危険物乙4の正式名称は、消防法上「乙種危険物取扱者」で、取り扱える類(第4類)が免状に記載されます。履歴書には「危険物取扱者免状(乙種第4類)取得」などと書き、合格だけで免状がまだなら「合格」と書き分けます。条文と消防試験研究センターの案内をもとに、名称・免状・できること・受験資格を整理します。
結論:危険物乙4の正式名称は、消防法上は「乙種危険物取扱者」で、取り扱える危険物の類(第4類)が免状に記載されます。履歴書には「危険物取扱者免状(乙種第4類)取得」のように名称と類を両方書き、試験に合格しただけで免状の交付を受けていない間は「合格」と書き分けます。
「乙4」「乙四」「乙4種」「乙4類」「乙種第4類」は、どれも乙種危険物取扱者の免状に第4類(引火性液体)が指定された資格を指す通称です。乙4で取り扱える(立ち会える)のはガソリン・灯油・軽油・重油などの第4類だけで、第1・2・3・5・6類は別の乙種免状が必要です。法令・試験・免状でそれぞれどう書かれているかを並べると、書くべき名称がはっきりします。
| どこで | 書き方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消防法(資格者の名称) | 乙種危険物取扱者 | 消防法第13条第1項・第13条の2第1項 |
| 免状 | 乙種危険物取扱者免状(取り扱える危険物の種類を記載) | 消防法第13条の2、危険物の規制に関する政令第33条第4号 |
| 試験 | 乙種危険物取扱者試験(第4類) | 消防法第13条の3第2項、消防試験研究センターの案内 |
| 通称 | 乙4・乙四・乙4種・乙4類・危険物乙4 | 法令上の名称ではない |
危険物乙4の正式名称(法令ではどう書かれているか)
消防法第13条の2第1項は、免状の種類を「甲種危険物取扱者免状、乙種危険物取扱者免状及び丙種危険物取扱者免状」と定めています。乙種の免状の交付を受けた人が乙種危険物取扱者です(第13条第1項の括弧書き)。条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-03 時点の現行条文)。
乙種は「どの類を扱えるか」が人によって違います。危険物の規制に関する規則第49条は、乙種危険物取扱者が扱えるのは「当該乙種危険物取扱者免状に指定する種類の危険物」としています。乙4は、この指定が第4類(引火性液体)の乙種危険物取扱者のことです。
| 免状 | 取り扱える危険物(規則第49条) | 立会い |
|---|---|---|
| 甲種 | すべての種類 | できる |
| 乙種 | 免状に指定する種類(乙4なら第4類) | 指定された類について、できる |
| 丙種 | ガソリン・灯油・軽油・第三石油類(重油・潤滑油・引火点130℃以上のものに限る)・第四石油類・動植物油類 | できない |
立会いができるのは甲種と乙種だけです(消防法第13条第3項)。
乙4種・乙4類・乙4類危険物取扱者・危険物取扱者 乙4種は同じ資格か
同じ資格を指しています。「乙4種」「乙4類」「乙4類危険物取扱者」「危険物取扱者 乙4種」は、いずれも法令上の名称ではなく、乙種危険物取扱者の免状に第4類が指定された人を指す通称です。消防試験研究センターは、免状の種類と試験の案内で「乙種第4類」と表記しています(受験案内)。書類に書くときは、法令とセンターの表記に合わせて「乙種」「第4類」を書くのが確実です。
免状には何が書かれるか
免状は、試験に合格した人に都道府県知事が交付します(消防法第13条の2第3項)。危険物の規制に関する政令第33条は、免状の記載事項を次のように定めています。
- 免状の交付年月日と交付番号
- 氏名と生年月日
- 本籍地の属する都道府県
- 免状の種類と、取り扱うことができる危険物・立ち会うことができる危険物の種類
- その他総務省令で定める事項
履歴書に書く名称と年月は、この免状の記載に合わせるのがいちばん確実です。なお、合格しても免状は自動では届きません。消防試験研究センターは「試験に合格された方は、必要書類等を準備して免状の交付申請をしてください」と案内しています(新規免状の交付)。免状の写真は10年ごとの書換えが必要です(センターのよくある質問)。
履歴書の書き方(例)
履歴書の資格欄に決まった書式はありません。ここでは、上の法令上の名称と免状の記載に合わせた書き方の例を示します。
| 状況 | 書き方の例 | 年月 |
|---|---|---|
| 免状の交付を受けた | 危険物取扱者免状(乙種第4類)取得 | 免状の交付年月日 |
| 合格したが、免状はまだ | 乙種第4類危険物取扱者試験 合格 | 合格した年月 |
| 複数の類を持っている | 危険物取扱者免状(乙種第4類・第6類)取得 | 各免状の交付年月日 |
| 甲種を持っている | 危険物取扱者免状(甲種)取得 | 免状の交付年月日 |
書き分ける理由は、消防法が危険物取扱者=「危険物取扱者免状の交付を受けている者」と定めているからです(第13条第3項)。合格しただけの段階で「取得」と書くと、免状の提示を求められたときに説明が必要になります。
注意したいのは、名前が似ている消防設備士です。消防設備士の免状も甲種・乙種に分かれ(消防法第17条の6)、第4類は「自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備又は消防機関へ通報する火災報知設備」の区分です(消防法施行規則第33条の3)。「乙種第4類」だけを書くとどちらの資格か伝わらないので、「危険物取扱者」か「消防設備士」かを書き添えます。
危険物乙4で何ができますか?
乙4を持つと、第4類の危険物を自分で取り扱い、免状を持たない人が第4類を取り扱うときに立ち会うことができます(消防法第13条第3項)。丙種・甲種との違いや、免状だけではできないことは危険物取扱者で何ができる?にまとめています。
第4類の品名と、条文に名前が挙がっている物品、条文が定める区分は次のとおりです(消防法 別表第一 備考第11号〜第17号。温度はいずれも1気圧での値)。
| 品名 | 条文に挙がる物品 | 条文が定める区分 |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | ジエチルエーテル・二硫化炭素 | 発火点が100度以下のもの、又は引火点がマイナス20度以下で沸点が40度以下のもの |
| 第一石油類 | アセトン・ガソリン | 引火点が21度未満のもの |
| アルコール類 | 炭素数1〜3の飽和一価アルコール(変性アルコールを含む) | 一分子の炭素原子が1個から3個までの飽和一価アルコール |
| 第二石油類 | 灯油・軽油 | 引火点が21度以上70度未満のもの |
| 第三石油類 | 重油・クレオソート油 | 引火点が70度以上200度未満のもの |
| 第四石油類 | ギヤー油・シリンダー油 | 引火点が200度以上250度未満のもの |
| 動植物油類 | 動物の脂肉等・植物の種子や果肉から抽出したもの | 引火点が250度未満のもの |
アルコール類・第二石油類・第三石油類・第四石油類・動植物油類の各号には、塗料類など総務省令で定めるものや、総務省令で定めるところにより貯蔵保管されているものを除く旨の定めもあります。この表は条文の主文だけを抜き出したもので、個別の物質がどの品名になるかは、条文と総務省令で確認してください。境界温度の覚え方は引火点とは?発火点との違いと品名区分、物質ごとの性質は第4類危険物の性質一覧表で整理しています。
乙4で取り扱えない危険物(第1・2・3・5・6類は別の乙種免状が必要)
乙種危険物取扱者が取り扱える・立ち会えるのは、免状に指定された類の危険物だけです(規則第49条第1項)。乙4の免状では、第4類以外の危険物には立ち会えません。消防試験研究センターの受験案内が示す類別の例は次のとおりです(例示の抜粋で、すべての物品ではありません)。
| 類 | 性質 | センターが挙げる例 | 乙4の免状で |
|---|---|---|---|
| 第1類 | 酸化性固体 | 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類等 | 扱えない |
| 第2類 | 可燃性固体 | 硫化リン、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウム等 | 扱えない |
| 第3類 | 自然発火性物質及び禁水性物質 | カリウム、アルキルアルミニウム、黄りん等 | 扱えない |
| 第4類 | 引火性液体 | ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類等 | 扱える |
| 第5類 | 自己反応性物質 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物等 | 扱えない |
| 第6類 | 酸化性液体 | 過塩素酸、過酸化水素、硝酸等 | 扱えない |
センターは、取扱いの資格が必要になる場面について、よくある質問で次のように答えています。「トルエンは第4類の危険物なので、法で定める指定数量以上を貯蔵し又は取扱う施設(製造所等)において使用する場合には危険物取扱者免状が必要です。」あわせて、数量の多少にかかわらず危険物を取り扱う事業所の従業員には免状の取得をすすめています(よくある質問 Q1)。ほかの類の免状の取り方(乙種の免状を持つ人の科目免除や、複数の類の受験)は、乙種の複数の類を受けるときの組み合わせと科目免除にまとめています。
危険物乙4が活かせる仕事
乙4が仕事で求められるのは、消防法が製造所等(指定数量以上の危険物を扱う施設)に次のことを求めているからです。
- 免状のない人が危険物を取り扱うときは、甲種か乙種の危険物取扱者が立ち会う(消防法第13条第3項。乙4は第4類について立ち会える)
- 政令で定める製造所等では、甲種か乙種で6か月以上の実務経験がある人から危険物保安監督者を選ぶ(同条第1項)
- タンクローリー(移動タンク貯蔵所)で運ぶときは、その危険物を取り扱える危険物取扱者が乗車する(第16条の2第1項)
どの施設で保安監督者が必要か、全国の危険物施設の数と推移、乙4だけでは足りない場面は、乙4は食いっぱぐれないか(消防法で見る乙4が要る場面)で条文と消防庁の統計をもとに整理しています。
受験資格と試験の内容
乙種危険物取扱者試験には受験資格がありません。年齢・学歴・実務経験を問わず受験できます(消防試験研究センター 受験資格)。ただし、合格して免状を取っても、危険物保安監督者になるには別に6か月以上の実務経験が必要です(消防法第13条第1項)。
乙種の試験は五肢択一式・試験時間2時間で、科目ごとに60%以上で合格です。
| 科目 | 出題数 | 合格に必要な正答数(60%以上) |
|---|---|---|
| 危険物に関する法令 | 15問 | 9問以上 |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 | 6問以上 |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 | 6問以上 |
乙種の試験形式・合格基準:五肢択一式・2時間・試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上で合格。最終確認日:2026-10-03。出典:消防試験研究センター 試験の方法。
出題数はセンターの試験科目のページによります。
乙4の試験科目と出題範囲(危険物の規制に関する規則第55条第2項)
試験科目と、それぞれで問われる範囲は、危険物の規制に関する規則第55条第2項が定めています(条文は e-Gov 法令検索で確認、2026-10-03 時点の現行条文)。条文に書かれた範囲は次のとおりです。
| 科目(危険物の規制に関する規則第55条第2項) | 問題数 | 条文に書かれた範囲 |
|---|---|---|
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学(第1号) | 10問 | 危険物の取扱作業に関する保安に必要な基礎的な物理学/同じく基礎的な化学/燃焼及び消火に関する基礎的な理論 |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(第2号) | 10問 | すべての種類の危険物の性質に関する基礎的な概論/受験に係る類の危険物に共通する特性/受験に係る類の危険物に共通する火災予防及び消火の方法/受験に係る類の危険物の品名ごとの一般性質/受験に係る類の危険物の品名ごとの火災予防及び消火の方法 |
| 危険物に関する法令(第3号) | 15問 | 範囲の細目は条文にありません |
乙4で「受験に係る類」とは第4類のことです。つまり、性質の科目で問われる「共通する特性」「品名ごとの一般性質」「火災予防及び消火の方法」は第4類についてで、第1・2・3・5・6類の物質ごとの性質は範囲に入りません。ただし「すべての種類の危険物の性質に関する基礎的な概論」は全類にまたがる範囲として書かれています。
科目ごとの問題は次から解けます。
- 危険物に関する法令の問題を科目別に解く(150問)
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学の問題を科目別に解く(100問)
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法の問題を科目別に解く(100問)
1科目でも60%を切ると不合格になる仕組みと対策は危険物乙4で覚えること(科目別60%の足切り)、合格率の推移は合格率・難易度の解説で扱っています。
危険物乙4 令和7年度の全国合格率・乙種の試験手数料:合格率31.9%(受験者222,545人・合格者71,059人、令和7年4月〜令和8年3月の合計)。乙種の試験手数料5,300円(非課税)。最終確認日:2026-10-03。出典:消防試験研究センター 試験実施状況(令和7年度)、試験の方法。
合格ナビの危険物乙4 法令の論点別問題150問のうち、免状・取扱者・保安監督者を扱う論点の問題は18問です(2026-10-03 当サイト集計)。名称と免状の仕組みは法令科目でもそのまま問われます。
まとめ
- 正式名称は乙種危険物取扱者(消防法)。乙4は、免状に第4類が指定された乙種のこと
- 免状には交付年月日・種類・取り扱える危険物の種類などが記載される(政令第33条)
- 履歴書は「危険物取扱者免状(乙種第4類)取得」+免状の交付年月日。免状がまだなら「試験 合格」
- 消防設備士の乙種第4類とは別の資格。「危険物取扱者」と書き添える
- 受験資格はなし。保安監督者には6か月以上の実務経験が別に必要
- 乙4の試験科目と範囲は危険物の規制に関する規則第55条第2項が定める。性質の科目は第4類(受験に係る類)が範囲
- 乙4で取り扱える・立ち会えるのは第4類だけ。第1・2・3・5・6類は別の乙種免状が必要
※ 本記事は現行の消防法令と消防試験研究センターの案内に基づくオリジナル解説です。免状の申請・書換えの手続きは都道府県(センター支部)の案内をご確認ください。
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よくある質問
Q「乙4」と略して履歴書に書いてもよいですか?
略さずに書くのが無難です。「乙4」は通称で、消防法の名称は「乙種危険物取扱者」、取り扱える類は免状に「第4類」として記載されます。「危険物取扱者免状(乙種第4類)取得」のように、名称と類を両方書けば誤解されません。
Q試験に合格しただけで「取得」と書いてよいですか?
消防法でいう危険物取扱者は「危険物取扱者免状の交付を受けている者」です。合格しただけで免状の交付申請をしていない段階なら「乙種第4類危険物取扱者試験 合格」と書き、免状が届いてから「取得」と書くのが正確です。
Q履歴書の取得年月はいつにすればよいですか?
免状には交付年月日が記載されます(危険物の規制に関する政令第33条)。免状を取得したと書くなら、その交付年月日の年月を書くと、免状を見せたときに食い違いません。
Q消防設備士の乙種第4類とは違う資格ですか?
別の資格です。消防設備士は消防用設備の工事・整備のための資格で、第4類は自動火災報知設備などの区分です。危険物取扱者の第4類(引火性液体)とは名前が似ているだけなので、履歴書では「危険物取扱者」か「消防設備士」かを書き分けます。
Q乙4種・乙4類・乙種第4類・乙四は、すべて同じ資格ですか?
すべて、乙種危険物取扱者免状に第4類(引火性液体)が指定された資格を指す通称・略称です。消防法の名称は「乙種危険物取扱者」で、取り扱える類は免状に記載されます(危険物の規制に関する政令第33条第4号)。消防試験研究センターは「乙種第4類」と表記しています。
Q乙4の試験で出る範囲は、どこで決まっていますか?
危険物の規制に関する規則第55条第2項が、乙種危険物取扱者試験の試験科目を定めています。基礎的な物理学及び基礎的な化学、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法、危険物に関する法令の3科目で、それぞれの範囲も同項に書かれています。各科目の問題数は、消防試験研究センターの試験科目及び問題数のページで公表されています。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。
