登録販売者
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問140|NSAIDs

問題

登録販売者 | 第3章 主な医薬品とその作用 | (手引き令和8年4月版・令和8年5月施行改正反映)

非ステロイド性抗炎症成分(NSAIDs)を含む一般用医薬品の使用上の注意に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答(誤っているもの)はエです。

NSAIDsの外用薬(貼付剤・ゲル等)も、吸収された成分の一部が循環血液中に入ることがあります。内服の解熱鎮痛成分と同様に喘息を引き起こすおそれがあるため、喘息を起こしたことがある人では使用を避ける必要があります。

NSAIDs3大共通注意を覚えましょう。

1. 胃腸障害:胃粘膜保護のプロスタグランジンも抑制してしまう

2. 喘息誘発(アスピリン喘息):アスピリン特有ではなく他の解熱鎮痛成分でも起こりうる

3. 光線過敏症(外用ケトプロフェン等):使用中も使用後も当分の間、塗布部を紫外線に当てない

内服・外用どちらでも、喘息を起こしたことがある人は使わないのが原則です(エが誤り)。

NSAIDs共通注意事項の横断整理:

副作用・注意機序該当する使用形態対応
胃腸障害(胃痛・胃潰瘍)PG産生抑制→胃酸分泌が増加し胃壁の血流量が低下→胃粘膜障害内服薬なるべく空腹時を避けて服用。胃・十二指腸潰瘍のある人は使用前に医師等に相談
アスピリン喘息誘発アスピリン特有ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性内服・外用ともに注意内服:解熱鎮痛薬等で喘息を起こしたことがある人は使用(服用)しない。外用:喘息を起こしたことがある人は使用を避ける
光線過敏症ケトプロフェン等の光分解産物がハプテン化→遅延型アレルギー外用(ケトプロフェン配合の外皮用薬)使用中及び使用後も当分の間、塗布部を衣服等で覆い紫外線を避ける
出産予定日12週以内の妊婦妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加のおそれ内服(アスピリン・アスピリンアルミニウム・イブプロフェン)服用しない(「してはいけないこと」)

各選択肢の解説:

  • ア(正しい): NSAIDs(COX阻害)による胃腸障害の記述は正確です。手引きは、胃酸分泌調節作用や胃腸粘膜保護作用をもつプロスタグランジンの働きが妨げられると、胃酸分泌が増加するとともに胃壁の血流量が低下して胃粘膜障害を起こしやすくなるとしています。
  • イ(正しい): 手引きは、アスピリン喘息はアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じうるとしています。使用上の注意では、「本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を使用(服用)して喘息を起こしたことがある人」は「してはいけないこと」(使用しない)とされ、相談で済ませる対象ではありません。
  • ウ(正しい): ケトプロフェン配合の外皮用薬は、使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがあるため、使用している間及び使用後も当分の間は、塗布部を衣服やサポーター等で覆い、紫外線に当たるのを避ける必要があります。
  • エ(誤り): 外用の鎮痛消炎成分も、吸収された成分の一部が循環血液中に入ることがあります。手引きは、内服の解熱鎮痛成分と同様に喘息の副作用を引き起こすおそれがあるため、喘息を起こしたことがある人では使用を避ける必要があるとしています。「全身循環に入ることはないため安全」という記述は誤りです。
  • オ(正しい): 手引きはイブプロフェンについて「出産予定日12週以内の妊婦については、服用しないこととされている」としています。アスピリン・アスピリンアルミニウムも同じく「してはいけないこと」の対象です。

【NSAIDs共通注意の薬理機序と横断的理解】

COX阻害の機序とアスピリン喘息の成立:

アラキドン酸(細胞膜リン脂質由来)はCOX経路とリポキシゲナーゼ(LOX)経路の両方で代謝されます。

通常の状態:

  • COX経路: プロスタグランジン(PGE₂, PGI₂)→胃粘膜保護、血小板凝集調節、発熱・疼痛伝達、気管支拡張(一部)
  • LOX経路: ロイコトリエン(LTC₄, LTD₄)→気管支収縮(少量)

NSAIDs(COX阻害時):

  • COX経路が阻害されてアラキドン酸がLOX経路に転換される
  • LTC₄/LTD₄が過剰産生→強力な気管支収縮→喘息発作
  • この機序は構造に依存しないため、化学的に異なる全NSAIDsに共通して起こりえます

アスピリン喘息は「NSAIDs過敏症」または「アスピリン不耐性喘息」とも呼ばれ、アトピー型喘息とは異なりIgEを介しないため、アレルギー検査では事前検出が困難です。手引きも、アスピリン特有の副作用ではなく他の解熱鎮痛成分でも生じうるとしており、使用上の注意では、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等の解熱鎮痛成分について「本剤又は他のかぜ薬、解熱鎮痛薬を使用(服用)して喘息を起こしたことがある人」は「してはいけないこと」とされています。販売現場では「喘息の既往があるか」を必ず確認することが重要です。

胃腸障害の機序詳細:

COXアイソザイム役割NSAIDs阻害の影響
COX-1(構成型)胃粘膜PG産生・血小板TXA₂産生・腎機能維持胃粘膜保護低下・出血傾向(血小板凝集抑制)・腎機能障害
COX-2(誘導型)炎症部位でのPG・PGE₂産生抗炎症・解熱鎮痛(治療目標)

一般的なOTC NSAIDsはCOX-1とCOX-2を非選択的に阻害するため、治療効果(COX-2阻害)とともに胃腸障害(COX-1阻害)が生じます。手引きでも、胃への悪影響を軽減するため、なるべく空腹時を避けて服用することとなっている場合が多いとされています。

外用NSAIDsの浸透と全身移行:

手引きは、インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、ピロキシカム、ジクロフェナクナトリウムについて、皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を抑えるとしています。そのうえで外用でも次の注意が必要です。

  • 喘息: 内服で用いられる解熱鎮痛成分と同様、喘息の副作用を引き起こすおそれがあるため、喘息を起こしたことがある人では使用を避ける。使用上の注意では、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン又はピロキシカムが配合された外用鎮痛消炎薬について「喘息を起こしたことがある人」が「してはいけないこと」とされている
  • 妊婦: 吸収された成分の一部が循環血液中に入る可能性があり、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、胎児への影響を考慮して使用を避けるべきとされている
  • 使用量: 塗り薬又はエアゾール剤は1週間あたり50g(又は50mL)を超えての使用、貼付剤は連続して2週間以上の使用は避けることとされている製品が多い

「外用なら安全」とは言えません。喘息を起こしたことがある人には、外用NSAIDsも使用を避けるよう伝えます。

ケトプロフェンの光線過敏症の機序:

ケトプロフェンはUV-A(波長320〜400nm)を吸収して光化学反応を起こし、反応性の光分解産物(ベンゾフェノン骨格を持つ化合物等)を生成します。これらが皮膚タンパクと結合してハプテン(抗原)を形成し、IV型(遅延型)アレルギー反応を引き起こします。

特徴として:

  • 初回使用では起きないことが多い(感作期間が必要)
  • 手引きは、使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症が現れることがあるため、使用している間及び使用後も当分の間は、天候にかかわらず戸外活動を避け、塗布部を衣服、サポーター等で覆うとしている(ラップフィルム等の通気性の悪いもので覆うことは適当でない)
  • チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート、オキシベンゾン、オクトクリレンでアレルギー症状を起こしたことがある人は、化学構造が類似しているため使用を避ける

出産予定日12週以内の妊婦(してはいけないこと):

使用上の注意では、アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェンについて「出産予定日12週以内の妊婦」が「してはいけないこと」とされ、その理由は次のとおりです。

1. 妊娠期間の延長

2. 胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖

3. 子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加

手引きの脚注には、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム等を妊娠末期のラットに経口投与した実験で、胎児に高度〜中等度の動脈管の収縮が見られたとの報告も記載されています。それ以外の時期の妊婦又は妊娠していると思われる女性についても、解熱鎮痛薬は「相談すること」の対象です。

登録販売者の実務確認フロー(NSAIDs販売時):

1. 解熱鎮痛薬等で喘息を起こしたことがあるか → あれば内服は使用(服用)しない。外用も喘息を起こしたことがある人は使用を避ける

2. 妊婦か・妊娠していると思われるか → 出産予定日12週以内ならアスピリン・イブプロフェン等は服用しない

3. なるべく空腹時を避けて服用するよう説明する(内服NSAIDs)

4. 外用ケトプロフェン使用者には、使用中及び使用後も当分の間、塗布部を紫外線に当てないよう指導する

5. 外用は使用量・使用期間の目安(塗り薬は1週間あたり50g、貼付剤は連続2週間まで等)を守るよう伝える

この問題の根拠根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」、Ⅹ-2)「痒み、腫れ、痛み等を抑える配合成分」、第5章 別表(してはいけないこと)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章Ⅰ-2-2)「代表的な配合成分等、主な副作用」、Ⅹ-2)「痒み、腫れ、痛み等を抑える配合成分」、第5章 別表(してはいけないこと) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。出題範囲・法令・手引きは改正されることがあるため、最新の内容は各都道府県・厚生労働省の公式情報をご確認ください。