問題
いぼ・うおのめ・たこの特徴と用いる薬剤に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はア(誤っているもの)です。
いぼ(疣贅)にはHPV感染が関与するものがありますが、市販のサリチル酸製剤は「ウイルスを直接殺傷する」のではありません。サリチル酸は角質成分を溶かして角質を軟らかくする「角質軟化薬」です。厚労省の手引きも、いぼに用いる角質軟化薬について「いぼの原因となるウイルスに対する抑制作用はなく」と明記しています。
正しい記述のポイント:
- ウ(正): うおのめ=角質肥厚+芯あり→痛みがある。
- イ(正): たこ=角質肥厚だが芯なし→痛みは軽度。
- エ(正): サリチル酸パッチは正常皮膚への接触を避けてサイズを選ぶ。
- オ(正): 改善なし・拡大→受診勧奨が必要。
ゴロ:「うおのめ=芯あり・痛い、たこ=芯なし・痛くない」
いぼ・うおのめ・たこの鑑別と用薬の比較:
| 疾患名 | 原因 | 外観の特徴 | 痛み | 好発部位 | 用いる薬・治療 |
|---|---|---|---|---|---|
| うおのめ(鶏眼:Heloma/Clavus) | 圧迫・摩擦(靴ずれ等) | 丸い角質増殖・中央に透明な芯(核) | 強い(神経圧迫) | 足趾・足底の荷重部位 | サリチル酸製剤(角質軟化・除去) |
| たこ(胼胝:Callus) | 圧迫・摩擦(広い面積) | 広い面積の均一な角質増殖 | 軽度〜なし | 足底・手のひら・特定圧迫部位 | サリチル酸製剤・保湿(角質軟化) |
| 普通いぼ(尋常性疣贅:Verruca vulgaris) | HPV(1・2・4型が多い) | 境界明瞭な角化性丘疹・点状出血 | 通常なし | 手・指・足 | サリチル酸(角質除去)・液体窒素(皮膚科) |
| 扁平いぼ(扁平疣贅) | HPV(3・10型) | 平坦な褐色丘疹 | なし | 顔・手の甲 | 皮膚科受診推奨 |
| 足裏いぼ(足底疣贅:Verruca plantaris) | HPV | 深い・点状出血・痛み | 強いことがある(たこ・うおのめと間違えやすい) | 足底 | 皮膚科受診推奨(市販薬では難しい) |
各選択肢の解説:
- ウ(正): うおのめ(鶏眼)は靴の締め付け・継続的な圧迫・摩擦によって生じる角質増殖疾患です。特徴は圧迫部位の中央に透明な「芯(核:角質の栓)」が形成されること。この芯が皮膚の深部の神経を圧迫して、歩行時に強い痛み(刺す・つるような感覚)を引き起こします。
- イ(正): たこ(胼胝)もうおのめと同様に圧迫・摩擦が原因ですが、より広い面積に均一に加わる力で生じます。芯の形成はなく、角質が比較的均一に肥厚します。痛みはうおのめと比べて軽度で、圧迫時に違和感程度のことが多いです。
- ア(誤): HPV(ヒトパピローマウイルス)感染が関与するいぼに対して、市販のサリチル酸製剤はウイルスを直接殺傷するわけではありません。手引きはサリチル酸を「角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す」成分とし、いぼに用いる角質軟化薬について「いぼの原因となるウイルスに対する抑制作用はなく」と明記しています。ウイルスを殺す薬ではなく、いぼの硬い角質を軟らかくする薬です。いぼが広範囲にわたって生じたり、外陰部や肛門周囲に生じた場合は、医師の診療を受けるなどの対応が必要です(手引き)。
- エ(正): うおのめ・たこ用の高濃度サリチル酸パッチ(絆創膏型製剤)は、サリチル酸が正常皮膚に接触すると健康な角質まで溶解・損傷させるため、患部のサイズにぴったり合ったものを選び、正常皮膚に貼らないよう注意が必要です。
- オ(正): いぼ・うおのめ・たこ用薬を適切に使用しても改善がない場合、または患部が増大・拡大する場合、足底いぼ(疣贅)疑い、疼痛が強い場合等は皮膚科への受診を勧奨します。特に糖尿病・末梢血管障害を持つ人では、角質疾患の悪化が壊疽につながるリスクがあるため積極的に受診を促します。
【HPVの病態・疣贅(いぼ)の分類・うおのめと足底疣贅の鑑別・治療選択の深掘り】
ヒトパピローマウイルス(HPV)と疣贅の病態:
HPVは二本鎖DNAウイルス(パピローマウイルス科)で、200種類以上の型が知られています。
疣贅(いぼ)に関与する主なHPV型:
| HPV型 | 関連する疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| HPV 1型 | 足底疣贅(深型:足底の深いいぼ) | 強い痛み・点状出血が特徴。うおのめとの鑑別が重要 |
| HPV 2・4型 | 尋常性疣贅(普通いぼ) | 手・指に多い。モザイク疣贅も関与 |
| HPV 3・10型 | 扁平疣贅 | 顔・手の甲の平坦な丘疹 |
| HPV 6・11型 | 尖圭コンジローマ | 性器・肛門周囲(ハイリスクではない) |
| HPV 16・18型 | 子宮頸がん・口咽頭がん等 | 高リスク型(イボとは別病態) |
HPVの感染経路と潜伏:
- 微小な皮膚・粘膜の傷口から侵入→基底細胞に感染
- 潜伏期:1ヶ月〜数ヶ月(場合によっては1年以上)
- 角化細胞の分化に伴い増殖→表皮の上層でウイルスが大量複製・粒子放出
- 接触感染(プール・銭湯の床等)・自家接種(爪で引っかいて広げる)
うおのめ(鶏眼)vs 足底疣贅の鑑別の重要性:
臨床上、最も鑑別が重要で難しい組み合わせは「うおのめと足底疣贅」です。
| 鑑別ポイント | うおのめ(鶏眼) | 足底疣贅(HPV感染) |
|---|---|---|
| 外観 | 中央に透明な芯(角質の栓) | 中央に点状出血(黒点:血管増生) |
| 表面の紋理(皮紋) | 皮紋は中断せず芯を避ける | 皮紋が消失している(ウイルスで皮紋が乱れる) |
| 痛み | 直接圧迫で強い痛み | 側方からつまむと痛い |
| 好発部位 | 圧迫や摩擦が繰り返しかかる部位(足底の荷重部・足趾など) | 足底全体・踵・足趾の非荷重部にも出現 |
| 感染性 | なし | あり(HPV感染) |
登録販売者の対応:
- 足底の病変は目視のみでは鑑別困難なことがある
- サリチル酸製剤使用前に、疣贅か鶏眼かの確認が重要(疣贅なら感染防止の観点からも医師受診が望ましい)
- 糖尿病・末梢血管障害がある人は足底の病変に対して必ず受診勧奨
市販サリチル酸製剤の疣贅への作用(抗ウイルスではなく角質除去)の正確な理解:
手引き(第3章Ⅹ 3)(a) 角質軟化成分)の記述:
- サリチル酸:「角質成分を溶解することにより角質軟化作用を示す」。あわせて抗菌、抗真菌、抗炎症作用も期待され、にきび用薬や毛髪用薬(ふけ)に配合されている場合もある
- イオウ:皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることにより、角質軟化作用を示す
- いぼに用いる角質軟化薬は「いぼの原因となるウイルスに対する抑制作用はなく」、いぼが広範囲にわたる場合や外陰部・肛門周囲に生じた場合は医師の診療を受けるなどの対応が必要
- ウイルス性のいぼは1〜2年で自然寛解することが多い
つまり、サリチル酸製剤はいぼの硬い角質を軟らかくして取り除きやすくする薬で、ウイルスそのものに効く薬ではありません。
制度上の区分(手引き):
うおのめ・たこ用の角質軟化薬のうち、配合成分や濃度があらかじめ定められた範囲内の製品は医薬部外品(うおのめ・たこ用剤)として製造販売されていますが、いぼに用いる製品は医薬品としてのみ認められています。「いぼにも使える」とうたう製品は医薬品です。
ヨクイニン(薏苡仁):
手引き(第3章ⅩⅢ 滋養強壮保健薬 3)(e))は、ヨクイニンを「イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる」と説明しています。「種皮」ではなく「種皮を除いた種子」が基原である点に注意してください。手引きには、ヨクイニンがいぼに効く仕組みについての記載はありません。
登録販売者の現場での疣贅・うおのめ・たこ対応のまとめ:
| 購入者状況 | 推奨対応 |
|---|---|
| 手・足のいぼ(HPV疑い)・拡大傾向なし | いぼに使える医薬品のサリチル酸外用薬を勧める+使っても改善しなければ受診勧奨 |
| 足底のいぼ(うおのめとの鑑別不明) | 受診推奨(鑑別が必要) |
| 顔・陰部のいぼ | 市販薬でなく受診推奨(顔面は傷跡リスク・陰部は性器疣贅の可能性) |
| うおのめ・たこ(明確な機械的刺激の原因がある) | サリチル酸パッチ・液剤を勧める+靴・歩き方の改善を指導 |
| 糖尿病・末梢血管障害のある人のいぼ・うおのめ | 必ず受診推奨(壊疽リスク・感染リスク) |
| いぼが急速に増加・全身に広がる | 受診推奨(免疫低下・全身疾患の可能性) |
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月一部改訂)第3章Ⅹ「皮膚に用いる薬」3)(a) 角質軟化成分/ⅩⅢ「滋養強壮保健薬」3)(e) ヨクイニン 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。

