関係法令(有害業務)4第一種電離放射線障害防止規則(電離則)

衛生管理者 関係法令(有害業務) 問4:電離放射線障害防止規則(電離則)

電離放射線障害防止規則(電離則)における放射線業務従事者の線量限度に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 放射線業務従事者の実効線量限度は、5年間で100ミリシーベルト(mSv)かつ1年間に50mSvを超えてはならない。また、女性(妊娠可能期間中)については、3か月につき5mSvを超えてはならない。正答
  • 管理区域における放射線業務以外の者(一般公衆)の線量限度は、放射線業務従事者と同一の基準が適用される。
  • 放射線業務従事者の目(眼の水晶体)に関する等価線量限度は、1年間に300mSvを超えてはならないとされている。
  • 放射線業務従事者の皮膚に関する等価線量限度は、1年間に100mSvを超えてはならないとされている。
  • 緊急作業に従事する場合には、実効線量の限度が通常の5年間100mSvから250mSvに引き上げられる。
正答:放射線業務従事者の実効線量限度は、5年間で100ミリシーベルト(mSv)かつ1年間に50mSvを超えてはならない。また、女性(妊娠可能期間中)については、3か月につき5mSvを超えてはならない。

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正しいのはアです。放射線業務従事者の実効線量限度は5年間で100mSv・1年間で50mSvを超えないことが基本ルールです(電離則第4条第1項)。さらに妊娠可能期間中の女性については3か月で5mSvという追加の上限があります(電離則第4条第2項)。これらの数値は試験で必ず問われる重要な暗記事項です。

各誤りの要点: イ→一般公衆の限度は放射線業務従事者より大幅に低い(年1mSv)。ウ→眼の水晶体の等価線量限度は令和3年4月改正で「5年間100mSv かつ 1年間50mSv」に引き下げられた(旧150mSv/年から変更・「300mSv」は誤り)。エ→皮膚の等価線量限度は1年間500mSv(100mSvは誤り)。オ→緊急作業時の実効線量限度は100mSvであり「250mSv」は誤り(東電福島第一原発事故の収束作業で特例的に250mSvが適用された経緯はあるが、平時の電離則上の緊急作業限度は100mSv)。

標準試験対策の基準レベル

放射線業務従事者の線量限度(電離則)の体系:

| 区分 | 線量の種類 | 限度 |

|---|---|---|

| 実効線量(全身) | 実効線量 | 5年間100mSv・1年間50mSv |

| 女性(妊娠可能期間中) | 実効線量 | 3か月につき5mSv |

| 眼の水晶体 | 等価線量 | 5年間100mSv かつ 1年間50mSv(令和3年4月改正で旧150mSv/年から引下げ) |

| 皮膚 | 等価線量 | 1年間500mSv |

| 妊娠中女性の腹部 | 等価線量 | 妊娠中1mSv |

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 電離則第4条の通り、実効線量限度(5年100mSv・1年50mSv)と女性(妊娠可能期間中)の3か月5mSv上限はいずれも同条に規定されており、すべて正確です。
  • イ(誤): 一般公衆の放射線量限度は年1mSvと国際的に定められており、放射線業務従事者(5年100mSv・年50mSv)より大幅に低い基準が設定されています(職業的曝露と公衆被ばくは別基準)。
  • ウ(誤): 眼の水晶体の等価線量限度は、令和3年4月施行の電離則改正により「5年間につき100mSv かつ 1年間につき50mSv」に引き下げられました(電離則第5条)。改正前は「年間150mSv」でしたが、ICRP 2011年勧告を受けて引き下げられています。選択肢の「300mSv」は誤りです。
  • エ(誤): 皮膚の等価線量限度は1年間500mSv(電離則第5条)。「100mSv」は誤りです。皮膚は角質層があるため内臓より放射線の影響を受けにくく、等価線量限度は高めに設定されています。
  • オ(誤): 緊急作業に従事する場合の実効線量限度は100mSv(電離則第7条)です。「250mSv」は誤りです。なお、東京電力福島第一原発事故の収束作業に限り、特例省令で一時的に250mSvが適用された経緯はありますが、平時の電離則上の緊急作業の限度は100mSvです。
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【理論的背景】

電離放射線(X線・γ線・β線・α線・中性子線等)は、DNAに直接・間接的に損傷を与えることで細胞死・突然変異・がん発生・遺伝的影響を引き起こす可能性があります。放射線の生体影響は、「確定的影響(一定の線量閾値を超えると必ず発症する: 白内障・不妊・放射線宿酔等)」と「確率的影響(どれほど低い線量でも確率的にがん・遺伝的影響が発生しうる)」に分類されます。

ALARA原則(As Low As Reasonably Achievable): 放射線曝露量は合理的に達成可能な限り低く保つべきという原則。線量限度は「それ以下ならば安全」を意味するのではなく、確率的影響のリスクが社会的に許容できるレベルに相当する上限値です。

眼の水晶体の感受性: 放射線白内障(水晶体の混濁)は確定的影響として重要な課題です。ICRPの2011年勧告(年20mSv・5年間100mSv)を受けて、日本でも電離則が改正され、令和3年(2021年)4月1日から眼の水晶体の等価線量限度が「年150mSv」から「5年間100mSv かつ 年50mSv」に引き下げられました。改正初年度以降、本改正は衛生管理者試験の頻出ポイントです。

【実務・条文構造】

電離則の主要な線量限度規定:

実効線量限度(電離則第4条):

  • 5年間通算: 100mSvを超えないこと
  • 1年間: 50mSvを超えないこと
  • 5年間の「起算点」: 雇用・配置日から5年ごとに区切る(連続5年)

女性の追加制限(電離則第4条第2項・第6条):

  • 妊娠可能期間中の女性: 3か月につき5mSv
  • 妊娠中の女性: 妊娠と知った時から出産までの間、腹部表面の等価線量が2mSv(内部被ばくによる実効線量は1mSv)

等価線量限度(電離則第5条・第6条):

  • 眼の水晶体: 5年間100mSv かつ 年50mSv(令和3年4月施行・旧年150mSvから引下げ)
  • 皮膚: 年間500mSv

管理区域の設定要件(電離則第3条):

  • 外部放射線による実効線量が3か月で1.3mSvを超えるおそれのある区域
  • 空気中の放射性物質の濃度が一定値を超えるおそれのある区域

(一般公衆の3か月線量限度は約0.25mSv相当→管理区域は公衆より高い曝露の可能性がある場所)

一般公衆の線量限度(国際基準・ICRP勧告):

  • 年間実効線量: 1mSv(医療・天然放射線を除く)
  • 放射線業務従事者(年50mSv)と比べて50倍の安全マージン

【試験での位置づけ】

電離則の線量限度問題で必ず暗記が必要な数値: 「5年100mSv・年50mSv(実効線量)」「女性3か月5mSv(妊娠可能期間中)」「皮膚500mSv(年)」「眼の水晶体5年100mSv かつ 年50mSv(令和3年4月改正・旧150mSv/年)」「妊娠中女性の腹部表面2mSv・内部被ばく実効線量1mSv(妊娠と知った時から出産まで)」の5つです。各部位の等価線量限度の数値の取り違え(皮膚「100mSv」・眼の水晶体「300mSv」等)は典型的な引っかけです。眼の水晶体の限度の引下げ(令和3年4月改正)と女性の3か月5mSvという特別制限は特に頻出です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「5年間100mSv」かつ「年間50mSv」という二重の制限の意味: 1年で50mSv未満であっても、5年間の累積が100mSvを超えてはなりません(例: 年45mSvを2年続けると5年で90mSvで問題なし)。一方、5年間の上限が年平均20mSvに相当する点は、眼の水晶体のICRP勧告(年20mSv)と対応関係にあります。令和3年4月改正により、眼の水晶体の限度も実効線量と同じ「5年100mSv・年50mSv」の形式に統一されました。
  • イ: 一般公衆の年1mSvという基準は、自然放射線(宇宙線・大地・食物由来)の年間曝露量(約2.1mSv程度)とは別枠で管理されます(医療・自然放射線は除外)。放射線業務が一般公衆に与える追加曝露をこの枠内に収めることが求められます。
  • ウ: 眼の水晶体の基準値は、2011年のICRP声明(年20mSv・5年100mSv勧告)を受けて電離則が改正され、令和3年(2021年)4月1日施行で「年150mSv」から「5年100mSv かつ 年50mSv」に引き下げられました。改正初年度以降は本改正点が重点的に出題されます。
  • エ: 皮膚の500mSvという高い上限は「皮膚の放射線感受性が内臓より低い(角質層が防護)」ことと「局所被ばくが主」であることを反映しています。ただしβ線(β粒子)は透過力が弱いため皮膚に集中して当たりやすく、β熱傷(放射線熱傷)の原因になります。
  • オ: 平時の電離則上の緊急作業の実効線量限度は100mSv(電離則第7条)です。東京電力福島第一原発事故の収束作業に限り、特例省令で一時的に250mSvが適用された経緯がありますが、これは恒久的な緊急作業限度ではありません。「緊急作業=250mSv」と誤って暗記しないよう注意が必要です。

【根拠法令】電離放射線障害防止規則 第4条(実効線量限度:5年100mSv・年50mSv/妊娠可能期間中の女性:3か月5mSv)・第5条(眼の水晶体の等価線量限度:5年100mSv かつ 年50mSv・令和3年4月改正)・第6条(皮膚500mSv/妊娠中女性の腹部表面2mSv・内部被ばく実効線量1mSv)・第7条(緊急作業:実効線量100mSv)

【補足】5年100mSv・年50mSv(実効線量)・女性3か月5mSv(妊娠可能期間中)・皮膚500mSv・眼の水晶体5年100mSvかつ年50mSv(令和3年4月改正・旧150mSv/年)・緊急作業100mSvは必須暗記。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 電離放射線障害防止規則(電離則)第4条(実効線量限度・妊娠可能期間中の女性)・第5条(等価線量限度=眼の水晶体・皮膚/令和3年4月改正)・第6条(妊娠中の女性)・第7条(緊急作業)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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