第4章 薬事関係法規・制度46薬事関係法規・制度(許可取消・処分手続)

登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問46:薬事関係法規・制度(許可取消・処分手続)

行政庁による許可の取消し・業務停止と処分手続に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 薬局開設者・店舗販売業者等に対して許可の取消しを行う場合には、あらかじめ当該処分を受ける者に対して聴聞を行う機会を与えなければならない。
  • 業務停止命令は、許可の取消しより軽微な処分であり、一定期間の業務を停止させる命令である。
  • 行政庁は、薬機法に違反する行為があった場合、直ちに許可の取消しを行わなければならず、業務改善命令や業務停止命令という段階を経る必要はない。正答
  • 聴聞とは、行政処分を行う前に処分を受ける者に対して、自己に有利な事実を述べ、証拠を提出する機会を与えるための手続きである。
  • 弁明の機会の付与は、聴聞より簡略な手続きとして設けられており、比較的軽微な処分(業務停止等)の場合に利用されることがある。
正答:行政庁は、薬機法に違反する行為があった場合、直ちに許可の取消しを行わなければならず、業務改善命令や業務停止命令という段階を経る必要はない。

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正答はウ(誤っているもの)です。

薬機法に違反する行為があったからといって、行政庁が「直ちに許可の取消しを行わなければならない」とする規定はありません。行政処分は違反の重大性・継続性・業者の改善意欲等を考慮して段階的に行われることが原則です。まず業務改善命令・業務停止命令を行い、改善されない場合に許可取消しという段階を経るのが通常の行政実務です。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。聴聞は許可取消し等の重大処分の前に行う手続きであり、弁明の機会は比較的軽微な処分の前に行う簡略手続きです。

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行政処分の種類と段階(重大な順):

| 処分の種類 | 内容 | 処分前手続き |

|---|---|---|

| 許可の取消し | 販売業許可そのものを取り消す(最も重い処分) | 聴聞 |

| 業務停止命令 | 一定期間の業務停止を命じる | 弁明の機会の付与(または聴聞) |

| 業務改善命令 | 業務の方法を改善するよう命じる | 弁明の機会の付与(比較的簡略) |

行政手続法上の「聴聞」と「弁明の機会の付与」の比較:

| 手続き | 対象処分 | 内容 |

|---|---|---|

| 聴聞 | 許可の取消し等の重大な不利益処分 | 当事者が出頭して口頭で意見を述べる機会・文書で証拠提出が可能 |

| 弁明の機会の付与 | 比較的軽微な不利益処分 | 書面での弁明が主体。聴聞より簡略 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 許可取消しのような重大な不利益処分の前には聴聞の機会が与えられます。行政手続法の原則に沿った正しい記述です。
  • イ(正): 業務停止命令は許可取消しより軽い処分です。一定期間の業務停止で、違反の程度に応じて期間が設定されます。
  • ウ(誤): 違反があれば即座に許可取消しという規定はありません。行政処分は比例原則(処分の重さが違反の重大性に比例する)に基づき、段階的に行われます。まず改善命令・停止命令で改善を促し、改善されない場合に許可取消しへと進むのが通常です。
  • エ(正): 聴聞の目的として正しい記述です。処分を受ける者が自己に有利な事実・証拠を行政庁に示せる機会です。
  • オ(正): 弁明の機会の付与は聴聞より簡略な手続きとして、比較的軽微な処分(業務停止等)の際に用いられます。正しい記述です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【行政処分手続きの制度趣旨と法的根拠】

薬機法上の行政処分(許可取消し・業務停止・業務改善命令等)は、薬機法の規定に加えて、行政手続法(1993年施行)の適用を受けます。行政手続法は、行政処分を行う際に処分を受ける者の権利を保護するための手続き的保障(聴聞・弁明の機会等)を定めた法律です。

行政処分の「比例原則」:

行政法の基本原則として「比例原則」があります。これは「行政処分の重さは、違反の重大性・危険性に比例するべき」という原則です。薬機法違反に対する処分においても、この原則が適用されます:

  • 軽微な違反: まず業務改善命令で改善を促す
  • 中程度の違反・改善なし: 業務停止命令で一定期間の営業停止
  • 重大な違反・再犯・改善の意欲なし: 許可取消しという最終手段

「直ちに許可取消し」という対応は、余程重大な事案(詐欺的行為・故意の大量無許可販売等)でない限り、実務上は採られません。

聴聞手続きの具体的プロセス:

許可取消し前に行われる聴聞の手続き(行政手続法に基づく概要):

1. 通知: 行政庁が処分を受ける者に対して、処分の内容・根拠・日時・場所を書面で通知する

2. 資料閲覧: 処分を受ける者は、聴聞前に行政庁が保有する関係資料を閲覧する権利がある

3. 聴聞当日: 処分を受ける者(または代理人)が出頭し、口頭で意見を述べる・証拠を提出する

4. 聴聞調書の作成: 聴聞の内容を記録した調書が作成され、行政庁の処分決定の参考にされる

5. 処分決定: 行政庁は聴聞の結果を踏まえて処分の可否・内容を決定する

弁明の機会の付与との違い:

| 比較点 | 聴聞 | 弁明の機会の付与 |

|---|---|---|

| 対象処分 | 許可取消し等の重大処分 | 業務停止等の比較的軽微な処分 |

| 手続きの場 | 対面(聴聞期日に出頭) | 書面が主体(原則として出頭不要) |

| 資料閲覧権 | あり | 行政庁の裁量による |

| 手続きの主宰 | 聴聞主宰者(行政庁が指名) | なし(書面審理が基本) |

許可取消しの実体的要件:

薬機法上、許可取消しが可能な事由としては(概要):

  • 薬機法またはその命令に違反した場合
  • 許可を受けた後、正当な理由なく相当の期間にわたり業務を行わない場合
  • 許可要件に適合しなくなった場合
  • 不正な手段で許可を取得した場合

等が挙げられます。

行政処分と刑事罰の関係:

行政処分(許可取消し・業務停止等)は行政上の措置であり、刑事罰(懲役・罰金等)とは独立した手続きで行われます。同一の違反行為に対して、行政処分と刑事罰の双方が課される場合もあります(二重処罰の問題は、行政処分は「制裁」ではなく「秩序維持措置」として整理されているため、憲法上の二重処罰禁止には抵触しないと解されています)。

登録販売者として知っておくべき実務的意義:

登録販売者が勤務する店舗が行政処分を受けた場合:

1. 業務停止命令が発せられた場合、その期間中は医薬品の販売業務が停止される

2. 許可が取り消された場合、当該店舗での医薬品販売はできなくなる

3. 管理者・従業者として法令遵守を徹底することで、行政処分のリスクを回避することが重要

行政庁(都道府県・保健所等)による立入検査・監視指導への協力義務と、改善命令への迅速な対応が求められます。

【根拠】薬機法(許可取消し・業務停止命令・業務改善命令の規定)、行政手続法(聴聞・弁明の機会の付与)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節「医薬品の適正販売のための規制等」(許可取消・業務停止・聴聞) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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