問題
作業環境測定の評価(管理区分の判定)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはオです。第3管理区分と判定されたとき、事業者に求められるのは「直ちに作業中止・閉鎖」ではなく、施設・設備の改善・呼吸用保護具の使用・健康診断の実施等の改善措置を講じることです(有機則第28条の3等の各特別規則)。「直ちに作業の中止または閉鎖を命じられる」は誤りです。
各選択肢の正否: ア(A測定の定義)・イ(B測定の定義)・ウ(管理区分1〜3の方向性)・エ(B測定で区分が悪化する場合がある)はすべて正しい内容です。管理区分の仕組みと第3管理区分の義務的対応(閉鎖ではなく改善措置)を正確に理解しましょう。
A測定・B測定と管理区分の判定フロー:
A測定(単位作業場所全体の平均的濃度の把握)→ 幾何平均値・幾何標準偏差から第一評価値・第二評価値を計算
B測定(発生源に近接する作業位置で、濃度が最も高くなると思われる時間の測定)→ 測定値を管理濃度と比較
管理区分の判定(A測定とB測定の組合せ・作業環境評価基準第2条第1項第2号の表):
| A測定結果 | B測定結果 | 最終管理区分 |
|---|---|---|
| 第一評価値が管理濃度未満(第1管理区分相当) | 管理濃度未満 | 第1管理区分 |
| 第一評価値が管理濃度未満(第1管理区分相当) | 管理濃度以上・1.5倍以下 | 第2管理区分(B測定で悪化) |
| 第二評価値が管理濃度以下(第2管理区分相当) | 管理濃度の1.5倍以下 | 第2管理区分 |
| 第二評価値が管理濃度以下(第1・第2管理区分相当) | 管理濃度の1.5倍超 | 第3管理区分(B測定で悪化) |
| 第二評価値が管理濃度超(第3管理区分相当) | 問わない | 第3管理区分 |
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): A測定は単位作業場所の床面上に6m以下の等間隔で引いた縦横の線の交点を測定点とし、作業が定常的に行われている時間に測定して、作業場所全体の平均的濃度を評価する測定方法。
- イ(正): B測定は最も高い曝露を受けると考えられる作業者が最も近接する作業位置・最高濃度時に測定する。
- ウ(正): 管理区分の方向性。第1=適切に管理されている・第2=改善の余地あり・第3=直ちに改善が必要。
- エ(正): 表の通り、A測定が第1・第2相当でもB測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えると第3管理区分になります。
- オ(誤): 第3管理区分の事業者義務(有機則第28条の3等)は「改善措置の実施(設備改善・作業方法の変更・呼吸用保護具の使用等)」と「改善後の再測定」です。作業中止・閉鎖を即時命じる規定はなく、改善の機会が与えられます。
【理論的背景】
作業環境測定は、有害物質が労働者の健康に悪影響を与える前に環境中の濃度を把握し、適切な管理措置を講じるための「予防的測定」です。安衛法第65条で測定が、第65条の2で測定結果の評価が定められ、評価は厚生労働大臣が定める作業環境評価基準に従い、管理濃度を基準値として管理区分を判定します。
A測定とB測定の役割の違い:
- A測定の目的: 作業場所全体の「平均的な汚染レベル」を把握。多くの作業者が長時間曝露を受ける環境の代表値として機能。
- B測定の目的: 特定の作業者が受ける「最高の曝露レベル」を把握。A測定では見えない局所的高濃度ポイントを捉える。
この二段階評価により、「全体的には良好でも一部の作業者が高濃度曝露を受けている」というパターン(A測定は良好でもB測定で問題がある状況)を検出できます。
【実務・条文構造】
管理濃度(安衛法第65条の2・作業環境評価基準告示):
- 管理濃度は物質ごとに作業環境評価基準の別表で定められている
- 物質例: トルエン=20ppm / n-ヘキサン=40ppm / ベンゼン=1ppm
A測定の評価の統計的手法:
- 測定点: 単位作業場所の床面上に6m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点(床上50〜150cm)。交点が5に満たなくても測定点は5以上
- 評価: 測定値の幾何平均値と幾何標準偏差から第一評価値・第二評価値を計算(作業環境評価基準第3条)
- A測定のみの場合の管理区分: 第一評価値が管理濃度未満→第1管理区分/第二評価値が管理濃度以下(第1に当たらない)→第2管理区分/第二評価値が管理濃度超→第3管理区分
B測定の判定基準:
- B測定の測定値が管理濃度未満か、管理濃度の1.5倍以下か、1.5倍超かで区分が分かれる(1.5倍超はA測定の結果にかかわらず第3管理区分)
第3管理区分で必要な措置(有機則第28条の3・第28条の3の2等の各特別規則):
1. 直ちに施設・設備・作業工程・作業方法の点検を行い、その結果に基づき改善措置を講じ、第1または第2管理区分となるようにする
2. 改善措置の効果を確認するための測定と評価
3. 労働者に有効な呼吸用保護具を使用させるほか、健康診断の実施その他健康の保持を図るため必要な措置
4. 評価の記録・講じた措置・効果確認の評価結果を労働者に周知
【試験での位置づけ】
作業環境測定問題の最頻出は「A測定とB測定の定義(A=平均的濃度・B=最高濃度)」「第1管理区分が最良・第3が最悪」「B測定で管理区分が悪化するケースがある(A測定第1区分→B測定で第2区分になり得る)」「第3管理区分の対応(閉鎖ではなく改善措置)」です。オのような「第3管理区分=即時作業中止・閉鎖」という誤りは典型的な引っかけです。管理区分の数字と良否の方向(1=良い・3=悪い)を逆にする引っかけも頻出です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: A測定の測定点は「単位作業場所」(作業場の区域のうち、労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域)ごとに設定されます。測定点の基準(6m以下の等間隔の縦横の線の交点・5点以上等)は作業環境測定基準第2条に定められています。
- イ: B測定は発生源に最も近接した作業位置・最高濃度時という二重の「最悪条件」で測定する点が特徴です。作業工程の中で発生源直近での作業が存在する場合(塗装・溶接・化学品取扱い等)に実施が必要です。
- ウ: 管理区分の数値は「高いほど悪い」ですが、「良い・悪い」の感覚的な記憶のため「3=最悪」が逆になる誤りが出ます。「3はアウト(第3管理区分=直ちに対応が必要)」と覚えると定着します。
- エ: B測定で管理区分が悪化するシナリオの実例: 大部屋の塗装ラインで全体的な換気は良好(A測定=第1区分)だが、特定の塗装ガン作業者が発生源に密着した作業を行っており、その位置のB測定では管理濃度の2倍の値が検出された場合→B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えるため、最終区分は第3管理区分。B測定が管理濃度以上1.5倍以下なら第2管理区分。
- オ: 作業の停止が命じられるのは、安衛法第20条〜第25条等の規定に違反する事実がある場合の都道府県労働局長・労働基準監督署長による作業停止等の命令(安衛法第98条)など、別の法的根拠による場合です。第3管理区分の判定で事業者に課されるのは、改善措置を講じて第1または第2管理区分となるようにする義務(有機則第28条の3等)であり、即時操業停止ではありません。
【根拠法令】労働安全衛生法 第65条(作業環境測定)・第65条の2(作業環境の評価)、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)、有機溶剤中毒予防規則 第28条の3(第3管理区分の改善措置義務)等
【補足】第3管理区分=「作業中止・閉鎖命令」ではなく「改善措置義務(呼吸用保護具使用・設備改善・再測定)」。A測定=平均的濃度・B測定=最高濃度・B測定で区分が悪化する場合あり。
- 有機溶剤中毒予防規則第28条の3e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生法第65条・第65条の2・第20条・第98条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第65条の2(作業環境の評価)・作業環境評価基準(厚生労働省告示)・有機則第28条の3等の各特別規則(第3管理区分の措置)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

