問題
じん肺および石綿(アスベスト)関連疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
誤りはウです。石綿(アスベスト)関連疾患は「短期間の大量曝露後、数か月以内に発症」ではなく、曝露開始から発症までの潜伏期間が長いことが特徴です。中皮腫は40〜50年程度、石綿による肺がんは多くが30〜40年程度とされ、曝露を止めた後でも長い年月を経て発症します。「数か月以内に発症」という記述が誤りです。
ア(じん肺の種類)・イ(珪肺と結核の合併)・エ(中皮腫の潜伏期間)・オ(じん肺の合併症=じん肺法施行規則第1条の6疾病)はすべて正しい内容です。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): じん肺法第2条第1項第1号はじん肺を「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義しています。吸入した粉じんの種類で珪肺・石綿肺・溶接工肺などと呼び分けられ、石綿肺も「じん肺という病気の一つ」です(環境再生保全機構)。金属のアーク溶接もじん肺法施行規則別表の粉じん作業(第20号の2)です。
- イ(正): 珪肺は遊離けい酸(SiO₂)を含む粉じんによるじん肺です。じん肺法第2条第1項第2号は合併症を「じん肺と合併した肺結核その他の…じん肺と密接な関係があると認められる疾病」と定め、結核はその代表です。
- ウ(誤): 石綿関連疾患は「石綿ばく露開始から発症までの潜伏期間が長いことが特徴」です(環境再生保全機構)。
- 中皮腫: 40〜50年(20年以下は非常に少なく、10年未満の例はない)
- 肺がん: 多くは30〜40年程度
- 良性石綿胸水: 15年以内のこともあるが平均40年
「短期間の大量曝露後、数か月以内に発症することが多い」は誤りです。
- エ(正): 中皮腫は胸膜・腹膜・心膜などにできる悪性腫瘍で、石綿ばく露の特異性が高い疾患です。潜伏期間は40〜50年と非常に長いとされています。
- オ(正): じん肺法第2条第1項第2号の合併症は、じん肺法施行規則第1条で「じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した」次の6疾病と定められています: 肺結核・結核性胸膜炎・続発性気管支炎・続発性気管支拡張症・続発性気胸・原発性肺がん。肺がんは石綿肺に限られません。
【理論的背景】
じん肺は、粉じんの吸入によって肺に線維化が生じる病気の総称で、吸入した粉じんの種類によって呼び分けられます。石綿肺は「石綿を大量に吸入することにより、肺が線維化する『じん肺』という病気の一つ」であり、石綿以外の原因による肺線維症と区別して特に石綿肺と呼ばれます(環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」)。
石綿関連疾患に共通する最大の特徴は「石綿ばく露開始から発症までの潜伏期間が長いこと」です。同資料は、胸膜プラークや中皮腫が石綿肺や肺がんより低濃度のばく露で発症することも示しています。
【実務・条文構造】
石綿関連疾患の整理(環境再生保全機構):
中皮腫:
- 胸膜・腹膜・心膜・精巣鞘膜にできる悪性の腫瘍。胸膜原発が全中皮腫の90%前後で最も多い
- 胸膜中皮腫の男性例では80〜90%に石綿ばく露歴がある
- 潜伏期間は40〜50年と非常に長く、20年以下は非常に少なく、10年未満の例はない
- 石綿肺・肺がんより低濃度のばく露でも危険があり、家庭内ばく露・近隣ばく露による発症もある
肺がん(原発性肺がん):
- 潜伏期間の多くは30〜40年程度
- 喫煙をはじめ石綿以外の原因でも発生するため、石綿ばく露の特異性は低い
- 石綿と喫煙の両方のばく露で危険性は相加〜相乗的に高くなる。非喫煙者を1とすると喫煙者10倍・石綿ばく露者5倍・喫煙する石綿ばく露者約50倍とする報告が有名(1966年当時の高濃度ばく露の断熱作業者が対象)
石綿肺:
- 石綿を大量に長期間吸入した労働者に起こる
- 累積ばく露量が25繊維/ml×年以上ないと発症しないと言われている
良性石綿胸水:
- 胸膜炎による滲出液(胸水)が生じるもの。潜伏期間は15年以内のこともあるが、平均40年と他の石綿疾患同様に長い
じん肺の合併症(じん肺法第2条第1項第2号・じん肺法施行規則第1条):
じん肺管理区分が管理二又は管理三と決定された者に係るじん肺と合併した次の6疾病。
1. 肺結核
2. 結核性胸膜炎
3. 続発性気管支炎
4. 続発性気管支拡張症
5. 続発性気胸
6. 原発性肺がん
【試験での位置づけ】
じん肺・石綿の出題では「石綿関連疾患の潜伏期間は数十年と長い(短期ではない)」「中皮腫は石綿ばく露の特異性が高い」「珪肺と結核の合併」「じん肺の合併症の範囲」が問われます。ウのような「短期曝露後数か月で発症」は、潜伏期間の長さという特徴を正反対に書いた引っかけです。合併症は「管理二又は管理三」の者のじん肺に合併したものに限られる点、原発性肺がんが石綿肺に限られず6疾病の一つとして挙げられている点もあわせて押さえます。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 粉じんの種類で呼び分けると覚えやすいです(遊離けい酸→珪肺、石綿→石綿肺、溶接ヒューム→溶接工肺)。
- イ: じん肺法施行規則第1条は、肺結核と結核性胸膜炎の両方を合併症に挙げています。結核の合併はじん肺の健康管理で特に重視される点です。
- ウ: 良性石綿胸水のように15年以内に発症することがある疾患でも平均は40年です。「数か月以内に発症することが多い」に当たる石綿関連疾患はありません。
- エ: 中皮腫の治療は、シスプラチンとペメトレキセドの併用療法が標準治療で、2018年8月からは免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブが一定の条件下で使用可能になっています(環境再生保全機構)。
- オ: 合併症の根拠条文はじん肺法第2条第1項第2号で、具体的な疾病はじん肺法施行規則第1条の6つです。原発性肺がんはじん肺の種類を問わず列挙されています。
【根拠】じん肺法第2条第1項第2号・じん肺法施行規則第1条(安全衛生情報センター収録 https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-3/hor1-3-18-1-0.htm)/独立行政法人環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」https://www.erca.go.jp/asbestos/what/higai/shikkan.html
【補足】石綿関連疾患の潜伏期間は数十年(中皮腫40〜50年・肺がんの多くは30〜40年)。じん肺の合併症は、管理二又は管理三の者のじん肺に合併した6疾病(肺結核・結核性胸膜炎・続発性気管支炎・続発性気管支拡張症・続発性気胸・原発性肺がん)。
- じん肺法第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: じん肺法第2条第1項第2号・じん肺法施行規則第1条(合併症)。石綿関連疾患の潜伏期間は独立行政法人環境再生保全機構「石綿(アスベスト)関連疾患」(https://www.erca.go.jp/asbestos/what/higai/shikkan.html)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

