第二種電工 電気機器・配線器具・配線 問63:電気機器・配線器具・配線
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
一般用低圧三相かご形誘導電動機に関する 記述で,誤っているものは。
- ア負荷が増加すると回転速度はやや低下する。
- イ全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の2 倍程度である。正答
- ウ電源の周波数が60 Hz から50 Hz に変わると回転速度が低下する。
- エ薄鋼電線管を切断する作業とプリカナイフ
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正答はイ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の2倍程度である」が誤りです。
実際には、じか入れ始動の始動電流は全負荷電流の5〜7倍程度(場合によっては8倍超)にもなります。「2倍程度」という記述は大幅に過小評価した誤りです。他の選択肢は正しい記述です。負荷が増えると回転速度はわずかに下がり(スリップが増加)、周波数が60Hzから50Hzになると同期速度が下がるため回転速度も低下します。この「始動電流=5〜7倍」という数値は試験頻出の知識であり、Y-Δ始動や自動変圧器始動を用いる理由そのものです。始動電流を抑えないと電源電圧の瞬時低下(電圧ディップ)を引き起こし、同一系統の他の機器に影響します。
正答はイ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の2倍程度である」が誤りです。
各選択肢を詳しく確認します。
ア(正):負荷が増加すると回転速度はやや低下する
三相誘導電動機の回転速度は同期速度(Ns)から実際の回転速度(N)を引いた「すべり(スリップ)」により制御されます。負荷トルクが増大するとすべりが大きくなり、回転速度がわずかに低下します。ただし通常運転範囲では低下量は小さく(数%程度)、ほぼ定速と見なせます。
イ(誤・正答):始動電流=全負荷電流の2倍程度は誤り
正しくは5〜7倍(一般的には6倍程度)です。三相誘導電動機は始動時に電動機が停止状態(すべり100%)であり、電機子反作用がなく巻線インピーダンスが最小になるため大電流が流れます。この過大電流を抑制するためにY-Δ始動(始動電流1/3)・自動変圧器始動・リアクトル始動などの減電圧始動方式が使われます。
ウ(正):周波数60Hzから50Hzに変わると回転速度が低下する
同期速度Ns = 120f/P(f:周波数・P:極数)の公式より、周波数が下がると同期速度も低下し、それに追随して実際の回転速度も下がります。60Hz → 50Hz では同期速度が5/6倍になります。
エ(OCR混入):選択肢エの「薄鋼電線管を切断する作業とプリカナイフ」は別問題のOCR混入です。本問の正答はイです。
正答はイ「全電圧始動(じか入れ)での始動電流は全負荷電流の2倍程度である」が誤りです。正しくは5〜7倍程度。
三相誘導電動機の始動電流が大きい理由
三相誘導電動機の等価回路は変圧器と類似しており、始動時(回転数ゼロ・すべりs=1)は二次側(回転子)の抵抗分が最小となり励磁電流(磁束形成)に加えて大きな誘導電流が流れます。始動電流Is は定格電流Inの5〜7倍となる理由は以下のとおりです。
始動時の等価インピーダンス Z_start = √(R₁² + X₁² + (R₂/s)² + X₂²) ≈ √(R₁² + (X₁+X₂)²)(s=1のとき)
これに対して定格運転時(s≒0.03〜0.05)は二次抵抗項が大きくなり電流が制限されます。
各始動方式の比較(試験頻出)
| 始動方式 | 始動電流 | 始動トルク | 特徴 |
|---------|---------|----------|------|
| じか入れ | In×5〜7 | 最大 | 構造簡単・大容量不可 |
| Y-Δ始動 | じか入れの1/3 | じか入れの1/3 | 一般的・15kW超 |
| リアクトル始動 | 電圧比の2乗分減少 | 電圧比の2乗分減少 | 電流制限なめらか |
| 自動変圧器始動 | タップ比の2乗分減少 | タップ比の2乗分減少 | 高精度制御可能 |
| インバータ始動 | ほぼ定格電流以下 | 設定可能 | 省エネ・高精度 |
電圧ディップと電力品質への影響
じか入れ始動で発生する大電流は、変圧器・電源インピーダンスに電圧降下を生じさせ、電源電圧の瞬時低下(電圧ディップ)を引き起こします。これにより同一系統の蛍光灯・精密機器・他の電動機に悪影響が出ます。内線規程では電動機のじか入れ始動条件として「頻繁に始動しない」「系統容量が十分ある」などを考慮するよう規定しています。
電験三種・第一種電気工事士への展開
電験三種「機械」科目では誘導電動機の等価回路・すべり-トルク特性・比例推移の概念が深く問われます。一次電圧を変化させた場合のトルク特性(T∝V²)、回転子抵抗変化時の特性(比例推移)など、第二種電気工事士では数値だけ覚えればよいところを原理から導ける必要があります。また近年はインバータ制御による可変速駆動(VFD)が主流となり、省エネ法の改正に伴うモータ効率規制(IE3・IE4クラス)対応も実務で重要です。インバータ使用時は始動電流問題は解消されますが、高調波(THD)対策・電磁ノイズ対策が新たな設計課題となります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:令和5年度上期(午後) 第二種電気工事士 学科試験 問14(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。