登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問128|漢方処方製剤の使用上の一般的注意・証の不適合と重複投与

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

漢方処方製剤の使用上の一般的注意に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウです。

「天然由来だから副作用がない・長期服用しても安全」というのは誤りです。漢方処方製剤も医薬品であり、副作用(間質性肺炎・肝機能障害・偽アルドステロン症・腸間膜静脈硬化症等)が起こることがあります。「自然」「天然」という言葉は安全性を保証しません。

他の選択肢はすべて正しい内容です。

  • ア:証の不適合(誤治)→体調悪化は重要な概念で正しい。
  • イ:カンゾウ重複→グリチルリチン酸過剰→偽アルドステロン症は正しい。
  • エ:マオウ重複→エフェドリン過剰→動悸・血圧上昇は正しい。
  • オ:服用中の薬を伝える重要性は正しい。

語呂:「漢方も医薬品。天然だから安全は大嘘!証を外すと誤治になる」

漢方処方製剤の使用上注意:一般的な横断事項まとめ

注意事項内容代表的な成分・処方
証の不適合(誤治)体力・体質に合わない処方を使うと効果なし・体調悪化虚証の人に実証向け処方→消耗・副作用増大
カンゾウ重複グリチルリチン酸1日40mg超で偽アルドステロン症リスクカンゾウ含有多数処方(桂枝湯・補中益気湯等)
マオウ重複エフェドリン蓄積→動悸・血圧上昇・排尿困難マオウ含有(麻黄湯・葛根湯・小青竜湯等)
ダイオウ重複瀉下作用の蓄積→下痢・腹痛ダイオウ含有(防風通聖散・大黄甘草湯等)
サンシシ長期服用腸間膜静脈硬化症(5年以上の長期服用)サンシシ含有(黄連解毒湯・茵蔯蒿湯等)
重篤副作用5種間質性肺炎・肝機能障害・偽アルドステロン症・腸間膜静脈硬化症・SJS/TEN処方問わず注意

「天然だから安全」の誤解への反論:

  • 生薬も化学物質(有効成分は特定の化合物)を含む:グリチルリチン酸(偽アルドステロン症)・エフェドリン(動悸・血圧)・アコニチン(しびれ・不整脈)・ゲニポシド代謝物(腸間膜静脈硬化症)
  • 「量が多ければ毒になる」のはすべての物質に共通
  • 長期服用での副作用蓄積(サンシシ→MVC・カンゾウ→偽アルドステロン症)は時間スケールが長いだけで副作用は実在する

「証の不適合(誤治)」の概念:

漢方では「正しい薬を正しい人に使う」ことが大前提。証を外れた処方使用(誤治)の例:

  • 体力虚弱(虚証)の人に実証向けの瀉下処方(大柴胡湯等)→消耗・脱力・下痢過多
  • 体力充実(実証)の人に虚証向けの補気処方(補中益気湯等)→気の滞り・熱感が増悪

各選択肢の正誤:

  • ア(正):証の不適合(誤治)で体調悪化する可能性は正しい重要概念。
  • イ(正):カンゾウ重複→グリチルリチン酸過剰→偽アルドステロン症は正しい。
  • ウ(誤・正答):天然由来でも副作用はあり、長期服用が安全とは言えない。
  • エ(正):マオウ重複→エフェドリン過剰→心悸亢進・血圧上昇は正しい。
  • オ(正):服用中の薬の申告と成分重複の回避は正しい重要事項。

【漢方処方製剤の「証」と個別化医療の概念】

「証(しょう)」は漢方医療の核心概念で、患者の状態を複数の軸で分類して適切な処方を決定する。

証の軸実証(じつしょう)虚証(きょしょう)
体力・筋力充実・がっちり虚弱・やせ型
体温・代謝熱産生が多い(熱証傾向)熱産生が少ない(寒証傾向)
精神活動活発・興奮しやすい疲れやすい・内向き
消化器食欲旺盛・消化力強い食欲低下・胃腸虚弱
脈・舌力強い脈・紅舌弱い脈・淡白舌
排便便秘傾向下痢または普通

証の不適合(誤治)が起こりやすいケース:

1. 虚証の人が「葛根湯は何にでも効く」と信じて服用→発汗過剰・消耗・動悸

2. 体力がある人が「滋養目的」で補中益気湯を長期服用→気の滞り(気滞)・腹部膨満

3. 下痢の人が「便通改善」目的でダイオウ含有処方を服用→脱水・電解質異常

偽アルドステロン症の詳細メカニズム(カンゾウ重複の核心):

グリチルリチン酸(Glycyrrhizinic acid)→腸内細菌・肝臓で加水分解→グリチルレチン酸(Glycyrrhetinic acid)に変換。

グリチルレチン酸は:

1. 11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β-HSD2)を阻害

2. 11β-HSD2は腎尿細管でコルチゾール→コルチゾン(不活性型)への変換を触媒

3. 阻害されるとコルチゾールが過剰に残存→アルドステロン受容体(MR)に非選択的に結合

4. 結果:アルドステロン過剰と同じ状態(偽アルドステロン症)→Na貯留・K排泄・水貯留

臨床症状:低カリウム血症(脱力・筋力低下・手足のだるさ)・浮腫・血圧上昇・血清K低下。

グリチルリチン酸の1日摂取量の目安:

  • 一般的な基準:40mg/日以下が望ましい(処方・製品・個人差あり)
  • カンゾウ1日2g含有処方→約100mg/日のグリチルリチン酸相当
  • 複数の漢方薬で容易に200mg/日超が起こりうる

マオウ(麻黄)重複の詳細:エフェドリンのアドレナリン様作用

エフェドリン(Ephedrine):非選択的アドレナリン作動薬(α・β両受容体に作用)

  • β1受容体:心拍増加・心収縮力増大→動悸
  • α1受容体:血管収縮→血圧上昇、尿道括約筋収縮→排尿困難
  • β2受容体:気管支拡張(かぜ・気管支喘息への作用機序)
  • 中枢神経:興奮・不眠・神経過敏

マオウ含有処方の1日分マオウ量(目安):

  • 葛根湯:4g
  • 麻黄湯:5g
  • 小青竜湯:3g

葛根湯と小青竜湯を同時服用する場合:マオウ7g/日→エフェドリン換算で多量となりリスクが大きい。高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症・排尿困難のある患者では特に危険。

漢方の重篤副作用5種の横断整理(登録販売者の必須知識):

副作用主な原因成分症状の特徴対応
偽アルドステロン症カンゾウ(グリチルリチン酸)重複低K・浮腫・血圧上昇・脱力即中止・受診
間質性肺炎小柴胡湯(オウゴン)等空咳・発熱・息切れ即中止・受診
肝機能障害複数の処方で報告黄疸・倦怠感・食欲低下即中止・受診
腸間膜静脈硬化症サンシシ長期服用腹痛・血便・下痢(慢性経過)処方中止・受診
SJS/TEN一部の処方で報告皮膚・粘膜の水疱・紅斑・発熱即中止・救急受診

これらの副作用はいずれも「天然由来だから安全」ではないことを示す具体的な証拠。登録販売者はこれらの副作用の初期症状を購入者に伝え、「異常を感じたら即中止・医師相談」を指導する義務がある。

漢方薬の使用上の注意の伝え方(登録販売者の実務):

1. 「他に漢方薬や薬を飲んでいませんか?」→カンゾウ・マオウ・ダイオウの重複チェック

2. 「お体の調子は丈夫な方ですか?胃腸は丈夫ですか?」→証(虚実)の大まかな確認

3. 「しばらく使っても症状が改善しない、または悪化する場合は中止して相談してください」→誤治の早期発見

4. 「長期で使用する場合は定期的に医師・薬剤師に確認してください」→長期副作用のモニタリング

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章ⅩⅣ-1「漢方処方製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。