第二種電工 電気機器・配線器具・配線 問82:電気機器・配線器具・配線
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
三相誘導電動機が周波数50 Hzの電源で無負 荷運転されている。この電動機を周波数60 Hz の電源で無負荷運転した場合の回転の状態は。
- ア回転速度は変化しない。
- イ回転しない。
- ウ回転速度が減少する。
- エバスダクト工事と圧着ペンチ正答
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正答はエで、正しい内容は「回転速度が増加する」です(選択肢エの文言はOCR混入)。
三相誘導電動機の回転速度は電源周波数に比例します。周波数が50Hzから60Hzに上がると、同期速度Ns = 120f/P(f:周波数・P:極数)より、Nsが大きくなり実際の回転速度も増加します。例えば4極の電動機なら50Hz時はNs=1500rpm、60Hz時はNs=1800rpmとなります。ア「回転速度は変化しない」は誤り、イ「回転しない」は誤り、ウ「回転速度が減少する」は逆(50→60Hzなので増加)で誤りです。選択肢エの「バスダクト工事と圧着ペンチ」はOCR混入ですが、この選択肢エが正答です。
正答はエ(OCR混入)で、本来の内容は「回転速度が増加する」です。
三相誘導電動機の同期速度と周波数の関係
同期速度Ns(rpm) = 120 × f(Hz)÷ P(極数)
- 50Hz・4極:Ns = 120×50/4 = 1500 rpm
- 60Hz・4極:Ns = 120×60/4 = 1800 rpm
周波数が増加するとNsが増加し、無負荷運転(スリップほぼ0)では実際の回転数もNsに近い値で運転されます。したがって50Hz→60Hzへの変更では回転速度は増加します(200rpm増加の例)。
各選択肢の分析
ア(誤):回転速度は変化しない
同期速度の公式Ns=120f/Pより、周波数が変わると明らかにNsが変わります。DCモーター(周波数無関係)と混同した誤りです。
イ(誤):回転しない
電動機は三相電源があれば周波数60Hzでも問題なく回転します。50Hz専用と書かれている機器でも電圧が適合していれば回転します(過熱・特性変化の可能性はある)。
ウ(誤):回転速度が減少する
50Hz→60Hzは周波数の増加です。減少するのは60Hz→50Hzの場合です。方向を逆に覚えた誤りです。
エ(正解):回転速度が増加する(選択肢文はOCR混入)
50Hz×Ns → 60Hz×(6/5)Ns = 1.2倍の同期速度。無負荷運転では実際の回転速度も1.2倍程度になります。
また、周波数が上がると鉄損(渦電流損・ヒステリシス損)も増加するため、電動機の温度上昇にも注意が必要です。
正答はエ(OCR混入)で、本来の内容は「50Hz→60Hzで無負荷運転すると回転速度が増加する」です。
周波数変化が三相誘導電動機に与える影響の定量分析
回転速度への影響
同期速度 Ns = 120f/P より:
| 周波数 | 2極 | 4極 | 6極 | 8極 |
|--------|-----|-----|-----|-----|
| 50Hz | 3000rpm | 1500rpm | 1000rpm | 750rpm |
| 60Hz | 3600rpm | 1800rpm | 1200rpm | 900rpm |
いずれの極数でも60/50 = 1.2倍の同期速度となります。
電気的特性への影響
1. 励磁電流の変化:変圧器・電動機の鉄心の磁束密度Φ∝V/f(V:電圧・f:周波数)。50Hz設計の機器を60Hzで使うと磁束密度が低下(Φ×5/6倍)し、励磁電流も若干変化します
2. 鉄損の変化:渦電流損はf²に比例・ヒステリシス損はfに比例するため、60Hzでは50Hz比で鉄損が増加します。これにより温度上昇が若干増します
3. インダクタンスのリアクタンス:XL = 2πfL より60Hzでは巻線のリアクタンスが増加します。これにより始動電流が若干減少、始動トルクも変化します
4. 無負荷回転数の変化:無負荷時はスリップがほぼ0なのでN ≈ Ns × (1-s) ≈ Nsとなり、60Hzでは回転速度がほぼ1.2倍になります
電源周波数の50Hz/60Hz問題(日本固有)
日本は電力系統が50Hz(東日本)と60Hz(西日本)に分かれている世界的にも稀なケースです。境界(周波数変換変電所)は富士山付近(新信濃変電所・佐久間変電所)に3箇所あります。50Hz対60Hz互換性の問題は、機器の移動・大規模災害時の融通電力(2011年東日本大震災では周波数変換能力の不足が電力融通のボトルネック)として社会的課題となりました。
電験三種・第一種電気工事士への展開
電験三種「機械」では誘導電動機の等価回路・すべり-トルク特性の計算、特にすべりsと効率・出力の関係が重要です。「電力」では東西の周波数が異なることから生じる電力系統の課題(連系制約・変換所容量)が問われる場合があります。また近年のインバータ制御による可変速ドライブは電源周波数に関係なく任意の周波数で電動機を駆動できるため、50/60Hz問題は実務的には解消されつつありますが、インバータ自体の電力品質(高調波・力率)管理が新たな課題として浮上しています。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:令和4年度下期(午後) 第二種電気工事士 学科試験 問14(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。