測量士補 写真測量 問20:出典: 令和4年度 問20
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19)
次のa〜eの文は,空中写真測量の特徴について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の中から選べ。 a. 現地測量に比べて,広域な範囲の測量に適している。 b. 高塔や高層建物は,空中写真の中心に向かって倒れこむように写る。 c. 同一撮影条件において,画面距離のみが異なるカメラを比較した場合,画面距離の短いカメラを使用した方が一枚の空中写真に写る地上の範囲は広くなる。 d. デジタル航空カメラで撮影した場合,対地高度が下がるほど,地上画素寸法は大きくなる。 e. 空中写真に写る地物の形状,大きさ,色調,模様などから,土地利用の状況を知ることができる。
- 1a,c
- 2a,e
- 3b,d正答
- 4b,e
- 5c,d
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「間違っているものだけの組合せ」を選ぶ問題です。
b が誤り:高塔や高層建物は,空中写真では中心から外側へ倒れこむように写ります。これを「起伏変位(relief displacement)」といいます。「中心に向かって」は逆です。
d が誤り:デジタル航空カメラでは,対地高度が下がるほど地上画素寸法(GSD)は小さくなります(より細かく写る)。高度が下がれば同じ画素で写せる地上の面積が狭くなるため,1 画素あたりの地上サイズは小さくなります。「大きくなる」は逆です。
a・c・e はすべて正しい記述です。正解は選択肢3(b,d)です(270字)。
各文の正誤を原理とともに確認します。
a(正しい)
空中写真測量は航空機で広域を一度に撮影できるため,現地測量と比べて広範囲の測量・地図作成に優れています。山岳地・農地・森林など人が入りにくい場所も撮影可能です。
b(誤り)
空中写真には「起伏変位」という特性があります。投影中心(主点)から離れた高い構造物ほど,写真上では主点から外側へ傾いて写ります。これは中心投影の幾何学的特性によるもので,「中心に向かって」は完全に逆の記述です。
c(正しい)
画面距離(焦点距離)f が短いほど,同じ撮影高度でも写野(撮影される地上範囲)が広くなります。広角レンズ(f 小)は一枚に広い範囲が写り,望遠レンズ(f 大)は狭い範囲が大きく写ります。
d(誤り)
地上画素寸法(GSD: Ground Sampling Distance)は次式で表されます。
GSD = (対地高度 H × 画素寸法 p) ÷ 焦点距離 f
H が小さくなるほど GSD は小さくなります(精細になる)。「対地高度が下がるほど GSD が大きくなる」は逆の記述です。
e(正しい)
空中写真は地物の形状・色調・模様から土地被覆・土地利用の判読が可能です。これが写真判読(フォトインタープリテーション)の基礎であり,土地利用図作成等に活用されます。
以上,b と d が誤り → 正解は選択肢3(512字)。
起伏変位と GSD の原理を数式・実務の観点から深掘りします。
1. 起伏変位(Relief Displacement)の定式化
中心投影の空中写真において,地上高 h の点が平面上の点に対して写真上でずれる量(起伏変位 δr)は:
δr = r × h / H
- r:写真主点から計測点までの距離(mm)
- h:地物の高さ(m)
- H:対地高度(m)
この式から:
- 主点(r = 0)では変位なし
- 主点から離れるほど(r 大)変位が大きい
- 変位の方向は主点から外側(放射方向)
高層建物の頂点は底部より外側に写り,建物が外側に「倒れる」ように見えます。この変位は正射投影変換(オルソ化)により補正されます。
2. 地上画素寸法(GSD)の計算
GSD(m/pixel)= H(m) × p(mm/pixel) ÷ f(mm)
例:H = 1000 m,p = 0.007 mm,f = 100 mm の場合
GSD = 1000 × 0.007 / 100 = 0.07 m = 7 cm/pixel
H を半分(500 m)にすると GSD = 3.5 cm/pixel(精細化)。
H を 2 倍(2000 m)にすると GSD = 14 cm/pixel(粗くなる)。
対地高度と GSD は比例関係であり,高度を下げると GSD が小さくなり(精細になり)ます。
3. 焦点距離と撮影範囲の関係
一枚の写真で撮影される地上範囲(フットプリント)の一辺 L は:
L = (センササイズ S × H) / f
焦点距離 f が小さいほど L が大きくなる(広範囲を撮影)。広角(短焦点)vs 望遠(長焦点)の選択は,撮影効率(一枚あたりの面積)と解像度のトレードオフです。
4. 空中写真の4大変位と補正
| 変位 | 原因 | 補正方法 |
|------|------|----------|
| 起伏変位 | 中心投影×地形起伏 | DEM を用いたオルソ化 |
| 傾き変位 | 撮影時の機体傾き | 同時調整(外部標定) |
| 主点変位 | レンズ歪み | 内部標定(検定証明書) |
| 大気屈折 | 光の屈折 | 屈折補正モデル |
オルソ画像は4変位すべてを補正した正射画像であり,地形図と重ね合わせて利用できます。
5. 測量士試験への接続
測量士試験では,GSD の計算・起伏変位量の計算・オルソ化の原理・SfM(Structure from Motion)との比較が頻出です。本問の2つの誤り(起伏変位の方向・GSD と高度の関係)は最頻出事項であり,確実に正誤判断できる状態にしてください(1,100字)。
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和4年度 測量士補試験 問20(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき段差性のあるAI解説(初心者・標準・上級)を作成しています。