登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問147:主な医薬品とその作用(成分群の横断・配合目的)
医薬品に含まれる添加物に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア賦形剤(充填剤)は薬効を持たない成分であり、有効成分の量が少ない場合に錠剤・カプセル剤の形状を保つために配合されるが、賦形剤自体がアレルギー反応を引き起こすことはない。
- イパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)類は経口医薬品・外用医薬品に広く使用される防腐剤(保存剤)であるが、接触皮膚炎などのアレルギー反応を起こすことがある。正答
- ウ医薬品に使用される着色剤(タール系色素)はすべて厚生労働省で安全性が確認されており、アレルギー反応を起こすことはない。
- エ矯味剤(糖類・甘味料)は薬剤の苦みをマスクする目的で配合されるが、糖尿病患者でも摂取量が少ないため血糖値への影響は全くない。
- オ乳糖(ラクトース)は錠剤の賦形剤として広く使用されているが、乳糖不耐症(ラクターゼ欠乏)の人や牛乳アレルギーの人には影響がないため、自由に使用できる。
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正答はイです。
パラベン(防腐剤)は接触皮膚炎等のアレルギーを起こすことがあります(イが正しい)。
医薬品添加物の分類と役割を覚えましょう。
| 添加物の種類 | 主な目的 | 代表例 | アレルギーリスク |
|---|---|---|---|
| 賦形剤 | 錠剤・カプセルの形状維持・かさ増し | 乳糖・結晶セルロース・デンプン | 乳糖(乳糖不耐症・牛乳アレルギー) |
| 保存剤(防腐剤) | 微生物の繁殖防止 | パラベン・ソルビン酸 | パラベンで接触皮膚炎 |
| 着色剤 | 識別・外観改善 | タール系色素(タートラジン等) | タートラジンで喘息・じんましん |
| 矯味剤 | 苦みマスク | 糖類・甘味料(サッカリン等) | 稀にアレルギー |
| 結合剤 | 顆粒・錠剤の成形 | ポビドン・ゼラチン | ゼラチンアレルギー注意 |
アは賦形剤もアレルギーを起こしうる(誤り)。ウはタートラジンでアレルギーあり(誤り)。エは糖尿病患者は注意が必要(誤り)。オは乳糖不耐症・牛乳アレルギーに影響あり(誤り)。
医薬品添加物の種類・目的・注意事項の横断整理:
| 添加物の分類 | 主な目的 | 代表的な成分 | 注意すべきアレルギー・副作用 |
|---|---|---|---|
| 賦形剤・充填剤 | 有効成分の量が少ない場合のかさ増し・形状維持 | 乳糖・デンプン・結晶セルロース・リン酸水素カルシウム | 乳糖→乳糖不耐症・牛乳タンパクアレルギー(別)に注意 |
| 結合剤 | 顆粒化・打錠時の成形維持 | ポビドン(PVP)・ヒドロキシプロピルセルロース・ゼラチン | ゼラチン(豚・牛由来)→宗教上の問題・アレルギー |
| 崩壊剤 | 水中での崩壊促進 | クロスポビドン・デンプングリコール酸ナトリウム | 一般的に低アレルギーリスク |
| 保存剤(防腐剤) | 微生物繁殖防止・品質保持 | パラベン類(メチル・プロピル・ブチルパラベン)・ソルビン酸・安息香酸Na | パラベン→接触皮膚炎・蕁麻疹(特に外用薬) |
| 着色剤 | 識別・外観改善・飲みやすさ向上 | タール系色素(タートラジン等)・酸化鉄(赤・黄・黒)・カラメル | タートラジン(食用黄色4号)→一部の人で喘息発作・蕁麻疹・アスピリン喘息との交差反応 |
| 矯味剤 | 苦味・不快な味のマスキング | 砂糖・果糖・サッカリンNa・アスパルテーム | 糖尿病患者:砂糖・果糖含有製品の血糖への影響確認 |
| 溶解補助剤 | 難溶性成分の溶解補助 | ポリソルベート80・プロピレングリコール | 一部でアレルギー反応 |
| 基剤 | 外用薬の剤形形成・経皮吸収制御 | ワセリン・ラノリン・ステアリン酸等 | ラノリン(羊毛由来)→羊毛アレルギー(ウールアレルギー)に注意 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 賦形剤(乳糖等)はアレルギー反応を起こすことがあります。乳糖(ラクトース)は牛乳タンパク(カゼイン・β-ラクトグロブリン等)とは別の成分ですが、乳糖不耐症の人ではラクターゼ不足により乳糖が分解されず腸内で発酵→腹部症状が起きます。また高純度でも微量の牛乳タンパクが残存する場合があり、重篤な牛乳アレルギーの人では注意を要します。
- イ(正): パラベン(パラオキシ安息香酸エステル)は接触皮膚炎・蕁麻疹等のアレルギー反応を起こすことがあります。特に外用薬(クリーム・ローション等の防腐剤)として使用される際に皮膚への接触でアレルギーが出やすく、手引きにも注意事項として記載されています。
- ウ(誤): タール系色素(特にタートラジン=食用黄色4号)は一部の人でアレルギー反応(喘息様発作・蕁麻疹・鼻炎)を引き起こすことが知られており、アスピリン喘息患者との交差反応が報告されています。「アレルギー反応を起こすことはない」は誤りです。
- エ(誤): 矯味剤として砂糖・果糖を含む医薬品は、糖尿病患者が大量に服用する場合(特にシロップ剤・液剤)に血糖値への影響が生じる可能性があります。「血糖値への影響は全くない」は誤りです。
- オ(誤): 乳糖不耐症の人では乳糖の分解・吸収が障害されるため、乳糖含有錠剤の大量服用では腹部症状(下痢・腹鳴)が起きることがあります。また重篤な牛乳アレルギー患者では微量牛乳タンパクの混入リスクを考慮する必要があります。「影響がないため自由に使用できる」は誤りです。
【医薬品添加物の詳細とアレルギーリスクの実務判断】
「添加物はただの充填剤」ではない:薬理的・免疫学的に重要な存在:
添加物は有効成分ではないため見落とされがちですが、登録販売者として以下の観点から添加物を確認する習慣が重要です:
1. アレルギー既往との照合(特に食物アレルギー・ラテックスアレルギー・金属アレルギー)
2. 宗教上の制約(豚由来ゼラチン・牛由来成分)
3. 特定疾患との相互作用(糖尿病×糖類・フェニルケトン尿症×アスパルテーム)
タートラジン(食用黄色4号)の詳細:
タートラジンはアゾ染料の一種で、一部の人でアレルギー様反応(IgEを介さない偽アレルギー)を起こします。特に:
- アスピリン過敏症(アスピリン喘息)の患者との交差反応が報告されている(COX阻害とは別機序の可能性)
- 蕁麻疹・血管性浮腫・鼻炎・喘息様発作
- 小児の多動性との関連は現時点で科学的コンセンサスは得られていない
日本では食品・医薬品ともに使用が認められていますが、欧州では一部食品での表示義務(警告文)が課されています。
パラベンのアレルギー機序:
パラベン(メチル・エチル・プロピル・ブチルパラベン等)は安全性が高い保存剤として広く使用されていますが:
- 外用薬(特にクリーム・ローション)への繰り返し接触で感作が生じることがある
- 感作後の接触で遅延型(IV型・接触性)アレルギー反応(接触皮膚炎)が生じる
- 即時型(I型)アレルギーは稀だが報告はある
- パラベンアレルギーがある場合は、パラベンフリー製品を選ぶよう案内する
乳糖と牛乳アレルギーの関係(正確な理解):
乳糖(ラクトース)は二糖類(ガラクトース+グルコース)であり、牛乳タンパク(カゼイン・β-ラクトグロブリン・α-ラクトアルブミン等)とは化学的に別物です。
- 乳糖不耐症: ラクターゼ(乳糖分解酵素)の欠乏により乳糖が消化されず腸内細菌に発酵される→ガス・腹痛・下痢。アレルギーとは異なります。
- 牛乳アレルギー(IgE依存性): 牛乳タンパク(カゼイン等)への抗体反応。乳糖自体はアレルゲンではないため、高純度の乳糖は通常問題ないとされますが、製造工程での微量タンパク混入リスクが排除できないため、重篤な牛乳アレルギーの人には注意を要します。
フェニルケトン尿症とアスパルテーム:
アスパルテーム(合成甘味料)はフェニルアラニンとアスパラギン酸のジペプチドエステルであり、体内でフェニルアラニンを遊離します。フェニルケトン尿症(PKU、フェニルアラニン水酸化酵素欠損症)の患者ではフェニルアラニンが蓄積して神経障害を起こすため、アスパルテーム含有製品は禁忌に近い注意が必要です。製品には「フェニルケトン尿症の方は注意」の表示が義務付けられています。
添加物確認の実務フロー(購入者対応):
1. 食物アレルギーの確認: 卵・乳・小麦・ゼラチン(豚牛由来)・大豆(一部製剤の基剤に使用)に重篤なアレルギーがあれば製品成分表を確認
2. 宗教上の制約: イスラム教(ハラール)・ユダヤ教(コーシャー)では豚由来ゼラチン・牛由来成分への制約がある場合がある。外用薬のラノリン(羊毛由来)も関連する場合がある
3. 糖尿病患者: シロップ剤・チュアブル錠等で砂糖・果糖の含有量が多い製品への注意
4. パラベン皮膚炎の既往: 外用薬購入時にパラベンフリー製品の有無を確認・案内
5. タートラジン含有: アスピリン喘息患者には着色剤の確認を推奨
製品添付文書での確認方法:
添加物は添付文書(または製品外箱の「成分」欄)に記載されています。「その他の成分」として表示されている場合が多く、購入者から特定添加物の確認を求められた際は添付文書・製品情報を確認することを勧めます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 医薬品の添加物・配合成分の注意事項 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。