登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問35:医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の各項目の内容)
一般用医薬品の添付文書における「効能又は効果」および「用法及び用量」に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア「効能又は効果」の記載は、一般の生活者が自ら判断できる症状(「頭痛」「発熱」「鼻水」等)を対象に記載されており、「○○の治療」や「○○病に対する治療」等の疾患名ではなく、自覚症状の表現で記載されることが基本である。
- イ「用法及び用量」には、服用する量・回数・間隔のほか、「食後に服用すること」などの服用タイミングの指示が含まれる場合があり、記載された用量を超えて使用してはならない。
- ウ一般用医薬品は、添付文書に記載された「効能又は効果」の範囲を超えた適応症(例えば添付文書に記載のない疾患)に対して使用することができ、用量も医師の指示に従えば添付文書の記載を超えることができる。正答
- エ添付文書の「用法及び用量」に「15歳以上」と記載されている製品は、15歳未満の者への使用が想定されていないことを示し、15歳未満の者が使用する場合は医師の診察を受けることが必要である。
- オ「効能又は効果」の記載内容は、医師の診断・処方なしに消費者が自ら適応の判断ができる範囲に限られており、医療用医薬品と一般用医薬品では同一成分でも適応範囲が異なることがある。
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正答(誤っている選択肢)はウです。
一般用医薬品は、添付文書に記載された「効能又は効果」の範囲内でのみ使用することが前提であり、記載範囲を超えた適応症への使用は許可されていません。また「用量を医師の指示で超えることができる」という概念も、一般用医薬品には適用されません(医師が一般用医薬品を処方するという行為は一般的には行われません)。ウは完全に誤った記述です。
アは一般用医薬品の「効能又は効果」が自覚症状の表現で記載されるという正しい説明。イは用法・用量の遵守義務についての正確な説明。エは「15歳以上」表記の意味の説明(正確)。オは一般用・医療用の適応範囲の違いについての正確な記述です。
添付文書「効能又は効果」「用法及び用量」の記載原則と解釈:
| 項目 | 一般用医薬品の基本原則 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 効能又は効果 | 自覚症状の表現(「頭痛」「発熱」等)で記載 | 疾患名(「高血圧」等)では記載しない |
| 用法及び用量 | 服用量・回数・間隔・タイミングを明記 | 記載を超えた使用は不可 |
| 使用の限界 | 記載範囲内のみ使用可 | 医師・薬剤師の指示でも範囲外使用は不可 |
| 年齢制限 | 年齢区分ごとの用量を明記 | 対象外年齢への使用は医師の診察が必要 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 一般用医薬品は消費者が自らの症状を判断して購入・使用するものです。そのため「効能又は効果」は「頭痛・発熱・悪寒」「鼻水・鼻詰まり」などの自覚症状を基に記載されます。医師の診断を要する「○○病の治療」のような疾患名での記載は行われません。
- イ(正): 「用法及び用量」は薬事承認において設定された条件であり、これを遵守することが安全な使用の前提です。食後・食前・就寝前などの服用タイミング指示も用法の一部として記載されます。
- ウ(誤): 一般用医薬品は「承認された効能・効果の範囲」かつ「承認された用法・用量」でのみ使用可能です。医師の指示であっても添付文書の範囲を超えた使用は一般用医薬品の制度上想定されていません(医師が処方する場合は医療用医薬品を使用します)。この選択肢が誤りです。
- エ(正): 用法・用量の年齢区分(「15歳以上」「7歳以上15歳未満は半量」等)は承認された使用対象を示します。対象外年齢(例:15歳未満への「15歳以上」製品の使用)は安全性が確認されていないため、医師の診察のうえで判断されるべきです。
- オ(正): 同一成分でも医療用医薬品と一般用医薬品では適応症が異なります。医療用では専門医の診断・管理下での使用が前提のため、より広い適応が認められている場合があります。一般用は消費者の自己判断使用が前提のため適応範囲が限定されます。
【「効能又は効果」「用法及び用量」の法的位置づけと添付文書の構造的理解】
添付文書は医薬品医療機器等法(薬機法)第52条に基づく法定文書であり、製品の承認条件の一部です。その記載内容は厚生労働省の承認審査を経て設定されており、製造販売業者が任意に変更することはできません。
1. 「効能又は効果」の法的意義と一般用医薬品固有の特性
医療用医薬品の「効能・効果」:医師の診断を前提とした疾患名・病態名での記載
一般用医薬品の「効能・効果」:消費者が自ら判断できる症状・状態の記載
この違いは、一般用医薬品が「セルフメディケーション」を前提とした制度設計になっているためです。消費者は添付文書の「効能又は効果」を読んで、自身の症状に合致するかどうかを自己判断します。
「効能又は効果」の解釈上の重要原則:
1. 限定解釈の原則: 記載された効能・効果のみが使用の根拠となる(拡大解釈禁止)
2. 症状の自覚性: 消費者が自ら確認・判断できる症状(体温計で確認できる「発熱」等)に限定
3. 疾患名の回避: 「高血圧の治療」「糖尿病の治療」等、医師の診断が必要な疾患名は一般用医薬品の効能・効果に記載できない
適応症のセルフメディケーション適合性の評価(承認審査での考慮事項):
- 消費者が自ら症状を認識・判断できるか
- 医師による診断・治療が必要な疾患ではないか
- 一般用での使用が安全に行えるか(副作用の重篤性・頻度)
2. 「用法及び用量」の構成要素と法的拘束力
「用法及び用量」は以下の要素から構成されます:
- 投与経路: 経口・外用(皮膚・点眼・点鼻等)・直腸内等
- 用量(1回量): 年齢区分別の具体的な量
- 用法(服用頻度・間隔): 「1日3回」「8時間以上あけて」等
- 服用タイミング: 「食後」「食前」「就寝前」「空腹時を避けて」等
- 投与期間の制限: 「5〜6回服用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師等に相談すること」等
これらはすべて承認審査において設定された条件であり、添付文書に記載された内容の遵守が法的・安全上の義務となります。
3. 承認範囲外使用(Off-label Use)と一般用医薬品の関係
医療の現場では「適応外使用(off-label use)」として医師が承認外の疾患・用量で薬を使用することがあります(例:小児への成人用薬の適応外使用)。しかしこれは:
- 医師が医療専門家としての判断と責任において行う
- 医療用医薬品を用いる
- 患者の同意を得た上で実施する
一般用医薬品では、このような「医師の承認外使用」の概念は適用されません。消費者が自己判断で添付文書外の使用をすることは:
- 安全性が確保されていない使用
- 製造販売業者の責任外の使用
- 薬機法上も問題になりうる使用
となります。
4. 同一成分での医療用・一般用の効能・効果の違い(例)
| 成分 | 医療用の適応 | 一般用の効能・効果 |
|---|---|---|
| イブプロフェン | 慢性関節リウマチ・変形性関節症・痛風等 | 頭痛・歯痛・生理痛・発熱等(自覚症状)|
| ジフェンヒドラミン | アレルギー性鼻炎・蕁麻疹等(医師処方) | 蕁麻疹・ ものもらい・じんましんに伴う皮膚症状(一般用は限定的)|
| ロキソプロフェン | 各種疼痛・発熱(医師処方) | 頭痛・月経痛・腰痛・咽頭痛(2011年から第1類OTC)|
同一成分でも、医療用は医師管理下での広範な適応、一般用は自己判断可能な症状範囲に限定されます。
5. 添付文書の「効能又は効果」「用法及び用量」を読む際の登録販売者の実務ポイント
1. 購入者への効能・効果の確認: 「お客様の症状はこの製品の効能に該当していますか?」を一緒に確認
2. 受診勧奨ラインの明確化: 添付文書に記載のない症状・重篤な症状は受診勧奨
3. 用法・用量の重点説明: 特に1日の最大服用量・服用間隔・連続使用日数の制限を明確に伝える
4. 添付文書への誘導: 「添付文書にも詳しく書いてありますので、ご購入後もご確認ください」
登録販売者は消費者と医薬品の間の「橋渡し役」として、添付文書の法的意義を理解した上で情報提供を行う義務があります。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(一般用医薬品は承認された効能効果・用法用量の範囲内でのみ使用可。医師指示で範囲外使用=誤り)で一意確定。効能効果は自覚症状表現で記載・疾患名は不可、用法用量遵守、15歳以上表記の意味、医療用と一般用の適応範囲差はいずれも手引きと整合。事実誤認なし。出典: 厚労省 手引き第5章第1節、薬機法第52条。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(効能又は効果・用法及び用量の記載) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。