電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度下期 電力 問4|発電(原子力発電)

問題

電験三種 | 電力 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,原子炉の型と特性に関する記述である。 軽水炉は, (ア) を原子燃料とし,冷却材と (イ) に軽水を用いた原子炉であり,我が国の商用原子力発電所に広く用いられている。この軽水炉には,蒸気を原子炉の中で直接発生する (ウ) 原子炉と蒸気発生器を介して蒸気を作る (エ) 原子炉とがある。 軽水炉では,何らかの原因により原子炉の核分裂反応による熱出力が増加して,炉内温度が上昇した場合でも,燃料の温度上昇にともなってウラン238による中性子の吸収が増加する (オ) により,出力が抑制される。このような働きを原子炉の固有の安全性という。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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正解は 1
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解説

軽水炉の型と特性についての空欄補充問題(令和4年度下期 問4)。正答は(1)です。

軽水炉は低濃縮ウラン(ア)を燃料とし、冷却材と減速材(イ)に軽水を使います。炉内で直接蒸気を作るのが沸騰水型(ウ)、蒸気発生器を介して蒸気を作るのが加圧水型(エ)です。炉内温度が上昇すると、ウラン238による中性子吸収が増えて出力が抑制される現象をドップラー効果(オ)といい、これが軽水炉の固有の安全性です。したがって(ア)低濃縮ウラン・(イ)減速材・(ウ)沸騰水型・(エ)加圧水型・(オ)ドップラー効果となり、正答は(1)です。

軽水炉は、天然ウランよりウラン235の比率を高めた低濃縮ウラン(ア)を燃料とし、中性子を減速して核分裂を起こしやすくする減速材(イ)、および発生した熱を運び出す冷却材の両方に、ふつうの水(軽水)を用いる原子炉です。日本の商用原子力発電所に広く使われています。

軽水炉には2つの型があります。沸騰水型(ウ)(BWR)は、原子炉の中で冷却水を直接沸騰させて蒸気を作り、その蒸気で直接タービンを回します。加圧水型(エ)(PWR)は、一次冷却水を高圧で沸騰させずに保ち、その熱を蒸気発生器という熱交換器を介して二次系の水に伝え、二次系で発生した蒸気でタービンを回します。炉内の水を直接タービンに送るか、熱交換器を介するかが両者の違いです。

軽水炉には固有の安全性と呼ばれる自己制御機能があります。何らかの原因で核分裂反応が増えて炉内温度が上昇すると、燃料(ウラン235を含む燃料全体)の温度上昇に伴って、ウラン238による中性子の吸収(共鳴吸収)が増加します。これをドップラー効果(オ)といい、中性子が吸収されて核分裂に使われる中性子が減ることで、自動的に出力が抑制される仕組みです。人間の操作を介さず温度上昇そのものが出力を下げる働きをするため、「固有の安全性」と呼ばれます。

以上から(ア)低濃縮ウラン・(イ)減速材・(ウ)沸騰水型・(エ)加圧水型・(オ)ドップラー効果の組合せとなり、正答は(1)です。選択肢2・3・4の「ボイド効果」は冷却水中の気泡(ボイド)の増減による反応度変化を指し、燃料温度の上昇でウラン238の中性子吸収が増える現象(ドップラー効果)とは異なります。選択肢2・5の高濃縮ウラン、選択肢3のプルトニウムは軽水炉の燃料として誤りで、選択肢3・5の「加速材」という用語は存在しません(軽水は中性子を減速する減速材です)。選択肢3・4は(ウ)(エ)を逆にしており、炉内で直接蒸気を作るのは沸騰水型です。

ドップラー効果とボイド効果は、どちらも軽水炉の「固有の安全性」に関わる負のフィードバック(温度や状態の変化が出力を抑制する方向に働く仕組み)ですが、起きる場所とメカニズムが異なります。ドップラー効果は燃料(ウラン燃料そのもの)の温度上昇によって生じる現象で、燃料温度が上がると原子核の熱運動(振動)が激しくなり、ウラン238が中性子を吸収しやすい共鳴エネルギー帯の幅が実質的に広がります(ドップラー幅広がり)。これにより中性子がウラン238に吸収される確率が増え、核分裂を起こすウラン235に使われる中性子が減って、反応度(核分裂反応の増減しやすさ)が下がります。この効果は燃料温度の変化に対してほぼ瞬時に働くため、非常に速い応答を持つ安全機能として重視されます。

一方ボイド効果は、冷却水(減速材でもある軽水)が沸騰して気泡(ボイド)が増えることで、水の密度が下がり、中性子を減速する能力(減速能)が下がる現象です。沸騰水型(BWR)では炉内で直接沸騰が起きるため、このボイド効果が出力制御にも使われます(蒸気量が増えると減速能が下がり出力が抑制される)。加圧水型(PWR)では一次冷却水を沸騰させない設計のため、ボイド効果は通常の運転範囲ではほとんど現れません。

この問題のように、軽水炉の型(BWR・PWR)とその安全機能(ドップラー効果・ボイド効果)はセットで出題されることが多く、「どの型で、どの現象が、どの部分の温度・密度変化によって起きるか」を区別して覚えておくことが、この分野の問題を確実に解く鍵になります。

BWRとPWRのもう一つの違いとして、タービンに送る蒸気の性質も挙げられます。BWRは炉内で直接発生した蒸気がそのままタービンに送られるため、蒸気にわずかな放射性物質が含まれ、タービン周辺にも遮蔽・管理区域の設計が必要です。PWRは蒸気発生器という熱交換器で一次系(放射性物質を含む)と二次系(タービンに送る側)を分離しているため、タービン側は基本的に放射性物質を含まない設計にできます。この違いは、両方式の保守・点検のしやすさや、事故時の放射性物質の挙動を考える上でも重要な論点です。

この問題の根拠出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 電力(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。