登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問30|鎮暈薬

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

乗物酔い防止薬(鎮暈薬)の成分に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(誤っているもの)です。

メクリジン塩酸塩は乗物酔い防止薬の成分ですが、作用発現が比較的遅い(効果発現まで時間がかかる)という特性を持ちます。「15〜30分で効果が出る事後服用型」という記述が誤りで、乗車前の服用が適切です。

乗物酔い防止薬の基本:

  • 乗車30分〜1時間前に服用が基本(予防的に使う)
  • 吐き気が強くなってからでは吸収が悪くなるため遅い

各成分の特徴を整理:

  • ジフェニドール:内耳+抗ヒスタミン
  • スコポラミン:抗コリン・中枢作用
  • ジメンヒドリナート:抗ヒスタミン・眠気あり
  • メクリジン:抗ヒスタミン・効果発現遅め

鎮暈薬(乗物酔い防止薬)の成分比較:

成分名分類作用部位・機序特徴・注意点
塩酸ジフェニドール内耳前庭機能調節薬内耳前庭機能抑制+弱い抗ヒスタミンめまい・吐き気に有効。緑内障・前立腺肥大注意
スコポラミン臭化水素酸塩抗コリン薬(三級アミン)前庭核・嘔吐中枢のムスカリン受容体遮断BBB通過・中枢作用あり。排尿困難・緑内障は使用前に相談
ジメンヒドリナート抗ヒスタミン薬延髄嘔吐中枢・前庭のH₁受容体遮断眠気あり・運転禁忌。ジフェンヒドラミンテオクル酸塩
メクリジン塩酸塩抗ヒスタミン薬延髄嘔吐中枢・前庭のH₁受容体遮断効果発現がやや遅い・持続時間は長い

各選択肢の解説:

  • ア(正): 塩酸ジフェニドールは内耳の平衡感覚調節(前庭機能抑制)と弱い抗ヒスタミン作用により乗物酔いのめまい・吐き気に効果的です。緑内障や前立腺肥大への注意が必要な成分でもあります。
  • イ(正): スコポラミンは三級アミン構造のため血液脳関門(BBB)を通過できる抗コリン薬です。脳幹の嘔吐中枢(延髄の孤束核・迷走神経背側核複合体)や前庭神経核のムスカリン受容体を遮断して制吐・前庭機能抑制効果を発揮します。
  • ウ(正): ジメンヒドリナートはジフェンヒドラミンとテオクル酸の塩(ジフェンヒドラミンテオクル酸塩)で、抗ヒスタミン薬として中枢鎮静・制吐効果を持ちます。服用後は眠気が生じるため自動車・機械の運転は避けるべきです。
  • エ(誤・正答): メクリジン塩酸塩は作用発現が比較的遅く、持続時間が長い抗ヒスタミン系鎮暈薬です。症状が出てからの事後服用には向いておらず、乗車前に予防的に服用することが基本です。「15〜30分で効果が出る事後服用型」という記述は誤りです。
  • オ(正): 乗物酔い防止薬は消化管吸収に一定の時間が必要で、また強い吐き気・嘔吐がある状態では胃腸の動きが低下して吸収が遅くなります。乗車30分〜1時間前の服用が推奨されます。

【乗物酔い(動揺病)の病態生理と各薬剤の作用点】

動揺病(乗物酔い)の発生機序:

動揺病は感覚間の不一致(sensory conflict)によって引き起こされます:

1. 感覚入力の不一致:

- 視覚(目から見える静止した車内)vs 前庭感覚(三半規管・耳石器が感知する加速・振動)の不一致

- 小脳での統合エラー→延髄嘔吐中枢の活性化

2. 神経経路:

- 前庭神経(VIII神経)→前庭神経核→嘔吐中枢(延髄最後野・孤束核核複合体)

- 同時に、前庭神経核から小脳(虫部)を介したフィードバック

- 最後野(Area postrema):BBBがない化学受容器引き金帯(CTZ)と近接→全身性の薬物(嘔気誘発物質)にも感受性

3. 神経伝達物質:

- ヒスタミン(H₁):前庭経路の主要伝達物質

- アセチルコリン(M₁):迷走神経求心路・嘔吐中枢

- ドパミン(D₂):CTZ

- セロトニン(5-HT₃):消化管求心路・CTZ

塩酸ジフェニドールの薬理の詳細:

ジフェニドールの主要作用機序:

1. 内耳前庭機能直接抑制: 半規管・耳石器からの過剰な求心性インパルスを抑制(非特異的膜安定化)

2. 弱い抗ヒスタミン(H₁)作用: 前庭→嘔吐中枢経路のヒスタミン伝達を部分的に抑制

3. 弱い抗コリン作用: 消化管求心路のアセチルコリン伝達を補助的に抑制

緑内障・前立腺肥大への注意の根拠:弱い抗コリン作用により、これらの疾患が悪化する可能性があるため。

スコポラミンの中枢作用と末梢作用の比較(ブチルスコポラミンとの違い):

比較項目スコポラミン(三級アミン)ブチルスコポラミン(四級アンモニウム)
BBB通過性あり(脂溶性・中枢作用)ない(末梢作用に限定)
主な用途鎮暈薬・術前投薬胃腸鎮痙薬
中枢副作用鎮静・記憶障害(高用量)ほぼなし
乗物酔い有効性高い(中枢前庭核作用)低い(末梢のみ)

スコポラミンのパッチ製剤(海外では耳後部貼付剤として使用)は72時間の持続効果で長距離旅行に有効ですが、日本のOTCでは経口形が主体。

メクリジンの薬理特性と発現遅延の機序:

メクリジン(Meclizine)の特性:

  • 第一世代抗ヒスタミン薬(ピペラジン系)
  • 親油性が高く組織への分布が大きい(分布容積が大)→吸収後の最高血中濃度到達時間(Tmax)が遅い
  • 半減期:約6時間(ジフェンヒドラミン約9時間と類似)
  • 特徴:眠気が他の抗ヒスタミン薬より少ない(相対的に)

→ 「作用発現が遅い・持続が長い」の機序は大きな分布容積による血中濃度の緩やかな上昇にある。

乗物酔い防止薬の服用タイミングの薬物動態的根拠:

薬剤Tmax(目安)推奨服用タイミング
スコポラミン約30〜60分乗車30〜60分前
ジメンヒドリナート約1〜2時間乗車60分前
ジフェニドール約1〜2時間乗車30〜60分前
メクリジン約2〜3時間乗車2時間前

吐き気・嘔吐発症後に服用する場合の問題点:

  • 消化管運動低下→薬物の胃内滞留→吸収遅延・不確実
  • 既に悪心が強い場合は坐剤・注射(医療機関)の方が吸収経路が安定

登録販売者のカウンセリングポイント:

1. 必ず乗車前30分〜1時間(成分により異なる)に服用するよう指導

2. 服用後は自動車・機械の運転を避ける(ジメンヒドリナート・ジフェンヒドラミン)

3. 緑内障・前立腺肥大の人にはジフェニドール・スコポラミンの注意を説明

4. 小児(3歳未満)へは医師相談を必須とする

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-5「鎮暈薬(乗物酔い防止薬)」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-5「鎮暈薬(乗物酔い防止薬)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。