労働衛生(有害業務)1第一種作業環境測定と評価

衛生管理者 労働衛生(有害業務) 問1:作業環境測定と評価

作業環境測定の評価(管理区分の判定)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • A測定とは、単位作業場所における気中有害物質の平均的な濃度を把握するための測定であり、作業場所内に設定した点で測定する。
  • B測定とは、発生源に近接した作業位置における最高の濃度を把握するための測定であり、作業者が有害物質の発生源の最も近い位置で行う作業に関して測定する。
  • 作業環境管理区分は第1〜第3管理区分に分類され、第1管理区分が最も良い環境状態(管理濃度を超える確率が低い)を示し、第3管理区分が最も悪い環境状態を示す。
  • A測定の結果のみで管理区分が第1または第2管理区分と判定された作業場所であっても、B測定の結果によって管理区分が第3管理区分に引き上げられることがある。
  • 第3管理区分と判定された作業場所では、事業者は直ちに作業の中止または作業場所の閉鎖を命じられる。正答
正答:第3管理区分と判定された作業場所では、事業者は直ちに作業の中止または作業場所の閉鎖を命じられる。

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誤りはオです。第3管理区分と判定されたとき、事業者に求められるのは「直ちに作業中止・閉鎖」ではなく、施設・設備の改善・呼吸用保護具の使用・健康診断の実施等の改善措置を講じることです(安衛則第577条等)。「直ちに作業の中止または閉鎖を命じられる」は誤りです。

各選択肢の正否: ア(A測定の定義)・イ(B測定の定義)・ウ(管理区分1〜3の方向性)・エ(B測定で区分が悪化する場合がある)はすべて正しい内容です。管理区分の仕組みと第3管理区分の義務的対応(閉鎖ではなく改善措置)を正確に理解しましょう。

標準試験対策の基準レベル

A測定・B測定と管理区分の判定フロー:

A測定(単位作業場所全体の平均的濃度の把握)→ 幾何平均値・幾何標準偏差を計算 → 管理区分暫定判定

B測定(発生源最近接位置の最高濃度の把握)→ 測定結果を確認 → A測定の暫定判定に反映

管理区分の判定(A測定とB測定の組合せ):

| A測定結果 | B測定結果 | 最終管理区分 |

|---|---|---|

| 第1管理区分相当 | 管理濃度の1.5倍以下 | 第1管理区分 |

| 第1管理区分相当 | 管理濃度の1.5倍超 | 第2管理区分(B測定で悪化) |

| 第2管理区分相当 | 管理濃度の1.5倍以下 | 第2管理区分 |

| 第2管理区分相当 | 管理濃度の1.5倍超 | 第3管理区分(B測定で悪化) |

| 第3管理区分相当 | 問わない | 第3管理区分 |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): A測定はランダムな測定点・測定時刻を設定して作業場所全体の平均的濃度を評価する測定方法。
  • イ(正): B測定は最も高い曝露を受けると考えられる作業者が最も近接する作業位置・最高濃度時に測定する。
  • ウ(正): 管理区分の方向性。第1=適切に管理されている・第2=改善の余地あり・第3=直ちに改善が必要。
  • エ(正): 表の通り、A測定が第1・第2相当でもB測定が管理濃度の1.5倍を超えると最終区分が1つ悪化します。
  • オ(誤): 第3管理区分の事業者義務(安衛則第577条)は「改善措置の実施(設備改善・作業方法の変更・呼吸用保護具の使用等)」と「改善後の再測定」です。作業中止・閉鎖を即時命じる規定はなく、改善の機会が与えられます。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

作業環境測定は、有害物質が労働者の健康に悪影響を与える前に環境中の濃度を把握し、適切な管理措置を講じるための「予防的測定」です。1972年に安衛法に導入された制度で、管理濃度(行政的な評価基準)を基準値として管理区分を判定する評価システムは日本独自の発展を遂げています。

A測定とB測定の役割の違い:

  • A測定の目的: 作業場所全体の「平均的な汚染レベル」を把握。多くの作業者が長時間曝露を受ける環境の代表値として機能。
  • B測定の目的: 特定の作業者が受ける「最高の曝露レベル」を把握。A測定では見えない局所的高濃度ポイントを捉える。

この二段階評価により、「全体的には良好でも一部の作業者が高濃度曝露を受けている」というパターン(A測定は良好でもB測定で問題がある状況)を検出できます。

【実務・条文構造】

管理濃度(安衛法第65条の2・作業環境評価基準告示):

  • 定義: 作業環境管理の達成・維持に用いる行政的な評価基準値
  • OEL(職業曝露限界値)との関係: 管理濃度はOELを参考にしながら、作業環境測定の統計的評価手法に対応した数値として設定
  • 物質例: トルエン=20ppm / n-ヘキサン=40ppm / ベンゼン=1ppm(がん原性のため低い)

A測定の評価の統計的手法:

  • 測定点: 単位作業場所の6m格子点以上(少なくとも5点以上)
  • 評価: 測定値から幾何平均値(GM)と幾何標準偏差(GSD)を算出
  • 管理区分の判定: 統計的に測定値が管理濃度を超える確率の推計

- 第1管理区分: 管理濃度超過確率が5%未満(ほぼ確実に管理濃度以下)

- 第2管理区分: 超過確率が5%以上50%未満(部分的に超える可能性がある)

- 第3管理区分: 超過確率が50%以上(半数以上の時間・場所で管理濃度を超えている可能性)

B測定の判定基準:

  • 管理濃度の1.5倍を超えるか否かが判定の分岐点

第3管理区分で必要な措置(安衛則第577条・各特別規則の対応条文):

1. 直ちに施設・設備の改善を行う(局所排気装置の増強・発生源の密閉化等)

2. 改善が完了するまでの間: 有効な呼吸用保護具を使用させる

3. 改善後の再測定: 改善措置の効果確認

4. 第3管理区分と判定された場合の医師による健康診断の実施(一定の場合)

【試験での位置づけ】

作業環境測定問題の最頻出は「A測定とB測定の定義(A=平均的濃度・B=最高濃度)」「第1管理区分が最良・第3が最悪」「B測定で管理区分が悪化するケースがある(A測定第1区分→B測定で第2区分になり得る)」「第3管理区分の対応(閉鎖ではなく改善措置)」です。オのような「第3管理区分=即時作業中止・閉鎖」という誤りは典型的な引っかけです。管理区分の数字と良否の方向(1=良い・3=悪い)を逆にする引っかけも頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: A測定の測定点は「単位作業場所」という概念(工場フロアを一定面積に区切った管理単位)に基づいており、有害物質の発生源・換気設備・作業者の動線等を考慮して設定されます。測定点数の最低基準(6m格子・5点以上等)は作業環境測定基準に定められています。
  • イ: B測定は発生源に最も近接した作業位置・最高濃度時という二重の「最悪条件」で測定する点が特徴です。作業工程の中で発生源直近での作業が存在する場合(塗装・溶接・化学品取扱い等)に実施が必要です。
  • ウ: 管理区分の数値は「高いほど悪い」ですが、「良い・悪い」の感覚的な記憶のため「3=最悪」が逆になる誤りが出ます。「3はアウト(第3管理区分=直ちに対応が必要)」と覚えると定着します。
  • エ: B測定で管理区分が悪化するシナリオの実例: 大部屋の塗装ラインで全体的な換気は良好(A測定=第1区分)だが、特定の塗装ガン作業者が発生源に密着した作業を行っており、その位置のB測定では管理濃度の2倍の値が検出された場合→最終区分は第2区分に引き上げ。
  • オ: 作業の即時中止が命じられるのは「重大な労働災害発生のおそれがある場合」の労働基準監督署の使用停止命令(安衛法第98条)等の別の法的根拠による場合です。第3管理区分の判定は「改善を促す行政的評価」であり、即時操業停止ではありません。

【根拠法令】労働安全衛生法 第65条(作業環境測定)・第65条の2(作業環境の評価)、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)、労働安全衛生規則 第577条(第3管理区分の改善措置義務)

【補足】第3管理区分=「作業中止・閉鎖命令」ではなく「改善措置義務(呼吸用保護具使用・設備改善・再測定)」。A測定=平均的濃度・B測定=最高濃度・B測定で区分が悪化する場合あり。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第65条の2(作業環境の評価)・作業環境評価基準(厚生労働省告示)・安衛則第577条(第3管理区分の措置)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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