登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問18|スモン・キノホルム・亜急性脊髄視神経症と訴訟

問題

登録販売者 | 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

スモン(SMON)とキノホルムに関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

スモン(SMON)はSubacute Myelo-Optico-Neuropathyの頭文字で、「亜急性脊髄視神経症」のことです。スモン訴訟は、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤の使用によりスモンに罹患したことに対する損害賠償訴訟です。

誤りの選択肢を整理します。イのキノホルムは静脈注射の抗生物質ではなく、整腸剤として販売されていました。ウは誤りで、日本では1970年8月にスモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止されました。エは誤りで、訴訟は国及び製薬企業を被告として提訴され、1979年9月に全面和解が成立し、サリドマイド訴訟とともに1980年の医薬品副作用被害救済制度の創設の契機となりました。オは誤りで、スモンは腹部症状(下痢・腹痛)が先行し、その後に下肢のしびれ・脱力・視力障害が現れる経過が典型的です。

各選択肢の詳細解説:

  • ア(正): 手引きは、スモン訴訟を「整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症(英名Subacute Myelo-Optico-Neuropathy の頭文字をとってスモンと呼ばれる。)に罹患したことに対する損害賠償訴訟」としています。キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売されていましたが、1958年頃から消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになりました。
  • イ(誤): 手引きは「キノホルム製剤は、1924年から整腸剤として販売されていた」としています。抗生物質として静脈注射で使用されていたという記述は誤りです。
  • ウ(誤): 手引きは「日本では、1970年8月になって、スモンの原因はキノホルムであるとの説が発表され、同年9月に販売が停止された」としています。販売停止は1980年ではなく1970年です。1980年は、サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として医薬品副作用被害救済制度が創設された年です。
  • エ(誤): スモン訴訟は1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴されました。被告である国は、スモン患者の早期救済のためには和解による解決が望ましいとの基本方針に立ち、1977年10月に東京地裁で和解が成立して以来各地で和解が勧められ、1979年9月に全面和解が成立しました。また、サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年に医薬品副作用被害救済制度が創設されています。
  • オ(誤): 手引きはスモンの症状を「初期には腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じ、次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れる。麻痺は上半身にも拡がる場合があり、ときに視覚障害から失明に至ることもある」としています。腹部症状が先行し、次第に神経症状が現れる経過であり、オは誤りです。

スモン薬害の経緯まとめ:

年出来事
1924年キノホルム製剤が整腸剤として販売開始
1958年頃消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになる
1970年8月・9月スモンの原因はキノホルムであるとの説が発表(8月)、販売停止(9月)
1971年5月国及び製薬企業を被告として提訴
1977年10月東京地裁において和解が成立
1979年9月全面和解が成立
1980年サリドマイド訴訟・スモン訴訟を契機に医薬品副作用被害救済制度が創設

【キノホルム(Clioquinol)の薬理学と神経毒性の機序】

キノホルム(8-ヒドロキシキノリン系ハロゲン化物)の化学名: 5-chloro-7-iodo-8-hydroxyquinoline

用途と経緯(手引き):

  • 整腸剤: キノホルム製剤は1924年から整腸剤として販売されていた
  • その後の経緯: 1958年頃から消化器症状を伴う特異な神経症状が報告されるようになり、米国では1960年にアメーバ赤痢への使用に限ることが勧告された

神経毒性の推定機序(諸説あり):

1. キノホルム・亜鉛複合体説:

- キノホルムが腸管から吸収→血中亜鉛と強力なキレート複合体を形成

- 亜鉛欠乏→神経組織の代謝障害

- キノホルム-亜鉛複合体自体が神経毒性を示す

2. ビタミンB₁₂欠乏説:

- キノホルムがビタミンB₁₂の腸管吸収を阻害

- ビタミンB₁₂欠乏→脊髄後索変性(亜急性連合変性)

3. 直接神経毒性説:

- キノホルム自体・その代謝物が末梢神経・視神経に直接毒性

現在でも機序の完全解明には至っておらず、複合的な機序が関与すると考えられています。

【スモン訴訟とその後の施策(手引き)】

項目内容
提訴1971年5月に国及び製薬企業を被告として提訴
和解国は早期救済のため和解による解決が望ましいとの基本方針に立ち、1977年10月の東京地裁での和解以来各地で和解が勧められ、1979年9月に全面和解
スモン患者への施策治療研究施設の整備、治療法の開発調査研究の推進、施術費及び医療費の自己負担分の公費負担、世帯更生資金貸付による生活資金の貸付、重症患者に対する介護事業
制度の創設サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1980年に医薬品副作用被害救済制度が創設

なお、HIV訴訟の和解確認書では、国が「サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟の和解による解決に当たり、前後2回にわたり、薬害の再発を防止するため最善の努力をすることを確約した」ことに触れています。

【スモンの症状】

スモンの症状経過(手引きの記載):

1. 初期: 腹部の膨満感から激しい腹痛を伴う下痢を生じる

2. 進行: 次第に下半身の痺れや脱力、歩行困難等が現れる

3. 拡大: 麻痺は上半身にも拡がる場合がある

4. 視覚: ときに視覚障害から失明に至ることもある

【「亜急性(Subacute)」という病態の意味と診断的重要性】

「亜急性」とは数週間〜数ヶ月の経過で進行する状態(急性: 数時間〜数日、慢性: 数ヶ月〜年単位)を指します。SMONの場合:

  • 急性でない(数日で完成しない)→ ウイルス性脳炎等と区別
  • 慢性でない(数年かけて徐々にではない)→ 遺伝性変性疾患等と区別
  • 「整腸薬(キノホルム)服用の数週間後から症状が出た」という病歴が診断の鍵

登録販売者として、「薬を飲んでから何週間か経って手足がしびれる」という訴えには、必ず受診勧奨を行う必要があります。薬害の歴史を知ることは、このような「遅発性の副作用」に対する感度を高めることにつながります。

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章Ⅳ-2)「医薬品による副作用等にかかる主な訴訟」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章Ⅳ-2)「医薬品による副作用等にかかる主な訴訟」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。