第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識34医薬品に共通する特性と基本的な知識(アレルギー・既往確認)

登録販売者 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 問34:医薬品に共通する特性と基本的な知識(アレルギー・既往確認)

医薬品によるアレルギーに関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • アレルギーは内服薬のみで生じ、外用薬(塗り薬・貼り薬等)ではアレルギー反応は起こらない。
  • 医薬品のアレルギーは有効成分のみが原因であり、添加物(保存剤・着色剤・基剤等)がアレルギーを引き起こすことはない。
  • 医薬品に含まれる成分が食品にも含まれる場合、その食品にアレルギーがある人は医薬品でも同様にアレルギー反応が出る可能性がある(交差反応)。正答
  • アレルギー歴のある購入者への対応では、アレルギーが過去に軽症であれば、同じ成分の医薬品でも安心して販売できる。
  • 医薬品の添付文書の「してはいけないこと」に記載されたアレルギー歴の確認は、購入者の意思に関わらず登録販売者が必ず行う義務はない。
正答:医薬品に含まれる成分が食品にも含まれる場合、その食品にアレルギーがある人は医薬品でも同様にアレルギー反応が出る可能性がある(交差反応)。

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正答はウです。

医薬品の成分が食品にも含まれている場合、その食品にアレルギーがある人は医薬品を使ったときも同じようなアレルギー反応が出ることがあります。これを「交差反応」といいます。例えば、小麦由来成分・大豆成分・ゴマ成分などが医薬品の添加物として含まれる場合があります。

アは誤りで、外用薬でもアレルギー(接触性皮膚炎・全身性アナフィラキシー等)が生じます。イも誤りで、添加物がアレルギーの原因になることがあります(タートラジン等)。エも誤りで、軽症だったアレルギーが次回に重症化することがあります。オも誤りで、アレルギー歴の確認は重要な販売前確認事項です。

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医薬品アレルギーの多様な原因:

| 原因 | 具体例 |

|---|---|

| 有効成分 | アスピリン喘息・ペニシリンアレルギー等 |

| 添加物(保存剤) | パラベン類(安息香酸エステル)による皮膚炎 |

| 添加物(着色剤) | タートラジン(黄色4号)による喘息発作 |

| 添加物(基剤・溶剤) | プロピレングリコールによる接触性皮膚炎 |

| 食品との交差反応 | ゴマ油含有外用薬でゴマアレルギー者に反応 |

外用薬のアレルギー(アの誤りの根拠):

外用薬は皮膚・粘膜から吸収されるため、局所での接触性皮膚炎(遅延型アレルギー)だけでなく、全身性アレルギー(じんましん・アナフィラキシー)を引き起こすことがあります。貼り薬(テープ剤)の添加物(粘着剤・保存剤等)もアレルギーの原因になります。

交差反応の機序(ウが正しい理由):

交差反応とは、ある物質(アレルゲン)に対する免疫応答が、構造的に類似した別の物質にも反応する現象です。例えばカモガヤ花粉アレルギーの人がセロリ・ニンジンを食べると口腔アレルギー症候群が起きることがあります(花粉食物アレルギー症候群)。医薬品でも、食品由来の成分(小麦デンプン・大豆レシチン・ゴマ油・卵由来成分)が添加物として使われる場合に同様のことが起こり得ます。

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 外用薬でもアレルギーは生じる。経皮吸収での全身暴露もある。
  • イ(誤): 添加物が原因のアレルギーは存在する(タートラジン・パラベン等)。
  • ウ(正): 食品成分との交差反応は実際に起こり得る。既往の確認が必要な理由の一つ。
  • エ(誤): 過去に軽症でも、次回に重症化する(アナフィラキシー)可能性がある。軽症歴は安心の根拠にならない。
  • オ(誤): 添付文書の「してはいけないこと」に記載されたアレルギー歴の確認は重要な販売前確認であり、登録販売者はこれを怠ってはならない。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【アレルギーの免疫学的機序と交差反応の分子基盤】

アレルギー反応はI型〜IV型に分類されます。医薬品で臨床的に問題になるのは主にI型(即時型)とIV型(遅延型)です。

I型アレルギー(即時型・IgE介在型):

1. 感作フェーズ: 初めてアレルゲンに暴露 → 樹状細胞がTh2細胞に提示 → IL-4・IL-13産生 → B細胞がIgE産生 → マスト細胞・好塩基球のFcεRI受容体にIgEが結合(感作完了)。

2. 反応フェーズ: 再度アレルゲン暴露 → マスト細胞のIgEと架橋 → 脱顆粒(ヒスタミン・ロイコトリエン・プロスタグランジン等放出) → 血管拡張・平滑筋収縮・粘液分泌増加 → じんましん・気管支痙攣・アナフィラキシー。

発症は通常数分〜1時間以内。アナフィラキシーは血圧低下・意識消失を伴う生命危機状態になり得る。

IV型アレルギー(遅延型・T細胞介在型):

外用薬の接触性皮膚炎の多くはこのタイプです。感作されたT細胞がアレルゲンに再暴露すると、サイトカイン産生・マクロファージ活性化により炎症が生じます。発症は暴露後24〜72時間で、ニッケル・ゴム製品・保存剤(パラベン等)が代表的な原因物質です。貼り薬の粘着剤・基剤が原因となることもあり、「貼り薬をはがした後の部位に赤み・かゆみが出た」という訴えは遅延型接触性皮膚炎として注意すべきです。

交差反応の分子基盤:

交差反応が起きる理由は、アレルゲンとなるタンパク質・低分子の「立体構造・エピトープ」の類似性にあります。IgEや感作T細胞が「形が似た別の分子」を誤認識して反応します。

医薬品で問題になる主な交差反応:

| 食品アレルゲン | 交差反応が生じ得る医薬品成分・由来 |

|---|---|

| ゴマ | ゴマ油含有外用薬(一部の軟膏・クリーム基剤) |

| 大豆 | 大豆レシチン由来乳化剤(手引きでは、大豆油が原材料の点眼薬・含嗽薬等で大豆・落花生アレルギーの人は使用しないよう注意喚起される例がある) |

| 小麦 | 小麦デンプン(錠剤賦形剤) |

| 鶏卵 | 鶏卵白由来成分(過去にかぜ薬等の抗炎症成分として配合されたリゾチーム塩化物が代表例。卵白由来のため卵アレルギーの人は過敏症のおそれがあり注意が必要とされた) |

| ラテックス | ゴム由来成分(一部の医療器具・内包材) |

添加物アレルギーの代表:タートラジン:

タートラジン(食用黄色4号)は一部の医薬品に着色剤として使用されており、アスピリン過敏者に喘息様症状を引き起こすことがあります(タートラジン感受性・aspirin-tartrazine cross-reactivity)。メカニズムはアラキドン酸代謝経路の異常によるもので、IgE非介在型(非アレルギー性過敏反応)と考えられています。

「軽症アレルギー歴=安心」が危険な理由(エの誤りの背景):

アナフィラキシーは「初回は軽症(じんましんのみ)→次回は重篤(血圧低下・気道閉塞)」というように、暴露回数・量・感作の強さによって重症度が変わります。いわゆる「2回目以降の方が重い」パターンは珍しくなく、「以前は少し赤くなっただけだから大丈夫」という購入者の判断は危険です。過去のアレルギー歴を確認する目的は、「アレルギー歴があればそのアレルゲンと同一・類似の成分を含む医薬品を避けさせる」ためであり、過去の軽症を「安全の証明」として使うことはできません。

登録販売者の実務対応:

1. 「アレルギー歴はありますか?」という質問を必ず行う(特に内服・外用を問わず)。

2. 「食べ物のアレルギーはありますか?」の確認も行い、交差反応の可能性を確認する。

3. 「以前あの薬で赤くなった・かゆくなった」という申告があった場合は、同一成分・類似成分を含む製品を避け、必要であれば受診勧奨を行う。

4. アナフィラキシーの既往がある購入者には、OTC医薬品の使用には医師に相談してもらうよう伝える。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 設問・正答ウ(食品成分との交差反応)は一意性OK。要確認だった「鶏卵→ワクチン卵由来成分」はOTC範囲外で不適切なため、登録販売者試験で実際に扱われる鶏卵白由来成分(リゾチーム塩化物)の例へ差し替え。大豆の例も手引きに沿った点眼薬・含嗽薬の注意喚起の文脈に補正。タートラジン・パラベン等の添加物アレルギー記述は正確のため維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第1章 第2節「医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

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