登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問135:主な医薬品とその作用(生薬製剤・泌尿器用薬・利尿薬)
利尿・泌尿器に用いられる生薬に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アキササゲ(木大角豆)はノウゼンカズラ科植物キササゲの**葉**を基原とし、利尿作用を持つ。
- イサンキライ(山帰来)はユリ科植物ケナシサルトリイバラの**塊茎**を基原とし、利尿・消炎の目的で用いられる。正答
- ウソウハクヒ(桑白皮)はクワ科植物マグワ等の**葉**を基原とし、利尿・鎮咳の目的で用いられる。
- エキササゲはブドウ科に属する植物であり、果実を薬用部位とする。
- オサンキライとブクリョウはどちらもユリ科を基原とするため、利尿作用がほぼ同一である。
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正答はイです。
サンキライ(山帰来)はユリ科植物ケナシサルトリイバラの塊茎を基原とし、利尿・消炎の目的で用いられます。記述イは正確です。
各誤り選択肢のポイントです。
- ア→キササゲの薬用部位は「葉」ではなく果実(さやが細長い実)
- ウ→ソウハクヒの薬用部位は「葉」ではなく根皮(根の皮)
- エ→キササゲはブドウ科ではなくノウゼンカズラ科
- オ→ブクリョウはユリ科ではなくサルノコシカケ科(菌類)。科も利尿機序も異なる
語呂:「桑白皮(そうはくひ)は桑(マグワ)の根の皮・白い皮」「木大角豆(きささげ)は細長い実」で覚えましょう。
利尿・泌尿生薬の基原・薬用部位まとめ:
| 生薬名 | 科名 | 薬用部位 | 主な作用 | 配合製品・処方例 |
|---|---|---|---|---|
| キササゲ(木大角豆) | ノウゼンカズラ科 | 果実 | 利尿・強心 | 八正散・泌尿器用薬 |
| サンキライ(山帰来) | ユリ科(サルトリイバラ属) | 塊茎 | 利尿・消炎・解毒 | 猪苓湯合四物湯等 |
| ソウハクヒ(桑白皮) | クワ科 | 根皮 | 利尿・鎮咳・消炎 | 清肺湯・五苓散系処方 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): キササゲ(木大角豆)の薬用部位は果実です。葉ではありません。ノウゼンカズラ科植物キササゲ(Catalpa ovata)の細長いさや(果実)を乾燥させたもので、キャタルポール等の成分が利尿・強心作用を示します。「木大角豆」という名は細長い豆(さや)に似た果実の形から来ています。
- イ(正): サンキライ(山帰来)はユリ科植物ケナシサルトリイバラ(Smilax glabra)の塊茎を基原とします(日本薬局方の規定基原。手引きはユリ科表記)。スミラキン等のサポニン・フラボノイドが利尿・消炎・解毒の作用を示します。「山帰来」とは中国から薬材が帰ってきた(伝来した)という意味に由来します。
- ウ(誤): ソウハクヒ(桑白皮)の薬用部位は根皮(マグワの根の皮を乾燥・加工したもの)です。葉ではありません。「桑白皮」の「白皮」が「白い根の皮」を指す漢字表記から薬用部位のヒントが読み取れます。クワ科植物マグワ(Morus alba)等の根皮を用います。利尿のほか鎮咳・消炎の作用もあり、清肺湯等に配合されます。
- エ(誤): キササゲはブドウ科ではなくノウゼンカズラ科に属します。ブドウ科との混同は試験での誤答パターンです。科名と薬用部位(果実)の両方を正確に記憶してください。
- オ(誤): ブクリョウ(茯苓)はユリ科ではなくサルノコシカケ科の菌類(マツ等の根に寄生する菌核)が基原です。サンキライとブクリョウは科も基原の種類(植物 vs 菌類)も異なります。利尿の機序も相違するため、「ほぼ同一」という記述は誤りです。
【「利尿」の機序と各生薬の薬理の違い】
利尿薬は作用機序により大きく3つに分類されます。登録販売者試験の範囲は現代医学的な利尿薬の機序よりも「生薬の基原と作用」が中心ですが、機序を理解すると記憶の定着に役立ちます。
1. キササゲ(木大角豆)の強心・利尿機序
キササゲ果実にはキャタルポール(catalpol)・p-ヒドロキシ安息香酸等が含まれます。
- 強心による二次的利尿: キャタルポールが心筋の収縮力を高める(陽性変力作用)ことで心拍出量が増加し、腎臓への血流量が増大して糸球体濾過量(GFR)が上昇します。心機能低下による浮腫(心臓性浮腫)に対して利尿効果が得られる「間接的な利尿」機序です。
- 直接腎作用: 腎尿細管での水・ナトリウムの再吸収を一部抑制する直接作用も報告されています。
このため、キササゲは「強心+利尿」の2つの作用を組み合わせた生薬として、動悸・浮腫・排尿困難に対応する処方に配合されます。
2. ソウハクヒ(桑白皮)の利尿・鎮咳二刀流
マグワ(Morus alba)の根皮に含まれるムルベロシドA・B(フラボノイド配糖体)やシクロムルベリン等の成分が、腎尿細管での再吸収を抑制する直接利尿作用を示します。
また、ソウハクヒは鎮咳作用も持ちます。清肺湯(体力中等度以下の咳・たんが多い慢性気管支炎)にはソウハクヒが配合されており、「肺を清める(清肺)」という漢方理論において肺熱を取り除く役割を担います。「利尿と鎮咳の両方」という複合作用が特徴です。
3. サンキライのサポニンと消炎・解毒
サンキライ塊茎に含まれるサポニン(スミラキン類)は腎臓への直接作用で利尿を促すとともに、抗炎症・抗菌効果を示します。「梅毒・皮膚疾患の解毒薬」として江戸時代から用いられた歴史があり、「山帰来(中国から帰ってきた)」という名称はこの薬効の伝来由来説に基づきます。
現代では猪苓湯合四物湯等の処方で泌尿器の炎症(膀胱炎・尿道炎)に用いられることがあります。
4. 泌尿器用生薬の横断整理(試験頻出)
| 生薬 | 科名・部位 | 主機序 | 配合処方 |
|---|---|---|---|
| キササゲ | ノウゼンカズラ科・果実 | 強心→二次利尿+直接利尿 | 八正散等 |
| サンキライ | ユリ科・塊茎 | 直接利尿・消炎 | 猪苓湯系 |
| ソウハクヒ | クワ科・根皮 | 直接利尿・鎮咳 | 清肺湯等 |
| ブクリョウ※既存 | サルノコシカケ科・菌核 | 水分代謝調整 | 猪苓湯・五苓散等 |
| ウワウルシ※既存 | ツツジ科・葉 | アルブチン→尿の殺菌 | 泌尿器用薬 |
登録販売者試験では「ブクリョウはサルノコシカケ科(菌類)」「キササゲはノウゼンカズラ科(果実)」「ソウハクヒはクワ科(根皮)」の3点が特に混同されやすいポイントです。科名・薬用部位・作用をセットで覚え、1問で複数の生薬を比較する問題に対応できる力をつけてください。
5. 上位資格への接続
薬剤師国家試験では利尿薬の作用機序(ループ利尿薬・チアジド系・K保持性・浸透圧利尿薬)の詳細が問われますが、登録販売者試験の「生薬の利尿」は「生薬名・基原・作用」の基礎レベルで十分です。ただし、「強心による間接的利尿(キササゲ)」という視点は、市販の強心薬を選ぶ際に「浮腫も改善したい顧客へのキササゲ含有製品の提案」として実務に直結する知識です。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【部位・基原修正】サンキライ=手引き表記「ユリ科」で確定(APG分類のサルトリイバラ科より手引き優先=本事業ルール)。薬用部位は「根茎」ではなく「塊茎」が正(日本薬局方の規定基原=ケナシサルトリイバラ Smilax glabra の塊茎)。本文・表・解説を「ユリ科・塊茎・ケナシサルトリイバラ」に統一。キササゲ=ノウゼンカズラ科キササゲの果実、ソウハクヒ=クワ科マグワの根皮、ブクリョウ=サルノコシカケ科(菌核)で確定。正答イ(サンキライ=ユリ科・塊茎、利尿・消炎)で確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第11節「泌尿器用薬」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。