測量士補 GNSS測量 問8:出典: 令和4年度 問8
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19)
次の文は,GNSS測量について述べたものである。ア〜オに入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。 「ア」測位とは,搬送波位相を用いて2点間の相対的な位置関係を決定する方法をいう。「ア」測位では,共通の衛星について2点間の搬送波位相の差を取ることで,「イ」誤差が消去された一重位相差を求める。さらに,2衛星についての一重位相差の差を取ることで「イ」誤差に加え「ウ」誤差が消去された二重位相差を得る。これらを含めた「エ」により,基線ベクトルを求める。 公共測量における1級基準点測量において,電子基準点のみを既知点としたGNSS測量を行う場合,測量計算に及ぼす地殻変動によるひずみの影響が大きくなるため,「オ」を行う必要がある。
- 1ア: 単独 イ: 受信機時計 ウ: 衛星時計 エ: 三次元網平均計算 オ: PCV補正
- 2ア: 単独 イ: 受信機時計 ウ: 衛星時計 エ: 基線解析 オ: セミ・ダイナミック補正
- 3ア: 干渉 イ: 衛星時計 ウ: 受信機時計 エ: 三次元網平均計算 オ: セミ・ダイナミック補正
- 4ア: 干渉 イ: 受信機時計 ウ: 衛星時計 エ: 基線解析 オ: PCV補正
- 5ア: 干渉 イ: 衛星時計 ウ: 受信機時計 エ: 基線解析 オ: セミ・ダイナミック補正正答
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本問はGNSS測量の基本原理と用語を問う問題です。正答は5(ア: 干渉・イ: 衛星時計・ウ: 受信機時計・エ: 基線解析・オ: セミ・ダイナミック補正)です。
ア「干渉」:搬送波位相を用いて2点間の相対位置を求める方法は「干渉測位」です。「単独測位」は1台の受信機でコード信号から位置を求める方法で精度が低いです。
イ「衛星時計」:2点間で同じ衛星の搬送波位相差(一重位相差)を取ると、衛星から両点への時計誤差(衛星時計誤差)が消去されます。
ウ「受信機時計」:2衛星の一重位相差の差(二重位相差)を取ると、衛星時計誤差に加えて受信機時計誤差も消去されます。
エ「基線解析」:二重位相差から基線ベクトル(2点間の3次元ベクトル)を求める計算処理は「基線解析」です。
オ「セミ・ダイナミック補正」:電子基準点を既知点とした測量では、地殻変動によるひずみの影響を補正する「セミ・ダイナミック補正」が必要です。
本問はGNSS測量の差分処理の仕組みを段階的に問う重要問題です。
ア(干渉測位)
GNSS測量の測位方式:
- 単独測位:受信機1台・コード信号のみ・精度数m〜10m。一般ナビゲーション向け。
- 干渉測位:受信機2台以上・搬送波位相差を利用・精度mm〜cm。測量向け。
搬送波位相を用いた干渉測位では、2点間で同じ衛星を観測して搬送波位相差を取る(一重差分)ことで共通誤差を消去し、高精度な相対位置を決定します。
イ(衛星時計誤差)
一重位相差(Single Difference):
φ₁ - φ₂ = 観測点1の搬送波位相 - 観測点2の搬送波位相
この処理で衛星時計誤差(両点に共通)が消去されます。衛星の軌道誤差・電離層誤差・対流圏誤差は完全には消えません(基線が短いほど相関が高く消える)。
ウ(受信機時計誤差)
二重位相差(Double Difference):
(φ₁ᴬ - φ₂ᴬ) - (φ₁ᴮ - φ₂ᴮ) = 衛星A・Bの一重差の差
この処理で衛星時計誤差に加えて受信機時計誤差も消去されます。各受信機の時計の進み方の違い(受信機時計誤差)は両衛星に共通するため差分で消去されます。
エ(基線解析)
二重位相差に整数値バイアス(不確定整数)を加えて基線ベクトル(X,Y,Z方向の距離差)を求める処理が「基線解析」です。FIX解(整数値バイアスを確定した解)の取得が精度の鍵です。
オ(セミ・ダイナミック補正)
電子基準点の座標は特定の基準エポックの値で固定されています。地震等の地殻変動で電子基準点の実際の位置が変化しても座標値は更新されないため、離れた電子基準点を既知点とすると変位のひずみが測量結果に含まれます。国土地理院の提供するセミ・ダイナミック補正ソフトウェア(SemiDynaEXE)でこの補正を行います。
本問はGNSS測量の理論的深部と最新の補正技術を問う高度な内容です。
干渉測位の差分処理の数学的構造
受信機AがGNSS衛星iから受信した搬送波位相 φᴬᵢ は:
φᴬᵢ = (1/λ)(ρᴬᵢ + c×dTᴬ - c×dtᵢ + Nᴬᵢ×λ + Iᴬᵢ + Tᴬᵢ + εᴬᵢ)
ここで: λ: 搬送波長、ρ: 幾何学的距離、c: 光速、dT: 受信機時計誤差、dt: 衛星時計誤差、N: 整数値バイアス、I: 電離層遅延、T: 対流圏遅延、ε: 雑音
一重位相差(A・B間・衛星i): φᴬᵢ - φᴮᵢ → 衛星時計誤差dtᵢ消去
二重位相差(衛星i・j): (φᴬᵢ - φᴮᵢ) - (φᴬⱼ - φᴮⱼ) → 受信機時計誤差dTも消去
FIX解の品質指標: Ratio値(第2候補の残差二乗和÷第1候補の残差二乗和)が3.0以上でFIX確定が目安。
セミ・ダイナミック補正の仕組みと適用場面
国土地理院のセミ・ダイナミック補正は、電子基準点の変位ベクトルデータ(地殻変動補正パラメータ)を用いて、測量座標を基準エポック(JGD2011の元期)への補正を行います。
補正が特に重要な場面:
1. 2011年東日本大震災後の東北地方(最大5m以上の変位)
2. 地殻変動が活発な火山地域・活断層周辺
3. 既知点と新点の間が遠い1級基準点測量(変位ひずみが大きくなる)
PCV補正(Phase Center Variation補正)との区別
PCV補正はアンテナの位相中心の方向依存性補正(衛星の仰角・方位角によってアンテナの電気的位相中心がズレる現象の補正)であり、セミ・ダイナミック補正とは全く別の補正処理です。本問の選択肢4・1でPCV補正が誤りとなっているのはこのためです。
現代のGNSS測量の技術動向(測量士試験・実務の最前線)
- マルチGNSS(GPS+GLONASS+Galileo+BeiDou+QZSS)観測による精度向上・可用性向上
- RTK-GNSS(リアルタイムキネマティック)→補正データをネットワーク経由でリアルタイム受信
- PPP(高精度単独測位)→補正データ不要・遠隔地での高精度測量に有望
- ISEA(衛星強化システム)→QZSS「みちびき」のセンチメートル補正サービス(2023年試験運用)
測量士試験では最新のGNSS技術(QZSS活用・PPP・マルチGNSS処理)に関する問題が増加傾向にあります。
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和4年度 測量士補試験 問8(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき段差性のあるAI解説(初心者・標準・上級)を作成しています。