測量士補 地図編集 問22:出典: 令和5年度 問22
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19)
次の a 〜 e の文は,地図投影法について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。
- 1a,b
- 2a,e
- 3b,c
- 4c,d
- 5d,e正答
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地図投影法の基本知識に関する誤り識別問題(令和5年度 問22)。正答は(5)「d,e」です。
dが誤りの理由:ユニバーサル横メルカトル図法(UTM図法)は,北緯84°から南緯80°の間を「経度差6°ずつ」の帯(ゾーン)に分割して投影します。「緯度差6°ずつ」という記述が誤りです。南北(緯度)方向ではなく,東西(経度)方向に6°ずつ区切って60のゾーンに分割します。
eが誤りの理由:日本の平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)に用いられる地図投影法は,「ガウス・クリューゲル図法(横メルカトル図法)」です。「ランベルト正角円錐図法」は別の図法(米国の州平面座標系などで使用)であり,日本の平面直角座標系には使用されていません。
選択肢a・b・cは正しい記述です。X軸の向き(a),正角図法の性質(b),正積・正角の同時不可(c)はすべて正確な測量・地図学の知識です。
【地図投影法の誤り識別問題】(令和5年度 問22)
【d が誤りの根拠:UTM図法の帯(ゾーン)分割】
UTM(Universal Transverse Mercator)図法の帯分割:
- 分割方向:経度方向(東西)に6°ずつ → 60帯(ゾーン1〜60)
- 対象範囲:北緯84°〜南緯80°
- ゾーン番号:ゾーン1は西経180°〜174°,東に向かってゾーン番号増加
- 日本はゾーン51〜55に相当(東経123°〜153°付近)
誤り部分:「緯度差6°ずつ」→ 正しくは「経度差6°ずつ」
参考:UTM図法の緯度帯(補助的区分)は8°ずつでA〜Xの文字(IとOを除く)で表示し,ゾーン番号と組み合わせてグリッド指定(例:53S=東京付近)をする。
【e が誤りの根拠:平面直角座標系の投影法】
測量法第11条・平成14年国土交通省告示第9号:
日本の平面直角座標系はガウス・クリューゲル図法(横メルカトル図法:Transverse Mercator)を使用。
平面直角座標系の特徴:
- 全国19系(第Ⅰ系〜第ⅩⅨ系)に分割
- 各系に中央子午線を設定,縮尺係数m₀=0.9999
- 原点から南北方向がX軸(北が正),東西方向がY軸(東が正)
ランベルト正角円錐図法(Lambert Conformal Conic):
- 正角図法の一種だが横メルカトルとは別の円錐投影
- 日本の平面直角座標系には未使用
- 使用例:米国の州平面座標系・航空チャート
【正しい選択肢の根拠】
- a: 正しい。告示第9号:X軸=座標系原点での子午線方向,北が正(X増加方向)
- b: 正しい。正角(等角)図法:局所的に任意2方向の角度が地球上と地図上で等しい(共形写像)
- c: 正しい。正積図法(等積)と正角図法(等角)を同時に満足する投影法は存在しない(Tissotの指示楕円の理論より証明可能)
【地図投影法の理論と日本の座標系の体系的理解】(令和5年度 問22)
【地図投影法の3大性質と排他性】
地図投影法に望ましい性質3つ:
1. 正角(等角):角度保存(正角図法)
2. 正積(等積):面積保存(正積図法)
3. 正距(等距):距離保存(特定方向のみ可能)
数学的証明(Tissot 1881):正角かつ正積を同時に満足する投影法は存在しない。
Tissotの指示楕円:ある点周辺の微小円が投影面でどのような楕円になるかを表す。
- 正角図法:Tissot楕円が円になる(縮尺係数が全方向等しい,ただし点ごとに異なる)
- 正積図法:Tissot楕円の面積が一定(楕円が潰れて角度保存なし)
- 両者の長軸×短軸の積 = 面積保存の条件,長軸/短軸 = 1 の条件が同時成立不可
【ガウス・クリューゲル図法の数学的特性】
横メルカトル投影の基本式(Helmert展開):
x = N cosφ × (λ−λ₀) + 高次項
y = 子午線弧長 M(φ) + 高次項
縮尺係数 m = m₀ × (1 + y²/(2N²) + ...)
m₀=0.9999(原点縮尺係数),y:中央子午線からの距離
縮尺誤差が±0.04%(m₀の定義による)の範囲:中央子午線から約180km以内(精度維持のため各系を設定する理由)
【UTM座標系と日本の平面直角座標系の違い】
| 項目 | UTM座標系 | 平面直角座標系(日本) |
|---|---|---|
| 帯幅 | 経度6°×60帯 | 不等(1〜数°) |
| 縮尺係数 | m₀=0.9996 | m₀=0.9999 |
| 座標原点 | 赤道上 | 各系の交点 |
| 対象範囲 | 全世界(高緯度除く) | 日本国土(19系) |
| 目的 | 国際統一 | 精密測量用 |
縮尺係数の差(0.9996 vs 0.9999):UTMは中央子午線上で4cm/kmの短縮誤差,日本の平面直角は1cm/kmの短縮誤差と精密な成果には日本の系が優れる。
【測量士試験への接続】
測量士では,ガウス・クリューゲル図法の座標変換式(測地座標⇔平面直角座標)の数値計算,各系の中央子午線・原点座標の諸元,縮尺係数を考慮した面積・距離補正,UTMグリッド参照系(MGRS)の読み方が出題される。
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和5年度 測量士補試験 問22(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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