電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 電力 問9|送電(架空送電線路)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,コロナ損に関する記述である。送電線に高電圧が印加され, (ア) がある程度以上になると,電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。コロナ放電の発生を抑えるには,電線の実効的な直径を (イ) するために (ウ) する,線間距離を (エ) する,などの対策がとられている。コロナ放電は,気圧が (オ) なるほど起こりやすくなる。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 2
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解説

電験三種「電力」のコロナ損に関する空欄補充問題(令和5年度上期 問9)。正答は(2)です。

送電線に高電圧がかかり電線表面の電界強度がある限度を超えると、電線周囲の空気が絶縁破壊してコロナ放電が起こり、コロナ損という電力損失が生じます。これを抑えるには、電線の実効的な直径を大きくするために多導体化(複数の素導体を束ねる)し、線間距離を大きくします。また気圧が低くなるほど空気の絶縁耐力が下がりコロナは起こりやすくなります。よって(ア)電線表面の電界強度(イ)大きく(ウ)多導体化(エ)大きく(オ)低くとなり、正答は(2)です。

【コロナ放電発生の条件と対策】(令和5年度上期 問9)

(ア) コロナ放電が発生するかどうかを決めるのは、電線に流れる電流密度ではなく、電線「表面の電界強度」です。電圧が高いほど、また電線が細いほど表面の電界強度が高くなり、ある限界値(コロナ臨界電圧に相当する電界強度)を超えると空気の絶縁破壊(コロナ放電)が起こります。

(イ)(ウ) 電線の実効的な直径を「大きく」することで、同じ電圧でも表面の電界強度を下げられます。実際に電線そのものを太くすると重量・コストが増えるため、複数の細い素導体を間隔をあけて束ねる「多導体化」によって、実効的な直径を見かけ上大きくする方法が広く用いられます。

(エ) 電線間の距離(線間距離)を「大きく」することでも、隣接する電線同士の電界の重なりが減り、表面の電界強度を抑えられます。

(オ) 気圧が「低く」なるほど、空気分子の密度が下がって絶縁破壊に必要な電界強度(絶縁耐力)が下がるため、同じ電圧でもコロナ放電が起こりやすくなります。高地の送電線でコロナ対策がより重要になるのはこのためです。

したがって(ア)電線表面の電界強度(イ)大きく(ウ)多導体化(エ)大きく(オ)低くの組合せである(2)が正答です。

【コロナ損のメカニズムと多導体方式の効果】(令和5年度上期 問9)

コロナ放電は、電線表面近傍の電界強度が空気の絶縁破壊電界(気温・気圧・湿度で変動)を超えたときに、電線周囲の空気分子が部分的に電離してわずかな放電(コロナ)が生じる現象です。この放電によって電力の一部が熱・光・音(コロナ特有のジージーという音)として失われるのがコロナ損で、送電電圧が高いほど、また電線が細いほど発生しやすくなります。

多導体方式(1相あたり複数の素導体をスペーサで一定間隔に束ねる方式)は、このコロナ対策として超高圧送電線で広く採用されています。素導体を束ねることで、1本の太い電線と比べて実質的な導体表面積(=等価直径)を大きくでき、同じ電圧でも電線表面の電界強度を下げられます。さらに多導体方式には、各素導体のインダクタンスが並列合成されて線路全体のインダクタンスが下がり、送電容量(安定度限界)を高められる副次的な効果もあります。一方で、素導体間に生じる空力的な不安定(サブスパン振動)への対策として、スペーサの設計・配置が重要になります。

線間距離(相間距離)を広げることも、隣接する相の電線が作る電界が重なり合って局所的に電界が強まる効果を抑える点で有効ですが、鉄塔の腕金(アーム)を長くする必要があり、建設コストとのバランスで決まります。気圧の影響は、標高の高い山岳地帯を通過する送電線で特に重要な設計要素で、同じ公称電圧でも高地ほどコロナ損失・コロナ雑音(無線障害)が増加するため、電線サイズや多導体の素導体数を手厚くする設計が行われます。

誤答の作り方も確認しておきます。(1)(3)の「電流密度」は電線の発熱(抵抗損)に関わる量で、コロナの発生条件ではありません。(1)(3)(4)の「単導体化」は等価直径を小さくする方向で、コロナを増やします((3)(4)は(イ)も「小さく」で逆向きです)。(5)は線間距離を「小さく」・気圧が「高く」と、いずれも逆の向きになっています。(ア)を電界強度、(イ)(ウ)(エ)を「電界強度を下げる向き」、(オ)を「空気の絶縁耐力が下がる向き」とそろえて考えると、(2)だけが一貫しています。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。