測量士補 多角測量 問7:出典: 令和4年度 問7
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19)
図7は,トータルステーションによる偏心観測について示したものである。図7のように,既知点Bにおいて,既知点Aを基準方向として新点C方向の水平角を測定しようとしたところ,既知点Bから既知点Aへの視通が確保できなかったため,既知点Aに偏心点Pを設けて,水平角T′,偏心距離e及び偏心角φの観測を行い,表7の結果を得た。このとき,既知点A方向と新点C方向の間の水平角Tは幾らか。最も近いものを次の中から選べ。 ただし,既知点A,B間の距離Sは,1,500mであり,S及びeは基準面上の距離に補正されているものとする。 また,角度1ラジアンは,(2×10⁵)″とする。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。 【図7参照】問題の概要: 既知点Bから既知点Aへの視通が障害物により遮断。既知点A付近に偏心点Pを設け、B点でT′(P→C方向の水平角)・e(BP間ではなくAP間の偏心距離)・φ(偏心角)を観測する偏心観測。 【表7】 - φ: 210°00′00″ - e: 2.70 m - T′: 50°41′00″
- 150°30′00″
- 250°32′00″
- 350°34′00″
- 450°36′00″
- 550°38′00″正答
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本問はトータルステーション(TS)を用いた偏心観測の補正計算問題です。正答は5(50°38′00″)です。
偏心観測とは、測点(既知点A)に直接器械を設置できない場合に、近傍の偏心点Pに設置して観測し、後から補正計算で本来の測点での値を求める手法です。
偏心補正量δ(ラジアン)の計算式:
δ = (e / S) × sin(φ)
数値代入:
- e = 2.70m、S = 1,500m、φ = 210°
- sin(210°) = −sin(30°) = −0.5
- δ = (2.70 / 1,500) × (−0.5) = −0.0009 ラジアン
秒への換算(1ラジアン = 2×10⁵″):
δ = −0.0009 × 2×10⁵ = −180″ = −3′00″
真の水平角T:
T = T′ + δ = 50°41′00″ + (−3′00″) = 50°38′00″
本問は偏心観測の補正計算の手順を正確に理解しているかを問います。
偏心観測の原理
B点でA点を基準方向(0°)としてC方向の水平角Tを測定したいが、A点への視通が確保できない。そこでA点近傍の偏心点Pに偏心距離eを設け、B点からP方向を擬似的なA方向として観測したT′(B→A基準→C方向)を測定する。P点が真のA点とずれているため、補正量δでT′を補正してTを求める。
偏心補正量の公式(小角近似)
B点に器械を設置し、P点(偏心点)へ距離eだけ偏心している場合の補正量:
δ = (e / S) × sin(φ) [ラジアン]
ここで:
- e: 偏心距離(AP間の距離)= 2.70m
- S: 既知点A-B間の距離 = 1,500m
- φ: 偏心角(A点とP点から見た器械B方向と偏心方向のなす角)= 210°00′00″
計算手順
Step 1: sinφの計算
φ = 210° = 180° + 30°
sin(210°) = −sin(30°) = −0.5
Step 2: δをラジアンで計算
δ = (2.70 / 1,500) × (−0.5) = 0.0018 × (−0.5) = −0.0009 ラジアン
Step 3: δを秒に換算
1ラジアン = 2×10⁵″(問題文より)
δ = −0.0009 × 200,000 = −180″ = −3′00″
Step 4: 真の水平角T
T = T′ + δ = 50°41′00″ + (−3′00″) = 50°38′00″
よって正答は5。
本問は偏心観測補正の本質的理解と実務応用を問う良質な計算問題です。
偏心観測の幾何学的原理
B点に器械を設置し、真の基準方向をBA、偏心点Pが既知点Aの近傍にある場合を考えます。
偏心角φはPから見たA→B方向に対してのP→A方向の角度(図7の凡例参照)で、B点からの観測補正量δは三角形BAPに正弦定理を適用して導出されます。A-B間距離SがP-A間距離eに対して十分大きい場合(S >> e)、小角近似が成立し:
δ ≈ (e / S) × sin(φ) [ラジアン]
本問: e/S = 2.70/1,500 = 1/556(≒ 0.18%)であり、小角近似は十分有効です。
偏心角φの読み方の注意点
図7ではφ = 210°00′00″であり、sin(210°) = −0.5(負値)。これはP点がB点から見てA点の「向こう側」(BからAを延長した先)にあることを意味します。このためδが負となり、T′から3′00″を引いた値がTとなります。φの定義(どの方向からどの方向への角度か)は問題図を注意深く読まないと符号を間違えるため、図7の確認が必須です。
偏心観測が必要な実務場面
偏心観測は以下の状況で用いられます。
1. 既知点の標石が道路工事・建設工事で掘り起こされた場合
2. 既知点付近の樹木・建物・柵等で視通が確保できない場合
3. 既知点標石がマンホール内・建物内部にあって直接器械を設置できない場合
偏心距離eは小さいほど補正量が小さく精度が高くなります。公共測量作業規程の準則ではeの最大値に制限を設けており(既知点間距離Sの一定割合以内)、偏心距離が大きすぎる場合は別途処理が必要です。
偏心補正の精密公式(小角近似が使えない場合)
e/Sが大きい(1%以上)場合は、三角関数を使った精密式が必要です:
sin(δ) = (e × sin(φ)) / S'
(S' = BP間の距離を実測した値)
測量士試験では行列形式での偏心観測処理・不等精度観測の最小二乗調整が問われ、本問の計算ステップが基本中の基本として位置付けられます。
TS観測の精度向上と偏心観測の自動化
現代のTSは偏心観測補正機能を内蔵し、e・φ・T′を入力するだけで自動的にTを計算・出力するものが増えています。また、ロボットTS(自動視準TS)と反射プリズムを組み合わせた無人観測も実用化されており、偏心観測の機会自体が減少しつつあります。ただし、偏心観測補正の理解は「なぜ自動計算がその値を出すのか」を品質確認するために依然重要なリテラシーです。
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和4年度 測量士補試験 問7(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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