労働保険料徴収法2労働保険料徴収法

社労士 労働保険料徴収法 問2:労働保険料徴収法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

労働保険の保険料徴収等に関する法律における概算保険料および確定保険料の申告・納付(年度更新)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事業主は、保険年度(4月1日〜3月31日)ごとに概算保険料を申告・納付しなければならず、保険年度の当初に当該年度の見込みの賃金総額をもとに概算額を申告し、保険年度末に確定した賃金総額をもとに確定保険料を申告する。
  • 継続事業(有期事業を除く)の年度更新は、毎年6月1日から7月10日までの間に、確定保険料(前年度分)の申告・清算と当年度の概算保険料の申告・納付を同時に行う。
  • 確定保険料額が既に納付した概算保険料額を超える場合(不足額がある場合)は、その差額を追加納付しなければならないが、概算保険料の方が多かった場合(超過額がある場合)は翌保険年度の概算保険料に充当するか、または還付を請求することができる。
  • 概算保険料の延納(分割納付)は、概算保険料額が一定額以上(保険料額40万円以上または労災保険・雇用保険のいずれかが20万円以上)の場合に認められ、3回に分割して納付することができる。
  • 保険年度の途中で保険関係が成立した事業(新規成立事業)については、成立の日から60日以内に概算保険料を申告・納付しなければならない。正答
正答:保険年度の途中で保険関係が成立した事業(新規成立事業)については、成立の日から60日以内に概算保険料を申告・納付しなければならない。

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正答はオ(誤っている記述)です。

保険年度の途中で保険関係が成立した新規事業について、概算保険料の申告・納付期限は徴収法第15条第2項により保険関係成立の日(の翌日)から起算して「50日以内」と規定されています。設問オの「60日以内」は誤りです。

アは正しく、年度更新(概算→確定)の構造は徴収法第15条・第19条の通り。イは正しく、継続事業の年度更新は毎年6月1日〜7月10日(徴収法第15条第1項・第19条第1項)。ウは正しく、不足は追加納付・超過は充当または還付(第19条第6項)。エは正しく、延納要件は概算保険料40万円以上(労災・雇用一方のみ成立の場合は20万円以上)で3回分割(徴収法第18条)。

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年度更新の仕組み(必須整理):

```

【継続事業の年度更新スケジュール】

4月1日 新保険年度開始

6月1日 年度更新申告書の提出開始

7月10日 年度更新の申告・納付期限

(① 前年度確定保険料の申告・精算)

(② 当年度概算保険料の申告・初回分納付)

10月31日 延納2回目の納付期限(概算を延納している場合)

翌年1月31日 延納3回目の納付期限

翌年3月31日 保険年度終了

```

概算保険料の延納要件(第18条):

| 要件 | 内容 |

|---|---|

| 延納可能な条件 | 継続事業: 概算保険料額が40万円以上(労災・雇用の一方の保険関係のみ成立する事業は20万円以上)/有期事業: 75万円以上/労働保険事務組合委託の場合は金額要件不問 |

| 分割回数(継続事業・年度当初成立) | 年3回(7月10日・10月31日・翌年1月31日) |

| 各回の納付額 | 概算保険料総額を3等分(端数調整あり) |

| 年度途中成立の場合 | 成立日4月1日〜5月31日=3回、6月1日〜9月30日=2回、10月1日以降=分割不可 |

確定保険料の過不足処理(第19条):

| 状況 | 処理 |

|---|---|

| 確定額 > 概算納付額(不足) | 追加納付(年度更新期限まで) |

| 確定額 < 概算納付額(超過) | 翌年度概算保険料への充当 または 還付請求 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 概算→確定という年度更新の基本構造。正しい。
  • イ(正): 年度更新の申告・納付期限は6月1日〜7月10日。法第15条・第19条の通り。
  • ウ(正): 不足額は追加納付・超過分は充当または還付。法第19条第6項の通り。
  • エ(正): 延納要件(継続事業40万円以上・労災/雇用の一方のみ成立は20万円以上)・3回分割。法第18条の通り。
  • オ(誤・正答): 新規成立事業の概算保険料申告期限は徴収法第15条第2項により「保険関係成立の日から50日以内」が正しく、「60日以内」は誤り。
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【労働保険料の計算構造:賃金総額×保険料率の基本】

労働保険料(労災保険料+雇用保険料)の計算は、事業が使用するすべての労働者に支払う賃金総額に、各保険の保険料率を乗じることで算出されます。

```

労働保険料総額(概算・確定)

= (全労働者への賃金総額 × 労災保険料率)

+ (雇用保険対象者への賃金総額 × 雇用保険料率)

※ 労災保険は全労働者が対象(日雇いを含む)

※ 雇用保険は雇用保険被保険者のみが対象(週所定労働時間20時間未満の者は対象外)

```

賃金総額の範囲(徴収法第2条):

賃金総額に含まれるもの(保険料算定の基礎):

  • 基本給・各種手当(通勤・住宅・家族等)
  • 時間外・休日・深夜手当
  • 賞与・ボーナス(臨時の賃金も含む)
  • 現物給与(食事・住宅等の現物支給分)

賃金総額に含まれないもの:

  • 退職金(条件により)
  • 見舞金・慶弔金(臨時で少額のもの)
  • 出張旅費の実費精算分

健康保険の「標準報酬」や雇用保険の「賃金日額」の算定と基礎が一部異なる点に注意が必要です。

【年度更新の特殊ケース:賃金総額の見込み額と確定額の乖離】

年度更新において、概算保険料の計算基礎(前年度の賃金総額または見込み額)と、確定保険料の計算基礎(実際の賃金総額)に大きな差が生じた場合の取扱いが重要です。

増員・賃上げで賃金総額が大幅増加した場合:

  • 概算保険料の追加申告(第17条の2)が可能(中途での増額申告)
  • 確定時に大きな不足額が生じるリスクを軽減

大量解雇・事業縮小で賃金総額が大幅減少した場合:

  • 確定時に大きな超過額(還付対象)が生じる
  • 場合によっては概算保険料の減額申告も可能

【有期事業の概算保険料:単独有期事業と一括有期事業】

継続事業(通常の事業)の年度更新とは別に、有期事業(一定の期間のみ行う事業)には独自の保険料申告ルールがあります。

単独有期事業(大規模建設工事等):

  • 工事請負金額が確定した時点で独立した保険関係が成立
  • 保険関係成立後50日以内(または法定の日以内)に概算保険料を申告・納付
  • 事業完了時に確定保険料を申告・精算

一括有期事業(小規模な建設工事・立木伐採等の多数の有期事業を一括管理):

  • 年度更新と同じスケジュール(6月1日〜7月10日)で申告・納付
  • choushuu_04で詳述(一括有期事業の要件・建設業特例)

【労働保険事務組合の役割と中小事業主の特別加入】

中小事業主(労働者50人以下等の要件)は、労働保険事務組合に保険料の申告・納付事務を委託することができます(法第33条)。

労働保険事務組合に委託できる業務:

  • 概算保険料・確定保険料の申告・納付
  • 保険関係成立届・廃止届の提出
  • 被保険者資格の得喪届(雇用保険)

労働保険事務組合委託のメリット(中小事業主):

1. 延納の特例: 通常は40万円以上必要な延納が、事務組合委託で金額要件なしで延納可能

2. 中小事業主の特別加入: 労災保険への特別加入(中小事業主等の任意加入)が事務組合を通じて可能

3. 口座振替: 納付事務の自動化

社労士は労働保険事務組合の設立・運営に関与することが多く、中小事業主向けの保険料管理・申告代行が実務の重要業務の一つです。年度更新の正確な期限(6月1日〜7月10日)と延納の仕組みを熟知することが、顧問先への正確なアドバイスの基礎となります。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条(概算保険料の申告・納付)・第18条(概算保険料の延納)・第19条(確定保険料の申告・納付)、労働保険徴収法施行規則第27条 <!-- 監修確定 2026-06-07 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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