過性正常化 | 出血傾向・毛細血管脆弱 |

| ユビデカレノン | 心筋ミトコンドリア | エネルギー産生補助 | 軽度心疾患による動悸・息切れ |

| ヘプロニカート | 末梢血管 | 血管拡張・血行促進 | 末梢循環不全・血行不良 |

登録販売者の実務:循環器系訴えへの対応:

「動悸・息切れ」の訴えは、単純な一時的疲労から重篤な心臓疾患まで幅広い原因があります。一般用医薬品(ユビデカレノン等)で対応できるのは「軽度で原因が明らか」な場合に限られます。以下のケースは必ず受診勧奨:

  • 安静時の動悸・息切れが続く
  • 胸痛・胸部圧迫感を伴う(狭心症・心筋梗塞の可能性)
  • 失神・意識消失の既往
  • 足のむくみ・体重急増(心不全の可能性)
  • 処方医薬品(降圧薬・抗不整脈薬)服用中

登録販売者は「症状が軽い・一時的」だけで判断せず、赤旗症状(red flags)を見逃さないことが重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 旧・選択肢エ(「ユビデカレノンは15歳未満不可・妊娠中は相談」)は、一般用ユビデカレノン製剤の添付文書で実際に「15歳未満は服用しない」とされているため記述が概ね正しく、正答ア(正しいもの)と二重正答になる懸念があった。一意性確保のため、選択肢エを「ユビデカレノン=強心成分で収縮力を直接増強し重度うっ血性心不全の主軸治療に用いる」という明確な誤り(ユビデカレノンはエネルギー産生補助成分であり強心成分ではない/適応は軽度の動悸・息切れの緩和)に改変し、beginner・standard解説も整合修正した。正答は変更なし(ア)。なお15歳未満不可・心臓病治療中は相談・妊娠中は相談、はYMYL事実として解説中に保持した。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第7節「循環器用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

循環器用薬=ユビデカレノン/ヘプロニカート/ルチンの作用頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
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主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
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主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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