第3章 主な医薬品とその作用128主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問128:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

漢方処方製剤の使用上の一般的注意に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 漢方処方製剤はすべての人に適するわけではなく、体力(証)の不適合により効果がないだけでなく、体の状態を悪化させることがある(誤治)。
  • 複数のカンゾウ(甘草)含有処方を同時に服用すると、グリチルリチン酸の1日摂取量が過剰になり偽アルドステロン症を引き起こすことがある。
  • 漢方処方製剤は天然由来の生薬のみでできているため、西洋薬と異なり副作用が起こることはなく、長期服用しても安全である。正答
  • 複数のマオウ(麻黄)含有処方を同時に服用すると、エフェドリンの1日摂取量が過剰になり心悸亢進・血圧上昇・精神興奮等が生じることがある。
  • 漢方処方製剤を購入する際は、他に服用中の医薬品(漢方薬・西洋薬)について販売者に伝え、成分の重複を避けることが大切である。
正答:漢方処方製剤は天然由来の生薬のみでできているため、西洋薬と異なり副作用が起こることはなく、長期服用しても安全である。

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正答はウです。

「天然由来だから副作用がない・長期服用しても安全」というのは誤りです。漢方処方製剤も医薬品であり、副作用(間質性肺炎・肝機能障害・偽アルドステロン症・腸間膜静脈硬化症等)が起こることがあります。「自然」「天然」という言葉は安全性を保証しません。

他の選択肢はすべて正しい内容です。

  • ア:証の不適合(誤治)→体調悪化は重要な概念で正しい。
  • イ:カンゾウ重複→グリチルリチン酸過剰→偽アルドステロン症は正しい。
  • エ:マオウ重複→エフェドリン過剰→動悸・血圧上昇は正しい。
  • オ:服用中の薬を伝える重要性は正しい。

語呂:「漢方も医薬品。天然だから安全は大嘘!証を外すと誤治になる」

標準試験対策の基準レベル

漢方処方製剤の使用上注意:一般的な横断事項まとめ

| 注意事項 | 内容 | 代表的な成分・処方 |

|---|---|---|

| 証の不適合(誤治) | 体力・体質に合わない処方を使うと効果なし・体調悪化 | 虚証の人に実証向け処方→消耗・副作用増大 |

| カンゾウ重複 | グリチルリチン酸1日40mg超で偽アルドステロン症リスク | カンゾウ含有多数処方(桂枝湯・補中益気湯等) |

| マオウ重複 | エフェドリン蓄積→動悸・血圧上昇・排尿困難 | マオウ含有(麻黄湯・葛根湯・小青竜湯等) |

| ダイオウ重複 | 瀉下作用の蓄積→下痢・腹痛 | ダイオウ含有(防風通聖散・大黄甘草湯等) |

| サンシシ長期服用 | 腸間膜静脈硬化症(5年以上の長期服用) | サンシシ含有(黄連解毒湯・茵蔯蒿湯等) |

| 重篤副作用5種 | 間質性肺炎・肝機能障害・偽アルドステロン症・腸間膜静脈硬化症・SJS/TEN | 処方問わず注意 |

「天然だから安全」の誤解への反論:

  • 生薬も化学物質(有効成分は特定の化合物)を含む:グリチルリチン酸(偽アルドステロン症)・エフェドリン(動悸・血圧)・アコニチン(しびれ・不整脈)・ゲニポシド代謝物(腸間膜静脈硬化症)
  • 「量が多ければ毒になる」のはすべての物質に共通
  • 長期服用での副作用蓄積(サンシシ→MVC・カンゾウ→偽アルドステロン症)は時間スケールが長いだけで副作用は実在する

「証の不適合(誤治)」の概念:

漢方では「正しい薬を正しい人に使う」ことが大前提。証を外れた処方使用(誤治)の例:

  • 体力虚弱(虚証)の人に実証向けの瀉下処方(大柴胡湯等)→消耗・脱力・下痢過多
  • 体力充実(実証)の人に虚証向けの補気処方(補中益気湯等)→気の滞り・熱感が増悪

各選択肢の正誤:

  • ア(正):証の不適合(誤治)で体調悪化する可能性は正しい重要概念。
  • イ(正):カンゾウ重複→グリチルリチン酸過剰→偽アルドステロン症は正しい。
  • ウ(誤・正答):天然由来でも副作用はあり、長期服用が安全とは言えない。
  • エ(正):マオウ重複→エフェドリン過剰→心悸亢進・血圧上昇は正しい。
  • オ(正):服用中の薬の申告と成分重複の回避は正しい重要事項。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【漢方処方製剤の「証」と個別化医療の概念】

「証(しょう)」は漢方医療の核心概念で、患者の状態を複数の軸で分類して適切な処方を決定する。

| 証の軸 | 実証(じつしょう) | 虚証(きょしょう) |

|---|---|---|

| 体力・筋力 | 充実・がっちり | 虚弱・やせ型 |

| 体温・代謝 | 熱産生が多い(熱証傾向) | 熱産生が少ない(寒証傾向) |

| 精神活動 | 活発・興奮しやすい | 疲れやすい・内向き |

| 消化器 | 食欲旺盛・消化力強い | 食欲低下・胃腸虚弱 |

| 脈・舌 | 力強い脈・紅舌 | 弱い脈・淡白舌 |

| 排便 | 便秘傾向 | 下痢または普通 |

証の不適合(誤治)が起こりやすいケース:

1. 虚証の人が「葛根湯は何にでも効く」と信じて服用→発汗過剰・消耗・動悸

2. 体力がある人が「滋養目的」で補中益気湯を長期服用→気の滞り(気滞)・腹部膨満

3. 下痢の人が「便通改善」目的でダイオウ含有処方を服用→脱水・電解質異常

偽アルドステロン症の詳細メカニズム(カンゾウ重複の核心):

グリチルリチン酸(Glycyrrhizinic acid)→腸内細菌・肝臓で加水分解→グリチルレチン酸(Glycyrrhetinic acid)に変換。

グリチルレチン酸は:

1. 11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β-HSD2)を阻害

2. 11β-HSD2は腎尿細管でコルチゾール→コルチゾン(不活性型)への変換を触媒

3. 阻害されるとコルチゾールが過剰に残存→アルドステロン受容体(MR)に非選択的に結合

4. 結果:アルドステロン過剰と同じ状態(偽アルドステロン症)→Na貯留・K排泄・水貯留

臨床症状:低カリウム血症(脱力・筋力低下・手足のだるさ)・浮腫・血圧上昇・血清K低下。

グリチルリチン酸の1日摂取量の目安:

  • 一般的な基準:40mg/日以下が望ましい(処方・製品・個人差あり)
  • カンゾウ1日2g含有処方→約100mg/日のグリチルリチン酸相当
  • 複数の漢方薬で容易に200mg/日超が起こりうる

マオウ(麻黄)重複の詳細:エフェドリンのアドレナリン様作用

エフェドリン(Ephedrine):非選択的アドレナリン作動薬(α・β両受容体に作用)

  • β1受容体:心拍増加・心収縮力増大→動悸
  • α1受容体:血管収縮→血圧上昇、尿道括約筋収縮→排尿困難
  • β2受容体:気管支拡張(かぜ・気管支喘息への作用機序)
  • 中枢神経:興奮・不眠・神経過敏

マオウ含有処方の1日分マオウ量(目安):

  • 葛根湯:4g
  • 麻黄湯:5g
  • 小青竜湯:3g

葛根湯と小青竜湯を同時服用する場合:マオウ7g/日→エフェドリン換算で多量となりリスクが大きい。高血圧・心臓病・甲状腺機能亢進症・排尿困難のある患者では特に危険。

漢方の重篤副作用5種の横断整理(登録販売者の必須知識):

| 副作用 | 主な原因成分 | 症状の特徴 | 対応 |

|---|---|---|---|

| 偽アルドステロン症 | カンゾウ(グリチルリチン酸)重複 | 低K・浮腫・血圧上昇・脱力 | 即中止・受診 |

| 間質性肺炎 | 小柴胡湯(オウゴン)等 | 空咳・発熱・息切れ | 即中止・受診 |

| 肝機能障害 | 複数の処方で報告 | 黄疸・倦怠感・食欲低下 | 即中止・受診 |

| 腸間膜静脈硬化症 | サンシシ長期服用 | 腹痛・血便・下痢(慢性経過) | 処方中止・受診 |

| SJS/TEN | 一部の処方で報告 | 皮膚・粘膜の水疱・紅斑・発熱 | 即中止・救急受診 |

これらの副作用はいずれも「天然由来だから安全」ではないことを示す具体的な証拠。登録販売者はこれらの副作用の初期症状を購入者に伝え、「異常を感じたら即中止・医師相談」を指導する義務がある。

漢方薬の使用上の注意の伝え方(登録販売者の実務):

1. 「他に漢方薬や薬を飲んでいませんか?」→カンゾウ・マオウ・ダイオウの重複チェック

2. 「お体の調子は丈夫な方ですか?胃腸は丈夫ですか?」→証(虚実)の大まかな確認

3. 「しばらく使っても症状が改善しない、または悪化する場合は中止して相談してください」→誤治の早期発見

4. 「長期で使用する場合は定期的に医師・薬剤師に確認してください」→長期副作用のモニタリング

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

漢方処方製剤の使用上の一般的注意・証の不適合と重複投与頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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