登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問114:主な医薬品とその作用(外皮用薬・いぼ・うおのめ・たこ用薬)
いぼ・うおのめ・たこの特徴と用いる薬剤に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アうおのめ(鶏眼)は、特定の部位に継続的な圧迫・摩擦が加わることで角質が局所的に肥厚したもので、中心に角質の「芯(核)」が形成されて神経を圧迫し、強い痛みを引き起こす。
- イたこ(胼胝)はうおのめと同じく角質の肥厚であるが、たこには「芯(核)」がなく、比較的広い面積で均一に肥厚し、痛みは軽度かないことが多い。
- ウいぼ(疣贅)には、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与しているものがあり、接触感染により広がることがある。市販のいぼ薬はサリチル酸によってウイルスを直接殺傷する。正答
- エサリチル酸を含むうおのめ・たこ用パッチ(絆創膏型)は、患部以外の正常な皮膚には直接触れないよう適切なサイズを選んで貼付する必要がある。
- オいぼ・うおのめ・たこ用薬を使用しても改善が見られない場合や、患部が拡大する場合は医師・薬剤師に相談し、受診を検討することが推奨される。
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正答はウ(誤っているもの)です。
いぼ(疣贅)にはHPV感染が関与するものがありますが、市販のサリチル酸製剤は「ウイルスを直接殺傷する」のではありません。サリチル酸はいぼの角質(ウイルスが増殖している角質層)を溶解・軟化して物理的に角質を除去することで、ウイルスが存在する表層を剥がすことを補助します。抗ウイルス薬ではなく角質除去薬です。
正しい記述のポイント:
- ア(正): うおのめ=角質肥厚+芯あり→痛みがある。
- イ(正): たこ=角質肥厚だが芯なし→痛みは軽度。
- エ(正): サリチル酸パッチは正常皮膚への接触を避けてサイズを選ぶ。
- オ(正): 改善なし・拡大→受診勧奨が必要。
ゴロ:「うおのめ=芯あり・痛い、たこ=芯なし・痛くない」
いぼ・うおのめ・たこの鑑別と用薬の比較:
| 疾患名 | 原因 | 外観の特徴 | 痛み | 好発部位 | 用いる薬・治療 |
|---|---|---|---|---|---|
| うおのめ(鶏眼:Heloma/Clavus) | 圧迫・摩擦(靴ずれ等) | 丸い角質増殖・中央に透明な芯(核) | 強い(神経圧迫) | 足趾・足底の荷重部位 | サリチル酸製剤(角質軟化・除去) |
| たこ(胼胝:Callus) | 圧迫・摩擦(広い面積) | 広い面積の均一な角質増殖 | 軽度〜なし | 足底・手のひら・特定圧迫部位 | サリチル酸製剤・保湿(角質軟化) |
| 普通いぼ(尋常性疣贅:Verruca vulgaris) | HPV(1・2・4型が多い) | 境界明瞭な角化性丘疹・点状出血 | 通常なし | 手・指・足 | サリチル酸(角質除去)・液体窒素(皮膚科) |
| 扁平いぼ(扁平疣贅) | HPV(3・10型) | 平坦な褐色丘疹 | なし | 顔・手の甲 | 皮膚科受診推奨 |
| 足裏いぼ(足底疣贅:Verruca plantaris) | HPV | 深い・点状出血・痛み | 強い(うおのめと混同しやすい) | 足底 | 皮膚科受診推奨(市販薬では難しい) |
各選択肢の解説:
- ア(正): うおのめ(鶏眼)は靴の締め付け・継続的な圧迫・摩擦によって生じる角質増殖疾患です。特徴は圧迫部位の中央に透明な「芯(核:角質の栓)」が形成されること。この芯が皮膚の深部の神経を圧迫して、歩行時に強い痛み(刺す・つるような感覚)を引き起こします。
- イ(正): たこ(胼胝)もうおのめと同様に圧迫・摩擦が原因ですが、より広い面積に均一に加わる力で生じます。芯の形成はなく、角質が比較的均一に肥厚します。痛みはうおのめと比べて軽度で、圧迫時に違和感程度のことが多いです。
- ウ(誤): HPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関与するいぼに対して、市販のサリチル酸製剤はウイルスを直接殺傷するわけではありません。サリチル酸は角質溶解作用でいぼの表面の角質層を少しずつ除去・剥脱することで、長期継続使用によりウイルスが存在する組織を削ぎ落とすことを目指します。抗ウイルス作用(ウイルス複製阻害・直接殺傷)はありません。なお、HPV感染いぼの根治的治療は皮膚科での液体窒素凍結療法・内服薬(ヨクイニン:ハトムギ種皮エキス等)が有効です。
- エ(正): うおのめ・たこ用の高濃度サリチル酸パッチ(絆創膏型製剤)は、サリチル酸が正常皮膚に接触すると健康な角質まで溶解・損傷させるため、患部のサイズにぴったり合ったものを選び、正常皮膚に貼らないよう注意が必要です。
- オ(正): いぼ・うおのめ・たこ用薬を適切に使用しても2〜3週間以上改善がない場合、または患部が増大・拡大する場合、足底いぼ(疣贅)疑い、疼痛が強い場合等は皮膚科への受診を勧奨します。特に糖尿病・末梢血管障害を持つ人では、角質疾患の悪化が壊疽につながるリスクがあるため積極的に受診を促します。
【HPVの病態・疣贅(いぼ)の分類・うおのめと足底疣贅の鑑別・治療選択の深掘り】
ヒトパピローマウイルス(HPV)と疣贅の病態:
HPVは二本鎖DNAウイルス(パピローマウイルス科)で、200種類以上の型が知られています。
疣贅(いぼ)に関与する主なHPV型:
| HPV型 | 関連する疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| HPV 1型 | 足底疣贅(深型:足底の深いいぼ) | 強い痛み・点状出血が特徴。うおのめとの鑑別が重要 |
| HPV 2・4型 | 尋常性疣贅(普通いぼ) | 手・指に多い。モザイク疣贅も関与 |
| HPV 3・10型 | 扁平疣贅 | 顔・手の甲の平坦な丘疹 |
| HPV 6・11型 | 尖圭コンジローマ | 性器・肛門周囲(ハイリスクではない) |
| HPV 16・18型 | 子宮頸がん・口咽頭がん等 | 高リスク型(イボとは別病態) |
HPVの感染経路と潜伏:
- 微小な皮膚・粘膜の傷口から侵入→基底細胞に感染
- 潜伏期:1ヶ月〜数ヶ月(場合によっては1年以上)
- 角化細胞の分化に伴い増殖→表皮の上層でウイルスが大量複製・粒子放出
- 接触感染(プール・銭湯の床等)・自家接種(爪で引っかいて広げる)
うおのめ(鶏眼)vs 足底疣贅の鑑別の重要性:
臨床上、最も鑑別が重要で難しい組み合わせは「うおのめと足底疣贅」です。
| 鑑別ポイント | うおのめ(鶏眼) | 足底疣贅(HPV感染) |
|---|---|---|
| 外観 | 中央に透明な芯(角質の栓) | 中央に点状出血(黒点:血管増生) |
| 表面の紋理(皮紋) | 皮紋は中断せず芯を避ける | 皮紋が消失している(ウイルスで皮紋が乱れる) |
| 痛み | 直接圧迫で強い痛み | 側方からつまむと痛い |
| 好発部位 | 荷重部(腸骨付近・足底第一中足骨頭等) | 足底全体・踵・足趾の非荷重部にも出現 |
| 感染性 | なし | あり(HPV感染) |
登録販売者の対応:
- 足底の病変は目視のみでは鑑別困難なことがある
- サリチル酸製剤使用前に、疣贅か鶏眼かの確認が重要(疣贅なら感染防止の観点からも医師受診が望ましい)
- 糖尿病・末梢血管障害がある人は足底の病変に対して必ず受診勧奨
市販サリチル酸製剤の疣贅への作用(抗ウイルスではなく角質除去)の正確な理解:
サリチル酸の作用:
- 角質層のコルネオデスモシン分解促進→角質剥脱
- ウイルスが増殖している角質細胞(コルネオサイト)を少しずつ除去
- 継続使用でウイルスを含む角質層が次第に薄くなる→免疫系がウイルスと接触しやすくなる
- 免疫細胞(CD8+T細胞等)がHPV感染細胞を認識・排除→ウイルスが除去される
つまり「サリチル酸が直接ウイルスを殺す」のではなく「角質を除去することで免疫系が働ける環境を作る」という間接的な機序です。
有効率:
- サリチル酸外用(市販製剤含む):約70〜80%(長期使用・継続が必要)
- 液体窒素凍結療法(皮膚科):約60〜80%(1〜3回で効果が出ることが多い)
ヨクイニン(薏苡仁:ハトムギ種皮)の疣贅への効果:
ヨクイニン(Coix seed)はイネ科ハトムギの種皮(薬用部位)から得られる生薬で、疣贅(いぼ)の内服治療薬として使われます。
作用機序(推定):
- 薏苡仁エキスの免疫賦活作用(NK細胞・マクロファージ活性化)
- HPV感染細胞への免疫応答を増強
- 直接の抗ウイルス作用ではなく、免疫系を通じた間接的な効果
登録販売者が販売できる範囲:
- 内服ヨクイニン製剤(第2類・第3類医薬品):疣贅・皮膚のあれ等に
- サリチル酸外用製剤(第2類医薬品):いぼ・うおのめ・たこに
登録販売者の現場での疣贅・うおのめ・たこ対応のまとめ:
| 購入者状況 | 推奨対応 |
|---|---|
| 手・足のいぼ(HPV疑い)・拡大傾向なし | サリチル酸外用薬を勧める+1〜2ヶ月で改善なければ受診勧奨 |
| 足底のいぼ(うおのめとの鑑別不明) | 受診推奨(鑑別が必要) |
| 顔・陰部のいぼ | 市販薬でなく受診推奨(顔面は傷跡リスク・陰部は性器疣贅の可能性) |
| うおのめ・たこ(明確な機械的刺激の原因がある) | サリチル酸パッチ・液剤を勧める+靴・歩き方の改善を指導 |
| 糖尿病・末梢血管障害のある人のいぼ・うおのめ | 必ず受診推奨(壊疽リスク・感染リスク) |
| いぼが急速に増加・全身に広がる | 受診推奨(免疫低下・全身疾患の可能性) |
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第13節「外皮用薬」(いぼ・うおのめ・たこ用薬) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。