管理業務主任者(管業)試験の「区分所有法」の攻略法。集会決議要件(普通決議・規約変更や共用部分の重大変更の3/4・建替え決議の4/5)・共用部分の持分・管理者などの論点を、令和8年4月1日施行の改正後の条文で整理します。令和8年度の管業試験は令和8年4月1日現在で施行されている法令等が出題の根拠です。
目次
結論:区分所有法は、管業試験で学ぶ基幹の法令です。集会決議要件(普通決議は出席した区分所有者及び議決権の各過半数、規約変更・共用部分の重大変更は定足数を満たす出席者の各3/4以上、建替え決議は各4/5以上)・共用部分の持分・管理者の選任が主な論点です。2026年4月1日に施行された改正で決議の仕組みが変わっているため、令和8年度の試験は改正後の条文で学習します(実施要領で出題の根拠は令和8年4月1日現在の法令等)。
区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)は、マンションのような区分所有関係を規律する基本法令です。本記事では、改正後の条文(e-Gov 法令検索 建物の区分所有等に関する法律・2026-10-02 時点の現行条文、law_revision_id 337AC0000000069_20260401_507AC0000000047)にもとづいて、主な論点を整理します。
協会非提携・独自作成:本サイトは一般社団法人 マンション管理業協会と一切関係ありません。掲載問題は協会公表の過去問の転載ではなく、出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。
1. 区分所有法とは何か(基本構造)
区分所有法は、1棟の建物が複数の独立した住戸(専有部分)と共用部分から構成される「区分所有関係」を規律する法律です。マンション特有の以下の論点が定められています:
- 専有部分・共用部分の区別
- 共用部分の持分・使用権
- 規約・集会・管理者
- 区分所有権の譲渡・抵当権の設定
- 建替え決議
- 復旧・再建
2. 集会決議要件(数値の暗記が必要)
集会の決議要件:令和8年4月1日施行の改正後の条文。普通決議は出席した区分所有者及び議決権の各過半数、規約変更・共用部分の重大変更は定足数を満たす出席者の各4分の3以上、建替え決議は各5分の4以上。最終確認日:2026-10-02。出典:e-Gov 法令検索 建物の区分所有等に関する法律。
| 決議の種類 | 要件 | 主な対象 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 普通決議(議事) | 出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)及びその議決権の各過半数(法律・規約に別段の定めがない場合) | 管理者の選任・解任、共用部分の管理など | 第39条第1項、第25条第1項、第18条第1項 |
| 共用部分の重大変更 | 区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上(規約で2分の1を超える割合まで減ずることができる) | 形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更 | 第17条第1項 |
| 規約の設定・変更・廃止 | 同上の定足数のうえ、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 | 規約の設定・変更・廃止 | 第31条第1項 |
| 管理組合法人の成立 | 同上の定足数のうえ、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 | 法人となる旨の決議 | 第47条第1項 |
| 建替え決議 | 区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上。第2項各号に該当する建物は4分の3 | 建物の建替え | 第62条第1項・第2項 |
| 復旧決議(建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合) | 区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上 | 滅失した共用部分の復旧 | 第61条第5項 |
「特別決議」は法律上の用語ではなく、17条・31条などの特別多数決議を指す通称です。規約変更と共用部分の変更の決議要件は、規約の変更・特別多数決議の問題と共用部分の変更(重大変更と軽微変更)の問題で確認できます。
集会の招集
- 招集権者: 集会は管理者が招集し、管理者は少なくとも毎年1回集会を招集しなければなりません(第34条第1項・第2項)。区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に招集を請求できます(この定数は規約で減ずることができます・第34条第3項)
- 招集通知: 会日より少なくとも1週間前に、会議の目的たる事項及び議案の要領を示して各区分所有者に発します。この期間は規約で伸長できます(第35条第1項)
- 議決権の行使: 書面又は代理人によっても行使でき、書面又は代理人で行使した数は出席した区分所有者の数・議決権の数に算入されます(第39条第2項)。規約又は集会の決議により、電磁的方法によって行使することもできます(同条第3項)
暗記のコツ
「1週間前通知 → 出席者の過半数(普通決議) → 出席者の3/4(規約変更・共用部分の重大変更) → 4/5(建替え)」の順に、要件が重くなる階段で整理します。
3. 規約変更(特別決議3/4以上)
規約の設定・変更・廃止は、定足数を満たして出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議で行います(第31条第1項)。
規約で定められる事項(第30条):
- 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法に定めるもののほか、規約で定めることができます(第1項)
- 規約は、専有部分・共用部分・敷地などの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況などを総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければなりません(第3項)
- 規約は、書面又は電磁的記録により作成します(第5項)
規約変更の手続き:
1. 規約変更案の提示
2. 集会の招集(1週間前通知)
3. 定足数を満たして出席した区分所有者及び議決権の各3/4以上の賛成で可決
4. 規約の保管(管理者が保管・第33条第1項)
特に、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす規約変更は、その者の承諾が別途必要です(第31条第1項後段)。
4. 共用部分の持分・使用権
持分の計算
共用部分の持分は、原則として専有部分の床面積の割合で計算します(第14条第1項。床面積は壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積・同条第3項。規約で別段の定めをすることもできます・同条第4項)。
例:100㎡のマンション3戸(A=40㎡、B=30㎡、C=30㎡)
- A持分: 40/100 = 4/10
- B持分: 30/100 = 3/10
- C持分: 30/100 = 3/10
持分の処分
- 専有部分との分離処分禁止(第15条第2項):共用部分の持分のみを独立して譲渡・抵当権設定はできない
- 専有部分の譲渡で共用部分の持分も自動移転
共用部分の重大変更
- 共用部分の重大変更: 区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各3/4以上(規約で2分の1を超える割合まで減ずることができる)(第17条第1項)
- 共用部分の管理(形状又は効用の著しい変更を伴わない変更を含む): 集会の決議(第18条第1項)。普通決議の要件は第39条第1項
「重大」と「軽微」の区別は出題の鍵で、形状又は効用の著しい変更を伴うか否かが判断基準です。
5. 建替え決議(特別中の特別・4/5以上)
建替えは区分所有者の生活基盤を根本から変える最重要決定のため、最も厳格な要件が設定されています。要件の確認には、建替え決議(4/5要件)の問題が使えます。
建替え決議の要件(第62条)
- 区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上で可決(第1項)
- 次のいずれかに該当する建物では、5分の4が4分の3になります(第2項)。①耐震性、②火災に対する安全性、③外壁等の剥離・落下のおそれ、④給排水等の配管設備の劣化による衛生上の有害のおそれ、⑤バリアフリー基準に、それぞれ法務大臣が定める基準に適合しない(又は該当する)とき
- 建替え決議では、再建建物の設計の概要、取壊し及び建築に要する費用の概算額、費用の分担、再建建物の区分所有権の帰属を定めます(第4項)
- 建替え決議を会議の目的とする集会の招集通知は、会日より少なくとも2か月前に発します。この期間は規約で伸長できます(第6項)
- 招集者は、会日より少なくとも1か月前までに、通知事項について説明会を開催しなければなりません(第8項)
売渡し請求(第63条)
- 建替え決議があったときは、集会を招集した者は、遅滞なく、決議に賛成しなかった区分所有者に対し、建替えに参加するか否かを書面で催告します(第1項)
- 催告を受けた日から2か月以内に回答しなければならず、期間内に回答しなかった者は、参加しない旨を回答したものとみなされます(第3項・第4項)
- 参加しない旨を回答した区分所有者に対しては、決議賛成者、参加する旨を回答した者、買受指定者などが、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できます(第5項)
建替えの実施(マンションの再生等の円滑化に関する法律)
建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者などは、「マンションの再生等の円滑化に関する法律」9条により、5人以上共同して定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受けて組合を設立できます(e-Gov 法令検索・2026-10-02 時点の現行条文)。
6. 管理者の選任・解任・職務
選任・解任(第25条)
- 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって管理者を選任し、又は解任できます(第1項)。普通決議の要件は第39条第1項
- 区分所有法は、管理者の資格を区分所有者に限定していません
- 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、解任を裁判所に請求できます(第2項)
権限(第26条)
- 共用部分等を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負います(第1項)
- その職務に関し、区分所有者を代理します(第2項)
- 規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために原告又は被告となることができます(第4項)
- 集会の招集(第34条)、規約の保管(第33条第1項)、議事録の保管・閲覧(第42条第5項で第33条を準用)も管理者の役割です
事務の報告(第43条)
管理者は、集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければなりません。
7. 区分所有権の譲渡・抵当権の設定
専有部分と共用部分の一体性
- 専有部分を譲渡すると共用部分の持分も自動移転(第15条第1項)
- 共用部分の持分のみの独立譲渡・抵当権設定は禁止(第15条第2項)
敷地利用権
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合は、区分所有者は専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を分離して処分できません。ただし、規約に別段の定めがあるときはこの限りではありません(第22条第1項)。
これにより、マンションの専有部分・共用部分・敷地が一体として権利関係を保ちます。
8. 令和7年の区分所有法改正(2026年4月1日施行)と民法の関係
区分所有法は、令和7年の改正(「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」)が2026年4月1日に施行されました(e-Gov の改正履歴:施行 2026-04-01)。令和8年度の管業試験はこの改正後の条文が出題の根拠です。改正前後の条文(2025-05-30 版と 2026-04-01 版)を比べると、この記事で扱った条文では次の点が変わっています。
- 普通決議(第39条第1項):「区分所有者及び議決権の各過半数」から「出席した区分所有者及びその議決権の各過半数」に変わりました。書面・代理人による議決権の行使は出席者に算入されます(第2項)
- 規約の設定・変更・廃止(第31条第1項)、共用部分の重大変更(第17条第1項)、管理組合法人の成立(第47条第1項):区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者の出席を前提に、出席者の各4分の3以上で決する形になりました
- 復旧決議(第61条第5項):各4分の3以上から、出席者の各3分の2以上に変わりました
- 建替え決議(第62条):5分の4を原則としつつ、第2項各号に該当する建物では4分の3とする特例が加わりました。招集通知の2か月前の規定は第4項から第6項に移り、説明会の規定(第8項)が置かれています
- 招集通知(第35条):会議の目的たる事項及び議案の要領を示すこととされ、期間は規約で「伸長」できる(旧:伸縮できる)に変わりました
- 共用部分の管理(第18条):管理の決議に伴い必要となる専有部分の保存行為等に関する第4項・第5項が加わりました
令和2年4月1日施行の民法改正の規定は、専有部分内の賃貸借などに適用されます。
| 民法の規定(令和2年4月1日施行) | 区分所有関係での適用例 |
|---|---|
| 敷金返還義務(622条の2) | 専有部分の賃貸借における敷金返還 |
| 原状回復義務(621条) | 専有部分賃貸借終了時の原状回復 |
| 個人根保証(465条の2) | 専有部分賃貸借の連帯保証契約 |
| 賃貸人地位の移転(605条の2) | 専有部分譲渡時の賃借人保護 |
9. 規約の保管・閲覧
- 規約は管理者が保管(管理者がない時は集会で定めた区分所有者が保管)(第33条第1項)
- 利害関係人の請求があれば閲覧を拒めない(第33条第2項)
10. 区分所有法 学習プラン(4週間)
第1週:基礎構造
- 専有部分・共用部分の区別
- 共用部分の持分計算
- 区分所有権の譲渡
第2週:集会・決議
- 集会の招集・通知
- 普通決議・特別決議・建替え決議の数値暗記
- 議決権の代理行使・書面議決
第3週:規約・管理者
- 規約変更(定足数と出席者の3/4以上)
- 管理者の選任・解任・職務
- 規約の保管・閲覧
第4週:建替え・復旧
- 建替え決議の4/5要件
- 売渡請求権
- 復旧決議(大規模滅失時の出席者の2/3要件)
11. よくある失敗パターン
1. 規約変更の3/4と建替えの4/5を混同 → 規約変更(出席者の各3/4)と建替え(各4/5、第2項の特例は3/4)の数値を明確に区別
2. 共用部分の重大変更と軽微変更の区別を忘れる → 「形状又は効用の著しい変更」がキーワード
3. 管理者の選任要件の数値暗記漏れ → 規約に別段の定めがなければ集会の決議(普通決議は出席者の各過半数)で選任・解任できる
4. 改正前の知識のまま解く → 令和8年度の試験は令和8年4月1日現在の法令が基準で、決議の要件は出席者を基準にする形に改正されている
12. 合格ナビでの対策
- 民法・区分所有法 108問:科目別演習
- 完全合格ガイド:受験戦略全体像
- 独学ロードマップ:300時間の配分
著作権・正確性の方針:本サイトは一般社団法人 マンション管理業協会と一切関係ありません。掲載問題は協会公表の過去問の転載ではなく、出題範囲を参照した合格ナビ独自の自作問題です。
よくある質問
Q区分所有法の集会決議要件はどう覚えればよいですか?
令和8年4月1日施行の改正後の条文で、3段階に整理します。①普通決議は、出席した区分所有者及びその議決権の各過半数(39条1項)。②規約の設定・変更・廃止や共用部分の重大変更は、区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上(31条1項・17条1項)。③建替え決議は、区分所有者及び議決権の各5分の4以上(62条1項。一定の場合は4分の3・同条2項)。管理者の選任・解任は、規約に別段の定めがなければ集会の決議で行います(25条1項)。条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-02 時点の現行条文)。
Q区分所有法と民法はどう使い分けますか?
建物の区分所有関係は「区分所有法が優先・民法が補充」です。共用部分の管理・規約・集会決議は区分所有法、専有部分内の賃貸借や敷金は民法が適用されます。両法令の関係を整理しておくと、論点を混同しにくくなります。
Q建替え決議の4/5要件はなぜ厳しいのですか?
建替え決議は、区分所有者(議決権を有しないものを除く)及び議決権の各5分の4以上の多数で行います(62条1項)。耐震性不足など同条2項各号のいずれかに該当する建物では、5分の4が4分の3になります。建替え決議に賛成しなかった区分所有者には、建替えに参加するか否かを回答すべき旨が書面で催告され(63条1項)、参加しない旨を回答した区分所有者に対しては、決議賛成者や建替えに参加する旨を回答した者などが、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できます(63条5項)。
Q令和8年度の管業試験で、区分所有法はいつ時点の条文で出題されますか?
令和8年度の管業試験は、令和8年4月1日現在で施行されている法令等が出題の根拠です(マンション管理業協会「令和8年度 管理業務主任者試験 実施要領」)。区分所有法は令和7年の改正が2026年4月1日に施行されているため、改正後の条文で学習します。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月2日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
